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240Hz/WQHD/IPS/1msで、広色域にG-SYNCも入ったMSIの27インチゲーミングモニター「G274QPX」

FPSもRPGも高レベルにこなせる一台 text by 白倉甲一

MSI G274QPX

 MSIから最大リフレッシュレート240Hzの27インチ/WQHDゲーミングモニター「G274QPX」が発売された。

 FPSなど動きの激しいゲーム向けの性能を持ちつつも、「RAPID IPS」パネル採用で広視野角と発色の良さを確保、HDRや広色域表示にも対応しているので、RPGなどのグラフィック重視のゲームも存分に楽しめるモデルとなっている。

 実販売価格は5万4千円前後と、このクラスの製品としては手頃な価格帯だが、G-SYNC CompatibleやUSB Type-Cによる65W給電などの機能も盛り込まれたモデルになっている。今回は「G274QPX」の特長や機能を中心に、実際にゲームで使用した際の使用感も合わせて紹介しよう。

27インチ/WQHD/240Hz/IPS対応のMSI製新型ゲーミングモニター高解像度・高リフレッシュレートで幅広いゲームジャンルをカバー

 まずは「G274QPX」の外観から確認していこう。3辺フレームレスベゼルで、全体的にシンプルで落ち着いた印象。背面側にある赤色のNaviキーがアクセントになっている。イルミネーション機能やUSBハブ機能などは搭載せず、パネルの性能に振ったコストパフォーマンス重視のモデルであることもうかがえる。

 本体サイズは約614×197×403(幅×奥行き×高さ)mm、本体重量は約5.95kg。付属するスタンドは省スペースながらも安定性が高く、グラついたりはしない。チルトやスイベルなども調整可能だ。

3辺フレームレスベゼル、液晶面にはノングレア処理が施されている。
背面。ロゴマークの下部に特徴的な赤色の操作用Naviキーを備える。
上部。台座部分はモニター本体から出っ張らないデザインになっている。
側面。裏側に向かって丸みがかった形状。

 パネルのサイズは27インチで、解像度はWQHD(2,560×1,440)。RAPID IPSパネルを採用しており、最大リフレッシュレート240Hz/応答速度1ms(GTG)と、解像度の高さとゲームに最適な表示性能を両立しているのが特徴だ。

 色域のカバー率はsRGB 99%、AdobeRGB 97%、DCI-P3 98%と、発色の良いRAPID IPSパネルにより広色域への対応がうたわれている。輝度は400cd/m2、コントラスト比は1,000:1。DisplayHDR 400規格に対応したダイナミックな明暗表現なども楽しむことができる。ゲーマーはもちろん、ゲームをメインにクリエイター用途にも使うといったユーザーにも適しているだろう。

高画質で広視野角でありつつ、高速な応答性能も持ち合わせるRAPID IPSパネルを採用。
最大240Hz駆動対応で、応答速度は1ms(GTG)。速度面の性能はFPSなど競技寄りのゲームで勝敗に及ぼす影響が大きいので、こだわりたい部分だ。
色域のカバー率はsRGB 99%、AdobeRGB 97%、DCI-P3 98%。ゲームの世界観を最大限に表現可能で、クリエイター用途にも向いている。
DisplayHDR 400に規格対応。光や影などの明暗表現などがより鮮明になり、迫力ある映像表現を楽しむことができる。

 接続ポートはHDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.4a×1、USB Type-C(DP Alt mode、USB PD)×1、ヘッドホン出力×1、を備える。

 DisplayPort接続時の最大リフレッシュレートはWQHD/240Hz、HDMI接続時の最大リフレッシュレートはWQHD/144Hz。G-SYNC Compatibleにも対応しているので、対応GPUを利用すればより滑らかな表示も行える。

 USB Type-C端子はDP Alt mode/USB PD65W対応なので、対応機器であればケーブル1本で画面出力および給電を行うことができる。ノートPCやスマートフォン、携帯ゲーム機と接続し大画面で作業をするのに便利な機能だ。

背面下部の各接続ポート。映像端子、音声出力やUSB Type-CなどPCはもちろん様々なデバイスとの接続にも対応できる。
G-SYNC Compatibleをサポート。対応GPU搭載のPCで利用すれば表示が滑らかになるだけでなく、ティアリングやスタッタリングといった画面表示関連のストレスを低減できる。
USB Type-C(DP Alt mode/USB PD65W)端子を搭載しており、消費電力65W以内のノートPCやタブレットであれば、映像出力/給電/データリンクがケーブル1本で行える。
付属ケーブルはDisplayPortケーブル。ACアダプタは110W対応のものが同梱、PD65Wを加味しても余裕のある容量となっている。

