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英語配列で高品質なゲーミングキーボードが欲しい人へ、ワイヤレス&75%サイズの「CORSAIR K65 PLUS WIRELESS」

高級感のあるデザイン、音量調節ダイヤルも搭載 text by 白倉甲一

「K65 PLUS WIRELESS(CH-91D411L-NA)」

 昔のPCゲームは日本語入力に対応していないタイトルも多かった。日本語配列のキーボードを使用していると、半角/全角キーなどを誤って押した際に操作が中断されることがあり、こうした誤爆を嫌って英語配列キーボードを選択するゲーマーが多い時代もあった。

 現在のPCゲームは日本語入力対応タイトルが大多数なので、誤操作を理由にキー配列を選ぶことはほぼなくなったが、英語配列のキーボードは今でもニーズがある。英語配列に慣れ親しんできたゲーマーはもちろん、日本語配列にはないメリットを理由に選ばれることもあり、国内向けにも英語配列モデルが投入される例は少なくない。

 今回紹介するCORSAIRの「K65 PLUS WIRELESS」は、一般的なテンキーレスキーボードよりもやや小さめの75%サイズの英語配列キーボード。ワイヤレス接続に対応し、価格は2万6千円前後だ。本機の特長はもちろん、英語配列という点にも注目して実機をチェックしてみよう。

ゴールドとブラックを基調にした高級感のあるデザインRGBバックライトが映えるショートサイズメカニカルキーボード

 「K65 PLUS WIRELESS」は英語配列の75%サイズゲーミングキーボード、小型でシンプルながらもゴールドとブラックを基調としたゴージャスな印象のカラーリングでRGBバックライトを搭載、見た目にも華やかだ。

正面、英語配列。左上のESCと右上のダイヤルキーや内部に金色が映えるデザイン。
背面、上部2カ所にチルトスタンドを備え小型モデルだが3つの角度をつけられる。
チルトスタンドを閉じた状態。
チルトスタンド1段階。
チルトスタンド2段階。

 スイッチ寿命7,000万回というCORSAIR独自のREDリニアメカニカルスイッチを採用。スムーズなタッチ感もウリとしており、リニアストロークスイッチは底打ちするのにはうってつけだ。フルNキーロールオーバーと100%のアンチゴースト、1,000Hzのポーリングレートにも対応しており、ゲーミングキーボードとしての性能も十分。

 筐体内部に2層の消音性レイヤーが組み込まれており、打鍵音を最小限に抑える構造になっている。タイピング時は、程よい打鍵音で気持ちよくキーを打つことができる。

スムーズなタッチ感をウリとするCORSAIR REDリニアメカニカルスイッチを採用。
スイッチ寿命は7,000万回とのこと。ホットスワップ対応なので好みのキースイッチに交換することも可能だ。
内部は2層の消音性レイヤーが組み込まれた構造になっている。
打鍵時の音の良さも特徴としてあげられている。

 本体サイズは320×136×35mm、本体重量は約922g。テンキーレスサイズより横幅が短く、ファンクションキーF1~F12まで搭載されているので、65%キーボードなどよりも操作感は通常のキーボードに近い。ショートカット操作を多用するユーザーには嬉しい部分だろう。

ファンクションキーがF1~F12まで物理的にあるので、ショートカット操作を多用するユーザーには便利。
サイド部分にキーボードバックライトの調節用スイッチも装備、バックライトは消灯することも可能。

 接続方法は有線USB、Bluetooth、専用レシーバーによる2.4GHzワイヤレスの3タイプで、本体上部のスイッチをスライドさせて切り替える事が可能。さらに、Bluetooth接続時は3台までの機器とペアリング可能で、所定のキーを押すことで簡単に接続先を切り替えることができる。

 AES暗号化通信にも対応しているのでビジネスシーンなどでも安心して使用可能。内蔵バッテリー駆動でバックライトを切った状態であれば最大266時間の連続使用が可能なので、かなりの長時間使用に耐えられる。内蔵バッテリーの充電はUSBケーブルを接続して行う仕組みだ。

 本体側のUSBポートはType-C形状で、USB Type-C - Type-Aケーブルが付属している。

本体側のUSBコネクタはType-C形状、付属のケーブルはUSB Type-C - Type-A(1.8m)。電源スイッチを切り替えることで、専用レシーバーやBluetoothへ接続方法を切り替えられる。
専用レシーバーは本体に収納できて持ち運びにも便利。また、備え付けのスイッチを切り替えればMacOS対応キーボードとしても使用可能だ。

