トピック

フロント全面液晶の見た目がすごいゲーミングPCに、可変動作対応のゲーミングモニターを動作デモ

PC市場の今後を占う各種コンセプトモデルなども(COMPUTEX AKIBA出張所 / MSI編)

 PC/IT関連の見本市「COMPUTEX TAIPEI 2024」が、6月4日~6月7日(現地時間)の日程で台湾で開催されている。

 MSIは期間中メイン展示会場の南港展覧館にブースを構え、AI向けのデスクトップPCやノートPCをはじめ、ゲーミングモニターのコンセプトモデルや有機EL搭載モデル、次世代プラットフォーム向けのマザーボードなどを展示。今回のレポートではその中から目立った展示物を紹介しよう。

前面パネルは全面液晶で豪華!AI画像生成もできるゲーミングPC「MEG VISIO X AI」

MEG VISIO X AI

 MEG VISIO X AIは生成AIなどでの利用も想定したゲーミングPCのコンセプトモデル。このまま発売される製品ではないので構成などの記載はなかったが、3連ファンクーラー搭載のビデオカードが搭載されるなど、ハイエンド寄りの構成がうかがえる。

 外観の最大の特徴はフロントパネル。全面が液晶パネルになっており、かなり派手。CPU内蔵GPUと接続されており、フルHD解像度のタッチパネルとして動作している。操作インターフェイスとして利用するのはもちろん、通常のセカンドディスプレイとしても利用できる。

前面パネルすべてが液晶画面、解像度は1,080×1,920の縦位置フルHD。
タッチパネルになっており、PCの設定の変更などはもちろん、通常のセカンダリディスプレイとしても利用できる。
側面はガラスパネルで、内部の様子から高性能寄りの構成がうかがえた。
本体上部のデザインも凝ったものになっている。

 フロントパネルの液晶は通常のディスプレイとして動作しているので、ユーザーが自由にカスタム可能。標準の状態であれば、本体の動作を状況に合わせ自動で調整してくれるMSI AI Engineの操作に利用したり、SNSの画面を表示してメッセージ確認用の画面として利用したりもできる。

ローカル環境だけで動作することでネット上に情報が洩れるリスクを回避できる生成AIアプリケーションのMSI AI Artist。
Intel CEOのパット・ゲルシンガー氏のサイン。

 また、デモ機にはMSI AI Artist x MSI Chatがインストールされ、生成AIの実演も実施。MSI AI Artistはインターネットを環境不要のローカルの環境のみでも動作するのが特徴のアプリケーションで、外部への情報流出のリスクなしで使用できる点が特徴。

 MSI AI Artistの動作条件は13世代以降のIntel Coreプロセッサー、GeForce RTX 4050以上のGPU(ドライバーVersion 528.xx以降)、16GB以上のメモリとされており、MSIの公式サイトでアプリケーションは公開されている。

 MSIブースにはIntel CEOのパット・ゲルシンガー氏も訪れており、本機にサインを残していった。

4K/160HzとフルHD/320Hzの動作モードが切り替えられるゲーミングモニター「MPG 321CUPF」

MPG 321CUPF

 3,840×2,160ドット/160Hz・1,920×1,080ドット/320Hzを切り替えて使用できるユニークなゲーミングモニターMPG 321CUPF。ブースでは動作モードを変えた際の効果などがデモされていた。

 RPGなどを遊ぶ際は精細感を優先して高解像度を選択、競技向けのゲームを遊ぶ際は解像度を落として高フレームレート表示に対応といったように、遊ぶゲームに合わせてゲーミングモニター側の特性を変えられるのがメリット。

4K/160Hz・フルHD/320Hzの二つの動作モードを選んで使えるユニークなゲーミングモニター。
MPG 321CUPFのスペック

 メーカーによると、パネル自体が二つのプロファイルをもったモデルで、3,840×2,160ドット/160Hzまたは、1,920×1,080ドット/320Hzの二つの設定に対応しているとのこと。パネル自体は4K解像度でもさらに高いリフレッシュレートでも表示が可能だと思われるが、内部のスケーラーに使われている処理チップの制約などがあり、解像度や応答速度に対してのリフレッシュレートは今回のスペックあたりが上限とのこと。今後チップが高性能化していけば、3,840×2,160ドットでも360Hz動作が可能になるのではないかとのことだった。

