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変態か、最強か。45型OLEDで平面~湾曲の変形機構を搭載するCORSAIR「XENEON FLEX 45WQHD240 OLED」

超ワイドの大画面で超美麗&超なめらか描画、ゲームも動画も仕事もスキなし!! text by 芹澤 正芳

CORSAIRの「XENEON FLEX 45WQHD240 OLED」。実売価格は31万円前後

 没入感の高さというメリットのある湾曲モニター。ウルトラワイド液晶の場合、そのメリットはさらに大きく、ゲームのタイプによってはすさまじい威力を発揮するが、写真や動画の編集作業など、用途によっては平面を使いたいという声も多く聞かれる。

 パネルの形状そのものが違うため、普通に考えれば両者の“いいとこどり”は容易ではないが、驚きの方法でそれを実現した製品がCORSAIRから登場した。「XENEON FLEX 45WQHD240 OLED」は、なんとユーザー自身の手で、自在に湾曲率を変更できるギミックを搭載しているのだ。しかも45型でOLED/240Hzと美麗でなめらかな描画も可能と、基本スペックも強烈。この新製品を早速レビューしてみたい。

【CORSAIR「XENEON FLEX 45WQHD240 OLED」の“曲がるところ”を動画でチェック!】

ゲームにも映像にも没頭できて作業にも使いやすい「フレキシブル」構造

 CORSAIRの「XENEON FLEX 45WQHD240 OLED」は、45型で画面比率が21:9というウルトラワイドタイプの大型ゲーミングモニターだ。最大の特徴は、ユーザーが自由に平面から湾曲(最大800R)への切り換えが行なえる「フレキシブル」構造を実現していること。平面から湾曲への変更は、両側面の収納されている取っ手を引き出して持ち、手前に引くだけとカンタン。最初は曲げるのに躊躇してしまうが、限界まで引くと“カチリ”と音が鳴ってロックされるので曲げすぎの心配はいらない。

両側面にある取っ手は中央部のボタンを押すと引き出せる
取っ手を持って手前に引けば湾曲させることが可能だ。平面に戻すときは逆の動きでほぼOKだが、滑りやすいデスクだとちょっと変形させにくい。そんなときは、パネル下部のハンドルを握って片側ずつ変形させると比較的楽
背面部の構造。平面または最大曲げでカチリと鳴ってしっかり固定されるので、曲げすぎは起こらない。湾曲の調整は左右独立しており、片側だけ曲げる(平らにする)ことも可能。目一杯平面にする/湾曲させるのは簡単だが、平面から最大湾曲まで無段階調整なので、「ほどほどに湾曲させる」セッティングにしたいときは左右のバランスを取るのがちょっと難しい

 こういった“変形ギミック”がある製品構造でば気になるのが耐久性だ。CORSAIRによるとパネルの“曲げ”による寿命の低下はないとのこと。また、可動部については1~1.5万回(1日5回、週7日使用したとして約5.5年)の耐久性があると言う。モニターの寿命として、これなら申し分ないだろう。

UWQHD/OLED/240Hz/0.03msと申し分ないスペック

 45型の大型パネルは、LGが設計した曲がるOLED(有機EL)を採用。解像度はUWQHD(3,440×1,440ドット)だ。45型でも横に長いウルトラワイドということもあって高さはそれほどないので、リビングに置く45型前後のテレビほどには大型ではなく(単純計算だがパネルの高さ方向のサイズだけ見ると16:9の一般的なモニターの35型程度に相当)、PCデスクに設置して使うサイズ感で、位置付け的にはやはり“PC用モニター”だ。薄くできるOLEDだけあって大型でもパネル部分の重量はわずか3.5kgしかなく、サイズの割には驚くほど軽い。設置がまったく苦にならないのもポイントと言えそうだ。

  2/13更新 重量に関する記述について、当初「大型でも重量はわずか3.5kgしかなく」と記載しておりましたが、正確には「大型でもパネル部分の重量はわずか3.5kg」でした。訂正してお詫びいたします。

