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モンスターGPUを完璧に冷却!しかも水冷で静かな「MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOC」
600W級の発熱にも余裕で対応、長時間動作も安心な1枚 text by 坂本はじめ
- 提供:
- MSI
2025年1月30日 23:00
NVIDIAの新世代GPU「GeForce RTX 5090」を搭載するMSIのビデオカード「GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOC」が編集部に到着した。
GeForce RTX 5090は強力無比な性能の対価として、TGP=575Wという大電力を消費するGPUだが、360mmラジエーターを備える水冷クーラーを用いたMSIのモデルは発熱を制御しきれるのか、GPUが持つ性能を存分に発揮できるのか、前世代ハイエンドGPUのGeForce RTX 4090との比較を通して確認してみよう。
GeForce RTX 5090搭載の水冷ビデオカード360mmクラスのオールインワン水冷クーラーを搭載
MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCは、NVIDIA最新のGeForce RTX 50シリーズ最上位のGPU「GeForce RTX 5090」を搭載するビデオカード。VRAMには28Gbps動作のGDDR7メモリを32GB搭載する。なお、今回の評価機は、同社のマスコットキャラクター「ラッキー君」の巨大貯金箱と一緒に編集部へ届けられた。
専用設計のクーラーは、GPUとVRAMの冷却用に360mmラジエーターを備える一方で、カード上のコンポーネントを冷却するための空冷クーラーも搭載しており、カード全体を効率的に冷却できるハイブリッド冷却システムを採用している。
サイズは、カード本体が280×148×51mm(カードの厚さは約2.5スロット分)で、ラジエーターは394×121×55mm(360mmサイズ)。カード本体とラジエーターをつなぐウォーターチューブの長さは280mm。
GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCは「Silent Mode」と「Gaming Mode」という2種類のBIOSを搭載しており、本体のスイッチを切り替えることで静粛性重視のSilent Modeと性能重視のGaming Modeを切り替えて利用できる。
なお、各モードはいずれもMSI独自のオーバークロック設定が標準で適用されており、GeForce RTX 5090の標準動作が575Wの電力リミットで2,407MHzのブーストクロックとなっているのに対し、Silent Modeは575Wで2,512MHz、Gaming Modeは600Wで2,565MHzとなっている。
また、ユーティリティソフトのMSI Centerでエクストリームパフォーマンスモードを選択した場合、ブーストクロックはSilent Modeで2,527MHz、Gaming Modeは2,580MHzへと上昇する。
最大で600Wの電力を消費するGeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCは、補助電源コネクタとして16ピンコネクタを1系統搭載。最大性能を発揮するためには16ピンコネクタの規格上限である600Wに対応したケーブルが必要だ。
なお、4つのPCIe 8ピンを16ピンに変換するケーブルが同梱されているので、16ピンコネクタを搭載していない電源ユニットでも動作させることができる。ケーブル接続時にしっかり差し込まれているか判別できるように、コネクタ部分のパーツが黄色くなっているのも特徴だ。
各種端子/インターフェイスもRTX 40シリーズから強化。バスインターフェイスはPCI Express 4.0から5.0へ、DisplayPortは1.4aから2.1bに、HDMIは2.1aから2.1bにそれぞれ変更されている。
MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCの性能をチェック前世代の最上位GPU「GeForce RTX 4090」と比較してみた
ここからは、MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCの性能をGeForce RTX 4090 Founders Editionとの比較を通して確認しよう。
テスト環境は以下の通りで、MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCについてはSilent ModeとGaming Modeの両方でパフォーマンスを計測する。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは、グラフィックプリセットを「最高品質」に設定して、4K/2160p解像度(3,840×2,160ドット)でテストを実行した。
MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCのスコアは、Gaming Modeで28,329、Silent Modeで28,352とほぼ同等の数値を記録。GeForce RTX 4090の20,702を約37%も上回った。
サイバーパンク2077 (DLSS 4対応版)
サイバーパンク2077ではDLSS 4対応版を使って、GeForce RTX 50シリーズで新たにサポートされたマルチフレーム生成をテストしてみることにした。
テスト時の画面解像度は4K/2160pで、グラフィックプリセットは最高の「レイトレーシング:オーバードライブ」、アンチエイリアスをDLSS(Transformerモデル)のクオリティ設定にしてベンチマークモードを実行した。
