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「ThinkPad X1 Carbon(2018)」を1TB NVMe SSDに換装、容量/速度アップでWindows 11移行も視野に

SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 佐藤岳大

 今回SSD換装の事例として紹介するのは、第8世代Coreプロセッサーを搭載するLenovo「ThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)」だ。

 ThinkPad X1 Carbonシリーズとしては6代目にあたる製品で、14インチながら薄型で持ち運びに適したデザインが特徴だ。用意したのはCore i5/8GBメモリ/NVMe SSD 256GB仕様のモデルで、これを1TBのNVMe SSDへ換装し、大容量化と高速化を狙う。

 換装の手順と合わせ、換装の前後でどれだけの変化があるのかを紹介しよう。

※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。

ビジネスモバイルノート「ThinkPad X1 Carbon」のSSDをアップグレード

 今回使用するThinkPad X1 Carbonは、2018年に発売された型番「」のモデル。第8世代のモバイルCoreプロセッサ(Kaby Lake-R)を搭載し、約1.13kgの重量と堅牢性を両立したモバイルノートPCだ。

 中古品として入手しているので、新品の時から若干の変更があるかもしれないが、CPUに4コア8スレッドのCore i5-8350U(ベース1.7GHz/ブースト時3.6GHz)、メモリにDDR4-2133 8GB、ストレージにNVMe SSD 256GBを備えるモデルで、ディスプレイは14インチ/1,920×1,080ドット。

 そのほか、Thunderbolt3を2ポート備え、IEEE 802.11ac無線LAN/Bluetooth、Webカメラなどの機能も搭載している。OSはWindows 10 Pro 64bit。

ThinkPad X1 Carbon ()
CPUCore i5-8350U(4コア/1.7GHz/ブースト時3.6GHz)
メモリDDR4-2133 8GB
ストレージNVMe(PCIe 3.0 x4) 256GB
GPUIntel UHD Graphics 620
ディスプレイ14インチ/1,920×1,080ドット
OSWindows 10 Pro 64bit

搭載されていたのはNVMe接続の256GB M.2 SSD「Intel SSDPEKKF256G8L」

 ThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)に搭載されていたSSDだが、今回の個体にはIntel SSDPEKKF256G8Lが装着されていた。PCI 3.0 x4接続のNVMe SSDで、容量は256GB。

PCに搭載されていたIntel SSDPEKKF256G8L。
CrystalDiskInfoによるステータス。PCI 3.0 x4対応。

換装に使うのは1TB/NVMeのSamsung SSD 980

 今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 980の1TBモデル「MZ-V8V1T0B/IT」。最大速度リード3,500MB/s・ライト3,000MB/sのNVMe接続モデルで、インターフェイスはPCIe 3.0 x4レーン。

Samsung SSD 980 1TB(MZ-V8V1T0B/IT)。
CrystalDiskInfoによるステータス。

 Samsung SSD 980は250GB~1TBまでの3製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。

●注意点その1

 ノートPCでM.2 SATA SSDからM.2 NVMe SSDへ換装を行う際に相性が出ることがある。このため、SSD換装の際には事前に下調べを行い、動作実績のあるモデルから選ぶことをお勧めしたい。

 また、ノートPC側のM.2スロットは製品により仕様が異なり、大きく分けると、SATAのみ対応、SATAとNVMe両対応、NVMeのみ対応といった3パターンが存在する。SATA SSDからNVMe SSDに換装する場合、ノートPC側がSATA/NVMe両対応である必要があるので注意しよう。

 このほか、ノートPC側のM.2スロットはモデルによりPCI Expressのレーン数や世代が異なり、モデルによってはSSDの公称値通りの性能が出ないケースもある。これは故障では無いので覚えておこう。

●ドライブを暗号化するBitLockerに注意!
「デバイスの暗号化」設定を確認し、データのクローンを行う前に暗号化を解除しよう。Windows Updateで「BitLocker暗号化は完了していないがデータは暗号化されている」状態になっている場合がある。

 今回の換装では不要であったが、Windows Updateの過程でCドライブ領域がBitLockerにより暗号化されている場合がある。そういった場合にはクローン作業の前に暗号化の解除が必要だ。

 パーティションが暗号化されているのかどうかは、Windows設定内の「デバイスの暗号化」から状態で確認できる。暗号化されている場合はデータをクローンする際に解除してから行おう。暗号化されたままではデータのクローンは行えない。

