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急速に拡大するゲーミングノート市場、MSI製ノートの販売数が躍進中のアプライドに動向を聞く

建築や設計、ストリーマーにも広がり、一般化も急速に進む text by 浅倉吉行

 テレワーク需要や自宅で過ごす時間の増加により、ノートPCの販売は非常に好調といった声をよく聞くが、ゲーミングノートも大きく販売数を伸ばしている。ゲーム用途はもちろん、クリエイター用途やCADなどの業務用といったニーズも増えており、コアユーザー向けから一般ユーザーも使うPCへと変わりつつある段階だ。

 以前であれば、ゲーミングモデルなどコア層向けの製品は秋葉原のショップなどで売れるものだったが、現在は郊外店などでもゲーミングノートは好調な売れ行きとなっており、こうした面からもユーザー層が広がっていることがわかる。

 今回は、MSIのゲーミングノートをかなりの台数販売しているというアプライドに、ゲーミングノートがどのようなユーザーに求められているのか、どのような部分が人気のポイントになっているのかを聞いてみた。

MSIゲーミングノートの売れ行きをアプライドに聞いてみた想像以上に一般層へも売れだしているゲーミングモデル

 アプライドは九州を拠点に西日本エリアに多くの郊外店を構えるPC専門店。MSIのゲーミングノートの販売数は日本でも上位とのことで、今回はそんなアプライドの店舗の中から特にMSIのゲーミングノートが好調に売れているという倉敷店、京都店、博多店に現在の状況を聞いてみた。

 MSIのノートPCは、公認サポート店であれば、購入時のカスタムや、購入後のアップグレードなどが店舗で行える。アプライドはユーザーに購入後のPCを長く使ってもらえるようアフターサポートにも力を入れており、MSI公認サポート店でもあるので、各店舗でカスタムやアップグレードなどの対応が行える。メモリやストレージをカスタム/アップグレードして使用できるMSIのゲーミングノートは、長くPCを使い続けたいユーザーからも好評とのことで、こうした部分も売れ行きに影響しているようだ。

ゲーミングノートが一番人気のアプライド 倉敷店、小さい子供向けのフォートナイト需要も増加

アプライド 倉敷店
広く明るい店内が特徴。ゲーミングPCの展示機も多く用意されていた。

 アプライド 倉敷店は、周辺のPCショップでは地域最大となる店舗。店内は広く、メーカー製PCやゲーミングPC、BTO PCをはじめ、自作PCパーツやPC周辺機器など幅広く取り扱われている。Quadro搭載のワークステーションなども取り扱っており、専門性の高さも特徴。MSI製ゲーミングノートに関しては、新モデルが登場した際は必ず入荷するようにしているとのことで、ゲーミングノートにも重点的に力を入れているショップだ。

アプライド 倉敷店 マネージャー兼店長 寺川亮氏

――ゲーミングノートの売れ行きはどのような状況なのでしょうか。

[アプライド 寺川氏]現在店頭で販売しているノートPCではMSIのゲーミングノートが一番売れていますね。MSIのゲーミングノートに力を入れだして5年以上たつのですが、かなり定番化している印象がありますね。ゲーミングノートと言えばMSIという感じにはなっていると思います。


デモ機は触れられるかたちで多数展示されている。

――どのような人たちがMSIのゲーミングノートを購入しているのでしょうか。

[アプライド 寺川氏]オンラインゲームユーザーが一番多いですね。男性が多い傾向ですが、最近だと小さいお子様がいらっしゃる家族の方からの需要や、大学生の方が増えていますね。大学生の方は勉強用PCといった部分がベースにあるのですが、趣味のゲームも快適なモデルが欲しいといった面からMSIのモデルを選ぶ方が多いです。

ゲーマー以外では、建築関連の方や、CGや動画のクリエイターの方からも選ばれています。建築や設計でCADを使う際はGPU性能が必要になりますしね。大学生の方からもですが、制作や製造に使う方からも持ち運びのニーズがあり、重い作業を行う人でもノートPCを選ぶ方が増えています。追加のディスプレイを接続すればマルチディスプレイ環境も簡単に構築できますしね。


MSIのノベルティプレゼントキャンペーンは好評とのこと。

――ゲーミングノートを購入する人からよく聞かれることはありますか。

[アプライド 寺川氏]PCに詳しい人からは聞かれませんが、一般の方からはMSIがどういうメーカーなのか聞かれたりしますね。海外の大手メーカーである点や、製品品質などに関しての説明すると、安心感を持ってもらえることが多いですね。納得していただけると、そのまま購入となるケースも多いです。

