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魅せても冷やしてもOK!420mm水冷対応CORSAIR製フルタワーケース「iCUE 7000X RGB」

水冷やファンは取り付けやすく、ケーブルも収納しやすい構造に text by 坂本はじめ

CORSAIR iCUE 7000X RGB

 今回は、420mmや480mmの大型ラジエーターを搭載可能なCORSAIRの新作フルタワーケース「iCUE 7000X RGB」を紹介する。

 iCUE 7000X RGBは、超大型ラジエーターを搭載できるフルタワーケースならではの収容能力に加え、モジュラー化によって作業性やカスタマイズ性を高めた内装や、3面強化ガラスパネル仕様でRGBイルミネーションの映えるデザインを採用した、モダンな設計のフルタワーケースだ。

 今回のレビューでは、iCUE 7000X RGBの外観や機能の紹介に加え、ハイスペックなPCパーツを使った組み立て例も紹介する。こだわりの一台を組みたいと考えているなら、iCUE 7000X RGBの出来をぜひチェックしてもらいたい。

420mm水冷も搭載可能フルタワー型の「CORSAIR iCUE 7000X RGB」カラーはホワイトとブラックの2色

iCUE 7000X RGBのホワイトモデル(CC-9011227-WW)

 CORSAIR iCUE 7000X RGBは、3面に強化ガラスパネルを採用したCORSAIRの新作フルタワーケース。本体サイズは248×600×550mm(幅×高さ×奥行)で、搭載可能なマザーボードのフォームファクターはE-ATX、ATX、microATX、Mini-ITX。

 iCUE 7000X RGBには、ホワイト(CC-9011227-WW)とブラック(CC-9011226-WW)、2色のカラーバリエーションが用意されている。どちらのカラーも機能や強化ガラスパネルの枚数に違いはないので、組み合わせるパーツや自分の好みで選ぶと良いだろう。なお、今回紹介するのはホワイトモデルの方だ。

前面。強化ガラスパネルを採用している。
背面。
左側面。強化ガラスパネルを採用しており、ほぼ全面が開口部となっている。
右側面。金属パネルを採用しており、フロント側に通気口が設けられている。
天板部。強化ガラスパネルが配置されているが、ガラスの両サイドに通気用のスペースが設けられている。
天板のガラスパネルはツールフリーで着脱可能。

USBはType-C×1 + Type-A×4構成のフロントパネルインターフェイス

iCUE 7000X RGBのフロントパネルインターフェイス。

 iCUE 7000X RGBは、ケース天板のフロント側にフロントパネルインターフェイスが配置されている。搭載インターフェイスは、USB 3.0 Type-A(4基)、USB 3.1 Type-C(1基)、音声入力、音声出力、電源スイッチ、リセットスイッチ。

 フロントパネルインターフェイス用の内蔵コネクタは以下の通り。

USB 3.1 Type-C。
USB 3.0 Type-A(2系統)。
音声入出力(HD Audio)。
電源スイッチ、リセットスイッチ、電源インジケーターLED。

ツールフリーで開閉可能なサイドパネル

 iCUE 7000X RGBのサイドパネルは、左右両方ともツールフリーで開閉可能なドアタイプとなっており、ケース背面側のヒンジを軸に開閉できる。サイドパネルは約180度まで大きく開くので、清掃などのメンテナンス作業時にケース内部へ容易にアクセスできる。

 また、ヒンジ上部のねじを外せば、サイドパネル自体を取り外すことも可能だ。PCの組み立て作業時などには、サイドパネルを取り外すことで作業性を高めることができる。

両サイドのパネルはドアタイプとなっており、簡単に開閉可能。
ヒンジ上部のねじを外せば、サイドパネルを取り外すことができる。
取り外した左側面の強化ガラスパネル。強化ガラスパネルは重量があるので、取り外すことで作業性を高めることができる。
右側面の金属製サイドパネルも同じように取り外すことができる。

モジュラー化で水冷ラジエーターやファンが取り付けやすい構造に内部構成をチェック

 ここからは、iCUE 7000X RGBの内装をチェックしていこう。ケースの左側面内部は、マザーボードなどの主要なパーツを配置するスペースだ。ホワイトモデルは内部まで白く塗装されており、フロント側にはケーブルカバー、底面部には電源ユニット周りを覆うカバーが配置されている。