 暗号化を解除すれば、Samsung Data Migrationで正常にクローンを完了できる。

古いSSDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介

 ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。

 NVMe SSD用の外付けケースは税込4千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。

換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう

 PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。

 今回使用しているSSD外付けケースはAOTECHのAOK-M2NVME-U31G2。NVMe SSDに対応したUSB 3.2 Gen2接続のケースで、SSDの取り付けも比較的簡単だ。

●1 SSD外付けケース「AOK-M2NVME-U31G2」と換装するSSDを準備。
●2 SSD外付けケースのネジを外し中の基板を取り出す。
●3 SSDを基板のM.2スロットに装着する。
●4 基板にSSDをネジで固定する。「AOK-M2NVME-U31G2」は裏側からネジで固定する仕組みになっている。
●5 基板にSSDを装着したらケースの中に収納し、ネジでふたを閉める。
●6 PCに接続すれば準備完了。
●注意点その2

 M.2 SSD用の外付ケースは、NVMeのみに対応したモデル、SATAのみに対応したモデル、NVMe/SATA両対応のモデルがある。購入時には使用するSSDに合わせ対応したモデルを購入しよう。

データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単

 今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。

 Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。

●1 Samsung公式サイトのSSDツールとソフトウェアのページから「Samsung Data Migration 4.0」をダウンロードする。
●2 Samsung Data Migrationをセットアップし、起動させる。
●3 画面下側にあるターゲットドライブの項目を指定する。移行先のSSD(今回はSamsung SSD 980 1TB)を選択しよう。
●4 移行先のドライブのデータが全て消去される旨のダイアログが表示されるのでOKを選択。なお、安全にデータ移行を行うため、他のアプリケーションを起動したり、ながら作業をするのはやめよう。
●5 進行状況はプログレスバーで表示される。ちなみに、一時ファイルなどを除いたSamsung Data Migration上の移行前SSD使用容量は31GBだったが、データのコピーは約8分半ほどで終了した。
●6 データのコピーが完了すると自動的にPCはシャットダウンされる。
●注意点その3

 USB接続の外付けケースを用いたSSD換装の注意点になるが、先述のBitLockerの使用の有無に加え、移行ソフトとの相性などによりデータのコピーが正常に行えないときがある。そうした際は、大概外付けケース側のUSBコントローラとの相性に問題がある可能性が高いので、ケースを替えるか、デスクトップPC上でデータのコピーを行うなどテストしてみてもらいたい。

 「Samsung Data Migration 4.0」を利用した際の外付けケースとの相性に関しては別記事で紹介しているので、そちらも参照してもらいたい。

分解工具はプラスドライバーのみ、ThinkPad X1 Carbonの分解難易度は低め

 ここからはThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)の分解になるが、工具は通常のプラスドライバーのみで問題ない。事前に準備しておこう。

 SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意。機器の破損や故障を防ぐため、誤って休止などの状態で分解しないように気を付けてほしい。それではThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)の分解作業に入ろう。本機の場合、分解作業は背面パネルを固定しているネジを外すだけだ。

●1 背面パネル。取り外すネジは5本。
●2 ネジを外す。
●3 パネルを外したところ。
●4 基板中央上にM.2スロットが配置されている。

 パネルを開けるとM.2スロットに直接アクセスでき、SSDの換装は簡単に行える。なお、SSDはスロットに挿してからネジで固定するタイプだ。交換の際にはスロットにSSDがしっかりと刺さっていることを確認しよう。

●5 固定用ネジを取り外しSSDを外す。
●6 裏面に熱伝導シートが貼られていたため、一旦剥がして換装後のSSDに再利用している。
●7 データをコピーした換装用のSSDに挿し替える。
●8 固定用ネジを取り付ける。
●9 装着が済んだら背面パネルを元に戻そう。前方側のツメを合わせパネルをネジ止めする。
●10 換装後のSSDで起動を確認できたら作業は終了だ。

 冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。

 保証が切れている使い込んだノートPCなどであれば、SSDの換装は投資に見合った効果が得られやすいので、PCを買い換える前に試してみる価値はある。

大容量SSDへの換装で空き容量は約4倍、最新世代へ換装で速度も最大約5倍に快適に使えるノートPCへリフレッシュ

 実際にSSD換装を行い得られたメリットも紹介しておこう。今回は容量と速度の2点を紹介する。

1TB SSDで空き容量は一気に拡大、より扱いやすいPCに

 まずは容量の面だが、ThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)には256GBのSSDが搭載されており、回復領域などを除いたシステム上から見た容量は約237GBだ。