性能などに関しては、具体的な用途をお聞きして、オーバースペックにはならないけど、少し先まで長く使える性能のモデルをご提案させていただくことが多いです。アフターサポートまで考慮し、1台のPCを長く使っていただけるようご案内するのがアプライドのスタイルなので、性能を決める際の対応には特に力を入れています。頻繁に買換えが発生するとデータ移行の手間などもその分増えてしまいますしね。

――ゲーミングノートと合わせて購入されることが多い周辺機器などはありますか。

[アプライド 寺川氏]ディスプレイやゲーミングデバイスなどが多いですね、ノートPCケースも合わせて購入される方が多いです。MSIはキャンペーンでリュックや周辺機器などがつくこともあるのですが、お渡しすると好評ですね、


フォートナイトの入門向けには11~13万円前後のモデルが人気。
Apex Legendsなどをがっちり遊ぶ層には、GeForce RTX 30搭載の20万円前後のモデルが売れ筋に。

――今人気なのはどのあたりのモデルになるのでしょうか。

[アプライド 寺川氏]小さいお子さんがいらっしゃるご家庭の方だと、フォートナイトを遊べるPCが欲しいといったご相談を受けることが多く、入門用モデルとして11~13万円前後のモデルが好評ですね。年齢層が上がり、Apex Legendsなどが遊びたいとなってくると、GeForce RTX 30シリーズを搭載した20万円前後のモデルを選ぶ方が多くなりますね。

PCは性能が足りず使えないとなると無駄になってしまうので、予算ありきではなく、遊びたいゲームに合わせて購入する方が多い印象です。当然、安く済むに越したことはないので、ご相談を受けた際は要望は抑えつつ、コスト面も意識した構成のモデルをご提案させていただいています。

また、新生活シーズン時は、大学推奨スペックを満たしたモデルをお求めになる方も多かったですね。


PCのしっかり性能を引き出すにはクーラー性能も重要、

――MSI製モデルはどのあたりが人気に繋がっていると思いますか。

[アプライド 寺川氏]ゲームユーザーへ配慮した製品になっているのが良いと思いますね。例えば、Windowsキーがゲーム中不意に押されてゲームが中断することがないようにする機能を備えていたり、キー配列がゲーム操作を意識したものになっていたりなどですね。

また、冷却性能がノートPCとしてはしっかりしているのも良いところですね。ファンがCPU冷却用とGPU冷却用と複数搭載されており、耐久性も高いとおもいます。歴史のある老舗のメーカーなので信頼性といった面でも安心感がありますし、メモリやSSDの増設や換装を行う際に分解すると、内部の作りの良さも実感しますしね。

MSIのゲーミングノートはキャンペーンが多いのもポイントです。先ほどのリュックもそうですが、ユーザーからするとこうした部分は嬉しいですよね。

――これからゲーミングPCを選ぶ人へ一言お願いします。

倉敷店は店頭在庫も多数用意しておりますので、そのままお持ち帰りはもちろん、カスタムを行っても早くお渡しできるよう対応可能です。PCのセットアップなども含めた設置サービスも行っているので、ご活用いただければと思います。

また、PCに関して不明なことや使用方法でわからないことなどがあれば、レクチャーやサポートなどを行うサービスも実施しておりますので、気軽にご相談いただければと思います。

利用ユーザーのリテラシーも高めなアプライド 京都店、付加価値の高いモデルが人気に

アプライド 京都店

アプイライド 京都店はサポート関連のサービスに特に力を入れている店舗とのこと。新しいPCが欲しくなるのは動作が重いなど不満が出た時になるが、京都店ではまず遅い原因を確認したうえで、アップグレードなどで不満が解消するのか、買い替えの必要があるのかなど調べ、メリットのある方を提案する方針を取っているという。OSやソフトのアップデート時のトラブル対応や、データ復旧などのニーズも高いという。PCに関してわからない部分や困っていることがあれば是非相談してもらいたいとのことだ。

