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北欧デザインの良さに調整機能も魅力な高機能チェア、Fractal Design「Refine」を試す

高級オフィスチェアに負けない座り心地、PCにも合う優れたデザイン性 text by 佐藤岳大

 スウェーデン発のPCパーツメーカーであるFractal Designから、同社初となるPC用チェア「Refine」が登場した。

 北欧スタイルのデザインと豊富な調整機構を備えた設計が特徴で、ゲーミングチェアではあるものの、機能性重視の高級チェアといった仕上がりになっている。どのような機能を備えたチェアなのか、アピールされているように快適性に優れているのか、使用感と合わせて特徴を紹介しよう。

北欧デザインを取り入れたシンプルかつ高級感のあるゲーミングチェア好みに合わせて素材とカラーが選べる5ラインアップ展開

 RefineはFractal Designの製品らしい北欧スタイルのシンプルで洗練されたデザインとなっている。PC関連メーカーのゲーミングチェアはレーシングシートをベースにデザインされたモデルが多いが、そうしたモデルとは一線を画すFractal Designらしさを感じる一台と言えるだろう。

 塗装や素材の質感も高く、高級感のある仕上がり。高性能オフィスチェアと言われても違和感がないレベルのデザイン性に優れたモデルだ。

 ラインナップも豊富で、シート素材は「メッシュ」に加え、「ファブリック」と「アルカンターラ」の3種から選択できる。カラーはメッシュとファブリックがライト/ダークの2色、アルカンターラはダークのみが用意されている。価格は素材などによって異なるが、9~11万円前後となっている。

 通気性に優れるメッシュ、クッション性の高いファブリック、高級感あふれるアルカンターラと、好みに合わせて選択できる。シート素材以外は各モデルの基本仕様はほぼ共有だ。なお、今回代表モデルとして取り上げているのは、メッシュ ライトの製品だ。

メッシュ ダーク
ファブリック ダーク
アルカンターラ ダーク
メッシュ ライト
ファブリック ライト
モデルRefine MeshRefine FabricRefine Alcantara
カラーダーク/ライトダーク/ライトダーク
表面素材ナイロン強化メッシュファブリックアルカンターラ
クッションコールドキュアフォーム
(メッシュタイプ)
コールドキュアフォーム
フレームPP/PA(グラスファイバー補強)
フットベースアルミニウム
キャスターソフトPU(6.5cm径)
座面サイズ55×46.5cm
背もたれサイズ53×86cm
全高134~146.5cm
耐荷重125kg
本体重量約25.7kg約25.7kg約25.8kg

 保証期間は、基本構造部分が5年、布地やメッシュ部分を含む張り地とカバー素材部分が3年。長く使える製品となっているのもRefineのポイントだ。

組み立ては30分程度で済む簡単設計、一人での組み立ても考慮された構造

 Refineは購入後に組み立てが必要なタイプのチェア。パッケージの大きさは107×68×39cmで、オフィスチェアが丸々入っていることを考えると比較的コンパクトなサイズに収まっている。畳1.5畳くらいのスペースがあれば余裕をもって組み立てられるだろう。

 パッケージの総重量は約36kgと、成人男性なら持ち上げることも可能な重さではあるが、安全のため階段の昇降などの際は2人で運搬した方がよさそうだ。

パッケージサイズは107×68×39cm、総重量は約36kg

 内容物はシンプルで、背もたれと座面、脚パーツ、パーツや工具が入ったアクセサリ箱、マニュアル類が同梱されている。組み立て作業が必要な部品点数が最小限となるよう配慮されている印象だ。

 組み立て手順も簡単で、まずはキャスターを脚フレームに取り付ける。ツールレスで差し込むだけの簡単作業だ。

 キャスターを取り付けたら、シリンダーを装着。続いて座面を取り付ける。こちらもツールレスなので、持ち上げて差し込むだけだ。

 座面を取り付けたら、アームレストを座面に固定する。固定位置はある程度遊びがあり、自身の体格に合わせて位置を調整できる。また4Dアーム設計のためアームレスト側でさらに調整が効くため、調整幅の自由度は高い。

 アームレストはネジ3つで固定する仕組みで、目安のメモリが入ったネジから締めることで、他のネジを締める際に位置がズレることなく固定できる構造になっていた。

 最後に背もたれを座面に固定すれば終了。まず背もたれを差し込み、取り付け済みのネジ2本を引っ掛けると仮支えされた状態になるので、このネジと後付けのネジ2本を締めて固定する構造だ。この仮支えのおかげで一人で組み立てるときにも苦労しない。

 作業時間としては、開封も含めて30分もあれば終わるという簡単さだ。

高級オフィスチェアに匹敵する豊富な調整機能、長時間利用も苦にならない本格的なチェア

 Refine最大の特徴は、調整機構の豊富さにある。一般的なリクライニング、座面の上下調整といった基本機能に加えて、座面奥行き調整や4Dアームレスト、調整可能なランバーサポート・ヘッドレストを備えるなど、本格的なオフィスチェアと同等クラスの高い機能性を備えている。各部位の特徴を確認してみよう。

