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外付けSSDはゲーム性能がかなり高い?「Crucial X8」のロード時間は内蔵SSDに迫るものだった

ゲーミングノートの増設用にも便利、ポータブルSSDでゲームを快適に text by 坂本はじめ

 近年、容量の大きいゲームが増えている。大作ゲームであれば100GB前後必要なことも珍しくなく、サイバーパンク2077であれば約70GB、Microsoft Flight Simulatorであれば約123GBの空き容量が要求される。大作ゲームを遊ぶユーザーは、ゲーミングPCのストレージ容量不足に悩まされている人も多いのではないだろうか。

 デスクトップPCであれば比較的にストレージの増設は容易だが、ある程度の自作PCの知識が必要になるし、小型PCやゲーミングノートでは増設作業自体が難しい場合もある。

 そこで今回は、誰でも簡単にゲーム用ストレージを増設する方法として、USB接続の外付けSSDの活用を提案したい。実際に外付けSSDをゲーミングノートに接続して、ゲームのロード時間を内蔵SSDなどと比較してみたので、外付けSSDがゲーム用ストレージとしてどこまで使えるのかチェックしてもらいたい。

10Gbps対応の外付けSSD「Crucial X8 Portable SSD」ゲーム用に外付けSSDは快適に使えるのか

 今回、ゲーム用ストレージとして使う外付けSSDは、Crucialの「X8 Portable SSD」だ。

 Crucial X8 Portable SSDは、インターフェイスに最大10Gbpsに対応するUSB 3.2 Gen 2を採用した外付けSSDで、最大転送速度は1,050MB/sに達する。容量ラインナップは1TBと2TBで、今回は2TBモデルのCT2000X8SSD9でテストを行う。

USB 3.2 Gen 2対応の外付けSSD「Crucial X8 Portable SSD」。
大部分に放熱性に優れるアルミニウムを用いた薄型軽量筐体を採用。

 筐体は放熱性に優れたアルミニウムを採用、サイズは110×53×11.5mm(幅×高さ×厚さ)。重量も約100gと薄型軽量を実現しており、携帯性にも優れている。本体側のインターフェイスはUSB Type-Cで、USB Type-C to CケーブルとUSB Type-C to A変換アダプタが付属する。

本体のインターフェイスはUSB Type-C。
付属のケーブルはUSB Type-C to Cで、USB Type-C to A変換アダプタが付属している。
Crucial X8 2TB(CT2000X8SSD9)のCrystalDiskMarkの実行結果。
CrystalDiskInfoによるCrucial X8 2TB(CT2000X8SSD9)のステータス。

外付けSSDは内蔵SSDと同じようにゲームのインストール先として利用可能Steamならそのまま別のPCに接続して使用もOK

PCのUSBポートに接続するだけで、内蔵SSD同様に利用できる。

 USB接続の外付けSSDであるCrucial X8 Portable SSDだが、PC上では内蔵SSDと同じように認識されるため、内蔵SSDを増設した場合と同じようにゲームのインストール先として利用できる。

 例えば、Steamであれば「設定」の「ダウンロード」から、Crucial X8 Portable SSDにライブラリフォルダを作成することでゲームのインストールが可能となり、他のストレージとの間でゲームの移動なども行える。

Steamでは「ライブラリフォルダ」を作成することで、ゲームのインストール先として利用可能となる。
ライブラリフォルダ作成後は、他のストレージとの間でゲームの移動なども行える。

外付けSSDのロード時間を内蔵NVMe SSD・外付けHDDと比較最新ゲーミングノートに接続して外付けSSDがゲーム用途に問題ない性能なのかチェック

 ゲームをインストールしたストレージの性能は、プレイ中に生じる「ロード時間」を大きく左右する要素だ。

 内蔵SSDを増設するのと同じようにゲームのインストール先として利用できるCrucial X8 Portable SSDだが、手軽に記憶容量が増やせるからと言って「ロード時間」が大きく増加するようであれば、ゲーム用ストレージの増設方法として推奨できるものにはならない。

 そこで今回は、第12世代Coreを搭載するMSI最新のゲーミングノート「Raider GE76 12U」を使って、Crucial X8 Portable SSDをゲーム用ストレージとして利用した場合、ゲーム中で生じるロード時間がどの程度のものになるのかを確かめてみることにした。

17.3型ゲーミングノート「MSI Raider GE76 12U」。Core i7-12700HとGeForce RTX 3070 Ti Laptop GPUを搭載したハイスペックモデルだ。
Thunderbolt 4ポートも備えており、Thunderbolt接続のストレージはもちろん、USB 3.2 Gen2接続のストレージも性能を引き出せる。

 Crucial X8 Portable SSDのゲームにおけるパフォーマンスを確認するにあたっては、MSI Raider GE76 12Uの「内蔵NVMe SSD」(PCIe 4.0 x4接続)と、USB 3.2 Gen 2対応ケースと2TB HDDを組み合わせた「外付けHDD」を比較対象として、同じゲームをインストールしたさいのロード時間を比較する。

 純粋な転送速度では圧倒的に有利な内蔵NVMe SSDに対してCrucial X8 Portable SSDがどこまで迫れるのか、速度に劣る「外付けHDD」を使った場合にロード時間がどこまで増加するのかに注目しつつ、外付けSSDという選択肢がゲーム用ストレージの増設方法として有効なのか確かめてもらいたい。

MSI Raider GE76 12Uの内蔵NVMe SSDは、PCIe 4.0 x4接続の1TB SSDが搭載されている。OSがインストールされたシステムストレージでもある。
内蔵NVMe SSDのCrystalDiskMark実行結果。
外付けHDD。容量2TBの2.5インチHDDをUSB 3.2 Gen 2対応の外付けケースに装着した。一般的な2TBの外付けHDDであれば8千円~1万円程度で購入できる。
外付けHDDのCrystalDiskMark実行結果。