アプライド 京都店 マネージャー兼店長 大西翔太氏

――ゲーミングノートの売れ行きはどのような状況なのでしょうか

[アプライド 大西氏]増えている感じです。ディスクリートGPU搭載モデルの需要が高まっていますね。MSI製のゲーミングノートはかなり伸びていまして、アプライド全体に見てもトップクラスと言えます。MSI製のモデルは故障率も低く、弊社のスタッフも多く使用しています。

以前は名前を知っている安心感などから国内メーカーモデルを選ぶ方が多く、用途に関してもふわっとした方が多かったのですが、ここ数年で流れも変わってきましたね。遅さを感じるようなPCは嫌だとか、絵が快適に描ける性能が欲しいとか、動画の作成が早く行えるものが良いとか、ディスプレイを足してマルチモニタ環境でも使えるPCが欲しいなど、用途や目的が明確な方が購入する流れになっている印象ですね。

京都店も上位モデルからミドルクラスモデルまで幅広い機種がデモ機として並べられている。

――どのような人たちがMSIのゲーミングノートを購入しているのでしょうか。

[アプライド 大西氏]ゲームを楽しみたいというニーズが一番ではありますね。友達の家に持って行って、みんなで集まってゲームがしたいといった話はよく聞きます。なので、持ち運べるという点もかなり重視されている印象です。

ほかだと、CGなどを作成したり、プログラミングを組む方にも選ばれている印象ですね。また、法人の方からもワークステーション的な利用ができるノートPCとして人気がありますね。これまでは現場でメモを取り、本社に戻ってデスクトップPCで対応といった作業だったのが、ゲーミングノートを使うことで現場ですべてこなせるようになったという話も聞きます。

店頭に展示されているMSIのクーラー。意外にもノートPCの発熱に関して突っ込んだ話を聞かれることが多いそうだ。京都店を利用するユーザーはPCに詳しいユーザーの比率が高いのかもしれない。
ゲーミングPCのクリーニングサービスなどもニーズがあるとのこと、数ヶ月おきにメンテナンスに持ち込むユーザーもいるそうだ。

――ゲーミングノートを購入する人からよく聞かれることはありますか。

[アプライド 大西氏]意外かもしれませんが、割合としては発熱に関して聞かれることが多いですね。ゲームされる方は、必要スペックに関しては事前に調べていらっしゃる方も多く、高負荷時に動作温度はどうなのかとか、酷使して故障した場合の保証はどうなるのかといったような、かなり突っ込んだ話を聞かれることも多いです。逆にこちらが勉強になることも多々ありますね。MSIのモデルであれば、複数ファンを搭載して廃熱性能も高いので、クーラー性能の高さをポイントとして判断される方も多くなっています。

また、ファンが動作する分ほこりなどを気にする方もいらっしゃって、クリーニングサービスを利用される方も増えています。酷使する方は、数ヶ月おきにメンテナンスに持ち込まれる方もいらっしゃいますね。

もちろん用途に合わせたPC選びを相談されることも多く、将来性も考慮しながら提案させていただいたりと、こちらとしてもどのPCが最も適しているのか、一緒に考えながら接客させていただくのは楽しく感じます。アプライド=親切丁寧と認識してもらえるようスタッフ全員が意識しているので、目的を持った方に多く来店いただけるのは嬉しいですね。

――ゲーミングノートと合わせて購入されることが多い周辺機器などはありますか

[アプライド 大西氏]ディスプレイですね!ノートPCに大型の液晶ディスプレイを接続して店頭で動作させていたり、他画面環境を提案させていただいているので、そうした影響もあるかと思います。

現在は、数としてはGeForce RTX 3060を搭載した15万円前後のモデルが一番人気。
高付加価値モデルが好まれる傾向になってきているのが最近の流れとのことで、一般ユーザーにも20万円を超えるモデルが売れるようになってきたとのこと。

――今人気なのはどのあたりのモデルになるのでしょうか。

価格帯としてはGeForce RTX 3060を搭載して15万円前後のモデルが一番人気になりますね。MSIゲーミングノートだとGFシリーズが数がでますね。長く使うのであれば、ショップとしてはGPシリーズがお勧めです。

以前は激安のPCを求める方が多かったのですが、今は高付加価値モデルの方が注目されるようになっています。一般の方にも20万円を超えるモデルを手に取っていいただけるような状況が来るとは予想もしていなかった動きです。これはチラシにも表れており、昔は性能関係なく安価モデルを掲載すると反応がありましたが、今はそうしたモデルは反応が無く、GeForceを搭載してパフォーマンスがかかったり、Core i7を搭載して普段使いも快適といったモデルの方が反応がありますね。


