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【最新自作計画 第78回】PC自作の未来を見据える、最新トレンドで固めたNEO自作PC
DOS/V POWER REPORT 2024年冬号の記事を丸ごと掲載!
2024年9月18日 11:05
今回のコンセプト
自作PCが楽しくなる最新トレンドに注目
デザインやイルミネーションをより一層楽しめるピラーレス構造や、組み込みを簡単に行なえるようにする最新のギミックに注目してパーツを選択した
重要なパーツは長く使えるものに
CPUは14世代Coreシリーズの中でも高性能なCore i7、ビデオカードも最新世代のアッパーミドルモデルをチョイスし、長く使えるPCを目指す
78回を数えた作例連載「最新自作計画」も、本誌連載としては最終回となる。この節目にふさわしいテーマとして今回選んだのは、未来を見据えた最新トレンドPCだ。
性能を数字で判断しやすいCPUやGPUはその進化が分かりやすいが、自作PCの進化は決してそれだけではない。PCケースでは、20数年前と比べてデザインが大きく洗練され、冷却などの機能も大進化を遂げた。さらにここ最近では、アドレサブルLED搭載パーツによる美しいイルミネーションをさらに楽しめる「ピラーレス構造」が注目を集めている。CPUクーラーでもここ数年で水冷の重要性が急上昇し、めざましい変革が起きている。今回はそんな変わり続ける自作PCの未来をイメージし、これからの最新トレンドを網羅した渾身の1台を組み上げた。ぜひご覧あれ。
本稿は2024年12月にテストおよび執筆された記事をそのままWebに転載・掲載しています。そのため、ハードウェアおよびBIOS/UEFI、アプリケーションなども当時の設定やバージョンであり、各種テスト結果や考察などもこれに基づいています。
元記事執筆後には第13世代および第14世代Coreの不具合対応が行われており、同じシステム構成であっても、現在のBIOS/UEFIのバージョンで同じテストを行った場合とテスト結果が異なることが考えられます(パフォーマンス系のテストは当時よりも低下している可能性)。その点にあらかじめご留意いただきますようよろしくお願いします。
見栄えと組やすさを両立するPCケースやケーブル配線が楽になる新ギミックに注目
CPUは、最新の第14世代Coreシリーズから「Core i7-14700K」を選んだ。14世代Coreシリーズは、13世代と比べてクロックが上がっただけというモデルが多いが、Core i7-14700KはCore i7-13700Kと比べるとEコアが4基増えていることに注目した。
PCケースは「H6 Flow」を選んだ。前面と左側面に強化ガラスを採用、しかも左前面の支柱がない流行のピラーレス構造なので、LEDや組み込んだパーツのデザインをじっくり見て楽しめる。デュアルチャンバー構造を採用するためメンテナンス性にも優れる。
組み込みやすさという面では、ファンの回転数やLEDを統合型ユーティリティで制御でき、ケーブルの接続がシンプルな「iCUE LINK」に対応する最新の簡易水冷型CPUクーラー「iCUE LINK H150i RGB」にも注目してほしい。従来の簡易水冷型CPUクーラーと比べると、組み込みは驚くほど楽だ。
内部が二つに分かれたデュアルチャンバー構造 簡易水冷型CPUクーラーの組み込みがラク!
H6 Flowではデュアルチャンバー構造を採用しており、マザーボードやビデオカード、簡易水冷型CPUクーラーなどメインパーツは左、電源ユニットは右のスペースに組み込む。内部にかなり余裕があるため、組み込みで苦労することはない。またメッシュ構造の天板は着脱可能で、ファンマウンタ部分は広く空いた状態になっている。EPS12V電源ケーブルや各種ファンケーブルなどの接続や整理はしやすかった。
また今回の作例のように組み込むファンやLED対応パーツの数が多い場合、ケーブルの整理に悩むことが多い。しかしiCUE LINK対応のiCUE LINK H150i RGBを利用したこともあって、構成する各部品の組み込みやケーブル接続は非常にラクだった。3基のファンはコネクタ同士を合わせてカチンとくっつけるだけ、ケーブル接続も最小限でOKというのは、今までにない経験だった。
重量級の最新PCゲームもDLSS 3対応なら4K解像度もOK
ピラーレス構造では、左前面の支柱が1本削られる。たったそれだけのことだが、左斜め前から見た場合に視線を遮るものがなくなるため、内部に組み込んだアドレサブルLED搭載ファンで照らされるケース内部の様子やパーツのデザインをじっくり堪能できる。実際に組み込むと想像以上にその効果は高く、今後見栄え重視の構成では、不可欠のギミックになっていくことは間違いない。
もう一つ未来を感じたのが、iCUE LINK対応のiCUE LINK H150i RGB。組み立て編でも簡単に解説したとおりだが、三つのファンは小さなコネクタ同士で連結するだけだ。またファンの給電やLEDの制御、水冷ポンプの制御も1本のケーブルで制御ユニットに接続するだけでよい。今まで作ってきたイルミネーション重視の作例と比べると、ケーブル整理の苦労が格段に軽減される。本当に革新的なシステムだと感じた。こうした機能を取り込んだ簡易水冷型CPUクーラーやファンは、今後増えていくだろう。
ただこうしたギミック面だけではなく、肝心の性能や冷却力が気になるユーザーは多いだろう。今回はCPU中心に負荷がかかる状況として「CINEBENCH R23」、そして長時間のPCゲームプレイを想定した3DMarkの「StressTest(Time Spy)」を実行したときの温度を計測した。
事実上無制限となるMTP 4,096W設定時のCPU温度は、CINEBENCH時で98℃。このクラスの簡易水冷型CPUクーラーでも冷やし切れないようだ。ただPコアの動作クロックは最高の5.5GHzで安定していた。253Wに制限した場合は81℃まで低下し、5.2GHz前後で安定していた。3DMark時のGPU温度も70℃以下と、長時間のPCゲームプレイでも安心して利用できそうだ。
制作後記
現時点で筆者が注目した最新パーツを詰め込んだ1台なので、高い性能に加え、見た目もスタイリッシュに仕上がり満足感は高い。また組み込みやすさや扱いやすさにも秀でており、最新世代自作PCの完成度の高さを再確認できる結果となった。これからの未来へ向けて長く安心して使っていけることだろう。
室温 | 21.8℃ |
サイバーパンク2077 | グラフィックス設定は[レイトレーシング:ウルトラ] |
アイドル時 | OS起動10分後の値 |
3DMark時 | 3DMarkのStressTest(Time Spy)を実行したときの最大値 |
CINEBENCH時 | CINEBENCH R23実行時の最大値 |
温度 | 使用したソフトはOCCT 12.0.13でCPUはCPU Package、GPUはGPU Temperatureの値 |
MTP | [4096W(Water Cooler)]と[253W(Boxed Cooler)] |
[TEXT:竹内亮介]
DOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載
今回は、2023年末に休刊したDOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載しています。
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