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最新ビジネスモニターはかなりイイ!27インチ/ISP/フルHD/アイケア全部入り「MSI Modern MD2712PW」

使うと良さがわかるビジネス向け便利機能、ホワイトでスタイリッシュなデザイン text by Windlass

MSI Modern MD2712PW

 MSIのModern MD2712PWは、27インチ/フルHD解像度のビジネスモニター。ノングレア処理を施したIPSパネルを採用し、アンチフリッカーなど目が疲れにくい機能や、目の疲れをチェックする機能など、ビジネス用途に役立つ特色を持ったモデルだ。

 ビジネス向けというと、機能などは最低限で導入コストをなるべく抑えたモデルをイメージしがちだが、Modern MD2712PWは外装や機能などいたるところにMSIのこだわりが感じられるモデルで、安さを優先したモデルではないことが一目でわかる。製品の特長を確認しつつ、使って良い部分はどのあたりなのか、実機をチェックしていこう。

100Hz/IPS/ノングレアの27インチのビジネスモニターアイケア機能全部入りで、ホワイトでまとめられた綺麗なデザインも特徴

 MSI Modern MD2712PWは、フルHD解像度(1,920×1,080ドット)のIPSパネルを採用したビジネスモニター。パネルサイズは27インチで、リフレッシュレートは最大100Hz、応答速度は1ms(MPRT)。本体サイズは614×201×414(mm)、本体重量は5.85kg。

 「画面が見やすい」というのが使ってみた第一印象。27インチ/フルHDのパネルはドットピッチが広めなので、小さい文字などは視認しやすい。ノングレア処理で反射も抑えられている。クリエイター用途などの場合は作業領域が広く取れるWQHD解像度や4K解像度が適しているが、文字の読みやすさなどを考慮するとオフィスワーク用途には適した解像度とサイズではないだろうか。

27インチで、解像度は1,920×1,080ドット。ノングレア処理が施されている。
広視野角のIPSパネルを採用。
実際に斜めから見ても色味の変化は少ない。
リフレッシュレートは100Hz、応答速度は1ms(MPRT)。

 長時間ディスプレイを見ることが多いビジネスの現場を考慮した機能を複数備えており、MSIは「Eyes Ergo」と呼んでいる。

 具体的には、反射を抑えて目の負担を抑えるノングレアパネル、チラつきを抑えるアンチフリッカー、色味変化を抑えて利用できるハードウェアブルーライトカット、表示の残像感を低減する100Hzのリフレッシュレートといった機能を備えている。こうしたユーザーの目への負担を低減する機能を備える点は、ビジネス用として好適なモデルと言えるだろう。

表示のちらつきを抑えるアンチフリッカー機能。
一般的なディスプレイの60Hzより高い100Hzのリフレッシュレートに対応することで、画面スクロール時などの残像感を低減。

 ブルーライトカットは一般的な製品の場合、HEV(高エネルギー可視光線)を抑制するために青色の色域をそのままカットしてしまうものが多く、機能を使用すると画面が黄色がかってしまう事が多い。しかし、Modern MD2712PWが備えるハードウェアのブルーライトカット機能「LESS BULE LIGHT PRO」は、HEVの中でも特に影響の大きいエリアだけをハードウェアでカットすることで、なるべく色味に影響が出ないようにしつつもブルーライトカットの効果を得ることができる優れものだ。

 ハードウェアブルーライトカット機能の「LESS BULE LIGHT PRO」は、電源を入れた時点で自動的に有効化される。オンオフなどの設定は無く、常時有効化される。また、Modern MD2712PWは従来のソフトウェアによるブルーライトカット機能も搭載されており、青系の色域がカットされて色味が変わってしまうが、OSDメニューから選択することでこちらも利用可能だ。

ブルーライトカット機能はハードウェアタイプのものを採用。色味の変化を抑えつつHEV(高エネルギー可視光線)を抑えることができる。
一般的なブルーライトカットは単純に青色の色域をカットするので画面が黄色くなってしまうものが多いが、本機の場合は波長のピークを移動させる方法でブルーライトカットを行っているので(MSIの解説記事参照)、色味への影響がかなり抑えられている。

 外見はスタイリッシュで質感が高く、安価なビジネスモニターといった印象は無い。全体的に金属パーツが多めに使用されており、ホワイトの塗装も丁寧で手触りも良く、剛性の高さとデザイン性の高さが両立されている。

 台座が金属製でしっかりしているので安定感があり、ちょっと揺らしたり押したりした程度で動くことはない。パネルの向きを変える際に意図せず本体ごと動いてしまう事も無いのは好印象。安価なビジネス向けモデルは台座にプラスチックを多用して軽量な製品も多々あるが、安定感の良さは使い勝手にも直結するので、購入前にチェックしておきたいところだ。

