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ゴールドの差し色が美しいMSIの超大型ケース「MEG MAESTRO 900R」――豪華パーツをビジュアル・性能の両面で愛で尽くせる最高級機
デュアル水冷もOKの収納力、冷却性能も最高峰 text by 竹内 亮介
- 提供:
- MSI
2026年10月14日 11:00
PCケースを「各パーツを収納する単なる箱」だという人もいる。しかし筆者はそうは思わない。まず第一に、CPUやビデオカードなど発熱が大きなパーツをしっかり冷却し、安定動作させるためのエアフローを構築するという非常に重要な役割を果たす。
また自作PCに対するユーザーの個性、あるいは欲望をカタチにするための重要なパーツでもある。強力なパーツを組み合わせたゲーミングPCに美しいイルミネーションをプラスしたいなら、内部が見えやすいピラーレスケースを選ぶだろう。超豪華なPCパーツを組み込むのであれば、PCケースにもそれなりの存在感が欲しいと考える人だって多いはずだ。
MSI「MEG MAESTRO 900R」は、こうしたPCケースに求められる役割をきわめて高いレベルで実現し、かつその可能性を大きく広げる強力なPCケースだ。今回はその突出した機能性や組み込みに関する使い勝手、実際の冷却性能などをもとに、このフルスペックPCケースの魅力に迫っていきたい。
3面ガラスを採用し内部パーツを魅せることにこだわるデザイン
「MSI ENTHUSIAST GAMING(MEG)」シリーズは、MSIが展開するブランドの中でも最上位のゲーミングブランドである。ゲーミングPCを求める層の中でも、究極のゲーミングPCを作りたいという、その名が示すとおり“エンスージアスト”に訴求するべく、性能、デザイン、品質などすべての面にこだわったパーツをリリースしてきている。
このMEGシリーズだが、最新ラインナップではこの“E”に別の意味も加わった感がある。MEGのブランドサイトでは“EXCELLENCE, REFINED”というコピーが提示され、製品イメージからは、“Excellence(=卓越性)”や“Elegance(=優雅、上品)”、“Executive(=上級、高級)”といった印象も受ける。エンスー向けのとがりまくったゲーミングPCにとどまらない、さらなる先進性と高級感を備えて、次のステージへと進化した感がある。
今回紹介する「MEG MAESTRO 900R」は、このMEGブランドを冠する最新のPCケースだ。横幅は37.9cm、奥行きは69.5cm、高さは67.1cmと、サーバーケースをもしのぐ大型ボディの前面、背面、左側面の3面に、透明感の強い強化ガラスを採用する。こうした構造により、左側面から眺めるとケース内部の様子が隅々までバッチリ確認できる。一般的なPCでいうこの“左側面”こそが、MEG MAESTRO 900Rにとっては“前面”であり“顔”というべきなのかもしれない。
| フォームファクター | ExtendedATX |
| 前面USB | USB 5Gbps(Type-A)×4、USB 20Gbps(Type-C)×1、 USB 10Gbps(Type-C)×4 |
| 標準搭載ファン | 16cm角 3基(底面) |
| 搭載可能ファン | 16/14cm角×3または12cm角×4(天板)、12cm角×6(側面)、 16/14cm角×3または12cm角×4(底面) |
| 搭載可能ビデオカード長(最大) | 440mm |
| 搭載可能CPUクーラー高(最大) | 170mm |
| 搭載可能ラジエーター(最大) | 42cmクラス(天板、底面)、36cmクラス(側面) |
| ベイ | 3.5インチシャドー×5、2.5インチシャドー×9 |
| 本体サイズ(W×D×H) | 379×695×671mm |
| 重量 | 33kg |
| カラー | ブラック |
ブラックの天板と底面には、ゴールドのメーカーロゴやブランドロゴがワンポイントで入った金属製の化粧板を採用。こうした化粧板も含め各所にゴールドの差し色が入っていることもあり、実にラグジュアリーな雰囲気を醸し出している。PCケースでこういった個性のモデルは見たことがない。
内部の様子がばっちり見えるということは、乱雑なケーブルなど美しさを損なう要素があってはならないということでもある。モニターケーブルやUSBケーブルを引き出すバックパネル付近、そしてATX24ピン電源コネクターや各種ピンヘッダーケーブルを挿すマザーボードの前面付近を覆うカバーも装備しており、美しい仕上がりを目指せる。
組み込みのところでも紹介するが、右側面の電源ユニットを組み込むエリアにも扉のようなカバーを装備しており、電源ユニットから引き出した各種ケーブルの大半が隠れるようになっている。そもそも普通に組めば右側面は見えない場所だが、だからこそ「美しい仕上がり」に対するこだわりの強さが垣間見える作りだ。
