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自作PCのケーブルを見えなくなくしたら別次元の格好良さに!MSIが背面コネクター採用マザーボード&ケース「PROJECT ZERO」を始動!!
対応マザー「B760M PROJECT ZERO」とケース「MAG PANO M100R PZ」で“目に付く配線”は劇的に減り、仕上がりはより美しく text by 芹澤 正芳
- 提供:
- MSI
2024年4月18日 00:00
2024年春、自作業界で新たなムーブメントが起ころうとしている。それは“背面コネクター”を採用するマザーボードの登場だ。ATX24ピンやEPS12Vをはじめ、ファンコネクターや各種ピンヘッダーなど通常は表面上に配置されるコネクターを背面側に移したもの。ケーブル接続を簡易化して、PC内部の仕上がりをより美しくしてくれる。COMPUTEX 2023で展示されていたので見たことある人もいるだろう。
そこで、今回は背面コネクターを採用するマザーボードの一つ、MSIの「B760M PROJECT ZERO」を使った作例にチャレンジしていきたい。ピラーレスのPCケースと組み合わせた場合のは見え方はどうなるのか、背面コネクターならではの組み立てポイントはどこにあるのか、といった点に注目したい。
表面からコネクター/ピンヘッダを一掃!見た目も新鮮なPROJECT ZEROマザーボード
まずは、「B760M PROJECT ZERO」を紹介しよう。チップセットにIntel B760を採用するmicroATXサイズのマザーボードだ。第14/13/12世代のIntel Coreプロセッサー対応、メモリはDDR5-7800までサポートし、最大256GBを搭載可能だ。
電源回路は12+1+1フェーズで75A SPSの堅牢な設計を採用。昨今のミドルレンジ以上のMSI製マザーボードと同様に大型のヒートシンクをもちろん装備しており、上位CPUも安心して使える。
最大の特徴は、何と言っても“完全な背面コネクター仕様”であることだ。ATX24ピン、EPS12V、CPU/水冷ポンプ/ケースファンのコネクター、USBやサウンド、PCケースのボタン類のピンヘッダーにいたるまですべて背面側にある。マザーボードの表面上に一切ケーブルを挿す必要がないので、内部をよりスッキリできるわけだ。
例外的なのはCPUクーラーとビデオカードだ。CPUクーラーは空冷であればファンのケーブル、簡易水冷であれば水冷ヘッドのケーブル(とチューブ)がどうしてもマザーボード表側に出てしまう。そこはうまくマザーボードに沿わせるなどして背面側に送りたい。また、ビデオカードは補助電源が必要なタイプはケーブルを表面側に出す必要がある。本格的なゲーミングPCを目指すなら、補助電源のないビデオカードを選ぶ可能性は低いわけで、ここもひとまずは仕方なし、という部分だ。
このほか、Gen 4対応のM.2スロットを2基備え、どちらもヒートシンクを標準で搭載。M.2 SSDをツールレスで固定できるEZ M.2クリップを採用しているのもポイントだ。ネットワークは2.5Gの有線LAN、Wi-Fi 6Eの無線LANを搭載。Bluetooth 5.3もサポートしている。マグネットスタンド式のWi-Fiアンテナを付属しており、無線LAN、Bluetoothとも安定した通信が期待できるのもうれしいところ。
PCI Express 5.0 x16、PCI Express 4.0 x4(x16形状)、PCI Express 4.0 x1スロットが用意されており、拡張性もしっかり確保されている。
背面コネクターが注目されるマザーボードだが、幅広いニーズに応えられるスペックや機能をキッチリと揃えたmicroATXの優等生だ。シルバーとブラックの組み合わせは、白ベース、黒ベースどちらのパーツとも相性がよく、見栄えを重視した自作PCの組み立てを考えているなら候補に挙げたい存在と言える。
ピラーレスのPCケースで背面コネクター仕様を最大限活かす!
