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Synologyからバックアップ特化のポータブルSSD登場。NAS用HDDや強化されたパーソナルクラウド機能も

NAS向けOS「DSM 7.2」の最新セキュリティ機能なども紹介(COMPUTEX AKIBA出張所 / Synology編)

Synologyブース

 PC/IT関連の見本市「COMPUTEX TAIPEI 2023」が、5月30日〜6月2日(現地時間)の日程で台湾で開催されている。このレポートでは、Synologyブースで目立った展示物を紹介しよう。

最新のNAS向けOS「DSM 7.2」から利用可能となった最新機能を紹介

 今年のSynologyブースでは、個人向けやSOHO向けといったNASについては既存モデルが並び、ストリーミングサーバーやデータセンターでの利用をターゲットとしたラックマウントタイプの製品を中心に新モデルが展示されていた。

個人/SOHO向けのNASは発売済みの製品を展示し、新製品の展示はなかった
NASの新製品としては、エンタープライズ向けのラックマウント型NASを展示

 一方で、個人~SOHO向けソリューションとしては、SynologyのNAS用OS最新バージョン「DSM 7.2」で強化されたパーソナルクラウド機能「Synology Drive」や、監視カメラソリューション「Surveillance Station」、ポータブルSSDを利用した個人向けバックアップソリューション「BeeDrive」などが紹介されている。

5/31 15:50更新 「DSM 7.2でSynology Driveが追加された」と記載しておりましたが、正しくは「DSM 7.2からSynology Driveに新機能が追加された」でした。訂正しておわびいたたします。

「DSM 7.2」よりパーソナルクラウド「Synology Drive」がパワーアップ。新たに、ファイルを共有した際にウォーターマークを挿入する機能や、共有ファイルをダウンロードさせない機能が追加された

 Synology Driveは、他社が運営するクラウドの利用をためらう企業や個人ユーザーなどをターゲットとした、NASベースで動作するパーソナルクラウド機能だ。一般的なクラウドと同様に、インターネット経由でファイルを保存・編集・参照することができ、、Synology Driveに保存しているドキュメント、スプレッドシート、スライドをWebブラウザ経由で参照・編集できる「Synology Office」も用意される。

 DSM 7.2からこのSynology Driveの機能強化が図られ、共有ファイルへのウォーターマークの挿入やダウンロードの制限といった、セキュリティ対策機能が追加されている。

 「Write Once Read Memory」機能も、DSM 7.2から利用可能になった新機能として紹介されていた。Write Once Read Memoryとして確保したフォルダに保存するファイルは、あらかじめ設定した属性に従って、基本的に一定期間編集や削除が行なえなくなる。

「Write Once Read Memory」機能では、WriteOnceモードに設定したフォルダを作成することで、そのフォルダに保存したデータをロックし、基本的に編集や削除が行なえなくなる
ファイルをロックする期間はファイル単位で設定可能

 日本では、電子帳簿保存法により、電子取引でやり取りを行なったすべての取引情報を電子情報のまま保存することが求められるようになったが、そういったデータを安全に保存するためなどに活用できる。

 このほか、近年被害が増えているNASをターゲットとしたランサムウェアの被害を防ぐ機能として、スナップショットを保護する機能も新たに用意。万が一ランサムウェアに感染し、ランサムウェアがスナップショットを削除しようとしても、その動作を自動的にストップさせることでデータを保護できるという。

こちらもDSM 7.2からサポートされた「Immutable snapshot」機能。スナップショットの削除を行なえなくすることでランサムウェアによる被害を防ぐ
企業向け電子メールサービス「MailPlus」に、ChatGPT APIを活用し、AIで自動的にメールの文面を作成する「Write with AI」機能を提供

PC/スマホのバックアップができる「BeeDrive」

ポータブルSSDを利用した個人向けバックアップソリューション「BeeDrive」
SSDは手のひらにすっぽり収まるほど非常にコンパクト。容量は1TBと2TBを用意

 BeeDriveは、ポータブルSSDを利用して、PCやスマートフォンに保存しているデータを簡単にバックアップしたり同期が行なえるという、個人向けの新製品だ。

 SSD自体は手のひらにすっぽり収まるほどのコンパクトボディで、PCとUSBで接続して利用する。そして、PCに専用のアプリをインストールすることで、NASで培ったシステムをベースとしたデータのバックアップや同期といった機能が利用できるようになる。

 たとえば、アプリであらかじめバックアップしたいフォルダを指定しておけば、BeeDriveをPCに接続するだけでそのフォルダのデータがBeeDriveにバックアップされる。

PC用のアプリであらかじめバックアップしたいフォルダを設定。フォルダは任意に指定可能だ
アプリでバックアップしたいフォルダを設定すれば、それ以降、PCにBeeDriveを接続するだけで自動的にバックアップが実行される

 フォルダはPC内の任意のフォルダを指定でき、一度設定しておけば、それ以降はBeeDriveをPCに接続するだけで自動的にバックアップが実行される。

 ファイル同期機能では、設定したフォルダをBeeDrive内に保存するとともに、保存したファイルの同期が行なわれるようになる。

スマートフォン向けのアプリも用意され、スマートフォンに保存されている写真やファイルのバックアップも行なえる
こちらも、アプリで写真のバックアップを設定しておけば、無線LAN経由で自動的にBeeDriveへ写真がバックアップされる

