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AIゲームセンター爆誕!GIGABYTEのローカルAIは激速だった!!
Intelの次世代プロセッサー対応マザーなども展示(COMPUTEX AKIBA出張所 / GIGABYTE編)
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- GIGABYTE
2024年6月11日 00:00
PC/IT関連の見本市「COMPUTEX 2024」が、6月4日~6月7日(現地時間)の日程で台湾で開催された。
GIGABYTEは、台北市内の複数の会場でイベントを開催。ローカルPC上で独自のAIモデルを効率的に作成可能なソリューション「AI TOP」を発表し、さらに対戦ゲームやツールを通じてローカルAIを直接試せる体感イベントも実施した。その中身をじっくりレポートしていきたい。
ローカルAIソリューションをワンストップで提供する「AI TOP」
GIGABYTEが新たに展開する「AI TOP」は、ハードウェアとソフトウェアの両面からアプローチしているのがポイント。同社がこれまで手掛けてきたPCパーツ製造の知見をもとに開発した高性能、高信頼なAI処理向け製品と、一貫した操作性でAIモデルの独自最適化を支援する管理ツールの両方を提供する。
まずハードウェアについては、AIワークステーション向けのマザーボードとして「TRX50 AI TOP」を紹介した。ExtendedATXサイズのこのマザーボードは、Socket sTR5(AMD Ryzen Threadripper PRO 7000/Threadripper 7000シリーズ対応)を搭載し、4つのPCIe 5.0 x16スロットにビデオカードを4枚同時に装着可能。2TBまでのDDR5メモリとM.2 NVMe SSD×4台のRAID 0構成に対応する上、10GbE LANポート×2も装備する。
ビデオカードには、NVIDIA製GPU搭載モデルとして「GeForce RTX 4070 Ti SUPER AI TOP 16G」を用意。マルチGPU構成に配慮して2スロット分の厚みに抑え、冷却効率の高い銅製ヒートシンクを装備する。これを「TRX50 AI TOP」などと組み合わせることでVRAM容量が最大64GBとなり、巨大なAIモデルのトレーニングにも対応できるようになる。
また、AMD製GPU搭載モデルとしては「W7900 AI TOP 48G」と「W7800 AI TOP 32G」の2種をラインナップする。こちらも2スロット分の厚みとし、4枚同時装着により最大192GBという圧倒的なVRAM容量を実現する。
M.2 NVMe SSDにもAI処理向けのモデル「AI TOP 100E」が追加される。1TB版と2TB版の2種類で、規格は2280。シーケンシャルリード最大7,200MB/s、同ライト6,500MB/sの性能を持ち、総書き込み容量は一般的なSSDの約150倍としている(1TB版は109,500TBW、2TB版は219,000TBW)。製品保証期間についてはそのTBWに達するまで、もしくは5年間となる。
さらに高信頼・高耐久な電源ユニットとして「UD1600PM PG5 AI TOP」が登場する。80PLUS Platinum認証、容量1,600Wのモジュラー電源で、同時に複数のGPUに電源供給可能(4基の場合は1基あたり300Wまで、2基の場合は同600Wまで)。日本メーカー製キャパシタを採用するなどパーツにもこだわり、10年の製品保証が付帯する。
これらのハードウェアを組み合わせることで、ハイエンド構成では2360億を超えるパラメーター数のAIモデル生成に対応。GIGABYTEでは用途や予算に応じた機器構成の例も提案しており、たとえば300億超のパラメーターに対応可能なエントリー構成は6,499ドルから、2360億超のパラメーターに対応可能なハイエンド構成は3万5,999ドルからとしている。
一方、ソフトウェアとしては「AI TOP UTILITY」と「AI TOP TUTOR」の2つを提供する。マザーボードまたはビデオカードにGIGABYTE製品を使用した一定以上のスペックを持つ環境であれば、AI TOPのハードウェアでなくても利用可能だと言う。
1つ目の「AI TOP UTILITY」は、統合されたダッシュボードを持つAIモデル生成が可能な専用ツール。オープンな既存AIモデルをベースに独自のデータを加えてトレーニングを行うことができ、AIモデルを特定の用途に最適化(ファインチューニング)できる。分かりやすい管理画面で操作可能な上、処理状況をリアルタイムに確認できるようにもなっている。
2つ目の「AI TOP TUTOR」は、そうしたAIモデルの作成・トレーニングの手順や、それに必要な初期設定の方法、AI TOP製品などに関する情報などをテキストでやり取りできるAIチャット機能。いわばテクニカルサポートの大半をAIでまかなってくれるような仕組となっている。
瞬時に画像生成するツールを体験、「AIゲームセンター」で対戦も
以上のようなローカルPCでAI処理を行えるようにするソフトウェアは、特にAIを自社の業務や製品に応用しようと考えているエンジニア、あるいはクリエイターにとって有用なものではある。
しかし、それ以外の一般のユーザーはなんとなく「スゴそう」とは思っても、具体的にどういった場面で役立つのか分かりにくい部分もあるだろう。そこでGIGABYTEでは、ローカルAIのメリットをより理解しやすい体験型コンテンツも別会場に用意していた。