さて、PROJECT ZEROのマザーボードを使う場合には、PCケース側も「背面コネクター採用マザーボード」対応が必要になるということ。すでにいくつかの製品が登場しているもののまだ数は多くはないので、購入時にはしっかり確認しておきたい。今回のマザーボードに合わせ、MSIからもPROJECT ZERO PCケースがもちろん登場している。
「MAG PANO M100R PZ」は、最新設計である背面コネクター対応に加えてして、現在のPCケースのデザイントレンドである“ピラーレス”構造を採用。同じMSIなのでデザインの統一感や設計面での安心感があるのに加えて、側面3基、背面1基のファンで冷却力をしっかり確保。すべてARGB対応のLED内蔵で見栄えもバッチリだ。
ケース上部に36cmクラスの簡易水冷クーラーが取り付け可能、ビデオカードはカード長39cmまで対応とハイエンドのパーツも組み込めるゆとりの内部構造もよいところ。ストレージ用としては3.5/2.5インチベイが1基、2.5インチベイが1基用意されている。
では、そのほかのパーツも選定していこう。今回は、PROJECT ZEROのマザー&ケースを主軸としているので、“microATXで見栄えもゲーミング性能もハイレベル”をコンセプトにパーツをチョイスする。構成は以下のとおりだ。なお、マザーボードは4月19日、ケースと電源は4月24日に発売される。
カテゴリー | 製品名 | 予算 |
CPU | Intel Core i7-14700K | 67,000円前後 |
マザーボード | MSI B760M PROJECT ZERO | 37,000円前後 |
メモリ | DDR5-5600 16GB×2 | 16,000円前後 |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 4080 16GB GAMING X TRIO | 200,000円前後 |
SSD | M.2 SSD(PCI-E Gen4 x4) 2TB | 25,000円前後 |
CPUクーラー | MSI MAG CORELIQUID E360(簡易水冷、36cmクラス) | 20,000円前後 |
電源ユニット | MAG A1000GL PCIE5(1000W、80PLUS Gold) | 31,000円前後 |
PCケース | MSI MAG PANO M100R PZ(microATX) | 17,000円前後 |
合計 | 413,000円前後 | |
※実売価格は2024年4月中旬時点のもの |
まずCPUだが、チップセットがIntel最新世代なので、第14世代からコンセプトに合わせて「Core i7-14700K」をチョイスした。Pコア8基、Eコア12基の合計20コア28スレッドとゲーミングPCとして十分なスペックと言える。チップセットがB760なので倍率アンロックによるオーバークロックこそ使用できないが、K付きということで素の性能がそもそも高く、かつ第14世代の中でもオススメの製品でもある。
ビデオカードは4Kゲーミングを意識して、NVIDIA最新世代の上位モデルであるGeForce RTX 4080を搭載する同社の「GeForce RTX 4080 16GB GAMING X TRIO」とした。ブーストクロックを定格の2,520MHzから2,595MHzまでアップさせたファクトリーOCモデルだ。冷却力に定評のある「TRI FROZR 3」を採用し、高クロックでも安定した動作を実現しており、正面中央と上部にLEDを内蔵し、ドレスアップを重視したい人にもピッタリのハイエンドカードとなっている。
本稿では機材手配の都合から無印RTX 4080を組み込んだが、現在の主力製品はRTX 4080 SUPERに代替わりしている。本機の後継モデルとしては「GeForce RTX 4080 SUPER 16G GAMING X SLIM」が発売中だ。
CPUクーラーは見栄えと冷却力の両方を考えて、36cmクラスでファンにLEDを内蔵しているという条件を付け、MSIの「MAG CORELIQUID E360」をチョイス。水冷ヘッドにもLEDを内蔵しており、今回のコンセプトにピッタリと言える。
電源ユニットはビデオカードの推奨電源が850W以上なので、MSIの「MAG A850GL PCIE5」を選択。80PLUS Gold認証で出力850W、ATX 3.0対応なのでビデオカード用の16ピンコネクターも備えている。16ピンのケーブルは先端が黄色になっており、この黄色い部分が見えなくなるまでしっかりとコネクタ―を挿すことで、不完全なケーブル装着を防ぐ、という役割を持っている。
このほか、メモリはDDR5-5600の16GB×2枚で合計32GBとゲームプレイなら十分な容量を確保。見栄えを考えて、LED内蔵タイプを選んでいる。ストレージは複数ゲームのインストールを考えてGen 4 SSDの2TBモデルを選択した。
ケーブル接続はラクだが束ねるテクニックはちょっと必要
前面(左側面)からケーブルがほぼ一掃される画期的なPROJECT ZEROだが、背面側(右側面)でのケーブルさばきにはちょっとしたポイントがあるのでそれを解説しよう。
今回の構成では、PCケースの右側面だけでほとんどのケーブル接続を完結できるのがなんといっても大きなメリット。前面にケーブルを回して、PCケースの深くまで手を入れる必要がないのはとてもラク。とくに天板とCPUクーラーに近い12VEPSコネクターに電源ケーブルを挿すのに苦労した経験がある人は多いだろう。そこから解放されるのは素晴らしいことだ。その一方で、背面側にコネクターが飛び出た状態になるので、右側面、いわゆる裏面配線のスペースにはケーブルが通常よりも集中することになる。
比較的コンパクトなサイズであるMAG PANO M100R PZは、裏面配線のスペースをそれほど大きく取られているケースではないので、ATX24ピンや12VEPSの電源ケーブルは、ムリがない程度にうまく曲げてやらないと右側面パネルを閉じることができない。この辺りは、マザーボードとPCケースだけではなく、接続しやすいようにコネクターにL字形状を採用する電源ユニットの登場も期待したい。
