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パワーアップしたCoreプロセッサー(第14世代)の性能を最大限引き出せる新ゲーミングマザー! ASRock「Z790 NOVA WiFi」
最新Core i9-14900Kをガッツリ回せる22フェーズ電源回路搭載 text by 芹澤 正芳
- 提供:
- ASRock
2023年10月18日 00:05
2023年10月17日、Raptor Lake RefreshことIntel Coreプロセッサー(第14世代)が発売された。今回は新たなチップセットは登場せず、Intel 700/600シリーズが引き続き対応環境となる。最上位のCore i9-14900Kはコア数こそ24コア32スレッドと前世代のCore i9-13900Kと同じだが、最大クロックは5.8GHzから6GHzにアップ。その性能を最大限引き出すために、各社から強力な電源回路を搭載した“リフレッシュ版”とも言えるZ790チップセット搭載マザーボードが登場している。
ここで紹介するASRockの「Z790 NOVA WiFi」もその一つ。同社のゲーミングマザー“Phantom Gaming”に属するモデルで、大規模な電源回路に加え、高い拡張性、充実のゲーム向け機能を備えている。ここでは、それらスペック解説に加え、Core i9-14900Kをパワーリミット無制限および定格のMTP 253Wで動作させたときの消費電力や電源回路(VRM)の温度、動作クロックなどを交えたレビューをお届けする。
6GHz動作も安心の20+1+1フェーズ電源回路
ARockの“Phantom Gaming(PG)”シリーズには、“Riptide”や“Lightning”などの名称を持つバリエーションがあるが、今回新たに“フラグシップゲーミング”という位置付けで加わったのが“NOVA”を冠する本製品、「Z790 NOVA WiFi」だ。Phantom Gamingの新たな最上位モデルにふさわしく、電源回路は20+1+1フェーズと90A SPSの組み合わせという大規模なもの。最大6GHz動作になるCore i9-14900Kをパワーリミット無制限で運用することも意識した設計で、同社既存製品でPhantom Gamingよりも上位にあたる「Z790 Taichi」(24+1+2フェーズ)に迫る。
コンデンサにもASRockでは初という高耐久の「20K Long Lasting Power Caps」を採用。さらに電源回路のヒートシンクには冷却ファンも内蔵と熱対策も万全となっている。動作音を増やすことになるファンの搭載は好みが分かれるところだが、Core i9-14900Kなど上位CPUを高負荷で長時間動かすと電源回路はどうしても熱くなる。ハイエンド構成で自作する場合ほど、電源回路にファンがあったほうが安心なのは確かだ。
PCI Express x16スロットは2基あるが、CPUに近い方がGen 5対応でx16動作。もう1基はGen 4対応でx4動作になる。どちらも強化スチール仕様だ。Gen 3のx1スロットも1基用意されている。
注目はM.2スロットが6基もあること。SSDを複数搭載してゲームをガッツリとインストールしたり、動画編集で大きなファイルを扱ったりする人にとってはうれしい仕様だろう。CPU直結がGen 5とGen 4の2スロット。残りは6スロットはチップセット経由でGen 4対応だ。
すべてのスロットにヒートシンクが搭載されており、熱対策も盤石と言える。スロットに装着したSSDをフックを回転させるだけで固定できるのも便利だ。さらに、Gen 5スロットのヒートシンクはワンタッチで取り外しが行える(そのほかのヒートシンクはネジ止め)。
CPUに一番近いGen 5対応のM.2スロットに取り付けたシーケンシャルリード7,000MB/sクラスのM.2 SSDに対して、ヒートシンクを接続した状態で10分間連続で書き込みを行う高負荷なテストを行なったが、コントローラの温度は最大で65℃、NANDは57℃とまったく問題のない温度だった。980 PROは比較的発熱の大きいSSDであることを考えると、十分な冷却力があると言える。
メモリはDDR5対応で、スロットは4本で強化仕様だ。DDR5-7800までサポートで最大192GBまで搭載が可能となっている。
インターフェースも見てみよう。バックパネルのUSBは、USB 3.2 Gen 2x2(Type-C)が1ポート、USB 3.2 Gen 2(Type-C)が1ポート、USB 3.2 Gen 2が4ポート、USB 3.0が3ポート、USB 2.0が2ポートだ。このうち2ポートが電源を安定供給するUltra USB Power仕様、2ポートがマウスやキーボードを低ジッター・低レイテンシーで接続できるLightning Gaming仕様となっているのが、ゲーミングマザーらしいところだ。
内蔵GPU用の映像出力としてDisplayPortとHDMIが用意されている。PCケースのUSBポート用として、USBピンヘッダで、USB 3.2 Gen 2x2 Type-Cが1ポート分、USB 3.0が4ポート分、USB 2.0が4ポート分が用意されている。ネットワーク機能は、有線LANがKiller E3100Gによる2.5G LAN、無線LANはWi-Fi 7(IEEE802.11be)対応だ。Bluetooth 5.4もサポートする。
新世代CPU、Core i9-14900Kとの組み合わせでブン回してみた!
