ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
エーアイ出版『98magazine(98マガジン)』~想い出の“20世紀パソコン雑誌”たち~
2026年3月3日 09:05
現在ではあまり見かけなくなってしまったものの、20世紀には数多くのマイコン・パソコン雑誌が発売されていました。中には、その当時に読者だった雑誌に影響を受けて後の人生が決まった、という人もいるかもしれません。ここでは、それら20世紀に発売されたマイコン・パソコン雑誌を取り上げ、紹介していきます。
第13回目は1986年に創刊され、1998年に休刊となったエーアイ出版の『98マガジン』を取り上げます。
1970年代後半から1980年代前半にかけて、さまざまなパソコン雑誌が創刊しました。それらは登場した機種すべてを網羅して紹介するものだったり、特定機種向けの雑誌だったり、あるいはゲーム中心の構成だったりしたのですが、そんな中にあって早くからターゲットを“PC-98シリーズ”に絞って発行されていたのが、1986年9月18日にエーアイ出版から創刊された月刊誌『98マガジン』です。
1986年といえば、NECはまだまだ8ビットパソコンのPC-8801mkIISRシリーズが売れていた頃で、1985年末にはPC-8801mkIIFR/MRを、1986年にはPC-8801FH/MHをリリース。シャープは1986年の秋口にX68000を発表したほか12月にはX1turboZを、富士通も似たようなタイミングでFM77AV20/40を市場デビューさせるといった時期でした。
時代の流れとともにパソコンも8ビットから16ビット機へ移行するだろうという将来は誰もが思っていたものの、この時期に登場していたPC-98シリーズは5インチモデルがPC-9801VX、3.5インチモデルはPC-9801UV。NECのパソコンに特化した誌面作りをしていた日本ソフトバンク(当時)の『Oh!PC』や新紀元社の『PCマガジン』なども、まだまだPC-8801シリーズの記事を掲載していた頃です。
そんなときに、時代の一足先を見据えて生まれた『98マガジン』はビジネス向けのPC-98シリーズ専門雑誌で(途中からは、EPSONのPC-98互換機も含む)、創刊時は中綴じ雑誌としてスタートしていました。中綴じは、本の中央ページでホチキス留めしてある形態で、後にはページ数の増大もあり平綴じへと移行しています。
誌面構成としては、ビジネスパーソン向け雑誌としてのオーソドックスなものとなっていて、特集や企画ページの他にレビューやニュース、インタビューといった感じでした。特集記事は、PC-98シリーズの新機種が発表されたときはその特徴を紹介していたり、それ以外の場合はハードやソフトの活用方法などを採り上げています。今ではあまり耳にする機会がなくなってしまったカード型データベースソフトや、リレーショナルデータベースソフトの特集も行うなど、仕事に役立つようになっていました。
数多く発売されていたプリンタやハードディスク、RAMディスクといったものから、ワープロソフトに表計算ソフトなどを取り上げて比較紹介したり、MS-DOSのコマンド解説や、後にはWindowsの活用方法といった定番記事も掲載しています。
ビジネス向けに特化していたということもあってか、誌面にはいわゆる“あそび”に関する部分はほとんど無く、息抜きのゲームプログラムが載ることも、ちょっとした1ページマンガが掲載されるということもありませんでした。
とはいえ、どの雑誌にもある読者コーナーは『98マガジン』にも存在し、他と比べればちょっとした柔らかいページとなっています。コーナー名は「言いたい放題」で、当初は文字だけだったページですが後にイラストが挿入されたりもしました。名称は後に「READER'S FLASH」となり、アンケートハガキに記入された年齢別にコメントが載るという形式に変化することになります。
本誌のユニークだった部分といえば、創刊してすぐに始まった「98友の会」という会合ではないでしょうか。PC-98シリーズや『98マガジン』などに関しての情報交換の場として活用して欲しいという目的のもと、一般読者から参加者を募っていたこの集まりですが、1986年10月に行われた第1回の2名からスタートして、記事によるとその後は15人前後の読者で推移していった模様です。会場は東京だけでなく大阪にも用意されていたそうなので、もしかすると当時行きました、という人もいるかもしれません。
こうして毎月18日に発売されていた『98マガジン』は、当初は定価580円からスタートしています。PC-98シリーズの勢いがあった1993年前後には600円となり、最終的には660円になりました。そして、1998年6月18日に発売された7月号(No.142)をもって、残念ながら休刊となります。
エーアイ出版はその後、エーアイムックシリーズなどを出版していきますが、惜しむらくはその社名も2005年10月1日をもって消えてしまいました。現代まで残っていれば、AI時代に先駆けた名前の会社として有名になれたのでは……などと、何となく思ってしまいます。





