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ASUSは水冷/最上位「MATRIX」のGeForce RTX 4090やクリエイター向け「ProArt」の新型パーツを拡充

注目のROG Allyほか最新モデルから間もなく登場の製品まで多数(COMPUTEX AKIBA出張所 / ASUS編)

 PC/IT関連の見本市「COMPUTEX TAIPEI 2023」が、5月30日~6月2日(現地時間)の日程で台湾で開催されている。このレポートではASUSブースで目立った展示物を紹介しよう。

2ブース体制で製品をアピールするASUSブース、ハイエンドPCパーツに最新PC「ROG Ally」、Wi-Fi 7対応ルーターなどを展示

 ASUSのブースは、白いASUSブース、黒赤のROGブースと2つ並ぶ形式が2019年から続いている。ROGブースでは、前面に発表間もないROG Allyの実機が多数並び、多くの来客者が取り囲んでいた。ASUSブースには、ASUSブランドのノートPCやスマートフォンなどさまざまな製品が展示され、その中にはTUFやProArtといったサブブランドの製品も含まれる。

ASUSブース
ROGブース

 電源やSATA、ヘッダピンなどを背面に備えるコンセプトマザーボードやそれを使ったデモPC、発表されたばかりのUMPC「ROG Ally」やWi-Fi 7対応ルーターなど、とがった製品の展示も行われていた。

以前コンセプトモデルとして発表されていたATX24ピンやEPS12Vなどのコネクタを裏面にレイアウトした「素人でも配線スッキリPCが組める」マザーボード
今回の展示では、ビデオカードに電力供給するコネクタがマザーボード上に新設され、裏面に貫通、そこから電力供給する仕様であることが判明した
Wi-Fi 7対応のゲーミングルータ「ROG Rapture GT-BR98」も
発表されたばかりの「ROG Ally」も多数実機を展示、内部構造がわかるサンプルも

水冷ウルトラハイエンドモデル「MATRIX」が復活現行最上位となる「ROG Matrix GeForce RTX 4090 Platinum 24GB GDDR6X」をデモ

 まずはCOMPUTEX開催と同時に発表されたROGの水冷ビデオカード「ROG Matrix GeForce RTX 4090 Platinum 24GB GDDR6X」。“MATRIX”を冠する水冷ビデオカードはROG-MATRIX-RTX2080TI-P11G-GAMING以来だ(ASUSの水冷ビデオカード自体はRTX 30シリーズでも投入されている)。

ASUS「ROG MATRIX GEFORCE RTX 4090」。ROG MATRIXがGeForce RTX 4090になって再来
大きな外装の内側にある一回り小さなカード部へとチューブが導かれている

 ROG Matrix GeForce RTX 4090 Platinum 24GB GDDR6Xのビデオカード部は、まず水冷チューブの根本部分に注目してほしい。フローティング・デザインと呼べばよいだろうか。一回り大きな外装内にもう一つカード部があり、そこへチューブが接続されている。カード自体は直線で構成されたシンプルな形状ながらROGデザインである、というプレミアが加わる。

 このようなデザインを採用しているためカード高はかなりあり、さらに12VHPWRを挿すことを考慮すると、組み合わせるPCケースも注意が必要だろう。もちろんライザーを使い、垂直レイアウトでデザインを愛でる実装が理想的だ。一方、カード長はマザーボード(E-ATXだろうか)の後端とほぼ同じでそこまで長いものではなく、厚みも2.5スロット程度だ。

カード高は背面ブラケットから大きくはみ出すサイズ。ただしカードの厚みは2.5スロット程度
チューブの分のスペースが必要になるが、カード長はデモ機のマザーボードと同じくらいに収まっている
ラジエータは36cmクラス。各ファンのケーブルが見えないとおり、ディジーチェーン対応ファンが採用されている

 具体的な数値は公表されていなかったが、スペックシートには「Highest GPU Boost Clock」と記載があり、GPUのBoost Clockはかなり高めの設定であるようだった。また、液体金属のサーマルコンパウンドが採用されており、ポンプ部の流量も最適化されている。これに繋がるラジエータ部も36cmクラスで大きい。ディジーチェーン対応のLED搭載ファンが組み合わされ、Aura Syncによるイルミネーションも可能だ。

 この製品はコンセプト展示ではなく製品化を目指したものとのこと。時期は未定、価格も未定、数量限定モデルとのことだが、日本でも発売を予定しているとのことなので期待したい。

クリエイター向けのProArtシリーズが拡充オールブラックのGeForce RTX 4070 Tiや水冷クーラーも登場

 クリエイター向けの「ProArt」シリーズは現在製品群を拡大中。これまではディスプレイやマザーボードがメインだったが、今回展示されていた新製品からビデオカードをまずは紹介しよう。

クリエイター向け設計の「ProArt GeForce RTX 4070 Ti OC edition 12GB GDDR6X」
3連のAxial-techファンで耐久性重視。厚みも抑えて拡張スロットを有効利用できる