 各種設定はOSDメニューから行え、操作は背面にあるジョイスティックタイプのNaviキーによって直感的に行うことが可能。Naviキーを4方向に倒した際、それぞれに好みの機能を割り振る事もできるので、カスタマイズしてよく使う内容を登録しておくのもいいだろう。

 また、PIPやPBPも備えているので複数機器の映像を出力する際にも便利で、WQHDの高解像度をフル活用できる。長時間使用時の目の負担を軽減するブルーライトカット機能、暗いシーンの視界確保を補助してくれるナイトビジョン機能などもOSDメニューから設定できる。

OSDメニューはNaviキーで操作。背面にあるので一見すると操作しにくそうに感じるが、慣れてしまえばジョイスティック操作なのでむしろ簡単。
OSDメニューからは様々な機能が設定できる、各種ゲーム用途機能のON/OFFはもちろん、PIPやPBPなども利用できる。
目の疲れを低減するブルーライトカット機能、暗いシーンの視認性を高めるナイトビジョン機能といった必須とも言える機能も網羅。

大きめディスプレイでも安定感抜群の省スペーススタンドが付属VESAマウントにも対応し設置場所を問わない

 付属スタンドは高さの調節はもちろん、チルト(上下角度)、スイベル(左右角度)、ピボット(画面回転)と、一通りの調整が可能。各部に金属パーツが使われていて27インチの大きなモニター本体をしっかりと支える。

 付属スタンドの使用でも十分に自由な調整が可能だが、「G274QPX」はVESA75に対応しているので、付属のスペーサーを使用する事でモニターアームとの併用も可能。なお、スペーサーには十字の切り欠けがついているのでプラスドライバーで手早く着脱できる。

付属のスタンド。金属パーツが使われているので27インチでも安定して使用できるがっしりとした作りでありつつ、スペースは最小限に収まっている。
スタンド上部の爪を本体側にひっかけ、下部2か所を付属のネジで固定。グラつかずにしっかり取り付けられる。
ケーブルマネジメント用のホールがあるので、複数機器接続時などでも取り回しが容易。
本体側にはVESA75に対応した固定用の穴がある。付属のスペーサーネジを使用してモニターアームなどを取り付け可能。

 多機能スタンドではあるものの省スペースな造りとなっていて、モニター本体より手前には台座が突き出ず、卓上を広く使える点もなかなか好印象だ。スタンド下部にはケーブルマネジメント用のホールも用意されており、ケーブルをすっきりと整理するのにも役立つ。

高さ調節は最大+130mmまで。
チルトは下向きへ5度、上向きには20度の角度がつけられる。
スイベルは支柱ごと回転し左右にそれぞれ45度まで傾け可能。
ピボットは左右どちら向きでも90度の回転が可能。

240Hz/応答速度1msでの高速表示は競技性の高いゲームで大活躍高解像度+HDRの映像表現は没入感が重要なゲームにも好適

 「G274QPX」はWQHDの高解像度モニターながら最大240Hzでの駆動が可能だ。高速なリフレッシュレートによる映像の滑らかさと、高解像度における画面内の情報量の多さで、瞬間的な判断がしやすくなり、対人のゲームでは敵より確実に優位を築けるはずだ。

VALORANTで背後から奇襲されバタバタとした場面。敵の方を振り向くと同時にエイムを合わせる必要があり、画面が大きく動く。こうしたシーンではゲーミングモニターのリフレッシュレートと応答速度の性能が勝敗に大きく影響を与えるが、今回「G274QPX」の性能の高さを実感できた。

 ゲーミングモニターとしての速度面の性能を確認するのには、定番となっている人気FPSゲーム「VALORANT」をプレイしてみよう。

 VALORANTはFPS系のタイトルの中でも比較的PCへの要求スペックが低めで、常時240fps動作が狙いやすいタイトルだ。240Hz表示対応の「G274QPX」とは相性が良いタイトルと言える。使用してみたファーストインプレッションは、残像感や遅延などは感じず非常に滑らか。敵を瞬時に補足しエイムを合わせなければならない競技性の高いゲームとはとても相性が良いように感じた。