また天板の奥はやや下に、底面の奥側はやや上に傾斜がついている。こうした角度がついていない一般的なケースだと、天板や底面に水平状態でファンを取り付けると、LEDやデザインが分かりにくくなる。しかしMEG MAESTRO 900Rでは傾斜を付けることで、ファンブレードの形状やフレームに組み込まれたLEDのイルミネーションが見えやすくなる。
PCケース自体が大きいのでイメージがわきにくいが、底面には16cm角という大型ファンを3基も装備する。天板には16/14cmファンを3基、あるいは4基の12cm角ファンを搭載可能で、右側面には12cm角ファンを合計6基も搭載できるなど、冷却拡張性も非常に高い。これらのファンマウンターにLED搭載のケースファンを組み込んで左側面から眺めれば、イルミネーションの大パノラマを楽しめる。
メインパーツ組み込みエリアだけを抜き出して作業できる
それでは、MSIの最高峰パーツを組み込んだMEG MAESTRO 900Rをチェックしてみよう。
| CPU | AMD Ryzen 9 9950X3D2(16コア32スレッド) |
| マザーボード | MSI MEG X870E GODLIKE MAX(AMD X870E) |
| メモリ | Corsair DOMINATOR TITANIUM RGB 64GB (PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×4) |
| ビデオカード | MSI GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID SOC 5090 |
| SSD | MSI SPATIUM M480 PRO 1TB [M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB] |
| PCケース | MSI MEG MAESTRO 900R |
| 電源ユニット | MSI MEG Ai1300P PCIE5 (1300W、80PLUS Platinum) |
| CPUクーラー | MSI MEG CORELIQUID E15 360 (簡易水冷、36cmクラス) |
「魅せる」ことにも全力投球したMEG MAESTRO 900Rだが、組み込みに関するギミックも充実している。電源ユニットを組み込むフレームを含むマザーボードベースは着脱が可能で、オープンフレームのような構造物になっている。
実際の組み込み作業でも、マザーボードや電源ユニットをこのフレームに組み込み、必要なケーブル接続作業を終えてからまるごとケースに戻す流れになる。またケースファンやラジエーターの組み込み時にマザーボードなどが邪魔になることもないため、作業性に優れる。
このフレームには電源ユニットからケーブルを引き出すための穴が各所に設けられており、今回の検証で使用した「MEG X870E GODLIKE MAX」のように、裏面配線に対応しないマザーボードでも組み込みは容易だった。
大きくて重いフルタワーケースは、あっちこっちから手を回したり、ケーブルを引き回したりと言った組み込み時の取り回しに難がある傾向にある。しかしMEG MAESTRO 900Rでは、一番手間がかかる部分の作業はケースの外でできるため、今回のように大型で強力なパーツが多めの構成でも作業はしやすかった。とはいえ、本体重量は30kgを超えているので、完成間近の行程に進むほど、その重さに苦労する場面も出てくる。組み上げたPCの物理的な取り扱い、そしてご自身の体力(特に腰など……)には要注意だ。
背面は強化ガラスなので、モニターケーブルや電源ケーブル、LANケーブルなどをどうやって接続するのか不思議に思う人もいるかもしれない。実は前述したバックパネル部分を覆うカバーと底面フレームの下に、ケーブルを底面から引き出す穴が設けられている。PCと接続するケーブルは、ここから内部に引き込んでマザーボードやビデオカードに接続しよう。
ビデオカードは一般的な水平設置だけではなく、垂直設置にも対応している。固定金具やPCIe 5.0接続対応のライザーケーブルも標準で付属する。大型でハデなイルミネーションや、美しいイラストがデザインされたビデオカードを楽しみたいなら、垂直設置を試してみたい。
また垂直設置だと底面ファンからの風が天板方向に流れやすくなるため、冷却面でもメリットは大きい。また上下からビデオカードをしっかりと支えるホルダーを装備しているため、大きくて重い強力なビデオカードを水平設置で組み込む場合も、その重さでビデオカードが歪む心配をしなくてもよい。
ゲーミングPCとしての適性は高く、各部の温度も低い
今回の検証では、MEGブランドに属する超ウルトラハイエンドパーツを中心に、高性能なパーツを組み込んでいる。そうした構成を組み込んでも安心して利用できるかどうかはもちろん、その性能も気になるところだろう。まずは基本性能の簡単に見るテストとして、3DMarkとPCMark 10を実施した。
3D V-Cacheを2基のCCDに積んだAMDの最強ゲーミングCPU「Ryzen 9 9950X3D2」と、「GeForce RTX 5090」を搭載したMSIの最強ビデオカード「GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID OC」の組み合わせということもあり、特に4K解像度やDirectX 12ベースの高精細なグラフィックスを前提としたSteel Nomad、Speed Wayで高いスコアを示した。