クレジット分割支払い時に金利0%となるサービスも実施されている。こうしたサービスを利用し、予定より上位のもデリを購入するユーザーも増えてきているそうだ。

――MSI製モデルはどのあたりが人気に繋がっていると思いますか。

MSIのゲーミングノートはカスタマイズできる点が人気に繋がっていると思いますね。性能が不満が出てきたときにメモリの増設やSSDの換装などで延命することもできる部分もありますし、購入時におためし感覚で最小構成にして、使用して不満が出た際に後からメモリやSSDを変更することもできますし、こうした柔軟性は魅力です。PCを長く使用していただきたい弊社の方針と、カスタム可能なMSIのモデルはコンセプトとして相性が良いので、お勧めしやすいというのもありますね。

また、MSIのモデルはカスタムできるということを認識している方も全体の2~3割ほどいらっしゃる印象で、SSDを最大容量にしたかったり、メモリを大容量にできるからといった理由から、ハイスペックモデルを求める方にも好評ですね。

ちなみに、クレジット支払いの際に金利0%で分割支払いができるサービスも提供しているのですが、分割の支払いができるのでワンランク上のモデルを選ぶ方もいらっしゃいます。こうした部分も高付加価値モデルが選ばれる要員の一つになっているのではないかと思いますね。

――これからゲーミングPCを選ぶ人へ一言お願いします。

パソコンやスマートフォンなどを通して、いらっしゃった方が幸せになることにご協力できればと考えて活動しています。ゲーミングノートはまだまだ需要はあると感じておりますので、もっと多くの人の手に取っていただけるよう力を入れていきますし、小さいことでもPCに関連することで相談したいことなどがございましたら、ご連絡いただければ幸いです。

法人の方にはソリューション提案なども行っておりますので、法人の方もお困りしていることがございましたら、お問い合わせをいただけるとありがたいです。

法人個人問わずゲーミングノートが好調なアプライド 博多店、15万円前後のモデルがゲーマーに人気

アプライド 博多店
こちらも店内は明るく広い。博多店はすぐ近くにアプライドの工場があり、特注構成のPCやカスタムモデルなどに強いショップとなっている。

アプライド 博多店は、アプライドの工場に隣接するかたちのショップとなっており、PCのカスタムやサポートに素早く対応できる店舗とのこと。取扱製品の種類は信頼性のあるものにある程度絞っているとのことだが、売り場の面積やサポート体制なども含め、地域一番のショップを自負しているという。また法人対応などにも強く、ワークステーションコーナーなどが設けられているのも特徴となっている。

アプライド 博多店 店長 秋山正浩氏

――ゲーミングノートの売れ行きはどのような状況なのでしょうか。

[アプライド 秋山氏]販売しているPC全体からみると、ゲーミングノートの割合は30~40%となっており、一番売れていると言ってもおかしくないですね。ゲーミングノートの中でもMSIは特に売れているので、高性能モデルならMSIといった状況です。博多店はアプライドの中でもPCの販売量が多く、そのなかでこれだけ売れているので、ゲーマー以外の層にもだいぶ売れているといえますね。ゲーミングノートは、高級ノートPCとしての需要も増えてきています。

博多店も数多くのデモ機が用意され、実機を触ることができる。
MSIゲーミングノート購入者にプレゼントされるノベルティグッズ入りのボックスも積まれていた。

――どのような人たちがMSIのゲーミングノートを購入しているのでしょうか。

[アプライド 秋山氏]だいぶ一般化してきているので、老若男女問わずといった感じになってきているのですが、女性の方も結構いらっしゃいますね。国内メーカーのモデルが良いといった方を除くと、ご案内の後にご購入されていく方も多い印象です。余計なアプリがたくさん入っていたりといったことはないので、そうした点がいいといった声を聞くこともありますね。

マザーボードやビデオカードなどを製造するPCパーツの老舗メーカーでもあるので、詳しい人からは品質や性能面で間違いないと良いイメージを持たれているケースが多いですね。そうした信頼性から、CADなどの設計に使うPCに利用されたり、業務用に選ばれるケースも多いです。

