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540Hz駆動のASUS「ROG Swift Pro PG248QP」はVALORANTやオーバーウォッチ 2に本当に効くの? 計測器で徹底的に調べてみた!

旧世代のゲーミングモニターとの違いや必要なGPUも text by 加藤 勝明

 PCゲームをもっと快適にするには、eスポーツで勝利に近付くためには、まずPCそのもののスペックが重要であることは今さら言うまでもない。だがモニターがPCの性能に追い付かなければ、いくらCPUやGPUを上位ランクにしようともムダになる。たとえばPC側があるゲームを500fps、つまり1秒間に500フレーム描画して出力しているのに、肝心のモニター側のリフレッシュレートが144Hz、すなわち1秒間に144回しか画面を更新できなければ、PCから出力された情報の多くは表示されずに破棄される。

 こういう状況ではモニターの性能を使い切っていると言えるため、フレームレート>リフレッシュレートであるのは決して悪いことではない。だが500fps出る性能があるなら、さらに高いリフレッシュレートを持つモニターを使えば、1秒あたりの情報量がさらに増やせる。これにより敵発見も容易になり、エイミングの精度向上にもつながる。高リフレッシュレートのモニターはPCスペックと同様にゲームにおける強力なアドバンテージになり得る。

リフレッシュレート最大540Hzを誇る現在最速のゲーミングモニターがこのASUS「ROG Swift Pro PG248QP」。今回はこれにNVIDIA「LDAT2」を組み合わせ、高リフレッシュレートとレイテンシーの関係を考察する

 そこで注目するのが2月に発売されたASUS「ROG Swift Pro PG248QP」(以降PG248QP)だ。フルHD&24型と小ぶりな製品ではあるが、最大リフレッシュレートは540Hz。ゲーミングモニターの入門製品が144Hz、さらに240Hzや360Hzが中堅〜上位製品であることを考えると、540Hzというのは現時点における“究極にして至高のゲーミングモニター”と言える。今回はこのPG248QPがどんな性能なのか、特にレイテンシー(入力遅延)の観点を中心に検証してみたい。

540Hzを出すには条件もある

 まずPG248QPの仕様をざっと解説すると、解像度1,920×1,080ドットの「Esports-TN(E-TN)」パネルを採用。TNと言えば視野角による色変化が付き物だが、PG248QPに関しては少しナナメから見ても色変化はそれほど発生しない。また色空間はsRGB125%、DCI-P3に対しては95%程度であるため、TNと言えば「発色はイマイチで色変化もする」という平成時代の常識はこのパネルに対しては通用しない。とはいえ、動画や写真編集に向けて作られた製品ではないので、そうした用途には別途モニターを用意すべきだろう。

対角24インチなのであまり眼球を動かすことなく画面の隅々まで視認できる。映像への没入感よりもeスポーツにおけるアドバンテージが何より大事! という人向け
TNなので視野角による色変化が……と思う方はこの図を見てどう思うだろうか? 上下高やスイベルなど位置調整機能がしっかり搭載されているので、見やすいポジションに置けば良好な視認性を確保できる

 PG248QPではE-TNパネルを採用することで通常のTNパネルよりも応答速度を50%向上。スペック上の応答速度は最大0.2ms (GtoG)と短い。PG248QPのリフレッシュレート540HzにもE-TNは不可避の技術であるが、表示を実現するためには「RTX 20シリーズ以降のGeForce」と「Windows 11 23H2以降」、そして「DisplayPort接続」の3点が必要になる。これが満たせない場合は最大500Hzで頭打ちになってしまう(主にOSの仕様によるもの)。またHDMI接続の場合リフレッシュレートは240Hzが上限となる。

 ちなみに、PG248QPはNVIDIAによるバックライトストロボ技術「ULMB(Ultra Low Motion Blur)」の進化形であるULMB2にも対応し、画面の輝度を犠牲にすることなく動きの明瞭度を引き上げる機能も搭載。ただG-SYNCとULMB2を併用できる「G-SYNC Pulsar」には対応していない(G-SYNC Pulsarに関してはNVIDIAのブログを参照)。

