特集、その他

Ryzen 7000と5000でゲーム性能はどれだけ違う?最強GPU「GeForce RTX 4090」の性能を引きだせ!

これからのゲーミングPCではCPU選びも重要に text by 瀬文茶

 AMDのRyzen 7000シリーズは、CPUアーキテクチャをZen 4に刷新したことで従来のRyzenを凌ぐパフォーマンスを実現しています。一方で、前世代のRyzen 5000シリーズもなかなか優秀なCPUであり、旧製品となったことによる価格の下落も手伝って、今なお魅力的な選択肢として市場に存在しています。自作PCユーザーにとって、どちらを選ぶのかを検討するのが楽しい時期でしょう。

 そこで今回は、ゲーミング性能に注目して新旧Ryzenの比較を行います。8コアCPUのRyzen 7 7700XとRyzen 7 5800Xが、最強GPUであるGeForce RTX 4090の性能をどれだけ引き出せるのかを実際のゲームを使って検証してみました。

 ゲーミングPCを自作するさいのセオリーとして、最重要パーツはGPUであり、CPUは安価なもので十分と語られることもありますが、その理論が新旧Ryzenを選ぶときにも通用するものなのか確かめてみましょう。

AMDの新旧の8コアCPUでゲーミングパフォーマンスを比較Ryzen 7 7700XとRyzen 7 5800Xはどちらがゲーム向き?

Ryzen 7 7700X(左)とRyzen 5 5800X(右)。

 まずは、今回比較するRyzen 7 7700XとRyzen 7 5800Xのスペックを確認しておきましょう。

 Ryzen 7 7700Xは、Zen 4アーキテクチャを採用したAMD最新の8コア16スレッドCPUです。Ryzen 7 5800XとCPUコア数こそ同等ですが、L2キャッシュ容量が倍増したほか、製造プロセスを7nmから5nmに微細化したことや、電源周りが強化されたSocket AM5を新採用したことで、CPUの動作クロックも大きく向上しています。

 CPUコア以外の新機軸としては、メモリコントローラがDDR5メモリに採用したことが挙げられます。Ryzen 7000シリーズのメモリコントローラはDDR5メモリ専用となっており、より安価で普及しているDDR4メモリが利用できないというデメリットがあるものの、より高速なメモリを利用できるという利点もあります。

最強GPU「GeForce RTX 4090」を搭載するカードを用意ASUS TUF Gaming GeForce RTX 4090 OC Edition 24GB GDDR6Xの性能を引出せ!

 今回は、新旧Ryzenのゲーミング性能に注目した比較を行うということで、ゲーミング向けGPUとしては現在最強のGeForce RTX 4090を搭載したビデオカード「ASUS TUF Gaming GeForce RTX 4090 OC Edition 24GB GDDR6X」をお借りしました。

ASUS TUF Gaming GeForce RTX 4090 OC Edition 24GB GDDR6X。
3.65スロットを占有する巨大なGPUクーラーが特徴のハイエンドビデオカード。

 その他の検証機材については以下の表のとおりです。

 Ryzen 7 7700Xのメモリについては、手持ちの機材がスタンダードメモリしかなかったため、DDR5-4800動作となっています。Ryzen 7000シリーズはメモリ2枚までならDDR5-5200が定格サポートとなるため、新機軸を十全な状態でテストできる構成ではありませんが、DDR5では比較的安価なDDR5-4800メモリでのパフォーマンスを確認できるとポジティブに考えていただけると助かります。

ゲーミング性能テストの前にCINEBENCH R23で小手調べ

 新旧Ryzenのゲーミング性能をテストする前に、3DCGレンダリング性能を計測するCPUベンチマークテスト「CINEBENCH R23」で、Multi CoreとSingle Coreのスコアを計測してみました。

 Ryzen 7 7700Xは、Ryzen 7 5800XをMulti Coreで約28%、Single Coreでも約23%上回っており、CPUの性能が大きく強化されていることが分かります。このCPU性能の向上は、どれだけゲームで効果を発揮するのでしょうか。

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 まずは、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークで描画品質を「最高品質」に設定し、フルHDと4Kでテストを実行しました。