 ただし、少し前にゲーミングモニターの主流だった144Hz対応モデルと比べると、即買換えを迫られるほどの差は感じられなかった。数値的には240Hz対応は144Hz対応よりも明確にワンランク上だが、万人が知覚できるような劇的な差があるものではない。ただ、240Hz環境に慣れてしまった後に144Hz環境に戻れるかというと、おそらく戻りたくはなくなるだろう。エイムを合わせる感覚が微妙にずれたり、微妙な差で撃ち負けるようになったりと、144Hz環境と240Hz環境を行ったり来たりすると違和感が残るくらいの性能差は感じられた。

WQHDかつ27インチで精細感があり、ミニマップの情報が確認しやすく感じた。
VALORANTはマップ情報で敵の位置を確認しながら行動することも多いので、こうした部分の見やすさはとっさの判断の早さにも繋がる。勝敗にこだわるなら自分にあった見やすいゲーミングモニターを選びたい。

 また、27インチにWQHD解像度の組み合わせた際の良さを感じる部分もあった。VALORANTは相手の位置を把握するのにミニマップを活用することになると思うが、精細感が高いほうが見やすくなるので、高精細なWQHDであることがプラスに働く場面が多々あった。このあたりはどの程度のドットピッチが見やすく感じるか個人によって差がある部分だが、27インチでフルHDのゲーミングモニターを使っている人には是非WQHD解像度のゲーミングモニターを試してもらいたいところだ。

美しい自然が描かれる場面が多い「ARK: Survival Ascended」。広大な砂漠が続くエリアで単調になりがちなシーンではあるが、HDR+IPSパネルの性能で光の表現や発色が美しく、周囲を散策しているだけでも楽しい。

 RPGやオープンワールドゲームのような、その世界にどれだけ浸れるかが楽しさに影響を与えるタイプのゲームでは、発色の良さや精細感が重要になる。また、描画の美しさがウリのゲームでは、観賞用にフォトモードが実装されているタイトルもあり、美しさを楽しむこと自体が楽しさになっていたりもする。

 画質面のテストには広大な自然の中で過酷なサバイバル生活を送る「ARK: Survival Ascended」を使用した。Unreal Engine 5を用いた美しいグラフィックやHDRでの映像表現が楽しめるタイトルで、HDRにも対応している。

 使ってみた印象だが、HDRによりディティールが潰れることなく明所暗所がくっきり表現され、没入感のある繊細な映像表現を楽しむことができた。広色域対応のパネルを採用しているだけあって発色も美しい。映像の美しさに特化したモデルとまでは行かないが、RPGやオープンワールドゲームを遊んで十分楽しめる美しさはある。発色の傾向は派手とまでは行かないが少し彩度が高いくらいの印象で、ゲームをメインにクリエイブな用途にも使いたいといった人にも対応できる性能を持っている。

こうした画面全体が赤系の色になるようなシーンでも単調にならず美しい映像が楽しめた。
描画が美しいゲームはPCへの負荷が高いためフレームレートがシーンによって上下するが、「G274QPX」はG-SYNC Compatible対応なので、スタッタリングやテアリングなどを抑制しつつゲームを楽しむことができる。

 美麗なグラフィックや世界観を大事にしているゲームでは、PCへの負荷が重いことが多い。フレームレートが落ちることでスタッタリング(カクつき)を感じたり、ティアリング(描画の乱れ)が発生したりする。こういった現象への対策にはG-SYNCをはじめ映像同期技術が有効だ。

 今回テストに用いた「ARK: Survival Ascended」も最高画質で遊ぶ際はPCのスペックを要求するため、そのままではスタッタリングやティアリングが気になるシーンもあったが、「G274QPX」はG-SYNC Compatible対応なので、G-SYNCを有効化することでストレスを軽減してゲームを楽しむことができた。

より高速な表示性能を求めつつ画質も妥協したくないそんな人におすすめなWQHDゲーミングモニター

「MSI G274QPX」の最大の特徴は何といっても、240Hzの高リフレッシュレートと、RAPID IPSパネルによる映像表現を両立している点にあるだろう。広色域対応やG-SYNC Compatible、USB Type-Cで65W給電などの機能を盛り込みつつも、装飾部分などを削りコストを抑える事に成功しているのは大変魅力的だと言える。

 FPS系のタイトルなどをメインでプレイしていて、応答速度やリフレッシュレートなどの表示性能には妥協したくないものの、画質面の性能が重要となるRPGをはじめ、幅広いジャンルのゲームをより良い環境で遊びたいゲーマーには是非検討してみてほしい一台だ。