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420mmラジエーターでRyzen 9 5950Xもしっかり冷える「CORSAIR iCUE H170i ELITE CAPELLIX」

フルタワーケース「iCUE 7000X RGB」にサイズもピッタリな新型水冷クーラー text by 坂本はじめ

 CORSAIRの「iCUE H170i ELITE CAPELLIX」は、140mmファンを3基も搭載できる420mmサイズの巨大ラジエーターを採用したオールインワン水冷クーラーだ。

 先日レビューで紹介したCORSAIRの新作フルタワーケース「iCUE 7000X RGB」での利用を想定して設計された、巨大ラジエーター搭載オールインワン水冷の実力を確認してみよう。

水冷ヘッドと冷却ファンにアドレッサブルRGB LED搭載140mmファン×3基の420mmラジエーター搭載水冷クーラー

 CORSAIR iCUE H170i ELITE CAPELLIXは、アドレッサブルRGB LEDや交換可能な水冷ヘッドキャップを特徴とする「iCUE ELITE CAPELLIX」の新モデルとして発売された、420mmラジエーター採用オールインワン水冷クーラーだ。140mmファンを3基並べて搭載できるそのラジエーターサイズは、iCUE ELITE CAPELLIXシリーズで最大である。

 対応CPUソケットは、IntelのLGA1200/115x/2011/2066と、AMDのSocket AM4/AM3/AM2/TR4/sTRX4。標準搭載の冷却ファンとして、磁気浮上ベアリングとアドレッサブルRGB LEDを搭載した140mmファン「ML140 RGB」が3基同梱されている。

CORSAIR iCUE H170i ELITE CAPELLIX。420mmラジエーターを搭載したオールインワン水冷クーラーだ。
iCUE ELITE CAPELLIXシリーズ史上最大となる420mmサイズのラジエーター。140mmファンを3基横並びで搭載できる。
水冷ヘッド。最上部のキャップは取り外して交換や方向を変更できる。
水冷ヘッドの交換用キャップ。スリットからLEDの光を通す標準タイプと、開口部の大きいクリアタイプが付属する。
標準キャップ装備時のイルミネーション。
クリアタイプのキャップを装備した時のイルミネーション。
CPUに設置するベース面。銅製のベース面にはサーマルグリスが塗布されている。
水冷ヘッドに接続されているケーブル。制御ユニットである「iCUE Commander CORE」接続用コネクタと、回転数出力用のファンコネクタ(3ピン)。
同梱されている冷却ファン「ML140 RGB」。サイズは140×140×25mmで、ファンスピードは最大2,000rpm。
付属品。IntelとAMDの主要なソケットに対応するリテンションキットのほか、制御ユニットの「iCUE Commander CORE」が同梱されている。

ファンコネクタ×6、LEDコネクタ×6を備える制御ユニットの「iCUE Commander CORE」ユーティリティソフト「iCUE」

 iCUE H170i ELITE CAPELLIXは、同梱の制御ユニット「iCUE Commander CORE」に水冷ヘッドや冷却ファンを接続することで、PC上で動作するユーティリティソフト「iCUE」を通して管理する仕様となっている。

 iCUE Commander COREは、ファンコネクタ×6とRGB LED機器用コネクタ×6基を備えており、接続したファンやLEDストリップをまとめて制御することが可能だ。iCUE H170i ELITE CAPELLIXは3基のRGB LED搭載ファンを備えているので、残り3基分、好みのファンやLED機器などを接続できる。

iCUE Commander CORE。水冷ヘッドの専用端子のほか、ファンコネクタ(4ピン)とRGB LEDコネクタを各6基ずつ備えており、接続したデバイスを「iCUE」経由で制御できる。
iCUE Commander COREに接続されているケーブル。電源供給用のSATA電源コネクタと、通信用のUSB 2.0ヘッダーだ。

 iCUEでは、iCUE H170i ELITE CAPELLIX各部のステータス情報をモニタリングできるほか、冷却ファンやLEDイルミネーションのカラーコントロールや、ファームウェアのアップデートなど、iCUE H170i ELITE CAPELLIXが備える全ての機能にアクセスできる。また、他のiCUE対応デバイスとの間でLEDの同期制御を行うことも可能だ。