PCMark 10はもちろん全項目が高水準。GPU処理が活用されるテストの多いDigital Content Creation、表計算の処理中にGPUが使用されるProductivityで非常に高いスコアとなった。
次に、GeForce RTX 5090 32G SUPRIM LIQUID OCの圧倒的な性能とビデオメモリ容量を考慮すると、ローカル環境でのAI関連の活用が視野に入ってくる。その基本性能をチェックするため、LM Studioで2つのモデルをダウンロードし、LLM(large language model)における処理性能を検証してみた。
ダウンロードしたモデルはGoogleの「gemma 4 e4B」(容量が6.3GBと少なめで負荷は低め)と「gemma 4 12B Instruct Q8」(容量は12GBで負荷は高め)で、すべてをVRAMにロードした状態でチャットした際の1秒あたりのトークン数を比較している。数値が大きいほど性能が高い。参考としてRyzen 7 5700X+GeForce RTX 3050搭載ビデオカードを搭載した環境を用意したが、こちらは負荷の低いgemma 4 e4BがVRAMにロードできた。
グラフを見れば一目瞭然だが、同じモデルを使った検証なら今回の環境のほうが6.4倍も処理速度が速い。gemma 4 12B Instruct Q8にいたっては、常用PCのGeForce RTX 3050はVRAMが8GBしかないのでモデルをVRAMにアップロードできず、同じ土俵で性能を比較することすらできないのだ。AI処理を重視するなら、やはり高性能なビデオカードが欲しくなる。
最後に、ゲームに強いパーツもずらりと揃っているPCなので、サイバーパンク2077を例にその性能を見てみよう。解像度は先ほどの3DMarkの結果も踏まえて4K(3,840×2,160ドット)、グラフィックス設定は「レイトレーシング:ウルトラ」(以降ウルトラ)と、最上級の「レイトレーシング:オーバードライブ」(以降オーバードライブ)、フレーム生成機能はなしと2倍で検証した。
ウルトラ設定ではフレーム生成なしでも平均フレームレートが134fpsと動きは非常になめらか。オーバードライブでも平均フレームレートは60fpsを大きく超える98fpsを叩き出した。2倍のフレーム生成を有効にするとおおむね1.5~2倍にフレームレートが向上し、ハイリフレッシュレートモニターを組み合わせたくなるような結果となった。サイバーパンク2077のような高精細なグラフィックスを多用するPCゲームでも、快適に遊べるということだ。
さて、こうしたただならぬ性能を発揮できることは分かったがしっかり冷却できるのか? という疑問について検証したのが下の温度グラフだ。アイドル時はアプリを起動しない状態での平均的な温度、Cinebench時は「Cinebench 2026」を実行中の最高温度でCPU負荷が高い状況を想定している。3DMark時は、3DMark Stress Test(Steel Nomad)を実行中の最高温度で、長時間のPCゲーム時を想定している。室温はちょっと高めの26℃。
CPU温度はCinebench時でも74℃だった。16コア32スレッドの高性能CPUであることを考えると、かなり低い温度と言ってよいだろう。底面に装備する複数の16cm角ファンが外気をたっぷりと取り込み、ラジエーターをしっかり冷やすことができたということだろう。
3DMark時のGPU温度は70℃だった。GeForce RTX 5090搭載ビデオカードであることを考えると、これもかなり低い。簡易水冷タイプであること、そしてラジエーターを外気を直接取り込める右側面に組み込んだことも影響していることが予想できる。またビデオカード用ラジエーターの熱を内部に直接取り込む風向なので、CPU温度に悪影響が出ることも可能性としては予想したが、こちらも65℃とかなり低かった。これは底面からの強力な吸気と天板に取り付けた水冷クーラーのファンによる排気による、ケース内全体のエアフローが上手く機能した結果だろう。
MEGシリーズが集結した憧れの“超高性能”ゲーミングPCの土台に
卓越したデザインや質感もさることながら、大型で重いケースならではの組みにくさを、着脱可能なマザーボードベースユニットという工夫で解決したMEG MAESTRO 900R。冷却性能も非常に高く、MSIのMEGシリーズを組み込んで超高性能なゲーミングPCを作るならこれしかない、と言っても過言ではない。
サイズや置き場所、重量、そして組み込むに足るパーツの選択など、どんなユーザーにもマッチするPCケースというわけではない。しかしそのスタイリッシュなたたずまいにビビッと来たユーザーなら、唯一無二の存在と言ってよいのではないだろうか。


