 空き容量は約201GBに限られ、少々心もとない。容量の大きいアプリケーションなどをインストールすると空きが無くなってしまうのはもちろん、使い方によってはWindowsの大型アップデートなどに際してこまめにファイルを削除する必要もあるだろう。

 これが1TB SSDへ換装すると空き容量は約4倍となり、使い勝手の良さもかなり向上する。音楽や写真などのライブラリを構築したり、多数の仕事のファイルを置きっぱなしにしてもかなりのゆとりがあり、空き容量を気にしながら使うシーンがほぼなくなる。また、Windows 11へのアップグレードなども考えているのであれば、空き容量があるに超したことはないので、なるべく大容量のSSDを使いたいところだ。

換装前の空き容量は201GBで、Windowsアップデートなども考慮するとゆとりはない容量だ。
換装後の空き容量は約888GBで、大容量ファイルなどを置いても空き容量は十分。多くのデータを入れっぱなしにできるゆとりがある。

SSD換装で速度は全体的に向上、外付けSSDからのデータ転送も5倍近く高速化

 速度の方は、NVMe SSD同士の換装であるもののSSDの世代が異なるため、Crystal Disk Markの実行結果からも見て分かる通り、大幅に速度が向上している。とくにシーケンシャルライトの差は圧倒的だ。

 接続もPCIe 3.0 x4となっており、ThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)はSamsung SSD 980の速度をしっかり引き出せていると言える。

換装前の256GB SSD「Intel SSDPEKKF256G8L」のCrystal Disk Mark 8.0.4測定結果
換装後のSamsung SSD 980 1TB(MZ-V7S1T0B/IT)のCrystal Disk Mark 8.0.4測定結果
Thunderbolt 3接続時にリード最大2,800MB/sを謳う「Samsung Portable SSD X5」を使い、データ転送の速度をSSD換装の前後で比較してみた。

 ベンチマーク結果で大幅に速度が向上しているのはもちろん、外付けドライブとのデータの転送も換装の前後で大きく変化している。

 Thunderbolt 3接続のポータブルSSD「Samsung Portable SSD X5 (1TBモデル)」に50GBのデータファイル(Windows 10のfsutilコマンドで作成/実体化)を用意し、これを内蔵ストレージへ書き込みする際の速度や時間を計測してみた。

 換装前のIntel SSDPEKKF256G8Lに50GBのファイルを転送するのに3分30秒かかったのに対し、換装後のSamsung SSD 980 1TBへ転送する時間は44秒だった。転送時の速度も換装前のIntel SSDPEKKF256G8Lが290MB/s前後だったのに対し、換装後のSSD 980 1TBは1.1GB/sほどと大きな差がみられる。

 ここまでの差があると体感でもかなり速いと感じることができるので、Thunderbolt 3やUSB 3.2 Gen2x2接続などの高速な外付けSSDを使用するユーザーには、換装の効果は絶大と言えるだろう。

Intel SSDPEKKF256G8Lへ50GBのデータを転送した際の時間は3分30秒で、290MB/s前後の速度が出ていた。
Samsung SSD 980へ同データを転送した際の時間は44秒で、1.1GB/s前後の速度が出ていた。

Windwos 11への対応もOK

今回使用しているThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)はWindows 11の要件を満たしており、高速SSD換装も行ったことでWindows 11へアップグレードする際も安心だ。

 ちなみに、今回使用しているThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)はメーカーサポートでWindows 11動作検証済みのため、Windows 11をインストールすることも可能だ。高速SSDへアップグレードを行っているので、Windows 11へOSをアップグレードした際も快適に使えるだろう。

 利用しているPCがWindows 11へ対応しているかは、Windows 11の公式サイトで公開されている「PC 正常性チェック アプリ」やメーカーサポートページから確認しよう。

 ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。

 今回とりあげたThinkPad X1 Carbon(2018年モデル)は、ストレージにゆとりがあればまだまだ使える性能をもったモデルだ。4コア/8スレッドの十分な性能と軽量設計による持ち運びの容易さで、ビジネス用途に最適だ。

 本モデルのように、Windows 11へのアップグレードに対応したモデルであれば、将来的にも長く使えるため、SSD換装の意義も大きいだろう。

 PCを買い換えるほどではないといった場合や、予算を抑えて環境を快適にしたいというユーザーは、ノートPCのSSD換装もPCを快適にする選択肢の一つとして考えてみてはいかがだろうか。

[制作協力:Samsung]