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どうなってやがる!ファンレスなのに風が流れるZOTACの手のひらサイズPC
スパイダーマン仕様のビデオカードやRTX 4070搭載ミニPCも展示(COMPUTEX AKIBA出張所 / ZOTAC編)
2023年6月1日 13:22
ZOTACブースは一面スパイダーマン推し!
今年のZOTACブースは、アニメ映画「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」とのコラボレーションによる展示や装飾が大きな特徴となっている。
ZOTACのブースを訪れると、正面にスパイダーマンをモチーフとした8角形の記念撮影コーナーが迎えてくれる。ブースの配色は、スパイダーマンらしく黒を基調としつつ赤やオレンジのイルミネーションを利用。華やかながら重厚感のあるデザインは特に目立っていた。
ブースに入ると、日本でも販売されているZOTACの「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」特製ビデオカードが目に飛び込んできた。その奥には映画をモチーフとしたMOD PCなども展示しており、まさにブース全体がスパイダーマン一色といった雰囲気になっている。
もちろん、ZOTACおなじみのミニPC「ZBOX」シリーズや、法人向けミニPC「ZBOX PRO」シリーズなどの新製品を展示。また、GeForxe RTX 40シリーズを中心としたビデオカードも多数飾られていた。
世界初、ソリッドステートアクティブ冷却システム採用PC「ZBOX PI430AJ WITH AIRJET」
今年のZOTACブースで最大の注目製品だったのが、超小型PC「ZBOX pico」シリーズの新モデル「ZBOX PI430AJ WITH AIRJET」(以下、PI430AJ)だ。
以前からある超小型のミニPC「ZBOX pico」シリーズに位置付けられる製品で、外観やサイズは従来モデルと比べてほとんど変わっていない。
しかしPI430AJでは、CPUの冷却システムとして、Frore Systemsが開発したソリッドステートアクティブ冷却システム「AirJet Mini」を採用する点が最大の特徴となる。ZOTACによると、AirJet Miniを採用するミニPCはPI430AJが世界初とのこと。
AirJet Miniには、内部に薄膜(はくまく)が設置されており、その薄膜を超音波振動させると、薄膜の上から下に向かって高圧の空気の流れが生み出される。それによって上部のスリットから給気し、後部の排気口から排気するというエアフローが発生し、熱を外部に放出できるのだという。
このAirJet Miniは、27.5×41.5×2.8mmという非常にコンパクトなサイズながら、最大5.25Wの冷却性能を備えている。PI430AJの冷却システムでは、銅製のヒートスプレッダにAirJet Miniを2基搭載することで、約10Wの冷却性能を実現した。
仕組を聞いてもなかなか理解しづらいが、実際にPI430AJ後方の排気口付近に手をかざしてみると、熱気がしっかり排出されていることを実感でき、その近くに風車を置くと勢いよく回転する。
これまでにない新たな仕組ではあるが、PI430AJのような超小型PCに最適な冷却システムであることは間違いなさそうだ。従来のこの筐体でのファンレスモデルでは、プロセッサにデュアルコアCeleron、メモリにDDR4、内蔵ストレージにeMMCしか採用できなかったが、このAirJet Miniを利用することで、プロセッサに8コアのCore i3-N300、メモリに8GBのLPDDR5、内蔵ストレージにM.2 SSDを搭載できるようになったとのこと。
さらに、AirJet Mini自体には駆動部がないため、ファンのように大きな騒音が発生せず、物理的な故障も発生しづらいという。そのため、24時間365日安定した動作が要求される用途に最適としている。
展示されていたのはまだプロトタイプではあるが、年内の発売を予定しているという。
GeForce RTX 4070搭載やRyzen 7搭載のZBOX新モデルも展示
このほかにもブースでは、GeForxe RTX 40シリーズを搭載するZBOXシリーズのゲーミング向けモデルや、ZBOXシリーズではめずらしいAMD製APU搭載モデルなどの新モデルも展示していた。
GeForxe RTX 40シリーズ搭載モデルとなるのが、最新の「MAGNUS ONE ERP74070C」だ。容量8.33リットルの小型ボディながらプロセッサにCore i7-13700、ビデオカードにZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 12GB GDDR6Xを内蔵し、優れた性能を発揮する。
内部にSO-DIMMスロットを2本用意し、DDR5-5600/5200を最大64GB搭載可能。また、PCI Express 4.0対応のM.2スロットと、PCI Express 4.0/Serial ATA対応のM.2スロットを1本ずつ、2.5インチシャドーベイを装備。無線LANはWi-Fi 6準拠。ボディカラーはブラックとホワイトを用意する。
次に、「MAGNUS EN374070C」は、Core i7-13700HXとGeForce RTX 4070 Laptopと、モバイル向けのプロセッサとGPUを採用するモデル。
それらをデスクトップシステム向けの冷却機構を備える2.65リットルのボディに搭載することで、余裕のある冷却によって安定して最大限性能を引き出せるように配慮した点が特徴とのこと。こちらもゲーミング用途に申し分なく対応できる製品となっている。
内部にはSO-DIMMスロットを2本、PCI Express 4.0対応M.2スロットとPCI Express 4.0/Serial ATA両対応のM.2スロットを1本ずつ用意。メモリはDDR5-4800を最大64GB搭載可能。このほか、Killer 2.5GbE LAN×2、Wi-Fi 6準拠無線LAN、Thunderbolt 4などを搭載する。
そして、AMD製APU搭載モデルとなる「ZBOX EDGE MA762」も展示。プロセッサにRyzen 7 7840Uを採用し、0.64リットルの超薄型ボディながら、優れた性能を発揮するPCとして利用可能という。
内部にはSO-DIMMスロットを2本、M.2スロットを1本用意し、メモリはDDR5-5200を最大64GB搭載可能。無線LANはWi-Fi 6準拠。
これらのZBOX新モデルは、いずれも年内発売を予定しているとのことだ。
エンベデッドPC「ZBOX PRO」も存在感あり
エンタープライズ向け小型エンベデッド(組み込み)PC「ZBOX PRO」も多数展示されていた。
その中で超小型ケースを採用するファンレス仕様の最新モデル「ZBOX PRO PI339-P」が特徴的だった。
本体上部に放熱用の大きなヒートシンクを備えている点は従来モデルと同じだが、プロセッサにクアッドコアのIntel N100を採用することで、従来モデルからのパワーアップ。搭載ポートもHDMI×2、ギガビットイーサネット、USB 3.1×2に変更されているという。
このほか、MXMモジュールを利用して幅広いカスタマイズが可能な「QRP7N3500」や、NVIDIA Jetson採用PCなどを展示した。
[制作協力:ZOTAC]