無線ルータを統合したHDD内蔵の録画ユニット「TransCube 10」が発売

　少しずつではあるが、PCとの連携機能を持つHDDビデオレコーダーの種類が増えつつある。今週は無線アクセスポイントとブロードバンドルーターの機能もあわせ持つという非常にユニークな80GB HDD搭載ビデオレコーダー「TransCube 10」が東芝から発売となった。実売価格は129,800円（詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと）。

　一見すると小型のブックサイズPCのようにも見えるこの「TransCube 10」は、単体で録画や再生が可能なHDDビデオレコーダーとして使えるほか、無線／有線LANによって映像をPCへ伝送できるというのが特徴で、録画した映像だけでなく受信中のテレビ番組をリアルタイムでPCに伝送し、PC側で視聴するといったことも可能だ。有線LANを利用したHDDビデオレコーダーとしては過去にNECから「SmartVision Pro HD40」が登場しているが、無線LAN機能も搭載しているというのはこの製品が初めてとなる。PCカードタイプの無線LANカードが標準で付属しているのもノートPCユーザーにはうれしいところだ。

　無線LANとなると伝送速度が気になるところだが、「TransCube 10」では普及率の高さや本体価格を考慮して最大転送速度11MbpsのIEEE 802.11b規格を採用している。録画モードは高画質モード（ビットレート6Mbps／画面サイズ720×480ドット）や長時間モード（2Mbps／352×480ドット）などが用意されているが、無線LAN経由でPCから視聴する際は録画モードに関係なく自動的に2Mbps相当の画質で伝送されるという仕様だ。無線LAN経由時は画質が低下するのは残念だが、画質を重視したい場合は有線LANを利用するといった、状況に応じた使い分けもできる。

　また、PC側から「TransCube 10」へ編集した映像（ビデオ編集ソフトのPowerDirector 2.0が付属）を無線LAN経由で伝送したり、付属のアプリケーション「LIVE MEDIA for TransCube」を利用することでチャンネル変更や音量調整といった本体の操作をワイヤレスで行なったりすることも可能だ。なお、PC側での視聴や録画予約（外出先からiモードなどを経由した予約も可能）、録画映像のサムネイル表示／セレクトなどといった操作は「LIVE MEDIA for TransCube」で行なうようになっている。

　当然「TransCube 10」の映像を家庭用テレビで視聴することも可能で、単体での使用時に便利な操作用リモコンも付属している。録画中の番組などを最初から再生できる「追っかけ再生」といった機能もソツなく搭載しており、純粋に単体のHDDビデオレコーダーとして利用する分にもとくに機能不足を感じるようなことはなさそうだ。

　ブロードバンド機能に関しては、WAN/LANポートを1つずつ備え、ともに10Base-T/100Base-TX対応となっている。ただし、大量のデータ通信を同時に行なうと映像が乱れる場合があるとしているので、「TransCube 10」にHubを経由するなどして複数台のPCを接続しようと考えている人はこの点に要注意だ。とはいえ、個人で2、3台のPCを利用しているという程度の環境であればさほど問題にはならないだろう。

　無線LANのサポートにより飛躍的に自由度や使い勝手が向上したこの「TransCube 10」は、現時点でPC連携機能付きのHDDビデオレコーダーとしては最上位にある製品といっても過言ではないだろう。価格ががかなり高額であることと本体サイズが既存の他製品にくらべてやや大きめというのが難点ではあるが、ブロードバンドルーターとしても使えるという多機能さを考えればそれも納得できる範疇といえそうだ。

□TransCube 10（東芝）
http://dynabook.com/pc/catalog/whms/020520t1/

（東芝 TransCube 10）

[撮影協力:T-ZONE. PC DIY SHOP]

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