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外付けSSDはゲーム性能がかなり高い?「Crucial X8」のロード時間は内蔵SSDに迫るものだった
ゲーミングノートの増設用にも便利、ポータブルSSDでゲームを快適に text by 坂本はじめ
2022年6月2日 00:00
近年、容量の大きいゲームが増えている。大作ゲームであれば100GB前後必要なことも珍しくなく、サイバーパンク2077であれば約70GB、Microsoft Flight Simulatorであれば約123GBの空き容量が要求される。大作ゲームを遊ぶユーザーは、ゲーミングPCのストレージ容量不足に悩まされている人も多いのではないだろうか。
デスクトップPCであれば比較的にストレージの増設は容易だが、ある程度の自作PCの知識が必要になるし、小型PCやゲーミングノートでは増設作業自体が難しい場合もある。
そこで今回は、誰でも簡単にゲーム用ストレージを増設する方法として、USB接続の外付けSSDの活用を提案したい。実際に外付けSSDをゲーミングノートに接続して、ゲームのロード時間を内蔵SSDなどと比較してみたので、外付けSSDがゲーム用ストレージとしてどこまで使えるのかチェックしてもらいたい。
10Gbps対応の外付けSSD「Crucial X8 Portable SSD」ゲーム用に外付けSSDは快適に使えるのか
今回、ゲーム用ストレージとして使う外付けSSDは、Crucialの「X8 Portable SSD」だ。
Crucial X8 Portable SSDは、インターフェイスに最大10Gbpsに対応するUSB 3.2 Gen 2を採用した外付けSSDで、最大転送速度は1,050MB/sに達する。容量ラインナップは1TBと2TBで、今回は2TBモデルのCT2000X8SSD9でテストを行う。
筐体は放熱性に優れたアルミニウムを採用、サイズは110×53×11.5mm(幅×高さ×厚さ)。重量も約100gと薄型軽量を実現しており、携帯性にも優れている。本体側のインターフェイスはUSB Type-Cで、USB Type-C to CケーブルとUSB Type-C to A変換アダプタが付属する。
外付けSSDは内蔵SSDと同じようにゲームのインストール先として利用可能Steamならそのまま別のPCに接続して使用もOK
USB接続の外付けSSDであるCrucial X8 Portable SSDだが、PC上では内蔵SSDと同じように認識されるため、内蔵SSDを増設した場合と同じようにゲームのインストール先として利用できる。
例えば、Steamであれば「設定」の「ダウンロード」から、Crucial X8 Portable SSDにライブラリフォルダを作成することでゲームのインストールが可能となり、他のストレージとの間でゲームの移動なども行える。
外付けSSDのロード時間を内蔵NVMe SSD・外付けHDDと比較最新ゲーミングノートに接続して外付けSSDがゲーム用途に問題ない性能なのかチェック
ゲームをインストールしたストレージの性能は、プレイ中に生じる「ロード時間」を大きく左右する要素だ。
内蔵SSDを増設するのと同じようにゲームのインストール先として利用できるCrucial X8 Portable SSDだが、手軽に記憶容量が増やせるからと言って「ロード時間」が大きく増加するようであれば、ゲーム用ストレージの増設方法として推奨できるものにはならない。
そこで今回は、第12世代Coreを搭載するMSI最新のゲーミングノート「Raider GE76 12U」を使って、Crucial X8 Portable SSDをゲーム用ストレージとして利用した場合、ゲーム中で生じるロード時間がどの程度のものになるのかを確かめてみることにした。
Crucial X8 Portable SSDのゲームにおけるパフォーマンスを確認するにあたっては、MSI Raider GE76 12Uの「内蔵NVMe SSD」(PCIe 4.0 x4接続)と、USB 3.2 Gen 2対応ケースと2TB HDDを組み合わせた「外付けHDD」を比較対象として、同じゲームをインストールしたさいのロード時間を比較する。
純粋な転送速度では圧倒的に有利な内蔵NVMe SSDに対してCrucial X8 Portable SSDがどこまで迫れるのか、速度に劣る「外付けHDD」を使った場合にロード時間がどこまで増加するのかに注目しつつ、外付けSSDという選択肢がゲーム用ストレージの増設方法として有効なのか確かめてもらいたい。
内蔵の7GB/s級NVMe SSDと外付けSSDのゲーム性能は近い?ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでテスト
定番3Dベンチマークの「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」には、シーン毎のロード時間を「ローディングタイム」として計測する機能が備わっている。これを利用して、フルHD解像度の最高品質でベンチマークを実行したさいのロード時間を比較してみた。