近年目立って増えてきたのが、小中学生のお子さん用にと家族でいらっしゃる方で、フォートナイト用にと相談を受けることが多くなりました。相談を受ける際、4割前後がフォートナイトに関してです。一時期、PCユーザーは年齢層が高くなる一方といった流れになりかけていましたが、こうして若い層がPCの世界に入ってきてくれるのは嬉しいですね。

業務用PCのコーナーが用意されており、法人需要も高いことがうかがえる。

――ゲーミングノートを購入する人からよく聞かれることはありますか。

[アプライド 秋山氏]自分のやりたいことに対して、どれくらいの性能が必要なのか聞かれることが多いですね。アプライドの接客の方針として、ユーザーの方にまず何に使用するのか目的をお聞きして、数年先も安心して使えるように将来のことも考えご案内しています。

PC選びで相談を受ける率自体は高いのですが、それには理由があり、PCに詳しく自分でスペックを決めて選べる方はネット上で購入し、わからない部分や不安な部分がある方が店頭にいらっしゃるといった流れになっているかなと。購入層の住み分けが進んでいる印象ですね。

聞かれることはゲームに関してがやはり一番多いのですが、学校需要も増えており、建築系の学校に入学された方から、使用するCADソフトが快適に使えるか、持ち運びに支障がないかといったことを相談されるケースが増えていますね。学校側がPCのスペックを指定していることもあり、要件に合うスペックのモデルを一緒に探したりといったことも多いですね。

――ゲーミングノートと合わせて購入されることが多い周辺機器などはありますか。

[アプライド 秋山氏]ゲーミングマウスと合わせてという方は多いですね。特にCADで使い人は細かい操作もしやすい高性能なゲーミングマウスを求める人が多いです。他だと光学ドライブといったあたりですね、データの受け渡しなど仕事用にといったニーズだと思います。

法人向けの場合は20万円前後のモデルのニーズが高いとのこと。
個人用のゲーミングノートは15万円前後が人気のようだ。

――今人気なのはどのあたりのモデルになるのでしょうか。

[アプライド 秋山氏]少し前だとGeForce RTX 20シリーズが搭載されている割安なモデルがかなり売れていました。GeForce GTX 1650搭載のモデルもコストパフォーマンスの高さから人気でしたね。

ただ販売するだけだと専門店である意味も薄く、通販と同じになってしまうので、やりたいことに対して最適かどうかしっかり検討させていただき、それからお勧めのモデルをご案内させていただくことをポリシーとしていますが、フォートナイトなどの入門用だと10万円前後のモデル、ゲームをがっつり遊んでコストパフォーマンスも高めとなると15万円前後、業務用などで高性能なモデルとなると20万全前後のモデル、といったあたりに収束することが多いですね。なので、この3つの価格帯のモデルが良く売れているといえます。

PCは予算もお聞きして選ぶのですが、ゲーミングPCの価格帯は認知されだしているようで、極端な予算の方は少ないですね。また、代金分割支払い時の金利0%キャンペーンを実施しているのですが、こちらを利用する方は当初予算より一段上のモデルを選ばれたりする場合もありますね。

カクつきのない快適なPCとして、店頭ではMSIのノートPCがお勧めされている。

――MSI製モデルはどのあたりが人気に繋がっていると思いますか。

[アプライド 秋山氏]PCパーツなどに詳しい方は品質面ですね、MSIのゲーミングノートは高リフレッシュレート対応の液晶パネルを搭載しているモデルが増えているので、そうした部分をポイントに選ぶ人も増えています。

また、Youtubeで紹介されているのを見て興味を持って店頭に来られる方もいらっしゃるので、ストリーマーの影響力を感じることもありますね。お子さんが動画の紹介を見つけてといった話もよく聞きますね。

MSIのゲーミングノートは価格と性能のバランスも良いですし、扱いやすさの面でも良いモデルだと思いますね。

即納のゲーミングノートも多く並べられていた。

――これからゲーミングPCを選ぶ人へ一言お願いします。

[アプライド 秋山氏]ゲーミングの相談はもちろん、そのほかの用途でも何かありましたら店頭へお越しいただければと思います。自社工場が近いこともあり、博多店であればさまざまなニーズに合わせたPCもご提案可能ですし、通常のショップであれば難しい要望などにも対応できる場合もございます。パーツの取り寄せなどが難しいウルトラハイエンドPCなどの注文も承っております。