内蔵の7GB/s級NVMe SSDと外付けSSDのゲーム性能は近い?ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでテスト

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク。

 定番3Dベンチマークの「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」には、シーン毎のロード時間を「ローディングタイム」として計測する機能が備わっている。これを利用して、フルHD解像度の最高品質でベンチマークを実行したさいのロード時間を比較してみた。

 5シーンのロード時間を合計した結果であるローディングタイムで、最速を記録したのは内蔵NVMe SSDの10.494秒。Crucial X8 Portable SSDは11.911秒の2番手で、内蔵NVMe SSDに約1.4秒遅れをとったが、外付けHDDの40.970秒には30秒近い大差をつけた。

人気のアクションRPG「エルデンリング」は、NVMe SSDに外付けSSDが迫る性能に

エルデンリング。

 フロム・ソフトウェアのオープンワールド・アクションRPG「エルデンリング」では、WQHD解像度(2,560×1,440ドット)の最高画質設定で、タイトル画面からコンティニューを選択してゲームが再開されるまでのロード時間を計測した。

 最速は内蔵NVMe SSDの7.67秒だが、Crucial X8 Portable SSDも7.83秒で僅差の2番手タイムを記録した。外付けHDDがSSDの3倍近い22.56秒を要していることを考えれば、SSD同士が僅差なのはストレージ性能が反映されづらい場面で計測しているからではなく、両SSDが近いパフォーマンスを発揮しているからであることが理解できる。

容量70GBを要求する大作ゲーム「サイバーパンク2077」でも外付けSSDが内蔵SSDに近い性能に

サイバーパンク2077。

 「サイバーパンク2077」では、WQHD解像度で描画設定を「レイトレーシング:ウルトラ」に設定し、タイトル画面からセーブデータを選択してゲームが再開可能になるまでのロード時間を計測した。

 ここでも最速は内蔵NVMe SSDの7.08秒で、Crucial X8 Portable SSDは7.49秒で2番手だった。SSD同士が約0.4秒差という僅差である一方、外付けHDDはSSDの6倍以上となる47.82秒を記録した。

人気のアクションゲーム「モンスターハンターライズ」は内蔵SSDと外付けSSDがほぼ同じ速度に

モンスターハンターライズ。

 「モンスターハンターライズ」では、WQHD解像度で描画設定を「高」に設定。クエストに出発するさいのロード時間を計測した。

 最速は内蔵NVMe SSDの2.12秒だが、Crucial X8 Portable SSDも2.14秒を記録しており、両SSDのタイム差は僅か0.02秒しかない。両SSDが同等と言えるタイムを記録した一方、内蔵HDDのタイムは7.21秒となっていることから、この結果もCrucial X8 Portable SSDが内蔵NVMe SSDと遜色ないパフォーマンスを発揮したことによるものであることが分かる。

アクションゲーム「バイオハザード ヴィレッジ」も外付けSSDが内蔵SSDに近い性能に

バイオハザード ヴィレッジ。

 「バイオハザード ヴィレッジ」では、WQHD解像度でグラフィックス自動設定を「レイトレーシング」に設定。セーブデータを選択してからゲームを再開可能になるまでのロード時間を計測した。

 最速は内蔵NVMe SSDの5.69秒で、Crucial X8 Portable SSDは約0.26秒差の5.95秒を記録した。内蔵HDDは両SSDの4倍近い23.43秒ものロード時間を要している。

100GBクラスの大作ゲーム「Microsoft Flight Simulator」でも外付けSSDは高いパフォーマンスを発揮

Microsoft Flight Simulator。

 「Microsoft Flight Simulator」では、WQHD解像度で描画設定を「ウルトラ」に設定。ワールドマップから羽田空港~関西国際空港間の飛行経路を設定して、フライトを開始可能になるまでのロード時間を比較した。

 最速は内蔵NVMe SSDの25.94秒で、Crucial X8 Portable SSDは約1.3秒遅れの27.26秒だった。内蔵HDDのロード時間は68.21秒となっており、絶対時間はともかくSSDとの相対的な差は他のゲームよりやや小さい。ロード時間の全てがストレージからの読み出し時間という訳でも無いので、Microsoft Flight Simulatorではストレージ性能以外の要素がロード時間に大きく影響しているということだろう。

PCIe 4.0 x4接続の内蔵NVMe SSDに近いゲーミング性能が得られた外付けSSD手軽にゲーム用ストレージを増設したいユーザーにおすすめ

 ゲーミングノートに接続した外付けSSD「Crucial X8 Portable SSD」は、ゲーム用ストレージとしてはPCIe 4.0 x4接続の内蔵NVMe SSDに肉薄するパフォーマンスを発揮した。USBポートに接続するだけという手軽さでありながら、プレイ中のロード時間を内蔵SSD並みに抑えられるのは素晴らしい。

 最速環境を求めるのであれば内蔵SSDが優位であることは確かだが、SSDの増設が困難なゲーミングノートや、内蔵SSDの選定や組み込み作業に不安を覚えるゲーマーにとって、外付けSSDによるゲームインストール用ストレージの増設は、積極的に検討すべき選択肢であると言える。

 今回使用したCrucial X8 Portable SSDは、1TBモデルが約1.6万円、2TBモデルでも約3万円で販売されており、パフォーマンスの割に容量単価も安い。ゲーム用にSSDの増設を検討しているのであれば、購入を検討してみてはいかがだろうか。

[制作協力:Crucial]