【 2001年12月1日号 】

HDDを内蔵したLAN接続の録画ユニット「SmartVision Pro HD40」発売
中身は小型PCそのままでOSにNTを搭載、実売価格は8万円前後

パッケージ本体
【パッケージ】【本体】
大きさ比較小型PC並みの大きさ
【大きさ比較】【小型PC並みの大きさ】
梱包内容ネットワーク名
【梱包内容】【ネットワーク名】
中に40GB HDDマザーボード
【中に40GB HDD】【マザーボード】
内蔵のキャプチャカードGeode GX1
【内蔵のキャプチャカード】【Geode GX1】

 40GBのHDDを内蔵しユニット単体での録画も可能というNECのユニークなビデオキャプチャユニット「SmartVision Pro HD40」がついに発売となった。当初は8月末の発売を予定していたこの製品、7月の発表当時から購入を考えていたという人にとってはまさに待ちに待った登場といったところだろう。

中身はNT搭載の小型PC?

 「SmartVision Pro HD40」は、位置付け的には同社の従来機「SmartVision Pro 2 for USB」の上位モデルにあたり、地上波やケーブルテレビで放送される番組を視聴したり、キャプチャしたりするというコンセプトに変わりはない。大まかに言えば、接続形態が従来のUSB接続からRJ-45コネクタによるLAN接続に変わったもの、と考えてよいだろう。しかし、「SmartVision Pro HD40」単体でキャプチャしたビデオファイルを複数のPCから利用できるという、ネットワークでの利用を意識した作りになっている点は従来とは大きく異なっている。

 「SmartVision Pro HD40」は、カシオのノートPC「CASSIOPEIA FIVA MPC-103」でも採用されたGeode GX1プロセッサと、組み込み製品向けOSのWindows NT Embedded 4.0を搭載している。さらに冒頭のとおり40GBのHDDを内蔵するというまるでPCそのものといったスペックになっており、HUBなどを介してLANに接続するとネットワーク上に「Nec_hd40」というマシン名で現われ、内蔵HDDの中身をほかのPCから共有フォルダとして参照が可能になる。言わば「SmartVision Pro HD40」は、ビデオキャプチャ機能を持つ簡易ファイルサーバーといったところだ。実際に本体を開けて中身を見てみると、マザーボードにビデオキャプチャカードがPCI接続され、OSやソフトはコンパクトフラッシュに記録されているなど、まさに小型PCそのものの構造になっている。

単体で録画が可能

 内蔵HDDに記録されるビデオファイルは、汎用性のあるフォーマットのため付属ソフトの「SmartVision HD/PLAYER」のほかWindows標準のメディアプレイヤーなどでも再生が可能だが、LANによる転送速度を意識してか、3台以上のPCからの利用はできないとしている点を念のために覚えておいたほうがよいかもしれない(「SmartVision HD/PLAYER」などのソフトは2台までのPCにインストールが可能となっている)。もし転送速度が気になるようであれば、ビデオファイルを一旦PC側のHDDにコピーしてから利用するのがよいだろう。

 録画の予約は、PC側から付属のユーティリティを使って行なえるほか、本体前面に備えた液晶画面で予約内容や内蔵HDDに保存されているビデオファイルの番組情報などが確認できるようになっている。ただし、ユニット単体で録画を行なう際の動画フォーマットは、MPEG-2の場合が720ドット×480ドット/ビットレート8Mbpsに、MPEG-1の場合が320ドット×240ドット/ビットレート2Mbpsにそれぞれ固定されており、動画サイズやビットレートの細かい調整などができない点は少々残念だ。最大記録可能時間については、MPEG-2が約10時間、MPEG-1が約40時間となっている。

 もちろん、PC側のHDDにキャプチャしたビデオファイルを直接記録するという従来のキャプチャユニットと変わらない使い方も可能になっており、その場合は動画サイズやビットレートをある程度自由に設定(任意の設定値から選択)できるようになっている。そのほか、タイムシフト再生機能や、ADAMS-EPGを利用したテレビ番組表機能、「SmartVision TV録画予約サービス」(BIGLOBE会員のみが利用可能)をサポートする点は従来のSmartVision Proシリーズと同様で、チャンネル変更といった基本操作のほかマウスカーソルの操作なども行なえる多機能リモコンの「SmartVisionリモコンキット」が付属する点も「SmartVision Pro 2 for USB」と変わらない。

LANでの利用には一部制限あり

 ただ、「SmartVision Pro USBシリーズの基本コンセプト」とも言える「キャプチャユニット側でエンコードした動画データをPC側でデコードして再生する」という点にも変わりはないため、「放送中のテレビ映像を2台のパソコンから同時に視聴することは不可」「MPEG-2形式の動画は100Base-TX環境のみで利用可能」などの、LANによる転送速度に起因する制限事項が存在する点には注意が必要だ。とはいえ、個人で複数台のPCを所有しているといったケースであれば、同時に2台以上のPCから「SmartVision Pro HD40」へアクセスする場面もほぼないと思われるのでそれほど神経質になることもないかも知れない。MPEG-2映像の利用には100Base-TX環境が必須という点についても、現在ネットワーク環境を構築しているユーザにとって100Base-TXは標準と言えるスペックになっており、こちらもほとんど問題はないだろう。

 ユニット単体での録画機能とファイルサーバー機能という従来にはなかった機能を備えることで、PC用ビデオキャプチャ製品としての新たな方向性を打ち出してきたと言えるこの「SmartVision Pro HD40」。実売価格は81,999円~82,000円とかなり値は張るが(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)、これまで多くのパワーユーザーがビデオキャプチャ環境の安全性を高めるためにわざわざ専用のPCを1台用意していたことを考えれば、こうした環境の代替になるものとしておおいに注目して良さそうだ。

□SmartVision Pro HD40(日本電気)
http://121ware.com/product/option/smartvision_prohd40/index2.html

 (NEC SmartVision Pro HD40)

[撮影協力:T-ZONE. PC DIY SHOPパソコンハウス東映若松通商]


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