 筐体右上には金属製のダイヤルを備えており、音量調節を即座に行えるだけではなく、Fnキーとの組み合わせて操作することでスクロールやズーム、バックライト調光なども行える。少し重めの回し心地でノッチもついているので、うっかり触れてしまって誤操作が起きるといった心配はないだろう。

 75%キーボードに限らず、コンパクトキーボードは、省略されたキーの操作はFnキーと組み合わせて入力するかたちとなる。前述したように「K65 PLUS WIRELESS」は右上にダイヤルを装備しており、ボリュームの調整はもちろん、Fnキーとの組み合わせでショートカット操作にも使える。これがなかなか便利で、キーボード上の少ないスペースを活用する点では理にかなっている。直感的にサッと操作もしやすく、多数のキーを同時押しするような面倒も無いので、個人的にかなり気に入った部分だ。

筐体右上に備えられたダイヤル。
ボリューム調整用のダイヤルとしてはもちろん、Fnキーと組み合わせて操作することで、スクロールやズーム、バックライトの調光なども行える。

 バックライトはRGB LEDを搭載しており、キーボード上のスイッチから調光やイルミネーションパターンの切り替えなどが行える。発色も鮮やかだ。

バックライトはRGB LEDを搭載。
鮮やかな色彩でゲーミングモデルらしい印象。単色での発光や消灯させて使うこともできる。
●CORSAIR専用ユーティリティ「iCUE」には今後のアップデートで対応予定

 「K65 PLUS WIRELESS」は現時点ではユーティリティの「iCUE」に対応準備中となっており、設定の変更などはキーボードから直接行う仕様となっている。ライティングやWinキーロックなどのゲーミング向け機能は、Fnキーと対応した組み合わせのキーを同時押しする事でハードウェア的に変更できる他、一部の機能は本体に搭載されている専用のボタンやスイッチからも行えるので、使用する分には大きな問題は無いだろう。

 「iCUE」への対応は2024年3月末頃と告知されており、アップデート後はより細やかな設定が可能になる予定だ。

ホームポジションからEnterやBackSpaceが押しやすい誤爆防止以外にもある英語配列キーボードのメリット

 冒頭でも少し触れたが、日本語入力に対応していないPCゲームを遊ぶ際は、英語配列キーボードを使用した方がトラブルが少ない。全角/半角キーなどに意図せず触れて日本語入力に切り替わってしてしまうと、ゲーム中に操作キャラクターが動けなくなってしまうという致命的な現象が起こり得る。昔からPCゲームを遊んでいるユーザーであれば経験があるのではないだろうか。

 現在であれば、大作ゲームや日本語ローカライズがしっかりされているようなゲームは、日本語配列キーボードでのプレイも考慮されているので問題ないが、海外版しか無いゲームや海外のインディーゲームでは今もトラブルに遭遇することもある。海外のゲームをいろいろ遊ぶのであれば、英語配列キーボードを選択する価値は今でもある。

 また、変換/無変換/かなキーがないことで英語配列はSpaceキーが非常に長くなっている。ゲームではジャンプ入力に割り当てられていることが多く、使用頻度も高いので、「Spaceキーの押しやすさ」という面に着目して英語配列キーボードを選択するゲーマーもいる。

日本語対応していないゲームは、ゲーム中に日本語入力に切り替わってしまうと操作を受け付けなくなることがある。画像のようにWASDでの移動が文字入力として認識され困った経験がある人もいるだろう。こうした問題を避けるのに英語配列キーボードを選ぶのはこだわるゲーマーの間ではセオリーだった。

 意図せぬ入力切替を防止するほかにも、英語配列にはホームポジションから小指でEnterキーやBackSpaceキーなどが押しやすいといったメリットもある。プログラムなど英語入力がメインの用途のユーザーには恩恵があり、疲労度や作業速度にも影響があるので、好んで選んでいるユーザーもいるだろう。

 慣れの面もあるのでキー配列は好みで選んで問題ないが、最適を求めるのであれば、用途に合わせて最適なキー配列を選べばより快適にキーボード操作を行うことができる。

英語配列キーボードはSpaceキーが長い。使用頻度が高いキーでもあるので、こちらの方が使いやすいという人も多いだろう。
今回の場合は75%キーボードなので右Shiftキーがやや短いが、英語配列はホームポジションからEnterキーなど右側のキーが押しやすい。こうした部分は大きなメリットだ。