映像入力はHDMI 2.0×2にDisplayPort1.4×1。そのほか、USB 5Gbpsのハブ機能、さらにヘッドホン出力を備える。3系統の映像入力があるが、540Hzが出せるのはDisplayPortのみだ
PG248QPをDisplayPortケーブルで接続したところ。動作要件を満たしていれば最大リフレッシュレートは540Hzに勝手に合うはずだ。540Hzより下のリフレッシュレートは60Hzの(ほぼ)整数倍のみとなるが、PG248QPであえて540Hzより下を選ぶメリットはない

 フルHDなのに実売15万円前後という高級機だけあって、外装やスタンドの設計も豪華だ。画面の上下調節や上下左右への首振り、90°回転機能は一通り搭載。スピーカーは内蔵されていないため音を聞くには別途スピーカーやヘッドホンが必要になる。DisplayPortやHDMIケーブル経由の音声をヘッドホン出力から引き出すことになるが、PG248QPとPC本体をUSBケーブルで接続することで内蔵されている低遅延ESSコーデックを経由させることもできる。

 機能満載かつ安定性を重視した設計のためか、フルHDモニターにしては全体的に奥行き(25.5mm)のある設計。スタンドのネックや足部分が大きいのがその理由だが、スタンドの足部分を閉じられるという工夫についてはアイディア賞をあげたい。全体的にはSFテイストが強めのデザインで、前衛的なROGブランドの尖った意識を感じる。

背面にあるROGのシンボルはRGB LEDによるライトアップ機能付き。スタンドにはケーブルを通す穴が、背面のポートの部分を隠せるカバーも付属する
スタンドの頂きには1/4インチのネジ穴を準備。Webカメラやマイクをモニターと一緒に固定するのに役立つだろう
スイベル(水平首振り)は左右30°の範囲
パネルのポジションを一番低くすると全高は約392mm、もっとも高くした場合は502mmとなる
チルト(パネルの上下角度)は手前側5°〜奥側20°の可動域
かなりSFテイスト(変形!!)の強いベース部分だが、足の部分の角度を変えられる、というのがちょと新しい。もっとも狭めたときの奥行きは約255mmだ
本体背面。デザイン的にはLEDが仕込まれたROGマークが特徴的だ
やや分かりにくいが、スタンド基部にあるリング状のカバーパーツを外すことで標準装備のスタンドを着脱が可能になる。ここには100×100mmのVESAマウントホールがあるのでモニターアームの装着も可能だ
OSDなどを操作する赤いスティック(正確には5方向ボタン)と、電源ON/OFFや映像モードなど特定機能をすぐ呼び出せるボタンを右手側裏に配置

E-EシステムレイテンシーでPG248QPを評価する

 肝心の540Hz出力にすることで何が変わるか? だが、これをWeb記事だけで表現するのは難しい。「VALORANT」などのeスポーツ性の強いゲームで理論的には有利になると言えるものの、勝率データを取って検証するにはそれなりの実力者でなければ難しい。540Hzにするとマウスポインターを高速で振った際に余裕で目で追えるようになる、というのが一番分かりやすい例だが、これはゲーミングにおける恩恵とはなりにくい。

 そこで今回はゲームにおいて“マウスを操作してから実際に画面が反応するまでのラグ”、すなわち“End to End System Latency(以下、E-Eシステムレイテンシー)”に注目してみる。540Hzでゲームを動かすことでE-Eシステムレイテンシーが減るならば、表示のなめらかさ以上の価値がある、ということになるからだ。

 今回テストするPG248QPには、このモニター単体でもE-Eシステムレイテンシーを計測できる「Reflex Latency Analyzer」が搭載されている。Reflex Latency Analyzer対応のマウス(ASUSなら「ROG Gradius III」や「ROG Chakram X」など)が必要になるが、マウスクリックから画面の特定領域(通常は銃口周辺)に発生する輝度変化を自働で読み取ってくれる。

ハイエンドモデルだけあってモニター自身の力でレイテンシーを計測できる「Reflex Latency Analyzer」に対応する。ゲームを起動し、OSDからReflex Latency Analyzerを有効にすることで利用できる

 実際のゲーマーがこの機能を使って一喜一憂するための機能というよりも、実際どの程度なのか把握できる機能と言うべきだろう。ログをデータとして記録できず、かつ誤差も大きめであるため今回は使用しない。