ゲーミングモデルからワークステーションまで、PC関連でご相談があれば是非ご連絡ください。納期の面に関しましても可能な限り頑張らせていただけるかと思います。

7年間で7倍の規模になったゲーミングノート市場、現在も拡大傾向今後はより快適と実感できる「体験」が重要、持ち運びのしやすさもポイントに

 今回、MSIとNVIDIAにもゲーミングノート市場がどのようになっているのか聞いてみた。ゲーミングノートはニーズが急拡大しており、当面はこの傾向が継続すると見られているようだ。

MSI ノートPC営業部マーケティング課ゲーミングチーム 係長 阿部史典氏
NVIDIA コンシューマ ノートブックグループ 部長 森井信吉氏

――ゲーミングノートの市場はどのくらい拡大しているのでしょうか。

[MSI 阿部氏]国内では、2018~2020年までだいたい毎年2倍のペースで成長しています。MSI自社調べとはなりますが、GeForce RTX搭載ゲーミングノートで見ると、2019年、2020年と連続でBCNのデータ上では国内1位となっており、メーカーとしても手ごたえを感じています。

 2015年の頃はゲーミングと言えばデスクトップPCといった状況でしたが、だいぶ変わってきました。現行のGeForce RTX 30シリーズ搭載モデルであれば、デスクトップPC級の性能を持っており、液晶や入力機器も初めから搭載しているノートは手軽といった点も導入しやすさに一役買っています。

[NVIDIA 森井氏]ゲーミングノートPCは最も急成長しているプラットフォームで、ゲーミングノート向けGPUの出荷規模は過去7年間で7倍に成長しています。日本でもeスポーツ人口が拡大し、それに関連した動画配信など分野も広まっているので、この傾向は今後も続くと推測しています。日本は元々ノートPC市場が大きいので、ゲーミングノートも広まりやすい環境があると考えています。


CPUがVRAM全体に一度にアクセスできるようにする「Resizable BAR」。もともとはノートPC環境での高効率化を狙って採用されたそうだ。

――モバイル向けとデスクトップ向けでGPU設計のコンセプトが異なる部分などはありますか。

[NVIDIA 森井氏]基本的には「究極のゲームプレイが体験できる環境をユーザーに届ける」というコンセプトでGeForceは作られているので、モバイル向けとデスクトップ向けでコンセプトが変わる部分はありません。GPUのグレード、TDPや熱設計の制約などによりCUDAコア数やクロックなど仕様が異なるモデルを投入していますが、GeForce RTX 30シリーズであれば、レイトレーシングによる美しいグラフィックスや、AIを利用したDLSSによる画質とパフォーマンスの高効率化、NVIDIA Reflexによる低遅延環境など、最新のテクノロジーがどのモデルでも利用可能です。

「Resizable BAR」の機能はノートPC環境でのGPUの高効率化なども狙って採用されたため、モバイル向けから対応がはじまりましたが、パフォーマンスも向上するのでデスクトップ向けにもすぐに提供されました。基本的なコンセプトは変わらないものの、GPU動作の高効率化がより意識される点はモバイル向けGPUの特長と言えるかもしれません。


クリエイター向けアプリに最適化している「NVIDIA Studio ドライバ」。アプリ開発会社と協業して対応が進められているという。

――ゲーミングノートはクリエイター用途で使われることも増えていますが、意識している点などはありますか。

[NVIDIA 森井氏]GeForceがクリエイター向けアプリなどで活用されるケースが増えているので、そうした用途に最適化した「NVIDIA Studio ドライバ」を提供しています。NVIDIAとしてはゲーミングと並んでフォーカスしている分野で、アプリ開発会社と協業して最適化をかけたり、ゲームと同じく開発時に協力したりと力を入れています。現在70種類ほどのアプリを対象に、GPUの最新機能を活用できるように活動しています。

MSIは動画制作に向いているmini LED搭載の液晶パネルを備えたモデルもラインナップしている。

[MSI 阿部氏]クリエイター用途の場合、色域なども重要になるので液晶パネル側の高性能化も進めています。mini LED搭載の4Kパネルを備えたノートPCも用意していますし、DCI-P3のカバー率なども意識した製品を投入しています。また、クリエイター用途であれば安定性も重要なので、作業中にパフォーマンスが落ちないようクーラーの性能にも力を入れています。また、ゲーミングノートをゲーム以外の用途で使うユーザーも増えてきているので、ビジネス・ライトクリエイター向けなノートPCシリーズではカラーバリエーションを、上位モデルは高級感を意識したデザインにするなど、一般用途も意識したものになっています。


