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「ThinkPad X1 Carbon(2018)」を1TB NVMe SSDに換装、容量/速度アップでWindows 11移行も視野に
SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 佐藤岳大
2022年3月14日 00:00
今回SSD換装の事例として紹介するのは、第8世代Coreプロセッサーを搭載するLenovo「ThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)」だ。
ThinkPad X1 Carbonシリーズとしては6代目にあたる製品で、14インチながら薄型で持ち運びに適したデザインが特徴だ。用意したのはCore i5/8GBメモリ/NVMe SSD 256GB仕様のモデルで、これを1TBのNVMe SSDへ換装し、大容量化と高速化を狙う。
換装の手順と合わせ、換装の前後でどれだけの変化があるのかを紹介しよう。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
ビジネスモバイルノート「ThinkPad X1 Carbon」のSSDをアップグレード
今回使用するThinkPad X1 Carbonは、2018年に発売されたモデル。第8世代のモバイルCoreプロセッサ(Kaby Lake-R)を搭載し、約1.13kgの重量と堅牢性を両立したモバイルノートPCだ。
中古品として入手しているので、新品の時から若干の変更があるかもしれないが、CPUに4コア8スレッドのCore i5-8350U(ベース1.7GHz/ブースト時3.6GHz)、メモリにDDR4-2133 8GB、ストレージにNVMe SSD 256GBを備えるモデルで、ディスプレイは14インチ/1,920×1,080ドット。
そのほか、Thunderbolt3を2ポート備え、IEEE 802.11ac無線LAN/Bluetooth、Webカメラなどの機能も搭載している。OSはWindows 10 Pro 64bit。
ThinkPad X1 Carbon () | |
---|---|
CPU | Core i5-8350U(4コア/1.7GHz/ブースト時3.6GHz) |
メモリ | DDR4-2133 8GB |
ストレージ | NVMe(PCIe 3.0 x4) 256GB |
GPU | Intel UHD Graphics 620 |
ディスプレイ | 14インチ/1,920×1,080ドット |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
搭載されていたのはNVMe接続の256GB M.2 SSD「Intel SSDPEKKF256G8L」
ThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)に搭載されていたSSDだが、今回の個体にはIntel SSDPEKKF256G8Lが装着されていた。PCI 3.0 x4接続のNVMe SSDで、容量は256GB。
換装に使うのは1TB/NVMeのSamsung SSD 980
今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 980の1TBモデル「MZ-V8V1T0B/IT」。最大速度リード3,500MB/s・ライト3,000MB/sのNVMe接続モデルで、インターフェイスはPCIe 3.0 x4レーン。
Samsung SSD 980は250GB~1TBまでの3製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
ノートPCでM.2 SATA SSDからM.2 NVMe SSDへ換装を行う際に相性が出ることがある。このため、SSD換装の際には事前に下調べを行い、動作実績のあるモデルから選ぶことをお勧めしたい。
また、ノートPC側のM.2スロットは製品により仕様が異なり、大きく分けると、SATAのみ対応、SATAとNVMe両対応、NVMeのみ対応といった3パターンが存在する。SATA SSDからNVMe SSDに換装する場合、ノートPC側がSATA/NVMe両対応である必要があるので注意しよう。
このほか、ノートPC側のM.2スロットはモデルによりPCI Expressのレーン数や世代が異なり、モデルによってはSSDの公称値通りの性能が出ないケースもある。これは故障では無いので覚えておこう。
古いSSDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介
ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。
NVMe SSD用の外付けケースは税込4千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。
換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう
PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。
今回使用しているSSD外付けケースはAOTECHのAOK-M2NVME-U31G2。NVMe SSDに対応したUSB 3.2 Gen2接続のケースで、SSDの取り付けも比較的簡単だ。
M.2 SSD用の外付ケースは、NVMeのみに対応したモデル、SATAのみに対応したモデル、NVMe/SATA両対応のモデルがある。購入時には使用するSSDに合わせ対応したモデルを購入しよう。
データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単
今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。
Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。
