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まだまだ現役の傑作モバイルPC「Surface Pro 8」のSSD不足をSSD換装で解消する!全工程を一挙解説!!
Micron 2400なら性能アップで快適度も向上 text by 芹澤 正芳
- 提供:
- Micron
2023年9月12日 00:00
Microsoftの2in1ノートPCとして人気の「Surface」。とくにProシリーズは歴代のモデルが高性能で使い勝手もよいため、旧モデルを使い続けている人も多いだろう。しかし、性能に不満はなくてもSSDの容量不足に悩んではいないだろうか。そこで、今回は容量不足解決の決定打となるSurface Pro 8のSSD換装手順を紹介していきたい。対応するサイズのSSDさえ用意すれば、意外とカンタンに大容量化が可能なのだ。
動画で解説! Surface Pro 8の大容量SSD換装!!
2230規格のM.2 SSDを用意するのがポイント
Surface Proシリーズは薄型のモバイルPCなので、SSDの換装は容易ではないと思われがちだ。確かに旧モデルはそれが当てはまるが、比較的新しいSurface Pro X、Surface Pro 7+、Surface Pro 8、Surface Pro 9は、着脱が容易なM.2 SSDが採用されているうえ、搭載されているスロットへのアクセスもカンタンになっている。
今回はSurface Pro 8(Core i5、メモリ16GB、SSD 256GB)を例に、SSD換装にチャレンジしていきたい。最大のポイントと言えるのが、対応するSSDのサイズだ。PCI Express接続のM.2 SSDが採用されているが、一般的な「2280」規格ではなく、より短い「2230」規格が使われている点に注意が必要だ。
2230規格のM.2 SSDは、種類が2280よりも少なく、選択肢はさほど多くはない。とくに大容量かつ高性能となるとさらに厳しくなる。そこで今回はNAND型フラッシュメモリの開発から製造まで手がける大手メーカーMicronの「Micron 2400」を使用することにした。
Micron 2400は2230規格のコンパクトサイズながら、PCI Express 4.0 x4(Gen 4)接続に対応し、最大2TBの大容量モデルも用意。シーケンシャルリードで最大4,500MB/s、シーケンシャルライトで最大4,000MB/sと性能も十分だ。PCパーツショップや専門的なECサイトだけでなく、家電量販店でも販売されており、入手性も良好だ。
今回は256GBからの大幅容量増を狙って1TBモデルを使用した。また、Surface Pro 8の標準SSDはPCI Express 3.0 x4(Gen 3)接続なので、4.0 x4化による性能向上も期待できる。そのほかスペックは下記にまとめた。
容量 | 512GB | 1TB | 2TB |
フォームファクタ | M.2 2230 | ||
インターフェース | PCI Express 4.0 x4 | ||
プロトコル | NVMe 1.4 | ||
NANDフラッシュメモリ | Micron QLC NAND(176層) | ||
コントローラ | 非公開 | ||
シーケンシャルリード | 4,200MB/秒 | 4,500MB/秒 | |
シーケンシャルライト | 1,800MB/秒 | 3,600MB/秒 | 4,000MB/秒 |
総書き込み容量(TBW) | 150TB | 300TB | 600TB |
保証期間 | 3年(制限付き保証) | ||
実売価格 | 8,000円前後 | 14,000円前後 | 26,000円前後 |
USBメモリに回復ドライブを作成する
それでは、実際の換装作業に移ろう。今回の手順ではPCが初期化されるので、文書データやメディアファイルなど、SSD上に保存してある必要なデータ類はUSBメモリや外付けSSDなどにあらかじめバックアップしておこう。
新しいSSDのほかに必要なものは、回復ドライブ作成用のUSBメモリ。容量は16GBで作成できる場合もあるが、32GB以上を選んでおくと確実だ。また、Surface Pro 8にはType-C形状のUSBポートしかないので、USBメモリもType-Cに対応したものだと接続がラク。Type-A形状のUSBメモリを使う場合は、Type-Cへの変換ケーブルやコネクタも用意しておこう。
工具としては、SSDを固定するネジを外すためのT3のトルクスドライバー(Amazonなどのネット通販やホームセンターなどで購入できる)、M.2スロットのフタを外すのに必要ないわゆる“SIMピン”が必要。精密ドライバーセットを持っている人は少なくないと思うが、T3のトルクスは付いていない場合もあるので事前に確認を。SIMピンはスマホに付属しているものでよい(ゼムクリップの先端を曲げたものなどでも代用可能だ)。