Reflex Latency Analyzerを有効にすると画面にグレーの領域がオーバーレイ表示される。このグレーの領域の輝度変化をPG248QP側が検知するというわけだ
Reflex Latency Analyzerの分析結果は左上(この写真では6ms)に表示される。ただお手軽機能だけあって後述する検証方法に比べるとばらつきは大きいようだ

 今回はRadeonのAFMF検証でも使用したNVIDIA製ツール「LDAT2」を利用する。今回の検証環境は以下のとおりだ。CPU側がボトルネックにならないよう、ゲーム用では最強(かつ確実な)Ryzen 7 7800X3Dを使用し、GPUも現時点で最強のNVIDIA GeForce RTX 4090を準備した。ドライバーは最新のGameReady 522.44を使用している。

【検証環境】
CPUAMD Ryzen 7 7800X3D(8コア16スレッド)
マザーボードAMD X670E搭載マザーボード
メモリDDR5-5600 32GB(PC5-44800 DDR5 SDRAM16GB×2)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 4090 Founders Edition
ストレージM.2 NVMe SSD 2TB(PCI Express 4.0 x4)
CPUクーラー簡易水冷クーラー(36cmクラス)
電源1,000W(80PLUS Gold)
OSWindows 11 Pro(23H2)

【お詫びと訂正】記事初出時、使用ビデオカード名称に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

 AFMFのときはフレームレートが300fpsで頭打ちになる「Apex Legends」で検証していたが、今回は超高フレームレートの出る「VALORANT」、「オーバーウォッチ 2」の2本を利用した。幸いにしてこの2タイトルはNVIDIAの低遅延技術である「NVIDIA Reflex」対応ゲームであるため、マウス押下に連動する「Reflex Latencyマーカー」を画面に表示することでより正確な計測が可能になる。なおテストでは比較対象として2013年に発売された144Hzのゲーミングモニター、ASUS「VG248QE」も準備した。

NVIDIA「LDAT2」。このデバイスでマウスボタン押下の指令を出し、内蔵された高速カメラでモニターの特定領域(たとえば銃口)の輝度変化を読み取ることでE-Eシステムレイテンシーを高精度で計測できる
LDAT2からは2本のケーブルが出ており、1本はデータ集計用のPCに、もう1本は計測されるPCに接続されたマウスボタンにつながっている。LDAT2を利用してマウスボタンの回路を直接ON・OFFしているのだ

 まずはVALORANTだが、解像度は1,920×1,080ドット、画質は最低設定だがアンチエイリアスはMSAA x4、異方性フィルタリングは16x、Reflexは“オン”とした。マップ“フラクチャー”のスポーン地点でブルドックを500発射撃した際のE-Eシステムレイテンシーを計測した。計測地点でのフレームレートは1,100fps前後であった。

 PG248QPに関しては540Hzのほかに360Hz/240Hz/120Hz/60Hz(いずれも小数点以下は四捨五入して表記)時のデータも取得した。

VALORANTにおいて横軸に試行回数をとり、各条件におけるE-Eシステムレイテンシーを散布図とした。明らかにPG248QPの120Hzと60HzのときだけE-Eシステムレイテンシーが増加しているのが分かる。だが240Hz〜540Hzは点群が重なりあい、差がないようにも見える
計測されたデータから基本統計量を算出。240Hzと540Hzでは、平均値にして2msの差が出ている
PG248QP+540Hz時のヒストグラム。山の位置が左にあるほど低レイテンシー(=優秀)となり、より狭い範囲に集まっているほうがジッターもない(=安定している)ということになる
PG248QP+360Hz時のヒストグラム。山の位置は540Hz時と変わらないが、微妙に重心が右へ動いているように見える
PG248QP+240Hz時のヒストグラム。山の位置が540Hz時よりも右に動いていると確信できるデータとなった

 540HzのE-Eシステムレイテンシーが最速なのは当然として、リフレッシュレートを下げていくと徐々にE-Eシステムレイテンシーの傾向がより大きくなることが確認できた。だが360Hzと540Hzでは差と言えるものはなく、240Hzでようやく差らしきものが出てくる(統計的な有意差検定は本稿では省略する)。360Hzのゲーミングモニターを持っている人はすぐに買い換えを検討するレベルではなさそうだが、シビアな世界で戦うプレイヤーなら240Hzあたりからメリットが出てくる、ということが推察できる。