 ファイル同期はPCからBeeDrive、BeeDriveからPCの単方向同期、双方向同期を選択でき、ファイル単位で同期を行なう、行なわないといった設定も可能となっている。

 アプリはPC向けだけでなくスマートフォン向けも用意されており、PCとスマートフォンのアプリを連携させることで、スマートフォンに保存されている写真データをPCに接続したBeeDrive内のフォルダに無線LAN経由で自動転送できる。

スマートフォンからBeeDriveにバックアップした写真は、PCからも簡単に参照可能

 このほか、任意のファイルを簡単にBeeDrive内に転送できる「BeeDrop」という機能も用意される。

スマートフォン内の任意のファイルをBeeDriveに簡単に転送できる「BeeDrop」機能も用意
フォルダの同期機能では、PC内の指定フォルダをBeeDriveにバックアップするとともに、ファイルの自動同期が行なえる。同期は単方向同期、双方向同期から選択可能

 このBeeDriveは、簡単かつ安全にPCやスマートフォンのデータをバックアップしたいというPC初心者にも手軽で使いやすい仕様となっている点が大きな特徴とのこと。6月7日より発売予定で、価格は容量1TBモデルが20,700円、容量2TBモデルが34,500円。

6月1日発売予定の一般ユーザー/SOHO向けSynology製NAS用HDD

6月1日より発売予定の、一般ユーザー/SOHO向けのSynology製NAS向けSerial ATA HDD「HAT3300」シリーズ。4TB/6TB/8TB/12TBをラインナップ。Synology製NASに最適化したファームウェアを搭載し、DSMから動作を制御できるとともに、優れた信頼性も確保している

 Synologyは、同社のNASなどのシステム向けに最適化したエンタープライズ向けのHDD「HAT5300」シリーズを発売している。そして今回、新たに一般ユーザーやSOHO向けのSynology製NAS向けSerial ATA HDDを展示した。それが「HAT3300」シリーズだ。

 HAT5300シリーズ同様のSynology製NASなどでの利用に合わせてファームウェアを最適化。DSMからHDDの動作を細かく制御できるのはもちろん、HDDのファームウェアのアップデートも行なえるようになっている。

HDDはSeagate製で、ファームウェアをSynologyが最適化している

 HDD自体は30万時間におよぶテストを実施するとともに非常に厳しい検証を行なうことで、高い信頼性を確保。それによって、年間180TBのワークロードに耐え、平均故障間隔(MTBF)も100万時間に達する。これにより、SynologyのNASをより安心、安全に利用できるという。HDDはSeagate製で、ファームウェアをSynologyが最適化している。

 容量は4TB/6TB/8TB/12TBの4種類を用意。6月1日より発売を予定しており、価格は4TBが15,100円、6TBが25,300円、8TBが32,100円、12TBが42,200円。

監視カメラソリューション「Surveillance Station」に最適化したネットワークカメラ

Surveillance Stationの最新バージョン「Surveillance Station 9.0」の展示では、扱いやすくなったUIや新機能を紹介

 Synology製のNASでは、監視カメラソリューション「Surveillance Station」が利用可能となっている。その最新バージョンや、Surveillance Stationでの利用に最適化したネットワークカメラも展示した。

 Surveillance Stationの最新バージョン「Surveillance Station 9.0」では、UIが新しくなり利便性が高められた。

 また、Surveillance Station向けのNAS「DAV1622」および「DVA3221」では、AIを活用した侵入検知、人物やナンバープレートの認識、顔認識、フェイスマスク着用検出などが利用できるようになる。

Surveillance Station向けのNAS「DAV1622」および「DVA3221」を利用することで、AIを活用した侵入検知、人物やナンバープレートの認識、顔認識、フェイスマスク着用検出などが利用可能

 そして、SynologyがSurveillance Station向けとしてボックス型ネットワークカメラ「BC500」と、ドーム型ネットワークカメラ「CT500」の提供も開始。

SynologyがSurveillance Station向けとして提供を開始した、ボックス型ネットワークカメラ「BC500」
こちらはドーム型ネットワークカメラ「CT500」。BC500、CT500にはAI処理機能を搭載しており、DSシリーズでもDAVシリーズ同様のAI監視機能が利用可能となる

 BC500とCT500はSurveillance Stationに最適化されており、セットアップや設定、ファームウェアのアップデートなどを簡単に行なえるようになっている。

 サードパーティ製のネットワークカメラを利用する場合にはSurveillance Stationのデバイスライセンスが必要となるが、BC500とCT500はライセンス不要で利用できる。

 しかもカメラ内にAI処理機能を内蔵しており、DAV1622やDVA3221と同様のAI監視機能をDSシリーズNASのSurveillance Stationでも利用可能。そういった点でもSurveillance Stationでの利用に最適なネットワークカメラとなっている。

[制作協力:Synology]