マウス/キーボード配置の自由度が高い!なるべく小さいテンキーレスキーボード的に使える75%キーボード

フル機能、フルキーサイズのキーボードと比較するとかなりコンパクトなので、マウスを置く場所の自由度が高く、スペースも広くとれる。

 ゲーム用途ではマウスとキーボードの距離が開きすぎないように、少しでも小さいキーボードを選択するのが現代の主流。とはいえ、F1~F12のファンクションキーは普通に使いたいし、ESCキーも頻繁に押すとなると、なるべくキー配列は一般的なキーボードに近い方が扱いやすい。

 そうした時におすすめなのが75%キーボードになる。縦幅はそれほどコンパクトにならないが横幅を極力抑え、なおかつ必要なキーボード機能は十分に利用できる。ファンクションキー以外にも矢印キーも無理のない配置で押しやすく、Deleteキーなども配置は変則的になるが単独使用ができるので便利だ。

コンパクトキーボードはマウスを設置する場所の自由度が高く、自分に合ったスタンスで操作できるのは快適だ。キーボード側にマウスをかなり寄せて使いたい人には特に相性が良い。

 ゲームの場合はマウスをキーボードの近くに配置可能なので、手を必要以上に広げず脇を締めてプレイできる。無理な姿勢で操作する必要が無いので、疲れにくく正確に操作できるのは大きなメリットだ。

ワイヤレス接続でもゲーム操作はバッチリVALORANTで遅延や接続の安定性を確認

 「⼀瞬の⼊⼒遅延が命取りになるゲームでワイヤレスなんて」と言うのは今は昔。ゲーミングデバイス独自の高速ワイヤレス通信が可能な専⽤レシーバーなどの登場で、ゲームプレイで⽀障をきたすといった話も聞かなくなった。

 「K65 PLUS WIRELESS」の無線機能は、スペックを見る限り超高速であったり調停遅延の特殊なものではないようだ。ただ、製品サイトには「ワイヤレスで勝つ」とうたわれており、ある程度の性能は期待できる。そこで、2.4GHz無線の専用レシーバーで接続して、⼈気FPSゲーム「VALORANT」をプレイして使⽤感を確かめてみた。 結論から⾔うと、遅延などの問題は特になかった。VALORANTは射撃時にキャラクターが動いてしまうと集弾率が⼤きく低下するので、遅延があるとば致命的に不利となる。「K65 PLUS WIRELESS」は出会い頭の打ち合いでも遅延などを感じることはなく、快適に遊ぶことができた。

中央から敵が近づいていたので飛び出して応戦。遅延などでタイミングがずれるということも特になかった。
距離を詰めるスキルを使いジャンプしながら遮蔽物に飛び込みつつ、回り込んで敵を対処。瞬時に複雑な操作を行っても入力漏れなども発生しない。

 なお、Bluetooth接続については非常に多くの機器で使われている規格ということもあり、通信のレスポンスや干渉などを考えるとゲームでの使用はおすすめしない。ゲームには基本的に2.4GHz接続の専用レシーバーを選択するのがいいだろう。無線の通信⽅式はスイッチで簡単に切り替えられるので、ゲーミングPCには専用のレシーバー、仕事用のPCはBluetoothと便利に使い分けることもできるだろう。

 また、Bluetoothデバイスの接続先切り替え機能も試してみたところ、Bluetoothの仕様上切り替え時に若干の待ち時間はあるが、ストレスを感じない程度の時間で切り替わる事が確認できた。PCが自宅に複数台ある場合などは、「K65 PLUS WIRELESS」の接続先を切り替えて使うといったこともかなり実用的だ。

ゲーマーだけでなくビジネス用の英語配列キーボードを探している人にもオススメ小型ワイヤレスキーボードとして幅広く活躍が期待できる一台

 超小型キーボードは、机を広く使えたり持ち運びやすい反面、極端なキー配列であったりキーの形状が特殊だったりと、ストレスなく使うには慣れが必要なモデルも多い。また、そうした特殊なキーボードに慣れ過ぎてしまうと、標準的なキー配列のキーボードが使いづらくなってしまうこともある。

 75%キーボードは、キー配列などは比較的素直なので、慣れてしまっても通常のキー配列のキーボードに戻りにくいといったことは少ないだろう。特殊な慣れを必要としない点はこのスタイルの利点と言える。

 また、鞄に入る程よいサイズ感でファンクションキーもしっかり搭載されているので、ゲームのみならずビジネスやクリエイティブな用途など様々なシーンで活躍してくれるだろう。Bluetooth、2.4GHz無線、有線と利用シーンに合わせて選べる点も使い勝手が良く、持ち運べるコンパクトな英語配列キーボードを探しているのであれば、「K65 PLUS WIRELESS」はおすすめだ。