デスクで使うのに適したサイズ感で、一人でも設置しやすい

 一般的な液晶パネルはバックライトで点灯させるため黒の表現が苦手。一方OLEDは自発光型なので画素単位で発光のコントールができ、非点灯によるハイレベルな黒を作り出せるのが大きな強みだ。本機のパネルではこれを活かして、150万:1という強烈なコントラストを実現しているのに加え、色域もsRGBのカバー率100%、デジタルシネマ向けのDCI-P3のカバー率98.5%と非常に広い。パキッとしたメリハリのある映像を楽しめる。

 また、HDRもサポートしており、最大輝度は1,000nitとこちらも高く、OLEDの特性もあって、HDR対応コンテンツをより明るく、より暗い映像で体験できる。最近では動画配信サービスでもHDR対応タイトルは増えており、快適な映像の視聴環境を求めている人にもオススメと言える。Windows 11では、HDR非対応のゲームをHDR化できる「自動HDR」を利用できるのもおもしろい。

HDRに対応。有機EL向けのDisplayHDR True Black認証こそ取得していないが、高輝度、高コントラストと相まってHDRコンテンツを存分に楽しめる
サイバーパンク2077での表示。左がHDR無効、右がHDR有効だ。HDRを利用するとより明暗が際立つのが分かる

 ゲーミングという位置付けだけに、リフレッシュレートは240Hzと高く、なめらかな描画が可能だ。4K(3,840×2,160ドット)ほど解像度は高くないので、PCで240Hzを活かせる高フレームレートを比較的出しやすいのもポイントだ。また、ピクセル単位の発光ON、OFFは0.01msの超高速仕様で、応答速度も0.03ms(GtoG)と強烈な速さを実現。入力遅延も少なく、格闘ゲームなどシビアな入力タイミングが求められるゲームも快適に遊べる。

 可変リフレッシュレート(VRR)もサポート。AMD FreeSync PremiumとNVIDIA G-Sync Compatible認証を取得しており、ビデオカードがRadeonでもGeForceでも安心してVRRを利用できる。

 ただ、激しくマウスを振ったときなどに一部のとくに残像感を感じやすいオブジェクト(ゲームのフィールド上に張ってあるワイヤーなど)には残像感が残り、激しい動きが多い競技志向ゲームではちょっと気になるかもしれない。とはいえ本機は、画面サイズ的にも、FPSをガチンコプレイするためのモニターというよりも、映像美を堪能するタイプのゲームや動画を見たりすることでこそ真価を発揮するタイプの製品。映像の表示クオリティはOLEDパネルならではの高品質なので、得意分野での強みを活かす使い方をしたほうが満足感は高いだろう。

リフレッシュレートは最大240Hzまで設定が可能
VRRはAMD FreeSync PremiumとNVIDIA G-Sync Compatibleをサポート。GeForce RTX 4090で試したが問題なく有効にできた

 ブルーライトを軽減したEyeSafe認定や、TUVとULからチラ付きの少なさを示すフリッカーフリー認証を受けており、高度な色の再現性を確保しながら目にも優しい仕様となっている。

没入感なら湾曲、映像なら平面がオススメ

 ここからは、実際の使用感を試したい。湾曲の状態では、「Microsoft Flight Simulator」や「Forza」シリーズのような乗り物系のシミュレーター、「アサシン クリード」シリーズや「FORSPOKEN」のようなアクションアドベンチャーなどのような映像美や没入感を楽しむゲームに最適だ。

 デスクの上に設置して、無理なく画面を見ながらキーボード/マウスを操作できるときの顔との距離は、(個人差や好みはあるが)だいたい50~60cm程度になる。この距離で最大まで湾曲させた状態だと視界がほぼ画面になり、バツグンの没入感が得られる。フライトシムをコックピット視点でプレイすれば、16:9で27型のシングルモニターにはないフライト感を体験できる。

左がフラット、右が湾曲の状態。写真だとちょっと分かりにくいが、湾曲だと視界がほぼ画面になるので没入感が大きくアップする

 240Hzの高リフレッシュレートなのでFPSのプレイも快適ではあるが、画面が大きいため視線に移動が多くなり、画面全体の状況を素早く把握するのが難しいのでガチなプレイにはちょっと向いていない。OLEDの高コントラストが生み出す立体感のある映像を見ながらカジュアルに楽しむのがベターだ。同じ一人称視点のゲームでも「サイバーパンク2077」のようなシングルプレイで映像の迫力も楽しむようなタイトル向き。UWQHD解像度ならフレームレートも稼ぎやすいので、高速リフレッシュレートも活きる。

