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AI機能を活用した動画編集もバリバリこなせるGIGABYTE「AORUS 16X(2024)」をプロクリエイターが現場で使ってみた!!
ハイエンドノートPCの性能はクリエイティブワークにも活きる text by 芹澤 正芳
- 提供:
- GIGABYTE
2024年6月27日 00:00
GIGABYTEから“AIゲーミングノートPC”という新たなコンセプトの製品が登場した。ゲーミングノートは、その高い性能と長時間駆動時でも安定して動作する優れた冷却力から、高いパフォーマンスを必要とする用途にPCを使いたいさまざまな人、たとえばクリエイターがパワフルに作業を行うのにも向いている。
今回紹介するGIGABITEの「AORUS 16X(2024)」は総じて高いパフォーマンスが魅力のPCだが、“AI性能”も重視したスペックにすることで、最新のユーザーニーズに応えられるようにしているのが最大の特徴だ。近年、生成AIやAI検索が大きな注目を集めているが、クリエイターの現場では音声データからの文字起こし(そこからのテキストベース動画編集)や自動のカット編集などでディープラーニングを活用したAIが使われている。クリエイティブな作業の効率とクオリティを高めるためにもAI処理の性能の重要性は高まっているのだ。
PCの用途の中でも高い性能を求められるゲーミング用途、そして今後のPCに求められるAI性能をハイレベルに融合した最新のノートPCを、クリエイターが最前線の現場で利用すると何が起きるだろうか。今回は、そんな新世代のAIノートPCの魅力と、現役クリエイターが実際に使用した模様をそれぞれレポートする。
Core i9-14900HX&GeForce RTX 4070の高い基本性能
AORUS 16X(2024)は、高性能なCPUとGPUを搭載しているのはもちろん、メモリは32GBとノートPCとしては大容量で、ストレージも高速なSSDを採用。ゲーミングはもちろん、クリエイティブワークでも重要となるスペックを網羅し、用途に合わせてパフォーマンスと消費電力や静音性のバランスを切り換えられる独自ツール「Ai Nexus」など、独自のAI機能を用意しているのが注目ポイントだ。
まず注目したいのはCPUだ。第14世代Coreでモバイル向けでは最上位になる「Core i9-14900HX」を搭載。パフォーマンス重視のPコアを8基、効率重視のEコアを16基、合計24コア32スレッドの強烈なメニーコア仕様で、さらにPコアの最大クロックは5.8GHzとこちらも非常に高い。コア数を求める作業もクロックの高さが効く作業のいずれにも強く、アプリを問わず快適に使える。
ゲーミング、クリエイティブワークの両方で重要となるGPUは、NVIDIA最新世代のRTX 40シリーズの中でも、モバイル向けのアッパーミドルに位置する「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」を搭載する。CUDAコア数は4,608基、メモリはGDDR6が8GB、メモリバス幅は128bitでノートPCの設計に合わせてブーストクロックは1,230から2,175MHz、カード電力は35から115Wで設定される。AORUS 16X(2024)は、ブーストクロックは設定可能な最大値である2,175MHz、カード電力はデフォルト95W/最大140W、と性能をフルに発揮できる高パフォーマンス仕様だ。これは冷却力に自信があるという証拠と言える。
RTX 40シリーズは、高い基本性能だけではなくアップスケーラーとフレーム生成を組み合わせ、フレームレートを大幅に向上させる「DLSS 3」に対応。さらに、高圧縮&高画質の動画コーデック「AV1」のハードウェアエンコードも可能と機能面も充実しているのが特徴だ。GeForceシリーズは、クリエイティブ系アプリでも幅広くサポートされており、一部エフェクト処理やエンコードの高速化にもその性能を発揮できるのが強みだ。
広色域で高解像度の16型ディスプレイを搭載
ディスプレイは16型で解像度は16:10比率のWQXGA(2,560×1,600ドット)だ。ノートPCとしては大きめかつ高解像度なので仕事にも使いやすい。さらに、sRGBカバー率100%と広色域で、Pantone色校正+TÜV Rheinland認証取得と色を正確に再現する環境が整っており、写真や映像のクリエイティブワークにも対応できる。
さらに、リフレッシュレートは165Hzと高く、なめらかな描画が可能なのに加えて、画面ズレやモタつきを防ぐ可変リレッシュレートのG-SYNCにも対応とゲーム面のスペックも充実。HDRにも対応しており、明暗の効いたHDRコンテンツも楽しめる。また、ディスプレイの上部には顔認証(Windows Hello)対応のWebカメラ(フルHD)も搭載とビデオ会議にも対応可能だ。
Thunderbolt 4にUHS-II対応のmicroSDカードスロットも用意
最新仕様のノートPCだけあってインターフェース系も充実している。左側面に1G対応の有線LAN、HDMI 2.1出力、USB 10Gbps、Thunderbolt 4、右側面にUSB 10Gbps、USB 10Gbps Type-C(DisplayPort出力対応)、microSDカードスロット、ヘッドセット端子を備えている。microSDカードスロットは、最大312MB/sのUHS-II対応とデータを高速にコピー可能なのがポイント。大容量ファイルもストレスなくやり取りできるのは写真や動画を扱う上で重要と言える。また、無線LANはWi-Fi 7に対応し、Bluetooth 5.4もサポート。