 「ProArt GeForce RTX 4070 Ti OC edition 12GB GDDR6X」は、ブラックとゴールドというProArtのデザインコンセプトを受け継ぐビデオカード。クリエイター向け製品というとホワイトやシルバーを用いるケースが多いが、ProArtでは「上質」な黒をベースとした配色を選択しているという。また、性能的にはゲーミングのようにハイエンド志向というわけではなく、性能を求めつつも、実際の制作環境として求められる静音性も考慮した設計とされている。

 ファンは3連でAxial-techを採用。軸は耐久性に優れるダブルボールベアリングだ。厚みは2.5スロット厚でスロット占有数が抑えられている。比較的消費電力がマイルドなGeForce RTX 4070 Tiを採用しているから、とも言えるが、拡張カードを追加するニーズが高いためでもある。このちょうどよい性能とサイズ感は実用面からも注目を集めそうだ。

42cmクラスの簡易水冷CPUクーラー「ProArt LC 420」
LGA 1700/1200/115x、AM5/AM4対応で、ファンはNF-A14。
ProArtのマザーボード、ビデオカード、水冷CPUクーラーを組み合わせるとこのとおり
統一コンセプトのクリエイター向けPCが組み上がる

 ProArtシリーズが製品群を拡大しているという話は、現在のラインナップが並ぶと実感できる。マザーボードやディスプレイ、マウスなどはすでにご存知だろう。ここに新製品として420mmmクラスの簡易水冷CPUクーラー「ProArt LC 420」も展示されていた。マザーボード、今回のビデオカード、そして新製品のCPUクーラーを組み合わせたデモ機を見ると、ProArtのコンセプトでPCが1台組めてしまうというのが実感できる。ファンにはNoctua NF-A14が採用され、こちらも性能だけでなく静音性も考慮した製品だろう。

マウス「ProArt Mouse MD300」
完成PC「ProArt Station PD5」
キャリブレーション対応ディスプレイ「ProArt Display PA32UCXR」
液晶ペンタブレット「ProArt Display PA169CDV」。ワコムの技術を採用したモデルで、ペンなどはワコム製品と互換性がある。割安感のある価格で投入が検討されているとのこと
マイクロLEDディスプレイ「ProArt Cinema PQ07」

 発売済みの製品も含まれるが、ProArtとしては、マウス「ProArt Mouse MD300」、完成PC「ProArt Station PD5」、キャリブレーション対応ディスプレイ「ProArt Display PA32UCXR」、液タブ「ProArt Display PA169CDV」などが並んでいた。加えてブース入り口には超巨大なマイクロLEDディスプレイ「ProArt Cinema PQ07」。今回のイベント用に用意したサイネージかと思っていたが、れっきとした製品だそうだ。高性能かつ組み合わせにより大画面化もできるマイクロLEDのメリットを活かし、ハリウッドで活動するような映像スタジオのマスターモニターとして使われるのだとか。

96%サイズ・ROG NX Snowスイッチを採用のワイヤレスキーボード「ROG Strix Scope II 96 Wireless」

 最後はROGブースに展示されていたゲーミングキーボード「ROG Strix Scope II 96 Wireless」。

 96%サイズとしたことで10キー付きながらマウス操作のスペースを広くとれるコンパクトな製品に仕上がっている。ワイヤレスでRGBイルミネーションも備えているが、そのほかにも右上のコントローラとスイッチを備えるのが特徴的だ。

「ROG Strix Scope II 96 Wireless」

 ワイヤレス機能については、2.4GHz接続時は同社が「near-zero latency」とうたう低遅延の「ROG SpeedNova」技術を利用可能で、有線接続を好むプレイヤー層にも訴求できるスペックだろう。また、バッテリー駆動でありながらLEDを搭載しており、およそ90時間は利用できるとされている。

 本体右上のコントローラはROGロゴのボタンとその横のホイールで構成されている。ROGロゴ部を押すとエンターと10キーの間にあるインジケータのLEDが切り換わり設定する項目を選べる。そのまま、ホイール操作をすれば+/-の要領で設定を変更できる仕組みだ。実際に操作をしてみると、Fnキー+特定のキーを連打するよりも直感的なように感じる。

バッテリー駆動のワイヤレスでLED搭載、駆動時間は90時間
写真右上にあるのがROGロゴとホイールのコントローラ。Enterと10キーの間にLEDのインジケータがあり、これをROGロゴボタンで切り換え。ホイールで+/-の調整をする

 採用スイッチは「ROG NX Snow」。メカニカルスイッチで、キャップを装着する部分が通常ならプラス(+)型のみのところ、このスイッチでは左右の周囲も突き出している。+型のみのものよりも、キー押下時のキャップのグラつきを抑えられるとのこと。もちろん全くブレないというわけではないが、軽減されている感はある。ほか、内部にシリコンマットを挟むことで打鍵音を抑えているとのことだ。

ROG NX Snowスイッチを採用。独特の形状がキー押下時のブレを抑える

[制作協力:ASUS]