この会場では、各所にGIGABYTEのノートPCや、GIGABYTE製パーツを搭載したデスクトップPCを設置。ローカルPC上でAI処理を実行できるようにするソフトウェアが組み込まれ、それによって新感覚のゲーミング体験やクリエイティブ体験が可能になっていた。
その中の1つが、ノートPCのカメラがとらえた映像をリアルタイムに近い形で事前指定したテイストに変換するデモ。画像生成用のプロンプトなどと組み合わせることで、カメラに映っている人物や風景を2〜3秒ごとに次々にアメコミイラスト風に変換した。
ほかには、プロンプトを入力するとほとんど即座にそれに沿った高解像度のイメージを生成するデモや、ペイントソフトで絵を描くと、それに合わせてほぼリアルタイムでプロンプトに沿ったイメージを生成するデモもあった。
クラウド経由だと数十秒はかかっていたようなAI画像生成も、GIGABYTEの高性能なハードウェアを用いてローカルAIで処理することで瞬時に完了する。思い付いたアイデアをよけいな時間をかけずにブラッシュアップさせていけるのはもちろんのこと、処理がローカルで完結するので重要なアイデアを外部に漏らす心配がないこともメリットだろう。
なお、こうした高度なAI処理であっても、必ずしもハイエンド構成のPCである必要はない。イメージ生成のデモに使われていたのはいずれもGIGABYTEのノートPCだが、モデルとしては「G6X 9KG」や「AORUS 16X」などで、Intelの第13世代CoreプロセッサーやNVIDIA GeForce RTX 4060/4070を搭載したものもあった。これから発売される新型モデルでなくとも、GIGABYTE製品はすでに高いAI処理性能を持っていると言えそうだ。
また、「VS AI STREET FIGHTING」と名付けられたAIを用いた対戦型ゲームも盛り上がっていた。アーケードゲーム機を模した筐体(中身はGIGABYTEのパーツを組み込んだデスクトップPCと縦置きディスプレイ)2台が向かい合わせに設置され、2人対戦(またはAIと対戦)で遊ぶスタイルは、まさに「AIゲームセンター」と呼ぶべきものだ。
ルールは、最初に出る「お題」に沿った画像を、制限時間内にプロンプトを駆使して生成し、最終的にどちらがお題の意図するものに近い画像になっているかをAIが判断して勝敗を決めるというもの。時間内であれば何度生成してもよいが、試行回数よりもどちらかというとプロンプトのワードや言い回しのセンスが求められる。まさにプロンプトエンジニアリングのスキルがものを言うゲームだ。
会場内には3名のアーティストがAIを用いて制作した映像作品も展示されていた。画像生成AIによる幻想的なイメージが次々と現われ、塗り重なるように変化していくもの、架空の3D生命をAIによって生み出され泳ぎ出すもの、さらにはものや動物の名前などをキーボード入力すると3Dオブジェクトとして生成され、それが空間内で浮かび上がったり積み重なったりするものがあり、まさに新世代のデジタルアート。もちろん、これらを実行していたのはGIGABYTEのノートPCや同社製パーツを搭載したPCだ。
次世代プロセッサー対応のマザーボードに、高発色QD−OLEDモニター
2024年はAMDとIntelから次世代プロセッサーも登場予定となっているが、GIGABYTEもそれに合わせて対応チップセットを搭載したマザーボード製品をリリースする。イベントではそれらの新製品も展示していた。
Intelの次世代デスクトップ向けプロセッサーであるArrow Lakeに対応する、Z890チップセット搭載モデルと思われるマザーボードとしては、ブラックモデルの「AORUS MASTER」、「AORUS ULTRA」、「AORUS ELITE WiFi7」と、ホワイトモデルの「AORUS TACHYON ICE」、「AORUS ELITE X ICE」、「AERO G」が展示。
AMDの次世代デスクトップ向けプロセッサーであるRyzen 9000シリーズに対応するものとしては、X870Eチップセット搭載の「AORUS XTREME」や、B650Eチップセット搭載の「AORUS PRO X USB4」、「AORUS STEALTH ICE」を目にすることができた。
Wi−Fiアンテナを着脱するときの手間を減らした新しい形状のコネクターや、PCIeスロットのラッチをマザーボード上の離れた位置から容易に外せるようにするボタン、ケース内に設置するモニター向けと思われる基板前方に設けられたHDMIポートなど新機軸が多数見受けられ、販売開始が楽しみだ。
そして、GIGABYTEが近年力を入れているモニター製品も、その色彩鮮やかな画面表示もあってひときわ目立っていた。会場では多数のモデルが展示されていたが、いずれもQD-OLED(量子ドット有機EL)パネルを採用したものだ。
1つは49型湾曲ゲーミングモニター「AORUS CO49DQ」。アスペクト比32:9、5,120×1,440ドットの高解像度大画面でありながら、リフレッシュレート144Hz、反応速度0.03msを実現。DCI-P3を99%カバー、DisplayHDR True Black 400準拠といったクリエイティブ用途にも十分な発色性能の高さもあわせ持つ。
また、34型の湾曲タイプで240Hz対応の「MO34WQC2」、31.5型4K解像度で240Hz対応の「AORUS FO32U2P」、27型WQHD解像度で360Hz対応の「AORUS FO27Q3」なども展示。高解像度モデルはリフレッシュレートが高くできない、あるいはリフレッシュレートを高くすると発色や視野角に劣る、というような時代は過去のものと言えそうだ。