ゲーミングでもクリエイティブワークでも長時間高い性能を維持するのに重要となる冷却システムには独自の「WINDFORCE Infinity」を採用。84枚のブレードで構成されるファンを2基備え、5本のヒートパイプと202枚のフィンを高密度で配置することで効率よく熱を本体の外に逃がす。これによって最薄部で2cmの薄型ボディに高性能なCPUとGPUの搭載を可能にしている。また、本体サイズは356×254×20~27mmで重量は2.3kgだ。99Whのバッテリーが内蔵されている。
GIGABYTE Control Centerにシステム管理のためのAIを活用
システムを総合的に管理するユーティリティの「GIGABYTE Control Center」にAIを活用したのも大きな見どころだ。「AI Power Gear」では、状況に合わせて高パフォーマンスと省エネを自動的に切り換える“AI Power Gear”、グラフィックスの性能を引き出す“パフォーマンス”、性能とバッテリー駆動時間の両方を重視する“バランス”、グラフィックスをCPU内蔵のGPUに切り換えてバッテリー駆動時間重視にする“省電力”という設定が用意されている。設定ごとの性能差を見るために、Cinebench 2024を実行してみた。
パフォーマンス設定が一番スコアが出るのではと予想していたが、グラフィックス性能をより重視する設定になっているようでGPUテストの結果は一番優秀だが、CPUテストの結果は若干低くなった。ACアダプターで動作させる分には“AI Power Gear”にしておくのがよいだろう。“省電力”はCPUの内蔵GPUに切り換わるため、Cinebench 2024のGPUテストには対応できなくなる。
利用中のアプリに応じてCPU/GPU/ファンの動作を最適化してくれる「AI Boost」も気になるAI活用機能の一つだ。“デフォルト”、“クリエイター”、“ターボ”、“ゲーミング”、“ミーティング”、“省電力静音”と用途別に六つのモードが用意されている。ここでは、AI Power Gearを“AI Power Gear”モードに設定、あえて動作モードを手動で切り替えて、Cinebench 2024とサイバーパンク2077のベンチマーク機能を利用して、各モードの特徴を探ってみた。さらに、本体正面から10cmの位置に騒音計を設置したときの動作音(Cinebench 2024実行時の最大値)も測定している。
“ミーティング”と“省電力静音”は性能が抑えられるようで、Cinebench 2024のCPUスコアとサイバーパンク2077のフレームレートは30%以上も下がっている。それと同時に動作音も大きく下がっており、筆者の感覚としてほとんど音が気にならないレベルまで小さくなった。サイバーパンク2077は下がったと言っても十分プレイできるフレームレートは出ており、深夜など静かに使いたい場面では重宝しそうだ。“ターボ”設定ではCinebench 2024で一番高いスコアを出しているが動作音は突出して大きくなる。かなりうるさいレベルだ。用途にもよるが、“クリエイター”と“ゲーミング”設定がバランスはよいだろう。
三つ目のAI活用機能は「AI Generator」だ。これは「Stable Diffusion」を手軽に試せるというもの。バージョン1.5をベースにしているようで、プラグインの導入など高度なことはできないが、プロンプト(英語のみ)を入力するだけで画像生成を実行できる。サンプラーや解像度の変更は可能だ。AIによる画像生成を体験してみたいという人にピッタリと言える。
第10世代のハイエンドノートからCPUパワーもAI性能も大幅な性能向上
ここからはベンチマークで性能をチェックしてみよう。比較用としてCPUに第10世代Coreの上位モデル「Core i9-10980HK」(8コア、16スレッド)、GPUにGeForce RTX 2070 SUPER(GDDR6 8GB)を搭載する2020年発売のハイエンドゲーミングノートを用意した。4年間でどこまで性能が進化しているのかに注目したい。AORUS 16X(2024)の動作モードはAI Power Gear(AI BoostはOFF)に設定して実行している。
モデル | AORUS 16X(2024) | 比較用旧世代ノートPC |
CPU | Intel Core i9-14900HX (24コア、32スレッド) | Intel Core i9-10980HK (8コア、16スレッド) |
メモリ | DDR5 32GB(16GB×2) | DDR4 16GB(8GB×2) |
GPU | NVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop GPU(GDDR6 8GB) | NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER (GDDR6 8GB) |
OS | Windows 11 Home |
ベンチマークは、CGレンダリングでCPUパワーをシンプルに測定する「Cinebench 2024」、実際にPhotoshopとLightroom Classicを使ってさまざまな画像処理を実行する「Procyon Photo Editing Benchmark」、さまざまな推論エンジンを実行してAI性能を測定する「Procyon AI Computer Vision Benchmark」、Stable Diffusionによる画像生成速度を測定する「Procyon AI Image Generation Benchmark」の4種類を実行した。
