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冷却重視のカード設計!ASRock「Radeon RX7800 XT Phantom Gaming 16G OC」【VIDEO CARD LABORATORY】
DOS/V POWER REPORT 2023年秋号の記事を丸ごと掲載!
2024年2月12日 10:05
残暑の熱も吹き飛ばすトリプルファン構成
競合より格上スペックを格安で提供するAMD
RDNA 3世代の新GPU「Radeon RX7800 XT」は、RDNA 3世代のWQHDゲーミング向けのGPUとして「RX 7700XT」と同時に投入されたGPUだ。
コスト志向のRX 7700 XTが前世代のWQHD向けGPU(RX 6700 XT)のCU数増加版なのに対し、RX 7800 XTはメモリバス幅256bit、ビデオメモリ搭載量16GBと、RX 6800やRX 6800 XT相当のスペックを備えている。
同じWQHD向けのRTX 4070搭載カードが8〜10万円で流通していること、さらにRTX 4080がビデオメモリ 16GB搭載であることからある思惑が読み取れる。すなわちRX 7800XTはAMDが成長率激しいWQHDゲーミングGPUでの優勢を取るために、あえて格上のスペックを持つGPUをぶつけてきたというわけだ。
キツめのOC設定にふさわしい冷却重視のカード設計
今回紹介するASRock「Radeon RX7800 XT Phantom Gaming 16G OC」は、同社製RX 7800 XT搭載の中でももっともOC設定が高い、ブーストクロック2,565MHzのカードだ。RX 7800 XTのリファレンスカードが全長26.4cm& 2連ファンで凝縮感のある設計なのに対し、本製品は32.8cm& 3連ファンで冷えを重視している(冷却性能は後述)。3基あるファンのうち中央は逆回転してヒートシンクに当たる気流をうまく散らす設計など、同社がこれまで培ってきたノウハウもふんだんに投入されている。
性能評価にはRX 7800 XTのリファレンスのほかに、一つ格上のRX 7900 XTや1世代前の同格RX 6800 XT、さらに価格的ライバルであるRTX 4070を準備。「3DMark」ではリファレンスに対してはスコアが3%前後上回るものの、CU数で上回るRX 6800 XTに軍配、さらにレイトレーシング系テストではRTX 4070におよばず(これは仕方のないところ)とRDNA 3世代としてはもう一声欲しい印象に。RX 7900 XTに対してはスコア差が大きく、負荷の高いFire Strike UltraやTime Spy Extremeでは20〜23%の差がある。また、RX 6800 XTとの差は、RX 6800 XTのほうがCU(Compute Unit)もInfinity Cacheも多いから、と推察される。RX 7800 XTのInfinity CacheはRX 6800 XTよりも1世代進んでいるが、残念なことに3DMarkでは効かなかったようだ。
下位モデルRX 7700 XTの登場でRTX 4070を完全包囲!?