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク。

 Ryzen 7 7700Xのベンチマークスコアは、フルHDで「37,373」、4Kで「24,405」でした。Ryzen 7 5800Xのスコアはそれぞれ「30,908」と「22,551」で、Ryzen 7 7700XはRyzen 7 5800XをフルHDで約21%、4Kで約8%上回っています。

 平均フレームレートについては、Ryzen 7 7700XがフルHDで「274.2fps」、4Kで「172.3fps」を記録したのに対し、Ryzen 7 5800Xはそれぞれ「229.9fps」と「162.1fps」でした。GPU負荷の軽いフルHDでは特に大きくスコアとフレームレートが向上していることが分かります。

サイバーパンク2077

 2020年末の登場以来、GPU負荷の高いゲームタイトルとして知られてきた「サイバーパンク2077」では、グラフィックプリセットをもっとも高品質な「レイトレーシング:ウルトラ」に設定して、フルHDと4Kでベンチマークモードを実行しました。

サイバーパンク2077。

 Ryzen 7 7700Xの平均フレームレートは、フルHDで「126.5fps」、4Kで「103.1fps」。これに対してRyzen 7 5800Xはそれぞれ「86.3fps」と「85.3fps」となっており、平均フレームレートが85fps前後で明らかに頭打ちとなっています。

 結果としてRyzen 7 7700Xは、Ryzen 7 5800XをフルHDで約47%、4Kでも約21%も上回も上回っています。

オーバーウォッチ 2

 先日リリースされたばかりのオーバーウォッチ 2では、グラフィックプリセットを最高品質の「エピック」に設定して、フルHDと4Kでフレームレートを計測しました。

オーバーウォッチ 2。

 Ryzen 7 7700Xの平均フレームレートは、フルHDで「517.3fps」、4Kで「236.2fps」でした。Ryzen 7 5800Xはそれぞれ「517.3fps」と「237.7fps」となっており、4Kではほぼ同等ですが、フルHDでは約6%Ryzen 7 7700Xが上回っています。

モンスターハンターライズ:サンブレイク

 モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、グラフィックプリセットを最高品質の「高」に設定して、フルHDと4Kでフレームレートを計測しました。

モンスターハンターライズ:サンブレイク。

 Ryzen 7 7700Xの平均フレームレートは、フルHDで「188.9fps」、4Kで「188.5fps」。対するRyzen 7 5800Xはそれぞれ「139.0fps」と「131.9fps」となっています。

 どちらのCPUもフルHDと4Kでフレームレートがほぼ同じと頭打ちになっており、GPU性能を最大限に発揮できていないことが伺えますが、頭打ちになるフレームレートには大きな差があり、Ryzen 7 7700XがRyzen 7 5800Xを36~43%も上回っています。

Zen 4で大きく進化していたRyzenのゲーミング性能ゲーミングPCではGPU性能を十分に引き出せるCPUを選ぶことこそ重要

 Zen 4アーキテクチャを採用したRyzen 7 7700Xは、Ryzen 7 5800Xより多かれ少なかれではあるものの、最強GPUであるGeForce RTX 4090からより多くのパフォーマンスを引き出せていました。

 特に、サイバーパンク2077やモンスターハンターライズ:サンブレイクでは、ゲーミングモニターの表示能力の範囲内でRyzen 7 5800Xに大差をつけており、高性能なGPUを使ってハイフレームレート動作を狙いたいゲーマーにとっては有意な差であると言えるでしょう。

 とはいえ、新旧Ryzenの差がどれだけゲームに反映されるのかはゲーム次第ですし、GeForce RTX 4090ほど強力なGPUと組み合わせなければ、差がつかない場面は増えるでしょう。重要なのはCPUの性能が原因でGPUが実力を発揮できないことが起こり得るということで、それを踏まえてCPUとGPUの最適なバランスを見つけるのが自作PCユーザーの腕の見せ所です。

 最近Ryzen 7000シリーズは大きな値下がりがあったとはいえ、依然としてRyzen 5000シリーズのコストパフォーマンスの良さは魅力的です。新旧アーキテクチャのゲーミング性能の違いやコストパフォーマンス、そしてソケットの互換性がないことなども考慮しながら、どちらのCPUが自分に適しているのか検討してみるとよいでしょう。