また、必須ではないが、SSDをM.2スロットから引き抜くときに若干力を入れにくいので、物を掴みやすいピンセットも用意しておくとよりスムーズに作業できる。このほか、SSD冷却用のサーマルパッド(0.5mmまたは1mm厚)も用意しよう。サーマルパッドは2280サイズのことが多いので、必要な長さにカットしておく。
まずは、物理的なSSD換装の前に、Windowsを起動して回復ドライブを作成する。USBメモリをSurface Pro 8に接続し、回復ドライブを実行。USBメモリに必要なデータが保存されるのを待つだけだ。
M.2スロットにアクセスしてSSDを換装
回復ドライブの作成が完了したら、USBメモリを外し電源を一旦オフに。電源ケーブルも外してSSDの物理的な換装作業を行なう。
SSDのあるM.2スロットは、本体背面側、キックスタンドの内側にある。SSDスロットのカバーの横にある小さな穴にSIMピンを挿すとカバーが外れるので、T3のトルクスドライバーでねじを外し、SSDを取り外して換装用のMicron 2400の1TB版を取り付ける。
最後にサーマルパッドをSSDと同サイズに切って上に貼り付け、カバーを元に戻す。これで物理的な作業は完了。適切な工具さえ用意すれば、作業に難しいところはない。
回復ドライブを使ってWindows 11を再セットアップ
USBメモリに作った回復ドライブを使って、Windows 11を再セットアップしていく。とくに難しい手順はないので、画面の指示に従って進める。
別途クローニングアプリを用意すれば丸ごと引っ越しも可能
モバイルPCのSSD換装手順としてはこのほかにも、“クローニングアプリを使って元のSSDのクローンを新しいSSDに作成”→“元のSSDと新しいSSDを換装”という方法もよく使われる。
この方法には、クローニングアプリのほかにSSDを一時的に外付け化するためのNVMe対応の外付けケースが必須。Micron製でもCrucialブランドのSSDなら、クローニングアプリの無償ライセンスが付属しているので、前者の用意が不要なのだが、Micron 2400には用意されていないので、別途入手する必要がある。
実績や安定性を考慮すると、Crucialブランドで採用しているAcronis製のツールが有力候補だが、定番のクローニングアプリ「Acronis True Image」は、総合セキュリティ対策アプリ「Acronis Cyber Protect Home Office」にリニューアルされている。最新のパッケージ版Cyber Protect Home Officeを使って、クローニングを利用したSSD換装も試してみたが、作業の流れ自体は従来と変わりはなく、問題なく作業を終えることができた。
十分に整備された環境を再構築するのは大変なので、有償アプリを使ってでも引っ越しで済ませたい、という方にはこちらの方法もオススメ。
SSD換装で大容量化に加えて性能も向上
SSDを換装することで、性能がどこまで変わるかもチェックしてみよう。まずはストレージの速度を測定する定番ベンチマークの「CrystalDiskMark 8.0.4」から実行する。
Micron 2400の1TB版はシーケンシャルリードで4,563.9MB/s、シーケンシャルライトで3,556.2MB/sとほぼ公称通りの性能を発揮できている。換装前に比べてランダムアクセスも含めて向上した。
続いて、Microsoft Office、Adobeのクリエイティブアプリ、ゲームなどさまざな処理をシミュレートしてストレージの性能を測るPCMark 10のFull System Drive Benchmark、ゲームの起動、ロード、録画しながらのプレイなどゲームに関する多彩な処理速度をテストする3DMarkのStorage Benchmarkを試してみよう。
Micron 2400の1TB版はPCMark 10のスコアが約74%もアップと、アプリのレスポンスもよくなっているのが確認できた。Surface Pro 8でゲームをプレイする人はあまりいないとは思うが、3DMarkもスコアアップ。大容量化だけではなく。性能も向上していることを確認できた。
SSDの換装が手軽にできるSurface Proを持ってるなら注目
近年のSurface Proシリーズなら、SSDの換装が簡単にできるようになっている。2230規格のM.2を用意すれば容量不足を解消できるだけではなく、Surface Pro 8のように、標準のSSDがGen 3接続のタイプなら、Gen 4接続のMicron 2400に変えることでストレージの性能向上も可能だ。ストレージが128GBや256GBモデルを使っているなら、換装するメリットは大きい。
今回サンプルとして用意したSurface Pro 8は、第11世代のCore i5にメモリ16GB搭載とベースの性能は十分。若干頼りないSSDを強化すれば、まだまだビジネスやメディア鑑賞、軽めのクリエイティブ用途などにバリバリ活躍できるだろう。