USB接続の外付けケースを用いたSSD換装の注意点になるが、先述のBitLockerの使用の有無に加え、移行ソフトとの相性などによりデータのコピーが正常に行えないときがある。そうした際は、大概外付けケース側のUSBコントローラとの相性に問題がある可能性が高いので、ケースを替えるか、デスクトップPC上でデータのコピーを行うなどテストしてみてもらいたい。
「Samsung Data Migration 4.0」を利用した際の外付けケースとの相性に関しては別記事で紹介しているので、そちらも参照してもらいたい。
分解工具はプラスドライバーのみ、ThinkPad X1 Carbonの分解難易度は低め
ここからはThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)の分解になるが、工具は通常のプラスドライバーのみで問題ない。事前に準備しておこう。
SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意。機器の破損や故障を防ぐため、誤って休止などの状態で分解しないように気を付けてほしい。それではThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)の分解作業に入ろう。本機の場合、分解作業は背面パネルを固定しているネジを外すだけだ。
パネルを開けるとM.2スロットに直接アクセスでき、SSDの換装は簡単に行える。なお、SSDはスロットに挿してからネジで固定するタイプだ。交換の際にはスロットにSSDがしっかりと刺さっていることを確認しよう。
冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。
保証が切れている使い込んだノートPCなどであれば、SSDの換装は投資に見合った効果が得られやすいので、PCを買い換える前に試してみる価値はある。
大容量SSDへの換装で空き容量は約4倍、最新世代へ換装で速度も最大約5倍に快適に使えるノートPCへリフレッシュ
実際にSSD換装を行い得られたメリットも紹介しておこう。今回は容量と速度の2点を紹介する。
1TB SSDで空き容量は一気に拡大、より扱いやすいPCに
まずは容量の面だが、ThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)には256GBのSSDが搭載されており、回復領域などを除いたシステム上から見た容量は約237GBだ。
空き容量は約201GBに限られ、少々心もとない。容量の大きいアプリケーションなどをインストールすると空きが無くなってしまうのはもちろん、使い方によってはWindowsの大型アップデートなどに際してこまめにファイルを削除する必要もあるだろう。
これが1TB SSDへ換装すると空き容量は約4倍となり、使い勝手の良さもかなり向上する。音楽や写真などのライブラリを構築したり、多数の仕事のファイルを置きっぱなしにしてもかなりのゆとりがあり、空き容量を気にしながら使うシーンがほぼなくなる。また、Windows 11へのアップグレードなども考えているのであれば、空き容量があるに超したことはないので、なるべく大容量のSSDを使いたいところだ。
SSD換装で速度は全体的に向上、外付けSSDからのデータ転送も5倍近く高速化
速度の方は、NVMe SSD同士の換装であるもののSSDの世代が異なるため、Crystal Disk Markの実行結果からも見て分かる通り、大幅に速度が向上している。とくにシーケンシャルライトの差は圧倒的だ。
接続もPCIe 3.0 x4となっており、ThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)はSamsung SSD 980の速度をしっかり引き出せていると言える。
ベンチマーク結果で大幅に速度が向上しているのはもちろん、外付けドライブとのデータの転送も換装の前後で大きく変化している。
Thunderbolt 3接続のポータブルSSD「Samsung Portable SSD X5 (1TBモデル)」に50GBのデータファイル(Windows 10のfsutilコマンドで作成/実体化)を用意し、これを内蔵ストレージへ書き込みする際の速度や時間を計測してみた。
換装前のIntel SSDPEKKF256G8Lに50GBのファイルを転送するのに3分30秒かかったのに対し、換装後のSamsung SSD 980 1TBへ転送する時間は44秒だった。転送時の速度も換装前のIntel SSDPEKKF256G8Lが290MB/s前後だったのに対し、換装後のSSD 980 1TBは1.1GB/sほどと大きな差がみられる。
ここまでの差があると体感でもかなり速いと感じることができるので、Thunderbolt 3やUSB 3.2 Gen2x2接続などの高速な外付けSSDを使用するユーザーには、換装の効果は絶大と言えるだろう。
Windwos 11への対応もOK
ちなみに、今回使用しているThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)はメーカーサポートでWindows 11動作検証済みのため、Windows 11をインストールすることも可能だ。高速SSDへアップグレードを行っているので、Windows 11へOSをアップグレードした際も快適に使えるだろう。
利用しているPCがWindows 11へ対応しているかは、Windows 11の公式サイトで公開されている「PC 正常性チェック アプリ」やメーカーサポートページから確認しよう。
ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。
今回とりあげたThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)は、ストレージにゆとりがあればまだまだ使える性能をもったモデルだ。4コア/8スレッドの十分な性能と軽量設計による持ち運びの容易さで、ビジネス用途に最適だ。
本モデルのように、Windows 11へのアップグレードに対応したモデルであれば、将来的にも長く使えるため、SSD換装の意義も大きいだろう。
PCを買い換えるほどではないといった場合や、予算を抑えて環境を快適にしたいというユーザーは、ノートPCのSSD換装もPCを快適にする選択肢の一つとして考えてみてはいかがだろうか。
[制作協力:Samsung]