本体背面
本体上側から
横から
台座部分アップ

 台座は高さ調整のほか、スイベル、チルト、ピポットに対応している。軽い力で動かすことが可能で、調整範囲も広い。自分のポジションにしっかり合わせて位置を決められるのは、ビジネス向けモデルとして好ましい仕様だ。

 調整可能範囲は、高さが0~110mm、スイベルが左右それぞれ30°、チルトが-5~20°となっており、ピボットはパネルを回転させることで縦表示に変更可能。可動範囲は広いモデルと言えるだろう。

高さは0~110mmの範囲で調整可能。
スイベルは左右30°まで可動可能。軽い力で向きを変えられるので、調整はしやすい。
パネルを回転させることでピボット表示も可能。デュアルディスプレイで使用したり、資料を表示したりする際に活用しやすい。
チルトは-5~20°の範囲で調整可能。長時間使用するビジネス向けモデルでは、調整範囲の幅も気にしたいところだ。

 台座部分はツールレス構造になっており、組み立てはかなり簡単。ケーブルホルダーも付属しているので、設置してケーブルが散乱するといったこともない。

台座単体
台座のベース部分と支柱は手回しネジで固定する仕組み。
アームは背面のレバーを押してはめ込むだけで取付が可能で簡単。
本体はACアダプタ駆動で、48WのACアダプタが付属。ケーブルホルダーも付属している。

デュアルディスプレイに向いた仕様に15WのUSB PDもサポート実は家庭用ゲーム機との接続にも便利

 Modern MD2712PWの接続端子は、HDMI 1.4b×1、USB Type-C(DP Alt mode)×1、ヘッドホン出力×1といった構成になっている。

 ノートPCをはじめとするモバイル系デバイスとディスプレイをUSB Type-C接続できるかどうかで利便性が大きく変わるので、対応状況は購入の際に気にしたい部分だ。また、本機のUSB Type-C端子は15WのUSB PDにも対応しており、スマートフォンやタブレットなどを接続するのにも適している。

接続ポートは、HDMI 1.4b×1、USB Type-C(DP Alt mode)×1、ヘッドホン出力×1を備える。
USB Type-Cポートは15WのUSB PDにも対応しているので、スマートフォンやタブレットを接続するにも好適。

 また、採用パネルが3辺フレームレス構造なので、デュアルディスプレイ環境でも使用しやすい。前述のピボットにも対応しているので、ビジネス向けのメインモニターとしてはもちろん、サブモニターとしても扱いやすい。特に縦画面になるピボットはテキストなどをより多く表示可能になるので、文字を読むことが多かったり、資料を表示したりすることが多いユーザーには便利だろう。

 VESAマウントにも対応しているので、ディスプレイアームと組み合わせて使えばより自由な配置での利用が可能だ。

デュアルディスプレイにも本機は好適。
左右辺と上辺のフレームが非常に狭い“3辺フレームレス”のデザイン
デスクワークであれば縦画面と組み合わせて使用するのも良いだろう。
VESA75対応で、VESAマウント用スペーサーネジ×4が付属している。

 Modern MD2712PWはビジネス向けのモデルではあるが、HDRをサポートしていたり、スピーカーを搭載していたりと、家庭用ゲーム機などを接続するのにも適したエンタメ向けな部分もある。パネルの輝度は300cdでコントラスト比は1,000:1、色域はsRGBカバー率99%・DCI-P3カバー率89%。スピーカーは3W+3W。ビジネス用途をメインに、カジュアルな用途にも使える特性を持った製品になっている。

休憩中に家庭用ゲームを繋げて遊ぶといった使い方も。
3W+3Wのスピーカーを標準搭載。家庭用ゲーム機などを接続する際には便利だ。

設定調整は本体ボタン操作で完結

 Modern MD2712PWの本体設定は右側の底面にあるボタンから行う仕組みになっている。基本的にはユーティリティなどは使用せず、本体側だけで完結する仕様だ。メニュー画面は、設定一覧が表示されることで階層先もわかりやすく、目当ての機能も探しやすい。どこに項目があるのかわからないといったようなストレスはほぼないだろう。

OSDメニューは階層が一目でわかり、ストレスなく目当ての設定にアクセスできる
本体右下にある操作ボタン。

 Modern MD2712PWは高級モデルではないのでここまで望むのは酷ではあるが、惜しいと感じたのが操作ボタンで、スティックタイプなどではない点。同社の上級ゲーミングモニターなどには搭載されており、採用されていていれば操作性が向上するので、もし可能であれば後継モデルなどでは採用してもらいたいところだ。

 なお、MSI製のディスプレイ用ユーティリティ「Display Kit」にも対応。ディスプレイの設定を直接変更するものではなく、簡易的な画質調整やリフレッシュレートなどの変更、分割ウィンドウ操作などが行える。