それではここからは、Core i9-14900Kと組み合わせて実際に動かしてみよう。まずは、UEFIメニューや動作中の温度、クロック、消費電力などをチェックから。検証環境は以下のとおりだ。
CPU | Intel Core i9-14900K(24コア32スレッド) |
メモリ | DDR5-5600 32GB(PC5-44800 DDR5 SDRAM16GB×2) |
システムSSD | M.2 NVMe SSD 1TB(PCI Express 4.0 x4) |
ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 4090 Founders Edition |
CPUクーラー | 簡易水冷クーラー(36cmクラス) |
電源 | 1,200W(80PLUS Platinum) |
OS | Windows 11 Pro(22H2) |
UEFIによるCPUのパワーリミット設定は、基本CPUクーラーのタイプで決まる。ここではCore i9-14900Kを取り付けた場合となるが、選択肢は4種類あり、「360~420mm Liquid Cooler」では無制限、「240~280mm Liquid Cooler」ではPL1が253W、「120~140mm Liquid Cooler」ではPL1が180W、「Air Cooling」ではPL1が125Wに設定される。PL2はいずれも無制限と言える4,095W設定だ。PL2は時間制限付きの電力リミットなので、瞬間的にはどの設定でもパワーリミット無制限で動作することになる。PL1、PL2のリミットは手動でも設定が可能だ。
また、本機には新機能として「CPU Indicator」が追加され、UEFIに「CPU Quality」という項目が追加されている。これは“CPUの余力”を評価したスコアで、この数値が大きいほど手動でのオーバークロック設定時にスコアが伸びる可能性があることを示していると言う。オーバークロック耐性は使用するCPUの個体差によるところも大きい。この機能を手元のCPUの評価に活かしてみるのもいいだろう。なお、いつものお約束だが、実際のオーバークロックへの挑戦は自己責任のもとで行なっていただきたい。
また、DDR5メモリのOC設定として、IntelのOCメモリ規格「XMP」とAMDのOCメモリ規格「EXPO」の両方に対応。今回のテストにはXMP/EXPO両対応のメモリモジュールを使用したが、どちらのプロファイルも読み込みが可能だった。またDDR5-7400の高クロックメモリまで対応しており、筆者が手持ちのDDR5-7200メモリを試しに取り付けたが問題なく認識、Windowsも動作した。
ASRockおなじみの自動ドライバインストール機能の「Auto Driver Instraller」も搭載されている。OSインストール後、ネットワークに接続すれば必要なドライバ類を自動でインストールしてくれる便利な機能だ。
いよいよCore i9-14900Kの挙動をチェックしてみる。パワーリミットは無制限(360~420mm Liquid Cooler設定)と定格253W(PL1、PL2とも手動で設定)の2種類でテスト。DDR5はXMPプロファイルを読み込んでDDR5-5600駆動とし、簡易水冷のファン設定はiCUEアプリで「安定」とした。
まずは「CINEBENCH 2024」のMulti Coreテスト、「サイバーパンク2077」(フルHD、画質“レイトレーシング:ウルトラ”、DLSS“バランス”)をそれぞれ10分間実行し、CPU温度、VRM(電源回路)温度、Pコアの実行クロック、CPUの消費電力の目安となるCPU Package Powerおよびシステム全体の消費電力チェックする。
VRM温度に関しては、付属の物理的な温度センサーをVRMとヒートシンクの間に設置している。Z790 NOVA WiFiは物理的な温度センサーを3つまで取り付けられるのも特徴。VRM以外にもマザーボードやPCケースの好きな箇所の温度を測定できる。温度推移が気になる人にとってはうれしい機能だ。
それぞれの確認にはハードウェア情報を表示できるアプリ「HWiNFO Pro」を使用し、CPU温度は「CPU Package」、VRM温度は「Auxiliary」、Pコアの実行クロックは「P-core 0 T0 Effective Clock」、CPU Package Powerは同じ名称の「CPU Package Power」という項目を追った結果だ。システム全体の消費電力はラトックシステムの電力計「REX-BTWATTCH1」を使用している。