CORSAIRのユーティリティソフト「iCUE」。冷却ファンやポンプ、RGB LEDなど、クーラーの全ての機能を管理できる。
接続機器のステータスなども可能なほか、iCUE対応の他のCORSAIR製品との連動などもここから設定できる。

選ばれしケースのみが搭載できる420mmラジエーターCORSAIR製ケースでは新モデルの「7000系」と「1000D」でのみ利用可能

 420mmという巨大ラジエーターを採用するiCUE H170i ELITE CAPELLIXは、どんなPCケースでも利用できるという訳ではない。

 iCUE H170i ELITE CAPELLIXを搭載するには、最低限140mmファンを3基ならべて搭載できるファンステイが必要であり、CORSAIR製のPCケースでは先日紹介した「iCUE 7000X RGB」を含む「7000シリーズ」と、スーパータワーケースこと「Obsidian Series 1000D」のみがiCUE H170i ELITE CAPELLIXを搭載することができる。

 特に、着脱可能なファンステイを備える7000シリーズとの相性は非常によく、ケースのトップまたはフロントのファンステイに420mmラジエーターを取り付ければ、簡単に組み込むことができる。

CORSAIRの新作フルタワーケース「iCUE 7000X RGB」。iCUE H170i ELITE CAPELLIXをトップとフロントの2か所に取り付けることができる。
iCUE 7000X RGBのファンステイ(トップ)に取り付けたラジエーター。ここに取り付けるために設計されたことが一目で分かるほどのぴったり具合だ。

16コアのRyzen 9 5950Xがしっかり冷える420mmラジエータの冷却性能CPUベンチマーク中の温度推移をチェック

現行Ryzen最上位の16コアモデルRyzen 9 5950Xを使用し、iCUE H170i ELITE CAPELLIXの冷却性能を確認。

 ここからは、420mmの巨大ラジエーターを搭載したiCUE H170i ELITE CAPELLIXの冷却性能をチェックしてみよう。

 今回は、CORSAIRの新作フルタワーケースiCUE 7000X RGBに、メインストリーム向け最強の16コア32スレッドCPU「Ryzen 9 5950X」とRadeon RX 6800 XTを組み込んだハイスペックマシンを用意。この環境で、Ryzen 9 5950Xの冷却にiCUE H170i ELITE CAPELLIXを利用した場合の冷却具合を確認する。

 テスト時の室温は約26℃で、iCUE H170i ELITE CAPELLIXをはじめとする冷却ユニットの制御は「安定」に設定。CPUに高負荷をかける「CINEBENCH R23」のMulti Coreテストを最低実行時間10分で実行し、CPU温度やiCUE H170i ELITE CAPELLIXのステータスなどをHWiNFO64 Pro v7.06とiCUEのモニタリング機能で計測した。

 ベンチマーク中に取得したモニタリングデータに基づいて、ベンチマーク中のCPU温度と、各種ステータスの推移グラフを作成した。

 ベンチマーク中の最大CPU温度は64.4℃で、平均CPU温度は59.3℃。Ryzen 9 5950Xのサーマルスロットリングが作動する温度は90℃なので、かなり余裕のあるCPU温度であるといえる。

 テスト中、CPUは3.8GHz前後のCPUクロックで動作しており、iCUE H170i ELITE CAPELLIXのポンプは約2,500rpm、冷却ファンは最大で約1,400rpmで動作していた。冷却ファンの最大スピードが2,000rpmであることを考えると、かなり余裕のある状態でRyzen 9 5950Xの発熱を処理できているようだ。

フルタワーケースの収容能力を最大限に活用できる420mmラジエーターiCUE 7000X RGBとあわせて検討したい巨大オールインワン水冷

 420mmという巨大なラジエーターを採用したiCUE H170i ELITE CAPELLIXは、フルタワーケースの収容能力を最大限に活用できる美しいイルミネーションも魅力のオールインワン水冷クーラーだ。

 新作フルタワーケースであるiCUE 7000X RGBとの相性も抜群で、見た目も楽しめるハイエンドPCの自作を狙っているなら、iCUE 7000X RGBとiCUE H170i ELITE CAPELLIXというベストな組み合わせを見逃す手はない。CORSAIRのケースとクーラーを組み合わせで、上質なPCの自作にチャレンジしてはいかがだろうか。

[制作協力:CORSAIR]