背面側のデザイン。
RPGなら解像度優先、FPSならリフレッシュレート優先

 パネルのサイズは31.5インチで、パネルの種類はRapid VA。応答速度は0.5ms(GtG)、1500Rの湾曲タイプ。

ゲーミングモニターは有機ELモデルを多数展開ゲーム連動モデルにウルトラワイド、流行りのWQHDモデルも

MEG 321URX QD-OLED

 MSIブースには有機ELパネルを採用したゲーミングディスプレイも多数展示されていた。特にめだっていたのがMEG 321URX QD-OLEDで、ゲームと連動して本体下部のLEDバーの色や長さが変わる機能を備えている。

モンスターハンターライズの体力ゲージや武器ゲージに合わせてLEDバーの表示が変わる機能を搭載。
何に合わせるのかはユーザーが選択

 LEDバーの連動機能はカプコンと協力体制で開発しているとのことで、モンスターハンターライズのステータスに合わせて動作する様子がデモ。キャラクターの体力や武器のゲージなど、どの項目と連動させるのかはゲーミングモニター側から選択して指定できる。今のところ対応ゲームはモンスターハンターライズのみとのことで、今後対応ゲームを増やしていきたいとのこと。

 パネルサイズは31.5インチで、解像度は3,840×2,160ドット、リフレッシュレートは最大240Hz。

MAG 271QPX QD-OLED E2

 スタンダードな仕様の有機ELゲーミングモニターの新型は、MAG 271QPX QD-OLED E2を展示。

 26.5インチ/2,560×1,440ドットの有機ELパネルを採用。リフレッシュレートは最大240Hz対応で、応答速度は0.03(GtG)。流行りのサイズと解像度で有機ELパネルを搭載したモデルになっている。

MPG 341CQPX QD-OLED

 ウルトラワイドの新型としてはMPG 341CQPX QD-OLEDを用意。34.18インチ/1800Rの湾曲パネルを採用した大型かつ没入感も堅いモデルで、サイズが大きいだけでなく、解像度3,440×1,440ドット、240Hz対応とゲーミングの性能も高い製品となっている。

上位の有機ELモニターは表示領域の変更機能に対応。
大型のゲーミングモニターを使っていても、大会や試合などの環境に表示サイズを合わせて練習することができる。

 リフレッシュレートの可変機能には対応していないものの、有機ELゲーミングモニターの上位モデルはアップデートで表示領域可変に対応。競技向けゲームの大会機材に環境が近くなるように、24.5インチや27インチなどに表示領域に制限をかけて練習したり、感覚を画面サイズに慣らせたりすることができる。今後登場するモデルは対応品が増えていくとのこと。

ディスプレイ側のボタンで電源ON/OFFできるミニPC「Cubi NUC」接続はHDMIケーブル1本のみでOK

Cubi NUC 13MQG/1MG

 ディスプレイ側のスイッチでPCの電源ON/OFFが可能なMSI Power Link対応のミニPC「Cubi NUC 13MQG/1MG」。

 ミニPCをディスプレイの裏側に搭載した際に、本体のスイッチ類へのアクセスが難しくなる問題を解決したモデルで、MSI Power Link対応のディスプレイと組み合わせることで、ディスプレイ側のスイッチでPC本体の電源ON/OFFが可能になったモデル。

会場では実際に操作できるデモ機が用意されていた。
PCの電源操作が行えるディスプレイ側のボタン。
MSI Power Linkは、Power Linkと書かれたHDMIポートと対応ディスプレイをHDMIケーブルで接続するだけで利用可能。
MSI Power Linkは、ミニPCをディスプレイ背面に搭載した際の問題の一つを解決してくれる。

 MSI Power Linkの利用はHDMIケーブル一本で済む仕組みで、Cubi NUC側のPower Linkと記載されたHDMIポートと対応ディスプレイを接続するだけ。スマートで扱いやすい点も特徴。

 Cubi NUCはCore i7-1365U搭載でIntel vPro対応のCubi NUC 13MQGとCore 7 150U搭載のCubi NUC 1MGの2モデルが用意されている。会場には内部基板のサンプルも展示されていた。

スペック表、CPUの違いで2モデルが用意されている。
基板のサンプルも展示されていた。

 本体の外装には再生プラスチックを採用しており、EPEATの認証を取得するなど環境へも配慮。また、ノートPCやスマートフォンのデータを自宅のPCに保存し、クラウドストレージ的にアクセスできるようになるMSI Cloud Centerもサポートしている。