RX 7800 XTと同時に発売されたRX 7700 XTは、RTX 4070よりやや安い価格帯に投入されたWQHDゲーミング向けのGPUだ。メモリバス幅192bit、かつビデオメモリ12GBというスペックは前世代のRX 6700 XTやRX 6750 XTの延長線上にあるが、RX 7700 XTのほうがCU数が多い。一方、RX 7800 XTでは、「BIOHAZARD RE:4」のようにビデオメモリを多量に消費するゲームでも4Kで安定して60fps以上出せるのに対し、RX 7700 XTは4Kで一気に息切れする印象。RTX 4070よりもやや性能は下だが、RTX 4060 Ti (8GB/16GB)ではもの足りないという人にとって、RX 7700 XTは費用対効果に優れるGPUになっている。
解像度WQHD以上で本領を発揮 消費電力の大きさはRDNA 3の宿命
3DMarkでは今一つな印象だったRadeon RX 7800 XT Phantom Gaming 16GOCだが、実ゲームでは少々異なる様相を見せる。「オーバーウォッチ2」、「Forza Horizon 5」のようにフルHDではRX7800 XTリファレンスカードと差がない(あっても誤差の範囲)ものもあるが、解像度が高くなるほどにリファレンスカードとの差は開く。フレームレートの上げ幅は少ない場合で1%、多い場合ではリファレンス仕様とのクロック増分に近い7%程度となった。前世代のRX 6800XTはCU数でRX 7800 XTより上だが、とくにファクトリーOCモデルである本製品に対してそのアドバンテージを発揮できていない。「Call of Duty:ModernWarfare Ⅱ」や「Starfield」では、解像度が上がれば上がるほど、より設計の進んだRX 7800 XTが有利になる。
また、Radeon RX 7800 XT PhantomGaming 16G OCはリファレンスカードよりも大型のクーラーを採用しているため冷却性能も優秀だ。RX 7800 XTリファレンスカードは小型化されているためGPU温度、とくにGPUホットスポット温度が90℃に達するのに対し、本製品では86℃近辺で止まる。GPU温度そのものも65℃前後で踏みとどまるため、長時間ゲームを楽しみたい人には心強い。ただこれだけ温度差があっても、クロックに関してはリファレンスカードと大差ない。シェーダークロックはRadeon RX 7800 XT Phantom Gaming 16GOCのほうがわずかに高く、これがグラフィックスパフォーマンスの優位性を支えている。
ただ残念なのは消費電力だ。リファレンスカードに比べ描画時の消費電力は約40W増えている。ファクトリーOCモデルの宿命とも言えるが、RTX 4070を基準にすると80W高いのは少々残念。ただ、RX 6800 XTよりも消費電力が抑えられており、この点はRDNA 3のプロセスにおける大きなアドバンテージだ。
KTUはこう見た!
RX 7700 XTとRX 7800 XTは、WQHDゲーミング向けのGPUという点では同じだが、ポテンシャルは劇的に違う。RX 7800 XTは4Kでも攻められる余地がRX 7700 XTよりもずっと広く、価格差を考えると、少々頑張って1ランク上のRX 7800 XTを狙う意義は高い。RTX4070に比べレイトレーシングの性能では一歩劣るものの、BIOHAZARD RE:4のようにしっかり動くゲームもあり、Radeonでもレイトレーシングを積極的に使えて価格も高過ぎないという絶妙な塩梅だ。冷却力も高く、今後も長く使えるビデオカードになるだろう。
CPU | AMD Ryzen 7 7800X3D(8コア16スレッド) |
マザーボード | ASUSTeK ROG STRIX X670E-F GAMING WIFI(AMD X670E) |
メモリ | Micron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2) |
システムSSD | Micron Crucial T700 CT2000T700SSD3[M.2(PCI Express 5.0 x4)、2TB] |
データSSD | Silicon Power SP002TBP34A80M28[M.2(PCI Express 3.0 x4)、2TB] |
電源 | Super Flower LEADEX PLATINUM SE 1000W(1,000W、80PLUS Platinum) |
OS | Windows 11 Pro |
アイドル時 | OS起動10分後の値 |
高負荷時 | 3DMark-Time Spyデモモード実行中の最大値 |
電力計 | HWBusters Powenetics v2 |
オーバーウォッチ 2 | マップ“Eichenwalde”におけるbotマッチ観戦中のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
Call of Duty:ModernWarfare Ⅱ | ゲーム内のベンチマーク再生中のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
Forza Horizon 5 | ゲーム内のベンチマーク再生中のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
BIOHAZARD RE:4 | 序盤に訪れる村落付近を移動する際のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
サイバーパンク2077 | ゲーム内のベンチマーク再生中のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
Starfield | ゲーム中の都市“ニューアトランティス”内を移動する際のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
温度およびGPUクロックの推移 | BIOHAZARD RE:4(解像度フルHD、最高画質+レイトレーシング)を10分プレイしたときの温度とGPUクロックをHWiNFO Proで測定 |
[TEXT:加藤勝明]
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