MSIのユーティリティ「Display Kit」。
簡易的な画質調整のほか、ウィンドウの配置をカスタマイズする機能なども備えている。

文字を読む用途に便利な「Black-White」機能、電子書籍を読む人には特にオススメ

 Modern MD2712PWを実際に使用していて面白いと思ったのが、文字を読むことに特化させた表示になるBlack-White(白黒)機能。

 輝度を上げるとその分画面は明るく色も鮮やかに見えるようになるが、刺激が増える分目への負担が増える。メール対応や資料を表示させる用途がメインであれば、視認性さえ高ければ発色が鮮やかである必要は必ずしもないので、オフィスワーク用途での利用を考えると理にかなった機能だ。

左が通常の表示モード、右がBlack-Whiteのモードを有効にしたもの。
文字を多く読むユーザーには一度使ってみてもらいたい機能だ。
色が無い分、目への刺激は少ない印象。

 機能をオンにした場合、カラーではなく白黒で表示されるため、輝度が高い状態で文章を読む場合でも疲労感は少なく感じた。また画面が一様に白黒になるため、目立つ色に視線が引っ張られるようなことがなく、文字を読むことに集中しやすい印象だ。

データを表示するのに特化して利用するのであれば縦画面で使用するのも便利だ。
Black-WhiteはOSDのモード内で表示プリセットの一つとして用意されている。

 筆者は少し暗めの部屋でKindleなどを利用して本を読むことが多く、モニターに向き合っている時間はかなり長い。Black-White機能は電子書籍をよく読む人には是非試してもらいたい機能で、輝度に関わらず文字が読みやすいので、目への負担を考えると積極的に使っていきたい機能だ。

知らずに疲労がたまるのを防ぐ「Eye-Q Check」、気付きにくい部分がわかる便利機能

 目の疲労度をチェックできる「Eye-Q Check」にも感心させられた。これは使用中のユーザーが疲労具合を“セルフチェック”するのをサポートしてくれるツールで、フリッカーフリーやブルーライトカットといったアイケア機能も重要だが、ユーザーが自分自身の目の疲れの状態を知ることも疲労を軽減するには大事な要素だ。

 普段ついつい悪くなってしまう姿勢を確認することができる機能の他に、グリッド線で乱視や目の疲労度を測定することが可能。グリッド線の色が違って見えたりしないか、歪んで見えたりしないか、などの複数項目で目が疲労しているのかをチェックすることができる。該当した場合は疲労がたまっている状態なので、MSIは20分ほど休憩をとることを推奨している。

疲れてきたと思ったら、Eye-Q Checkの機能を利用して疲労を確認してみよう。
グリッド線を見て、波打ったり、ぼやけたり、歪んで見えた場合は20分ほどの休憩が推奨されている。
乱視の確認機能。一部の線がほかの線より灰色に見える場合は疲労がたまった状態とされている。
姿勢の確認も可能。姿勢が悪くなっているのはなかなか気づきにくいので定期的にチェックしてみよう。

 もちろん頻繁に使う機能ではないが、悪い姿勢のまま長時間使用したりすれば、目へのダメージはその分大きくなる。こうしたリスクに気付かせてくれる機能はあまりないので、長時間連続して作業を行っていた際などは有効に活用してもらいたい。集中力が切れたタイミングに目安としてやってみるだけでも、ちょっとしたリラックスタイムになって良いはずだ。

 PC関連の製品は性能の部分が注目されがちだが、使っているユーザーの状態や負担などを考慮した機能や仕組みが搭載されているのは、最新のビジネスモニターらしい部分といえる。性能だけでなく、ユーザーの健康面などを考慮した機能の進化は今後も期待したいところだ。

ビジネス用途で活用しがいのある機能にアイケア機能も多数搭載ホワイトでオフィスにもマッチするデザインのビジネスモニター

 Modern MD2712PWは、目の負担を和らげるための機能はもちろん、スタイリッシュなデザインも特徴となっているモデルだ。ビジネスモニターはいかにも業務用といったデザインのモデルもあるが、Modern MD2712PWであればコーディネイトされたオフィスで使用しても景観を損ねることはないだろう。

 可動範囲の広さやハードウェアブルーライトなどはビジネス用途に限らず便利で、ノングレアパネルやフリッカーフリーなど、負担を軽減してくれる機能は普段使い用としても活躍してくれる。なお、ほぼ同等の仕様で24インチのモデルModern MD2412P(ブラック)とModern MD2412PW(ホワイト)もラインナップされているので、こちらのサイズが好みのユーザーはこちらもチェックしてもらいたい。

 実売で約27,000円と比較的安価な価格なのも魅力のModern MD2712PW。オフィスワークでの利用が多いユーザーや、質感の良いホワイトのモデルを探しているユーザーには最適な1枚になるだろう。