室温は22℃。システム全体の消費電力以外は、参考として前世代の上位モデル「Core i9-13900K」のパワーリミット無制限でCINEBENCH 2024実行時の値も入れている。14900Kとのクロックなど挙動の違いにも注目してほしい。
CINEBENCH 2024はCPUの全コアに負荷をかける強烈なベンチマークだ。CPU温度はパワーリミット無制限では、36cmクラスの簡易水冷クーラーを持ってしてもCPUが許容できる最大値の100℃にすぐ到達してしまうが、これは14900K、13900Kとも同じ動きだ。定格の253Wに設定した場合は、最大95℃、おおむね85℃前後で推移し、無制限設定時よりもだいぶ余裕が生まれる。サイバーパンク2077はゲームとしては高負荷だが、全コアに負荷がかかるほどではないので、パワーリミットに関係なく78℃前後での推移となる。
VRMの温度は大型ヒートシンクに加えてファンも搭載されているため最大でも45℃と低めの推移となった。CPU負荷が大きいはずのCINEBENCH 2024よりもサイバーパンク2077のほうがVRM温度が高いのはビデオカードから出る熱の影響を受けているためと考えられる。CINEBENCH 2024はビデオカードを使わないベンチマークだからだ。ハイエンドのビデオカードを使ってのゲームプレイでは、よりVRMの放熱は重要になると言ってよいだろう。
Pコアの実行クロックを見ていこう。CINEBENCH 2024はパワーリミット無制限では、約5.5GHzで推移、253Wでは約5.3GHzで推移となった。14900Kの253Wと13900Kのパワーリミット無制限がほぼ同クロックで推移しているのがおもしろい。14900Kは13900Kよりも最大クロックが200MHz底上げされているが、それがそのまま動作クロックの推移として現れている。この部分だけでも、Z790 NOVA WiFiがキッチリ14900Kの性能を引き出せていると見てよいだろう。サイバーパンク2077は負荷がかかるシーンでもCPU使用率は100%にはならず、2.3GHz~3.9GHzの間で推移した。
CPU Package PowerはCPUの消費電力の目安だ。CINEBENCH 2024のパワーリミット無制限では定格の253Wと大きく超えて、318W前後で推移した。13900Kは290W前後で推移だ。定格の253Wでは、ほぼ253Wで推移と設定通りの挙動となった。設定したリミットで超安定して動作するのは強力な電源回路があってこそだろう。サイバーパンク2077はパワーリミットに関係なく195Wでの推移となった。
パワーリミット無制限と定格の253W設定で性能をチェック
ここからは、ベンチマークで性能をチェックしよう。温度やクロックのテストと同じく、パワーリミットは無制限と定格253Wの2種類でテストする。
まずはCPUパワーを測る「CINEBENCH 2024」から。このテストだけは参考までにCore i9-13900K(パワーリミット無制限)も加えている。
動作クロックが高くなるパワーリミット無制限がトップスコアではあるが、253W設定と1%程度しか変わらない。13900Kとも1.5%ほどの差。CINEBENCH 2024でクロック200MHzの差だと、この程度しかスコアが変わらないということだろう。
続いて、PCの基本性能を測る「PCMark 10」、3D性能を測る「3DMark」を実行する。
PCMark 10は総合スコアで約1.2%の差だ。確かにパワーリミット無制限のほうがスコアはよいが消費電力も発熱も大きくなる。ワットパフォーマンスという視点で見れば、253W動作のほうが上と言えるだろう。3DMarkはビデオカードの依存度が高いテストなので、それほど差は付かない。唯一、Fire StrikeははCPUの計算力を見るPhysics testが含まれているので、差が出ているがそれでも約5%の違いだ。
続いて実ゲームの性能もテストしておこう。人気のFPS「レインボーシックス シージ」、ステルスアクションの最新作「アサシン クリード ミラージュ」、重量級の代表と言えるRPGの「サイバーパンク2077」を用意した。それぞれゲーム内のベンチマーク機能でフレームレートを計測している。
ゲームに関しては、パワーリミット無制限と253Wでほぼ差が出ていない。ゲームはCore i9-14900Kの24コア32スレッドを使い切るような場面がほとんどないためだ。それに、Z790 NOVA WiFiは253W設定できっちり253W分の性能を引き出して安定動作するという点でも、パワーリミット無制限と差が出にくくなっている。