 これらのカバーはゴチャゴチャしやすいケーブルを隠せるだけでなく、一部を取り外したり交換することによって、フロント側に搭載可能な冷却ファン数やラジエーターサイズを変更できる。

サイドパネルを取り外した左側面。
底面部には電源ユニット周りを覆い隠すカバーが配置されている。背面側にはガラスパネル製の「のぞき窓」が設けられており、電源ユニットを魅せる仕様となっている。
フロント側のケーブルカバーと、電源ユニットカバーの前端部。これらは着脱可能で、フロントや前側面に搭載できる冷却ファン数やラジエーターのサイズを変更できる。
ケーブルカバーを外し、電源ユニットカバーの前端部をオプションパーツに変更した状態。フロントとフロントサイドのファンステイをフル活用できる。

 背面側には拡張スロットが用意されており、標準では通常配置の8スロットと縦置き用の3スロットという構成なのだが、交換用パーツを用いることで、通常配置の下6スロットを縦置き用の4スロットに変更できる。ライザーケーブルを用いれば、ビデオカードや拡張カードを魅せる配置で取り付け可能だ。

拡張スロット。標準では、8スロットの通常スロットと、3スロットの縦置き用スロットが利用できる。
拡張スロットを同梱のオプションパーツに交換した状態。通常スロットの下6段を、4スロットの縦置き用スロットに変更できる。

 右側面には配線スペースが設けられている他、3.5インチや2.5インチサイズのストレージデバイスを搭載するスペースにもなっている。

 マザーボード搭載スペースの裏側に位置する配線スペースは、金属製の内扉で覆われている。サイドパネル同様、内扉は背面側に配置されたヒンジを軸に開閉可能で、上方向に引き抜くことで取り外すこともできる。iCUE 7000X RGBの右側は、内装の見えない金属製のサイドパネルを採用しているため、内扉によってケーブルを隠すことに視覚的な意味はないが、ケーブルがサイドパネルに挟まれたり、ホコリが蓄積するのを防ぐ効果が期待できる。

サイドパネルを取り外した右側面。
配線スペースは、背面部のヒンジを軸に開閉できる金属製の内扉で覆われている。
内扉は上方向に引き抜くことで簡単に取り外すことができる。
内扉に覆われていた配線スペース。ファン&LEDコントローラの「COMMANDER CORE XT」や、2.5インチドライブ専用スロットなどが配置されている。

3.5/2.5インチ兼用×8ベイ+2.5インチ×3ベイを搭載、最大11台のストレージに対応

 iCUE 7000X RGBは、標準で11スロットのストレージベイを備えている。その内訳は、4個の2.5/3.5インチドライブ両対応トレイを備える「HDDケージ」×2基と、2.5インチドライブ専用トレイ×3個で、合計11スロットだ。

 HDDケージはモジュラー化されており、筐体から取り外せるほか、HDDケージ同士をスタックすることもできる。標準では右側面の底面に横並びで配置されているが、フロント側に2段重ねにスタックして使用することもできる。

3.5/2.5ドライブ両対応トレイを備えるHDDケージ。ひとつのHDDケージは4つのトレイを備えている。
3.5/2.5ドライブ両対応トレイ。2.5インチドライブを搭載するにはねじ止めが必要だが、3.5インチドライブはツールフリーで搭載できる。
HDDケージは筐体から着脱可能。標準では右側面の底部に横並びで配置されている。
ケース左側面内部のカバーを取り外せば、HDDケージ同士をスタックして取り付けることもできる。

 2.5インチドライブ専用トレイは、標準ではケース右側面側に横並びで配置されている。このトレイは、ケース左側面側の電源ユニットカバー部に配置することも可能だ。

ケース右側面の内扉内(配線スペース)に配置されている2.5インチドライブ専用トレイ(3基)。
2.5インチドライブ専用トレイは、ケース左側面の電源カバー上にも取り付け可能。

モジュラー化によりファンやラジエーターを取り付けやすい冷却システム

 iCUE 7000X RGBは、フロント、トップ、リア、フロントサイドにファンステイが配置されている。これらのファンステイのうち、シャーシと一体化しているのはリアのみで、他のファンステイは全てシャーシから取り外せるようモジュラー化されている。