MSIオリジナルクーラーの「COOLER BOOST」。最新世代はヒートパイプにも改良が加えられている。

――高性能GPUをノートに搭載するうえで難しい部分はどこになるのでしょうか

[MSI 阿部氏]高性能なGPUを搭載する時、発熱をどう処理するかが一番難しい部分になります。クーラーの性能が非常に重要になりますが、合わせて電源周りの設計もうまく行わなくてはいけません。電源周りの設計が良くなければその分効率が落ちて発熱に繋がるので、モデルや搭載するパーツに合わせ、個々に基板も最適化して設計する必要があります。現行モデルはオリジナルクーラーの「Cooler Boost」シリーズを搭載していますが、こちらも筐体や内部の構成に合わせヒートパイプの素材や構成を最適化し、冷却性能を高めています。

こうした部分の最適化は設計の部門と製造工場が両方社内にあるからこそできる強みでもあります。設計だけでは見えてこない部分もノウハウとして蓄積されますし、設計と製造の両部門が社内にあるからこそモデルごとにカスタムが可能な面もあります。設計と製造の両面から製品改良を行えるので、品質を高める点でもアドバンテージになっています。

[NVIDIA 森井氏]NVIDIAからは、高性能GPUを搭載する際の電力の効率化で協力したり、製品に合わせた最適化の協力などをおこなっています。例えば、静音性重視であればそうした動作にGPUの動作が最適なセッティングとなるよう協力したり、消費電力をなるべく減らせるように技術面で協力したりもします。前述の「Resizable BAR」もそうした技術協力の一つです。


FPSゲーム向けに360Hz対応の液晶を搭載したモデルもMSIはラインナップしている。

――高性能GPUが登場したことで、性能をより活用するために意識している部分はありますか

[MSI 阿部氏]GPUの高性能化に伴い、ディスプレイの高解像度化や高リフレッシュレート化を進めています。以前であれば、液晶パネルが高スペックでもPC本体側の性能がそれを活用するのが難しい状態でしたが、現在のモデルであれば十分活用できる性能があります。

4K/120Hz対応のモデルもありますし、WQHD(2,560×1,440ドット)のパネルを採用しているモデルもありますし、これらはGPUやCPUの性能が上がった今だから実用になったといえます。現行モデルであれば360Hz対応の液晶を採用したモデルもラインナップしていますが、GPUの性能が高くなければこうした高速パネルも性能が発揮されませんしね。


――将来的なノートPCはどのような方向で進化していくと予想していますか。

[MSI 阿部氏]ゲーミングノートはここ数年で性能の進化がすさまじく、現在のモデルであればデスクトップPC級といっても過言ではない性能を持っています。ノートPCだからできない、遅いといったことが無くなりつつあります。ただし、「ゲーミングノート」という製品はワンランク上の性能や体験ができると期待する方が多いので、今後もより性能が高いモデルを開発していく方針は変わりません。

また、デザイナーの方などにも使っていただけるようになり、性能だけでなく持ち運びのしやすさやディスプレイの性能なども注目されるようになってきています。こうした部分への対応もより進めていく予定です。具体的なビジョンが見えているわけではないのですが、高性能モデルがどこでも持ち運んで使えるようになると、これまでにない使われ方も出てくるかと思います。MSIとしてはそうした新しいニーズにも対応できるよう、常に新しいトレンドを追いつつ製品を進化させていきたいですね。

[NVIDIA 森井氏]PCの性能は動作するのかしないのかといった部分で判断されることもありますが、今後は動作するのはあたりまえ、「快適に動作するのか」といった体験の部分がより求められる段階に入っていくと考えています。家の中はもちろん、外に持ち出しても使える部分も意識され、「高性能な環境が持ち運べる」といった部分が重要視され、高性能なモデルがより伸びていくのではないでしょうか。

現在のビジネス向けに軽量モデルのように持ち運びやすく、当然性能もこれまでのGeForce搭載モデルのように高性能といった、現在のPCよりももう一段上の快適さが望まれるようになると考えています。NVIDIAとしても、ゲームはより快適に遊べるよう開発をしていきますし、PCメーカーさんとも協業しながらより良いマーケットにしていきたいですね。

――ありがとうございました。

[制作協力:MSI]