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ASRockの“ゲーミング”USBポート「Lightning Gaming Ports」の効果

DOS/V POWER REPORT 2024年冬号の記事を丸ごと掲載!

高性能ゲーミングマウスをフル活用する専用ルート!?

 CPUやGPUの性能をフルに引き出すためにマザーボードが重要なのは言うまでもないが、ゲーミング環境においては、「ゲームにおける操作性の向上」や「ゲーム中に感じるストレスを低減」といった面でプレイヤーをサポートしてくれる。

 今回注目するのは、ASRockのゲーミングマザーに搭載されている「Lightning Gaming Ports」だ。

バックパネルのUSBポートのうち、この2ポートがLightning Gaming Ports対応のUSBポート

繊細かつ素早い動きを完璧に支えるLightning Gaming Ports

 PCでゲームをプレイする場合、操作にはUSBに接続されたマウスとキーボードを使うのが一般的。普通の使い方であればマウスやキーボードの動きに著しく遅延が生じるようなことはめったにないが、同一の回路上に接続された高ポーリングレートのマウスとキーボードから大量の入力が行なわれると、信号の“渋滞”が発生しかねない。この渋滞はゲーム中の操作の遅れやミスにもつながり、操作系が原因の遅延や動きの乱れは、“ガチゲーマー”の大きなストレスにもなる。

 これを根本的に改善しようというのがLightning Gaming Portsだ。仕組は非常に分かりやすく、マウスとキーボードの接続をそれぞれ別の経路に分離するというもの。Lightning Gaming Portでは、二つのUSBポートの一方をPCHのUSBインターフェースに直結、もう一方をUSBブリッジチップを介してPCHに接続する。これにより、マウスとキーボードの信号はそれぞれ別の回路上でやり取りされることになる。両方のデバイスが互いに悪影響を与えることがなくなるので、きわめて小さいジッタレイテンシで動作し、最高の性能を発揮できるようになるのだ。

Lightning Gaming Portsの簡単な仕組の図。マウス用、キーボード用にそれぞれ別のUSBの回路を用意することで“交通”を完全に分離して混雑を回避。正確で安定した操作を可能にする
Lightning Gaming Ports搭載の「Z790 Nova WiFi」。同機能はPGシリーズ上位モデルやTaichiなどに搭載されている

別回路化で互いの干渉を排除 高速かつ安定した処理を可能に

 理屈は分かるが、効果はどうなのだろうか。下の図は、ASRockのラボで計測された高ポーリングレートのマウスを一定時間大きく動かし続けたときの反応速度とタイミングの分布を専用ツールで計測したものだ。
 テスト条件は、①マウスのみを動かす、②マウスとキーボードを通常のUSBポートに接続してキーボードでキーを8個同時に押したままマウスを大きく動かす、③マウスとキーボードをLightning Gaming Portsに接続して②と同じ操作を行なう、という3種類。グラフ上の青い点が緑の線の上下に外れたり、横軸方向の間隔がバラついたりした場合は「マウスの反応が乱れた」ことを示す。

テスト① マウス単体で計測テスト
テスト② 通常のUSBポート+マウス&キーボードで計測
テスト③ Lightning Gaming Ports+マウス&キーボードで計測

 負荷の低い①は上下のぶれがなく横方向の間隔も一定だが、通信量が多い②では点の上下位置も横軸方向の間隔もばらついている。

 注目はLightning Gaming Portsを使った③の結果。通信量は②と同じだが、②に見られた乱れが解消されきれいな分布になった。た
とえるなら、競技型FPSで素早い動きと正確なエイミングを行なう際にジャストタイミングの動きができる、ということになる。

 繊細な指先の反応を追求したいガチゲーマー向けの機能ではあるが、高性能なゲーミングマウスのポテンシャルをフルに発揮させ、あらゆるストレスを排した最高のプレイ環境を作りたいならぜひ試してみてほしい。

[TEXT:編集部 内田泰仁]

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 今回は、2023年末に休刊したDOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載しています。

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