 湾曲は没入感を味わうには最高だが、ちょっと離れた位置から画面を見ると曲がりが気になるもの。映像を楽しんだり、コントローラを使って離れた位置からゲームをプレイするときはフラットな状態がオススメだ。PCデスクで使っている椅子を軽くリクライニングさせてパネル面から1mくらい離れた視点でゲームをプレイするなら平面~軽く湾曲させたセッティング、これよりもっと離れた位置で動画を見る場合などは平面にするのがよいだろう。

モニターの正面・パネルから約60cmの距離にカメラをセット、人間の視界に近い画角で撮影し、左右に視点を振った様子を簡易的に再現してみた(アニメーションGIF。クリックで拡大します)。平面(写真左)だと左端、右端が“遠い”と感じるが、湾曲させると(写真右)この“遠い”と感じる違和感が少なくなり、没入感が上がる

 一般的なWindowsアプリを利用する場合は、今までの“慣れ”もあって湾曲だとちょっと違和感を感じることもある。ただ、モニターの正面に座ってキーボード・マウスを使用する場合(モニターまでの距離は50~60cm)、横に長い画面の左側/右側を見るときの視点移動を考えると、湾曲で使うことがプラスに働くこともありそう。アプリによる差、複数のウィンドウを並べて使うなどのスタイルの違いなども影響してくると思われるので、最適セッティングを探してみたいところだ。

 コンテンツや使用スタイル、座る場所や姿勢に合わせてフラットと湾曲を切り換えられることが、本製品の最強の強み。慣れや効率なども考えて試行錯誤する余地があるというのは、今までのウルトラワイドモニターにはないメリットと言っていいだろう。

豊富な映像入力とUSBハブが便利な一体型スタンド

 スタンドは本体と一体型。取り外すことはできず、VESAマウントには対応していない。また、スイベルとピボットは備わっておらず、下方向に7度、上方向に15度のチルトのみ可能だ。

下7°、上15°のチルトに対応。スイベルやピボットはない

 液晶モニターのインターフェース類はパネル背面に付いているのが一般的だが、本機はスタンド部分に集約されている。超横長で大型という形状を考えると、アクセスしやすく使い勝手は良好だ。

スタンド前面の下部には左からUSB 3.0×2、ヘッドホン出力、入力切り換え、電源ボタン、OSDメニュー操作のスティックが搭載されている。OSDメニューはスティックを押し込むことで呼び出し可能だ
映像入力もスタンド部に設けられている。上からHDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4×1、USB Type-Cの4系統。背面にはUSB 3.0×2と30WのUSB PD対応のType-Cも用意されている

 映像の入力はHDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4×1、USB Type-Cの4系統が用意されており、デスクトップPC、ノートPC、家庭用ゲーム機など複数のデバイスも接続しやすい。さらにUSBバブ機能もあり、USB 3.0×4、30WのUSB PDに対応したType-Cが備わっており、マウスやコントローラの接続はもちろん、スマホやタブレットの充電にも便利。

 このほか、ヘッドホン出力はあるが、スピーカーは内蔵されていない。

電源はACアダプタ。230Wの大出力であるためサイズは大きめ

映像美を堪能したい人には魅力的な1台

 OLEDの強烈にメリハリの効いた映像は、ゲームでも動画でも非常に映える。45型の大画面は迫力があり、目的に合わせてフラットと湾曲を切り換えられると“映像美”にこだわりたい人にはピッタリの1台と言える。OLEDは画面の焼き付きが起こることが知られているが、焼き付き保護機構を備えているのでその点は安心だ。3年間の焼き付きとドット落ち保証も付いているのは、それだけ品質に自信があるということだろう。

 実売価格は約31万円前後とゲーミングモニターとしては高価だが、240Hz/0.03msの高速描画、45型の大型かつフレキシブル構造を採用しながら、取り回しがラクな3.5kgという軽さという強みもある。満足度の高いウルトラワイドモニターを求めているなら、ぜひチェックしてほしい。

[制作協力:CORSAIR]