 フロントのファンステイは、120mmファンを4基、140mmファンを3基搭載できる仕様となっており、480mm(120mm×4)や420mm(140mm×3)のラジエーターを搭載できる。ファンステイには、ケース前面のガラスパネルとダストフィルターを取り外すことでアクセスすることが可能で、固定ねじを外せば前面側からファンステイを抜き取ることができる。なお、フロントには140mmファン「iCUE SP140 RGB ELITE」が3基、標準搭載されている。

フロントのファンステイ。標準で3基の140mmファンが搭載されている。
ファンステイはケース前面から着脱可能。搭載可能なファン数は120mm×4基、または140mm×3基。
フロントのダストフィルター。樹脂フレームに埋め込まれたマグネットでシャーシに固定する。
標準搭載の冷却ファンは「iCUE SP140 RGB ELITE」のホワイトモデル。アドレッサブルRGB LEDイルミネーションに対応している。

 トップのファンステイは、120mmファンを3基、140mmファンを3基搭載できる仕様となっており、360mm(120mm×3)や420mm(140mm×3)のラジエーターを搭載できる。ファンステイにはケース天板のガラスパネルを取り外すことでアクセス可能で、2箇所のねじを外せば天板側からファンステイを抜き取ることができる。

ガラスパネルを取り外した天板。マグネット固定のダストフィルターを装備したファンステイが見えている。
トップのファンステイ。120mmファンまたは140mmファンを3基搭載できる。

 リアのファンステイは、120mmまたは140mmファンを1基搭載可能で、搭載可能なラジエーターサイズも120mmまたは140mm。先述の通り、リアのファンステイはシャーシ一体型となっており、ダストフィルターも用意されていない。多くのタワー型ケースがそうであるように、リアに関しては排気ファンの取り付けを想定した設計である。なお、リアには標準で1基の140mmファン(iCUE SP140 RGB ELITE)が搭載されている。

リアのファンステイ。120mmまたは140mmの冷却ファンやラジエーターを搭載可能。
標準で140mmファンのiCUE SP140 RGB ELITEが搭載されている。

 フロントサイドに位置し、CORSAIRの説明書では「マザーボードトレイ」とされるファンステイは、120mmファンを4基搭載できるほか、480mmのラジエーターを搭載できる。ただ、このポジションにはケーブルカバーが被っているため、有効に活用するにはケーブルカバーを取り外す必要がある。

 フロントサイドのファンステイには、ケース右側面のサイドパネルを開けばアクセス可能で、固定ねじを外せばシャーシから取り外すことができる。なお、ダストフィルターはサイドパネルの通気口にマグネットで固定されている。

フロントサイドのファンステイ。120mmファンを4基搭載できる。
フロントサイドのダストフィルターは、サイドパネルの通気口部分にマグネットで固定されている。

 多数のファンやラジエーターを搭載可能で、標準でも4基のRGB LEDイルミネーション対応冷却ファンを搭載するiCUE 7000X RGBには、統合ユーティリティ「iCUE」に対応するファン&LEDコントローラの「COMMANDER CORE XT」や、6ポートの冷却ファンハブを装備している。

ファン&LEDコントローラの「COMMANDER CORE XT」。4ピンPWMファンヘッダー(6基)、4ピンRGBヘッダー(6基)、3ピンRGBヘッダー(1基)、温度センサー(2基)を備える。
COMMANDER CORE XTの利用には、USB 2.0ヘッダーによるマザーボードとの接続と、SATA電源コネクタからの給電が必要。
冷却ファンハブ。4ピンPWMファンヘッダーを6基備えている。
ファンハブは、SATA電源コネクタからの電力と、ファンコネクタ(4ピン)からのPWM信号を分配する。