通気性に優れるメッシュ素材、125kgまでの体重に対応

 座面と背もたれにはナイロン強化メッシュ素材を配置。通気性に優れながら、しっかり体を支えてくれるクッション性も兼ね備えている。

 Refineの推奨体重は60~125kgとされており、背面/座面ともにメッシュ素材のモデルでも耐荷重に優れた仕様となっている。

シンクロチルト機構を備えるリクライニング機能、座面位置も調整可能

 リクライニング機能は、最大130度まで傾けることが可能。11段階のチルトロックも可能で、固定時の最大角度は125度となっている。

 本格的なオフィスチェアにも搭載されているシンクロチルト機構を備える点も特徴。座面が背もたれの角度に追従し、自然なリクライニング姿勢を維持できる。

リクライニング角度
シンクロチルト機構も搭載

 座面は高さと前後位置も調整できる。床からの高さは490~610mm(メッシュ以外の素材のモデルは475~595mm)の範囲、前後は450~505mm(メッシュ以外の素材のモデルは425~480mm)の範囲が可動域となっている。自分の体に合った高さや位置に微調整できるのは好印象だ。

高さ調整
前後調整

 座面側面には各種操作レバーを配置。リクライニングや位置調整、角度のロックなどはここから行う仕組みになっている。

調整範囲の広いアームレスト、ヘッドレストも好みの位置に調整可能

 アームレストは4Dアジャスタブルで、高さや前後だけでなく、左右位置、角度の調整も行える。体格や姿勢に応じて使いやすい位置に調整が可能だ。

 シートからのアームレストの高さは145~255mm(メッシュ以外の素材のモデルは160~270mm)の範囲、回転範囲は±15°、奥行き調整は60mmとされている。アームレストとアームレストの感覚はネジ止めでの調整になるが、430~560mm(メッシュ以外の素材のモデルは420~560mm)の範囲で調整可能だ。

高さ調整
前後調整
左右(幅)調整
角度調整

 腕との接触部分は柔らかすぎず硬すぎない適度な硬さのクッション素材で、ストレスなく腕を支えてくれる。

 ヘッドレストは上下位置の調整に対応。背もたれ上部のボタンを押せば、取り外して使うこともできる。取り外せるのは清掃の際などに便利だ。高さは120mmの範囲で調整可能。

腰への負担を軽減するランバーサポートも搭載、姿勢が崩れることを予防

 背もたれにはランバーサポートも搭載。ランバーサポートは腰への負担軽減や、正しい姿勢で座ることを維持するのに役立つ機能なので、この機能の有無はチェアに詳しいユーザーであればこだわるポイントだろう。

 Refineのランバーサポートはフレーム一体型で、上下位置と前後位置を調整できる。腰に接触する部分には、樹脂素材をカバーするようにクッションが配置されているため、「ランバーサポートのあたりが固すぎて違和感がある」といったこともない。高さは110mm、奥行きは20mmの範囲で調整可能だ。

フローリングなどでも滑らかに移動、騒音面も問題なし

 キャスターホイールは、中心が空洞になっているハブレスキャスターを採用。ホイール部分はソフトPU製で、フローリングなどでも滑らかな移動が可能。移動させた際の音も気にならなかったので、使い勝手を悪く感じることはないだろう。

長時間の執筆作業などでも快適に使える本格PCチェア意味のある調整機能が快適性に直結

 実際に記事制作も兼ねてPCでの作業全般に使ってみたが、豊富な調整機構は単なるギミックではなく、しっかり機能していることが実感できた。筆者は普段国内大手メーカーの高性能オフィスチェアを常用しているが、それと比べても遜色のなく同等の快適さだ。

 メッシュ素材は物によっては硬すぎたり柔らかすぎたりと、うまく体にフィットしなかったり不安定だったりすることもあるが、Refineは座り心地に関して不快さや不安定さを感じることはなかった。ヘッドレスト/アームレストの調整幅の自由度の高さは、快適さに大きく影響する。これも使ってみて良さを感じた部分だ。

 また、座面の調整が細かく行えるため、体格によらず使えるのも嬉しいポイント。簡単操作ですぐに調整できるため、家族全員で使う場所に設置する場合にも使いやすい。

 RefineはFractal Designのチェア製品としては第一弾にあたるモデルだが、完成度はなかなか高い。ガッチリ長時間使用できるチェアとして十分な性能をもった製品だ。

「白PC」や「白デバイス」にも相性抜群のデザイン

 組み立てが完了したところで、白系の周辺機器と組み合わせて使ってみた。柔らかいホワイトカラーのフレームと、メッシュ/ファブリック部分のグレーは、家具と組み合わせても主張しすぎないデザインで、統一感のあるインテリアを構築できる。

 今回は、Fractal DesignのPCケース「Era」、MSIの白いゲーミングディスプレイ「MPG 321URXW QD-OLED」のほか、ゲーミングデバイスのSteelSeries Sensei Raw Optical V2/Experience I-2 WHITE、REALFORCE GX1 Keyboard/X1UC23、HyperX Cloud Stinger Coreなどを組み合わせてみた。白やシルバー系のPCパーツや周辺機器とRefineの相性は抜群だ。

インテリアとも調和する優れたデザイン、体に合わせ細かい調整が可能な高機能チェア

 Refineは、インテリアに調和する優れたデザインと、人を選ばず使える調整機能の豊富さが魅力の1台と言えるだろう。

 機能は豊富なものの実際はあまり使えないといった製品も存在するが、Refineの調整機能は自分の体に合わせるために必要な調整機能がしっかり盛り込まれた製品だ。アームレストやヘッドレストの調整範囲の広さが快適さに大きく影響することや、搭載されている機能の意味が実感できる性能を持っているのは好印象だ。

 デザイン面もブランドを主張してくるようなところもなく、様々な部屋に合わせやすいのではないだろうか。特にホワイト系のPCや周辺機器との相性は抜群で、PC用の部屋をホワイト系のトーンでまとめたい時には好適なモデルだ。特にFractal DesignのPCケースを使用しているユーザーにはおすすめしたい。

 本格的なPC作業用のチェアを探しているユーザーは是非購入候補として検討してもらいたい。