PG248QP+120Hz時のヒストグラム。240Hzまでは尖度の高い山だったが、120Hzではひどくつぶれた分布となった
PG248QP+60Hz時のヒストグラム。120Hzよりもさらにフラットな分布に
VG248QE(旧製品)+144Hz時のヒストグラム。PG248QPの240Hzに近い場所に山のようなものが見えているが、PG248QPの540Hzや360Hzのような山というほどにはとがってはいない

 さらに120Hzや60HzになるととたんにE-Eシステムレイテンシーのばらつきがひどくなる。10年以上前に発売された144Hzのモニターと比較しても、PG248QPの120Hz時の結果は明らかによろしくない。おそらく540Hzで動かすことのできる機材をあえて120Hzより下で動かすことはあまり想定されておらず、そこまで突き詰めた実装になっていない、もしくは設計的な制約によるものが原因として考えられる。

 PG248QPの240HzのヒストグラムとVG248QEのヒストグラムの比較において、山のふもとの位置が近いのも同じ原因である可能性もある。ただPG248QPのほうが山がキッチリと立っており(=分散が小さい)、よりジッターが小さいことも分かるので、PG248QPの240HzとVG248QEの144Hzは同等というのは間違いだ。

 続いてオーバーウォッチ 2だが、こちらは画質“低”とし、フレームレート上限は600Hz、Reflex“オン”とした。練習場においてブリギッテのメイン攻撃(肉弾なのでリロードが不要)を500回繰り返したときのE-Eシステムレイテンシーを計測する。フレームレートは500fps台半ば〜600fps弱で変動していた。

オーバーウォッチ 2において横軸に試行回数をとり、各条件におけるE-Eシステムレイテンシーを散布図とした。ここでもPG248QPの120Hzと60HzのときだけE-Eシステムレイテンシーが上側に散っている
計測されたデータから基本統計量を算出したもの。VALORANTに比べると540Hzと360Hzの差がしっかり(とはいえ1ms)出ている
PG248QP+540Hz時のヒストグラム。7〜8msを中心に急峻な山が生成された
PG248QP+360Hz時のヒストグラム。VALORANTとは異なり、540Hzよりも明らかに山のふもとが右に寄り、さらに高さも低くなった(=ばらつきが出始めた)
PG248QP+240Hz時のヒストグラム。360Hz時と場所はほとんど変わっていないが、データのばらつきがさらにひどくなる
PG248QP+120Hz時のヒストグラム。VALORANTと同様に120Hzになると盛大なばらつきが発生
PG248QP+60Hz時のヒストグラム。PG248QPを低リフレッシュレートで動かすとE-Eシステムレイテンシーになんらかのランダム性が加わるという疑念が浮上してくる
VG248QE(旧製品)+144Hz時のヒストグラム。PG248QPの240Hzに近い場所に山が出ているが、ばらつきはVG248QEのほうが大きい

 オーバーウォッチ 2でも540Hzがもっとも安定した低レイテンシー環境であることが示されたが、360Hzと比べると差分はごくわずか。240Hz基準でようやく差として認識できる。そしてここでも120Hzより下のリフレッシュレートではなんらかの理由によりゲーム向けとは言い難い性能を示した。車で言えばサーキット走行に最適化しているから街乗りではまったくダメ、みたいなものだが、家庭用ゲーム機を接続して遊ぶことを考えたらもう少し低リフレッシュレートでも安定した値が出てほしかったところだ。

 ただ今回は540Hz検証が本命であるためHDMI接続では検証していない。もしかしたらHDMIだと全然問題ないという可能性もあるが、その辺の検証は後進に委ねたい。

RTX 4090が必須「ではない」

 ここまでの検証においてビデオカードはGeForce系最速のRTX 4090を使用した。GPU側ボトルネックを最少にするという観点ではこれ以外考えられないチョイスだが、誰もがRTX 4090を持てるわけではない。