同じCore i9を冠するとはいえ、4年の進化は目覚ましく、2020年のハイエンドクラスであるCore i9-10980HKは8コア16スレッド。AORUS 16X(2024)搭載のCore i9-14900HXは、物理コア数は3倍の24コア、処理スレッド数は2倍の32スレッドにまで増えた。この進化により、ベンチのスコアも大きく伸び、特にマルチコアテストにおいては3倍以上のスコアを叩き出した。シングルコアのスコアも約1.7倍もスコアアップしており、コア単体の性能も旧世代に比べて大幅にアップしているのが分かる。
続くProcyon Photo Editing Benchmarkでは、総合スコア(グラフ中のPhoto Editingの項)で約1.46倍もスコアを伸ばしており、画像処理の速度も大きくアップしている。とくにCPUパワーが影響するBatch Processingでは、約1.6倍もスコア向上とクリエイティブな処理においてCPU性能の重要性が分かる部分だ。
AI Computer Vision、AI Image Generationでは、NVIDIAのGPUを使う「TensorRT」を選択して世代差を見てみた。AI Computer Visionでは約1.54倍、AI Image Generationでは約1.35倍もスコアが高くなった。GPU性能はAI処理においても旧世代と大きな差があることが分かる。
普段の動画編集環境と遜色なし! プロが実際の作業で使ってみた
高い性能を持っていることは、ここまでのテストで分かったが、実際に業務で動画編集を行っているプロに使ってもらったら、どのような感想を持つのかは大いに気になるところ。今回はデザインや動画制作を業務として手掛けるベテランデザイナー、ワックスグラフィックスの大下幸治氏にAORUS 16X(2024)で普段と同じ動画編集作業を行ってもらい、いろいろと話を聞いてみた。
――現在はどのような環境で動画編集の業務を行っているのでしょうか
【大下氏】普段はM2 MAXを搭載するMac Studioを使い、ソフトはPremiere Proで動画編集を行っています。メモリは64GBですね。現在は4K、6K、8K解像度の素材を使うことが多くなっています。以前は、第10世代Core i7、メモリ72GBを搭載するiMacを使っていましたが、Mac Studioに乗り換えることでエンコード時間が4分の1ぐらいになって、素材のプロキシファイルを作成しなくてもプレビューできるようになるなど、作業の効率は大きく向上しています。
――AORUS 16X(2024)を実際に使ってみて現在の環境との違いはどうでしょうか
【大下氏】先日Mac Studioで作業した動画の編集をAORUS X16でやってみました。8Kカメラ1台、4Kカメラ3台のソースを使ったものです。結果、“操作感”という意味ではノートPCのAORUS X16でも普段のMac Studioと違和感なく作業できてしまい驚きました。
8Kと4Kの素材が複数重ねたものを4Kで書き出してみましたが、Mac Studioは9分25秒、AORUS 16Xだと10分15秒とあまり変わらない。私がよく使う機能として、手ぶれを補正するワープスタビライザーがあるのですが、同じ素材の処理にMac Studioだと4分48秒、AORUS 16Xだと5分5秒とこちらも同じぐらい。
――Premiere ProはAIを活用した処理もありますが違いはありましたか
【大下氏】Premiere ProのAI編集ツールでよく使うのが音声をテキスト化する文字起こしですね。16ソースを一度に文字起こしするとMac Studioは3分16秒でAORUS 16Xが2分5秒とかなり速かったです。1ファイルだけだとMac Studioのほうが速かったのですが、複数同時に実行するとAORUS 16Xが上回りました。
――そのほか気になった点はありますか
【大下氏】ディスプレイも普通に作業で使えるレベルでした。ノートPCなので、外出先でも同じ作業ができますし、HDMI出力もあるので大画面のディスプレイと接続して2画面にできるのもいいですね。
高速なThunderbolt 4ポートを搭載している点も動画編集者にとってはありがたいです。最近扱う動画の素材は4Kや8Kのものがほとんどです。最終出力がフルHD(1,920×1,080ドット)であっても表現に幅を出せるので(一部をアップにしても解像感が落ちにくいなど)4K素材を使います。そうなると、素材データが大きくなってオンラインで受け取るのは時間がかかりすぎてしまうのです。結果、外付けSSDで受け取ることが増えています。この時に高速な外付けSSDを使えるThunderbolt 4が活きていきます。
――ありがとうございました
プロの仕事も余裕でこなせる万能性の高いゲーミングノート
AORUS 16X(2024)は、プロのクリエイターのニーズにも応えられる性能を備えたハイエンドノートPCと言えることが、スペックや各種テスト、そしてプロの動画編集者の声からも分かった。高いCPUとGPU性能、高解像度で色の再現性の高いディスプレイは仕事でも遊びでも活躍でき、クリエイターはもちろん、ゲームの配信にも興味があるゲーマーにもオススメだ。
今回紹介したのは最上位モデルだが、ディスプレイはそのままにCore i7-14650HXとGeForce RTX 4060 Laptop GPUを組み合わせ下位モデルや日本語配列のキーボードを採用したモデルなど、バリエーションを豊富に用意している。予算や目的、ルックスに合わせて選べるようになっているのもうれしいところだ。