本体の素材は再生プラスチックを採用。
EPEATの認証も取得している。

コンセプトモデルや次世代マザーボードなど多数の新製品も展示

 これらのほかにも次世代Intel CPU対応マザーボードやPCケースのコンセプトモデル、ポータブルゲーミングPC「Claw」の8インチモデル、Intel Lunar Lake搭載のノートPCなど、数多くのモデルが展示されていた。

MSIのポータブルゲーミングPC Clawの8インチモデルClaw 8 AI+。
CPUはLuna Lake搭載。
MSI Clawの特別カラーモデルClaw Fallout 4 Limited Editionも展示されていた。
Ryzen 9000シリーズ向けのX870チップセット搭載のMAG X870 TOMAHAWK WIFI
X870チップセット搭載のX870-P WIFI。
背面コネクタ側のポートにはリンク速度が記載されるようになったとのこと。
CAMM2のDDR5メモリに対応したZ790 PROJECT ZERO PLUS(CAMM2)
M.2 SSDのように平面上に搭載するタイプのメモリで、このモデルではヒートシンクとバックプレートで挟んで使用する仕組みになっていた。
Mini_CUDIMM対応のZ790チップセット搭載マザーボード。対応メモリはまだ開発中と聞いているとのこと。
Intelの次世代CPU Arrow Lake向けのマザーボード。
Arrow Lake向けのマザーボードの基板もホワイトなモデル。
M.2スロットのSSDの固定具はワンタッチで外せるタイプのEZ M.2 Clip IIに。
Ryzen AI 300シリーズ搭載のノートPC。
Intel Lunar Lake搭載のノートPC。
Lunar Lakeは2024年後半に発売が予定。スペックなどに関しては会場では公開されておらず、デモ機も触れることはできなかった。
MSI×Mercedes-AMG Motorsportコラボレーションノートの新モデル「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport」。18インチのMini LED搭載IPSパネル採用。
新デザインの筐体を採用するビジネスノートModern 13 F1MG。
MSIはノートPCを発売して今年で20周年とのこと。
家具調デザインのケースModern PC Build。
NVIDIA スモール フォーム ファクターのビデオカードに合わせたコンセプトケースNVIDIA SFF-Ready PC Build。
一枚のガラスで前面+側面パネルを構成したMEG PC Build。
独自形状のファンを搭載するエアフロー重視のケースMPG VELOX 300R AIRFLOW PZ。カラーはブラックとホワイト。
MPG VELOX 300R AIRFLOW PZに搭載されているファン。
風の流れは直進性に優れたタイプとのこと。
内部に水冷クーラーを搭載したGeForce RT 4080 SUPER 16G EXPERT FUZION。
より大型の水冷ラジエーターを備えるGeForce RTX 4090 24G SUPRIM FUZION。
GeForce RTX 4090 24G SUPRIM FUZIONに搭載されているラジエーター。
生成AIによるデザインから制作された展示デモ用ビデオカード「AI GENERATE EDITION」シリーズ。こちらはGeForce RTX 4090 SUPPIEM X 24G - AI GENERATE EDITION。
高速SSD向けの新型ヒートシンクの試作品。VAPOR CHAMBER採用で既存のヒートシンク使用時のSSDの動作温度が54.2℃だったところ、今回の新型ヒートシンクは43.9℃まで下げることができたとのこと。
1,600Wでイルミネーション機能も備えたMEG Ai1600T PCIE5、素材にSiC(シリコンカーバイド)を採用することで1,600W電源としては小型なモデルとのこと。
120Hz対応のビジネスモニターPRO MP252 E2。MSIの今後のビジネスモニターは120Hz対応品に置き換わっていくとのこと。
白い筐体を採用したオールインワンPCの新モデルModern AM273Q AI 1UMG/Modern AM273QP AI 1UMG
MSI製では初というスマートモニターのModern MD22UPWS。
ファンのデイジーチェーンに対応した水冷クーラーのMAG CORELIQUID I360 WHITEとMGA CORELIQUID Aシリーズ。一つのマウンタでIntel/AMD両方のソケットに対応できるのも特徴。
ピラーケース向けに液晶パネルの向きが変えられる水冷クーラーMAG CORELIQUID Pシリーズ。
MSI×NVIDIAの塗装ロボットのAI活用デモ。