5シーンのロード時間を合計した結果であるローディングタイムで、最速を記録したのは内蔵NVMe SSDの10.494秒。Crucial X8 Portable SSDは11.911秒の2番手で、内蔵NVMe SSDに約1.4秒遅れをとったが、外付けHDDの40.970秒には30秒近い大差をつけた。
人気のアクションRPG「エルデンリング」は、NVMe SSDに外付けSSDが迫る性能に
フロム・ソフトウェアのオープンワールド・アクションRPG「エルデンリング」では、WQHD解像度(2,560×1,440ドット)の最高画質設定で、タイトル画面からコンティニューを選択してゲームが再開されるまでのロード時間を計測した。
最速は内蔵NVMe SSDの7.67秒だが、Crucial X8 Portable SSDも7.83秒で僅差の2番手タイムを記録した。外付けHDDがSSDの3倍近い22.56秒を要していることを考えれば、SSD同士が僅差なのはストレージ性能が反映されづらい場面で計測しているからではなく、両SSDが近いパフォーマンスを発揮しているからであることが理解できる。
容量70GBを要求する大作ゲーム「サイバーパンク2077」でも外付けSSDが内蔵SSDに近い性能に
「サイバーパンク2077」では、WQHD解像度で描画設定を「レイトレーシング:ウルトラ」に設定し、タイトル画面からセーブデータを選択してゲームが再開可能になるまでのロード時間を計測した。
ここでも最速は内蔵NVMe SSDの7.08秒で、Crucial X8 Portable SSDは7.49秒で2番手だった。SSD同士が約0.4秒差という僅差である一方、外付けHDDはSSDの6倍以上となる47.82秒を記録した。
人気のアクションゲーム「モンスターハンターライズ」は内蔵SSDと外付けSSDがほぼ同じ速度に
「モンスターハンターライズ」では、WQHD解像度で描画設定を「高」に設定。クエストに出発するさいのロード時間を計測した。
最速は内蔵NVMe SSDの2.12秒だが、Crucial X8 Portable SSDも2.14秒を記録しており、両SSDのタイム差は僅か0.02秒しかない。両SSDが同等と言えるタイムを記録した一方、内蔵HDDのタイムは7.21秒となっていることから、この結果もCrucial X8 Portable SSDが内蔵NVMe SSDと遜色ないパフォーマンスを発揮したことによるものであることが分かる。
アクションゲーム「バイオハザード ヴィレッジ」も外付けSSDが内蔵SSDに近い性能に
「バイオハザード ヴィレッジ」では、WQHD解像度でグラフィックス自動設定を「レイトレーシング」に設定。セーブデータを選択してからゲームを再開可能になるまでのロード時間を計測した。
最速は内蔵NVMe SSDの5.69秒で、Crucial X8 Portable SSDは約0.26秒差の5.95秒を記録した。内蔵HDDは両SSDの4倍近い23.43秒ものロード時間を要している。
100GBクラスの大作ゲーム「Microsoft Flight Simulator」でも外付けSSDは高いパフォーマンスを発揮
「Microsoft Flight Simulator」では、WQHD解像度で描画設定を「ウルトラ」に設定。ワールドマップから羽田空港~関西国際空港間の飛行経路を設定して、フライトを開始可能になるまでのロード時間を比較した。
最速は内蔵NVMe SSDの25.94秒で、Crucial X8 Portable SSDは約1.3秒遅れの27.26秒だった。内蔵HDDのロード時間は68.21秒となっており、絶対時間はともかくSSDとの相対的な差は他のゲームよりやや小さい。ロード時間の全てがストレージからの読み出し時間という訳でも無いので、Microsoft Flight Simulatorではストレージ性能以外の要素がロード時間に大きく影響しているということだろう。
PCIe 4.0 x4接続の内蔵NVMe SSDに近いゲーミング性能が得られた外付けSSD手軽にゲーム用ストレージを増設したいユーザーにおすすめ
ゲーミングノートに接続した外付けSSD「Crucial X8 Portable SSD」は、ゲーム用ストレージとしてはPCIe 4.0 x4接続の内蔵NVMe SSDに肉薄するパフォーマンスを発揮した。USBポートに接続するだけという手軽さでありながら、プレイ中のロード時間を内蔵SSD並みに抑えられるのは素晴らしい。
最速環境を求めるのであれば内蔵SSDが優位であることは確かだが、SSDの増設が困難なゲーミングノートや、内蔵SSDの選定や組み込み作業に不安を覚えるゲーマーにとって、外付けSSDによるゲームインストール用ストレージの増設は、積極的に検討すべき選択肢であると言える。
今回使用したCrucial X8 Portable SSDは、1TBモデルが約1.6万円、2TBモデルでも約3万円で販売されており、パフォーマンスの割に容量単価も安い。ゲーム用にSSDの増設を検討しているのであれば、購入を検討してみてはいかがだろうか。
[制作協力:Crucial]