裏面に集中したケーブルを、スペースに上手く押し込んだりきれいに整理したりしてやると、狭いなりにキレイに収めることは可能。“側面パネルが閉じるようにほどよくケーブルを曲げつつ、キレイに束ねる必要がある”という点以外は、“ケーブルで表面の景観を損ねることなくキレイに仕上げる”ためのケーブル処理が以前のものよりもずっとラクなのは確かだ。
なお、今回のプランではPCケースと簡易水冷クーラー合わせて、8基のファンとARGBケーブルの接続が必要になる。PCケースのファンとARGBは、付属の4分岐基板にあらかじめ接続されているので苦労はない。4分岐基板から出ているファンとARGBケーブル1本ずつをマザーボードに接続すればセットアップ完了だ。
なお、4分岐基板にはSerial ATA電源ケーブルの接続が必要になる点は注意したい。簡易水冷クーラーにある4つ(ファン3基と水冷ヘッド)のARGB LEDは、PCケースのARGB LEDのピンに接続すればOK。3基のファンは3分岐ケーブルが付属しているので一つにまとめて、マザーボードのCPUファンコネクターへ。水冷ヘッドはポンプ用のコネクターに接続すれば完了だ。
ケーブルの本数が多いので束ねるのに少々苦労するが、ケーブル同士やコネクターへの接続はスムーズにできた。右側面だけでほぼ作業を終えられるのは非常に便利だ。
見た目はもちろん性能もバッチリ4Kでもゲームが楽しめるハイパワー
組み立てが終わったところで、性能をチェックしておこう。定番のベンチマークとしてPCの基本性能を測定する「PCMark 10」と3D性能を測定する「3DMark」を実行する。
PCMark 10はきわめて高スコアだ。特にクリエイティブ系の処理を行うDigital Content Creationのスコアは優秀で、ゲーミングPCだがクリエイティブ系の作業も十分こなせる性能が持っている。3DMarkはほぼRTX 4080の標準的なスコアをクリアしており、今回の構成で性能はしっかり引き出せていると言ってよいだろう。
では、実際のゲームではどうだろうか。定番FPSの「Apex Legends」、6月にDLC発売を控えて人気再燃中の「エルデンリング」、重量級の代表格「サイバーパンク2077」を用意した。Apex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際、リムグレイブ周辺の一定コースを移動した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定した。サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を実行している。
Apex Legendsはフレームレート制限を解除しても最大300fpsまでのゲームだ。WQHDまではその300fpsにほぼ到達。4Kでも247.8fpsと高いフレームレートを叩き出しており、高リフレッシュレート液晶と組み合わせてもその性能を十分活かせると言える。
エルデンリングは最大60fpsまで。アップスケーラーを備えないレイトレーシング対応ゲームなので最高画質だと描画負荷はかなり重め。それでもWQHDまではほぼ上限に到達、4Kでは平均53.3fpsになるが、リムグレイブ周辺はとくに描画負荷が高いカ所なので、4Kでも十分プレイできると言える。
サイバーパンク2077は、強烈に描画負荷が高いレイトレーシング:オーバードライブ設定でもアップスケーラーとフレーム生成を組み合わせたDLSS 3に対応できることもあって、4Kでも平均82.2fpsと十分快適。非常に美しいレイトレーシングの描画をなめらかに楽しめるのは非常に気持ちがよい。
続いて、CPUとGPUのクロックと温度の推移を確認しよう。サイバーパンク2077を10分間プレイしたときの変化を「HWiNFO Pro」を測定した。室温は22度。CPUのパワーリミットは無制限。各ファンの制御はMSI Centerアプリで自動制御のSmart Fanに設定している。
GPUクロックはほぼ2,700MHz前後で推移。ブーストクロックよりもちょっと高いところで安定した。温度は63℃前後とRTX 4080として十分過ぎるほど冷えている。さすが大型3連ファンと言えるところ。CPUクロックはゲームプレイなのでシーンによって大きく変動しているが、Pコアは2,200MHz前後、Eコアは1,000MHz前後となった。温度は80℃以下で動くことが多く、これから長時間のゲームプレイも安心だ。PCケース内部のエアフローはしっかり確保されていると言ってよいだろう。
最後に動作音だが、サイバーパンク2077プレイ時の動作音を正面、右側面、背面のそれぞれ10cmの場所に騒音計を設置して測定した。暗騒音は33.5dBだ。
さすがにファンが全部で7基も搭載されているので、負荷がかかるとそこその動作音は大きくなる。個人差はあると思うが、うるさいというほどではないが、静かとは言えないレベル。冷却力と静音性の両立は難しいところだ。正面からの動作音は小さくなるので、設置場所を工夫するのもよいだろう。
映えるPCを組みたくさせる魔力アリ!
背面コネクターのマザーボードが登場したことで、PC内部をより美しく仕上げることは今まで以上に容易になった。こうなってくると、普段それほど見た目を気にしない筆者でも、見栄えのよいPCを組みたいという情熱を沸き立たせてくれる。こういう熱を感じさせる新機軸はやはり自作PCの“魔力”的なものかもしれない。
B760M PROJECT ZEROはマザーボードとしてのスペックや機能も十分、対応PCケースのMAG PANO M100R PZもハイエンドパーツを余裕で組み込める内部の広さとバチッと見栄えよく仕上げられるナイスなピラーレスケースだ。映えとスペックの両方にこだわったmicroATXサイズのPCを組みたいと考えているなら、ぜひともチェックしてほしい。