 そこで次の検証はRTX 4090のほかにRTX 4070とRTX 2060(ともにFounders Edition)を準備し、同じ540Hzで動かした場合にGPUによる差が出るか? を検証する。RTX 2060は動作要件の最低ラインを満たすGPUであるという理由から、RTX 4070は「3DMark」のFire Stikeで比較すると、RTX 4090とRTX 2060のおおよそ中間に着地するようなスコア(それぞれ54,315/37,683/18,942)が得られるという筆者の経験からチョイスした。

 検証方法は前述の検証と同じだが、ここではPG248QPの540Hz動作時のみを使用する。

VALORANTにおけるE-Eシステムレイテンシーの散布図。RTX 4090からRTX 2060までほぼダンゴになっており、ここから優劣は判断できない
計測されたデータから基本統計量を算出。今回得られたサンプルからは、RTX 4090よりRTX 4070の平均値が小さくなったが、その差はわずか0.42msだった
PG248QP+RTX 4090時のヒストグラム
PG248QP+RTX 4070時のヒストグラム
PG248QP+RTX 2060時のヒストグラム

 RTX 4070のほうが平均値も山の位置もRTX 4090よりほんのわずか優勢ではあるが、強いて言うならRTX 4090のほうがヒストグラムの尖度が大きく、より安定した結果が出ているとも言える。無論計測誤差の範囲と切り捨てることもできるため、RTX 4070以上は本稿におけるテスト条件では変わらない(RTX 4090を使う必要はない)と言えるだろう。RTX 2060も2世代落ちのGPUとしては健闘しており、平均値ベースではRTX 4090を紙一重で上回っているが微妙に上振れするデータが出てきた。より高性能なGeForceを使うのはPG248QPを使う上で好ましいことだが、eスポーツ向けの低画質設定で攻めるなら、RTX 2060でも十分役立つことを示している。だがベストをつくしたいなら、RTX 4070あたりを狙いたい。WQHDゲーミング向けのRTX 4070ならフルHDのPG248QPに対しては十分な余裕が確保できるはずだ。

オーバーウォッチ 2におけるE-Eシステムレイテンシーの散布図。VALORANTとは異なりRTX 2060だけが上側に大きくばらつく
計測されたデータから基本統計量を算出。RTX 2060の平均値があきらかに高い
PG248QP+RTX 4090時のヒストグラム
PG248QP+RTX 4070時のヒストグラム
PG248QP+RTX 2060時のヒストグラム

 一方オーバーウォッチ 2ではVALORANTより負荷が高いせいか、RTX 2060の1人負けというべき結果となった。ここではRTX 4090はRTX 4070よりよい結果を残せたが、平均値で言えばわずか0.3ms差と誤差レベルの差にとどまる(統計的な有意差検定は未実施)。

 無論画質設定を盛る、VALORANTやオーバーウォッチ 2よりもGPU負荷の高いゲームでテストすれば、上位GPUが優勢になる可能性は十分に考えられる。だがPG248QPのコンセプトに合致するような使い方をするなら、RTX 4070より上はほぼ差がないのではないか、というのが今回の結論だ。

“買える”最高で“内なる平穏”を手に入れる

 以上でPG248QPのレビューは終了だ。リフレッシュレート540Hzは確かに最速だが、今現在360Hzモニターを使用しているユーザーがさらなる高みを目指して乗り換える、と言うよりも、旧世代の144〜240Hzを使っているユーザーが“最新のよりよい環境”にアップデートすることで勝ちをもぎ取りに行きたい、あるいはモニターが足かせになる不安から解放されたい、という場合にこそ間違いなく買いだと言いたい。「VALORANT」や「オーバーウォッチ 2」、さらに「Counter-Strike 2」、「リーグ・オブ・レジェンド」といった軽負荷&高フレームレートが出しやすいゲーム中心ならなおさらPG248QPは輝いててくれるだろう。

 最大の難点は約15万円という価格設定だが、最高レベルの製品というのは基本的にそういうもの。eスポーツシーンに真剣に取り組みたいなら、PG248QPは究極の選択として“欲しいものリスト”に載せるべきだろう。

超高速540HzモニターをKTUがライブで“濃密に”解説!

【540Hz駆動のゲーミングモニターASUS「ROG Swift Pro PG248QP」の実測結果をKTU・加藤勝明氏がライブ解説!【5月21日(火)21時より】】