フレーム生成「オフ」で平均フレームレート66.53~68.36fpsを記録したMSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCは、フレーム生成「2X」で121fps前後を記録。これらはGeForce RTX 4090の結果を35~41%上回るものだ。
DLSS 4とGeForce RTX 50シリーズで導入されたマルチフレーム生成である「3X」と「4X」の結果に注目してみると、MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCはフレーム生成「オフ」に比べ、3Xで2.5倍前後、4Xでは3.3倍前後と大幅なフレームレート向上を達成している。
Blender Benchmark
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト「Blender Benchmark」では、3つのシーンをレンダリングしてその速度(Sample per minutes)を比較する。
MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCのGaming ModeとSilent Modeは、ここでもほぼ同等と言えるパフォーマンスを発揮しており、GeForce RTX 4090を34~46%と大きく上回った。
Adobe Camera Raw「AIノイズ除去」
Adobe PhotoshopのプラグインであるAdobe Camera Rawを使用して、2,400万画素のRAW画像×100枚にAIノイズ除去を実行した際の処理時間を計測した。テスト時のAdobe Camera Rawのバージョンはv17.1.0.2100。
MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCの処理時間はモードを問わず約3分20秒で、これは1枚あたり約2秒で処理を完了していることになる。GeForce RTX 4090は4分26秒で、1枚あたり3秒弱で処理を完了できるが、MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCはそれを約33%上回る速度を発揮した。
600W級の発熱もハイブリッド冷却システムで完璧に冷却モニタリングソフトで見ても非常に優秀なクーラー
GeForce RTX 4090を大きく上回る性能を発揮したMSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOC。
その性能を支えているのが水冷と空冷を組み合わせたハイブリッド冷却システムなわけだが、長時間の高負荷にも対応できるのかを確かめるべく、先にテストしたサイバーパンク2077のフレーム生成「4X」設定で30分間プレイし続けた際の温度や消費電力を計測した。今回はGaming ModeとSilent Modeの両方で挙動を確認している。
まずは上記グラフの結果となったGaming Modeだが、GPU消費電力で平均588.0W(最大595.6W)の電力を消費しながら、平均2,795MHz(最大2,850MHz)で動作。この時のGPU温度は平均58.0℃(最大60.5℃)で、VRAM温度は平均73.3℃(最大74.0℃)だった。ファンスピードは本体ファンが平均1,506rpm、ラジエーターファンが平均1,391rpm。
一方のSilent Modeでは、GPU消費電力で平均574.8W(最大578.0W)の電力を消費しながら、平均2,774MHz(最大2,812MHz)で動作。このときのGPU温度は平均60.0℃(最大62.5℃)で、VRAM温度は平均74.6℃(最大76.0℃)だった。ファンスピードは本体ファンが平均1,350rpm、ラジエーターファンが平均1,146rpm。
どちらのモードでもGPUとVRAMの温度はかなり低い数値に抑えられており、サーマルスロットリングによる性能の低下が生じた様子はみられない。ファンスピードを1,000rpm台前半~中盤という中低速域に保ちながらも、600W近い電力を消費するGeForce RTX 5090を完璧に冷却してみせた。
モンスター級のGPUの発熱を完全にコントロールし、なおかつ静粛性も失わない点は、MSIが採用するハイブリッド冷却システムの優秀さが光る結果と言えるだろう。
性能も静粛性も妥協しないGeForce RTX 5090搭載のフラッグシップモデル最高性能のビデオカードを求めるユーザーへ
MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCは、水冷GPUクーラーを中心とするハイブリッド冷却システムの採用により、優れた静粛性を実現しながらもGeForce RTX 5090が持つ性能を最大限に引き出し、従来の最上位GPUであるGeForce RTX 4090を圧倒するパフォーマンスを発揮した。
600Wに迫るGeForce RTX 5090の発熱は相当に大きいものだが、ラジエーター経由で直接ケース外に排気できるMSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOCであれば、ケース内温度の上昇を最小限に抑えることが可能だ。GeForce RTX 5090のパワーを長時間に渡って引き出したいエンスージアストゲーマーやクリエイターに好適なモデルと言えるだろう。
NVIDIAはGeForce RTX 5090搭載カードの国内想定価格を39万8,000円からとしているが、これまでの新生代GPU投入時の傾向から考えると、各メーカーが独自の技術を投入したフラッグシップモデルはそれよりも高価になるだろう。最安のモデルを購入したとしてもGeForce RTX 5090は安い買い物にはならないので、価格以外の面も視野に入れて、妥協しない選択をしてみてはいかがだろうか。