420mmラジエーターの水冷クーラーを使い、ツートンカラーのハイスペックPCを組んでみた

 ここからは、iCUE 7000X RGBを使って組み立てたPCの例を紹介していこう。今回の組み立てでは、CORSAIRがiCUE 7000X RGBとの組み合わせを想定して新設計したオールインワン水冷クーラー「iCUE H170i ELITE CAPELLIX」を使用した。

iCUE 7000X RGB向けに設計された420mmラジエーター採用オールインワン水冷「iCUE H170i ELITE CAPELLIX」。

 このクーラーは140mmファン3基を標準搭載する420mmラジエーターを採用しており、日本でも近日発売される予定となっている。iCUE 7000X RGBでの自作を考えているなら、ぜひ導入を検討したいCPUクーラーといえるだろう。今回のレビューでは搭載した際の様子の紹介のみとなるが、近日性能の検証を行いレビューをお届けする予定だ。

 その他のパーツについては、以下の表のとおり。iCUEでの管理に対応したCORSAIR製品を多く使用しているのが特徴だ。

 実際に組み立てたPCを撮影したものが以下の写真だ。LEDイルミネーションに対応した機器を多数搭載している今回のような構成では、一般的な電源ケーブルと信号ケーブルにくわえ、RGB LED制御用ケーブルの配線もしなくてはならないのでケーブリングが煩雑になるのだが、iCUE 7000X RGBではマザーボードの背面側となる右側面に配線スペースを設けており、ガラスパネル側の左側面にも配線を隠すためのカバーを装備しているので、スマートな印象を受けるPCに組みあがった。

 今回のために用意した420mm水冷のiCUE H170i ELITE CAPELLIXは、トップのファンステイに固定したのだが、iCUE 7000X RGBでの利用を想定して設計されているだけあって、トップパネルにぴったり収まるサイズだった。大型ラジエーターの取り付けは大変な作業になる場合も多いが、iCUE 7000X RGBならファンステイをシャーシから外した状態で水冷クーラーを取り付けられるため、作業性も良好だった。

iCUE対応CORSAIR製品で固めれば、イルミネーションやファン制御を一括で管理可能

 今回使用したCORSAIR製パーツのうち、ケース(ケースファン)、CPUクーラー、メモリについては、CORSAIRのユーティリティソフト「iCUE」に対応している。

 iCUEでは、LEDイルミネーションのコントロールの他、冷却ファンや水冷ポンプの制御、動作温度や回転速度などのモニタリング機能、対応機器のファームウェアアップデートなどが可能だ。

CORSAIRの統合ユーティリティ「iCUE」。
LEDイルミネーションからファン制御、接続機器のファームウェア更新まで、多くの機器の機能を一括管理できる。
水冷クーラーの動作モードなども「iCUE」から設定できる。
ファン回転数の設定や温度などのモニタリングなども行える。

 RGB LED搭載製品と言えば、レインボーカラーで派手に輝いている印象が強いが、iCUEを使って発光色をコントロールすれば、単色LEDでは手に入らないような色を作り出すこともできる。LED搭載パーツをiCUE対応製品で固めれば、高度な連携発光も可能なので、iCUE 7000X RGBの購入を検討しているユーザーは、パーツ選びのさいにiCUEの存在を意識しておくと良いだろう。

RGB LEDは、好みの色やパターンで発光させることができるのも魅だ力。ケースの外装や内蔵パーツと相性のいい色や、好みのパターンで発光させてみよう。

ビジュアルと性能を兼ね備えたPCを自作できるフルタワーケース「iCUE 7000X RGB」

 CORSAIRの新作フルタワーケース「iCUE 7000X RGB」は、見た目を楽しめる「魅せる自作」への適正が高いPCケースであり、多くのコンポーネントがモジュラー化されたことで、組み立て時の作業性にも優れている。ハイスペックなCPUを使った自作PCを考えているユーザーにとっては、420mm水冷であるiCUE H170i ELITE CAPELLIXの存在も、iCUE 7000X RGBを選ぶ理由となる。

 今回試したiCUE 7000X RGBのホワイトモデルは、白を基調とした塗装のクオリティも高く、白系のPCを組みたいと考えているユーザーにとっても魅力的だ。ビジュアルと性能を兼ね備えたPCの自作を考えているユーザーにとって、フルタワーケースを置ける場所を確保できるなら、iCUE 7000X RGBは有力な選択肢となるだろう。

 なお、今回使用した420mmラジエーター水冷クーラーの「iCUE H170i ELITE CAPELLIX」は近日レビューをお届けする予定なので、公開時は併せてチェックしてもらいたい。

[制作協力:CORSAIR]