【 2001年4月21日号 】

Samuel2コアを搭載したVIAのC3 700A MHzが突如デビュー
ES品でマーキングや形状はCyrix IIIのまま

VIA C3 700A MHz価格は約7,300円
【VIA C3 700A MHz】【価格は約7,300円】
マーキング(裏)マーキング(表)
【マーキング(裏)】【マーキング(表)】

 Samuel2コアを搭載したVIAの最新CPU「C3」が突如アキバで流通し始めた。700MHzで動作する製品評価用のサンプル品が一部ショップの店頭に並んだもので、実売価格は7,280円。

 なお、複数のショップによると、正式出荷品も週明けには出回る見込みという。

一層の低消費電力化と性能アップを実現

 「C3」は従来のCyrix IIIを改良した新CPU。開発コードSamuel2(もしくはC5B)の名で知られ、主な変更点として製造プロセスの0.18μmから0.15μmへの微小化、64KBの2次キャッシュ追加などが挙げられる。この変更により、もともとの特徴である低消費電力と低発熱性がさらに進化し、これまで力不足といわれていたビジネスアプリケーションでの実行スピードは実用的なレベルにまで改善されると言われている。

 この新型CPUは、すでにイベントなどで何度かデモが行われ、アキバでも2月に複数のショップで展示が行われた実績があるが、実際に販売されるのはこれがはじめて。

なぜか電圧は1.5Vではなく1.6V

 店頭に並んだのは動作クロック700MHzのモデルで、実売価格は7,280円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。ただし、マーキングは2月に展示されたサンプル品と同様、従来のCyrix IIIのデザインをそのまま引き継いだものになっており、3月に正式発表された新しいシリーズ名「C3」の文字はどこにもない。また、同時公開された製品写真では「C3」のCPUパッケージはヒートスプレッダを排除したセラミックパッケージのみの形状になっているが、今回のモデルは従来のままで、見た目は基本的に従来のCyrix IIIと何も変わらない。

 唯一従来品と違っているのは、モデル名の末尾に「A」の文字があることで、今回のモデルでは、従来のCyrix III 700MHzと区別できるように「700A MHz」と書かれている。この「A」付きのCyrix IIIは、以前からSamuel2コアのサンプル品として公開されてきたものであり、これが新型CPUであるということの唯一の手がかりになる。

 また、マーキングを見ると、動作電圧が従来の1.9Vから大きく引き下げられているのがわかる。ただし、この動作電圧については、不思議な点もある。正式発表では1.5Vとなっているものの、今回販売されたCPUにはなぜか1.6Vとマーキングされている。おそらくサンプル品のみの限定仕様である可能性が高いが、正式出荷品が出てくるまでは、本当に1.5Vが正式仕様なのかどうかはわからない。

実用的な小型PCに最適?

 そもそも、正式発表ではC3は733MHzモデルから始まることになっており、700MHzモデルは存在せず、このあたりも謎めいている。あくまでもサンプル品だけの限定的なものと考えたいところだが、仕様に関して不明な点が多いというのはVIA(Cyrix)の伝統だと考えると、さもありなん、といったところか。

 それでも、少なくとも低発熱とパフォーマンスアップが確実に達成されているのであれば、このところニーズが高まりつつある実用的な超小型PCへの応用や、ファンレス設計の静音PCの実現も可能になるため、期待度は十分。現状はいわゆる人柱アイテムの域を出ないが、この段階である程度の実績と評判が築けるのならば、もうじき出てくる正式出荷品で新たな方向性のニーズをがっちりつかみ、ブレイクする可能性も考えられそうだ。

□C3(VIA Technologies)
http://www.viatech.com/products/C3.htm
【2001/2/3】Samuel2コア搭載Cyrix III 650/667MHzのサンプル展示が始まる
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20010203/etc_samuel2.html

 (VIA Cyrixシリーズ)

[撮影協力:DOS/Vパラダイス本店]


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