【 2008年10月25日号 】
NVIDIAがイベント実施、「CUDA」によるGPGPUをアピール
GeForce 9チップセットの紹介も
NVIDIA GeForce Graphics+
 NVIDIAがGPGPUをアピールするイベント「NVIDIA GeForce Graphics +」が26日(日)に開催された。会場はカフェ ソラーレ リナックスカフェ秋葉原店(ブロックD2-[e2])。

 イベントでは、同社のGPGPU技術「CUDA」を使った新しいGPUの活用方法がアピールされたほか、発表されたばかりのGeForce 9300/9400チップセットのの紹介やデモも実施された。


  
テーマは「CUDA」
各社がデモ
    
 


●テーマは「CUDAによるGPGPU」
 「普通のGPGPU」との差別化も

NVIDIA GeForce Graphics+
 イベント最大のポイントと言えたのが、同社独自のGPGPU技術「CUDA」のアピール。

 「GPGPUをアピールする」という点では先週のAMDイベントと同じだが、AMDがPixelShaderをそのまま使った汎用的なGPGPUをアピールしていたのに対し、NVIDIAでは同社独自技術である「CUDA」にフォーカス。NVIDIA以外にセッションを行った3社のうち、2社もCUDAベースの自社ソフトを解説した。

 CUDAベースのソフトとして紹介されたのは、アークソフトのアップスケーリングエンジン「SimHD」と、ペガシスの動画編集ソフト「TMPGEnc 4.0 XPress」。汎用的なGPGPUソフトとしてはトムソン・カノープスの動画編集ソフト「EDIUS Pro 5」が紹介された。




●アップスケーリングエンジン「SimHD」は、高性能なCUDA版がデモ

SimHD
【CUDA版】
SimHD
【SimHD有効】
SimHD
【今後の予定】
SimHD
【SimHD無効】
 SimHDは先週、「汎用のGPGPUソフト」としてアピールされたばかりだが、今回はCUDAで開発した別バージョンを披露。

 汎用版とCUDA版の違いは処理性能で、汎用版では非対応だった高解像度(1,920×1,080ドット)へのアップスケーリングが可能とされる。また、CPU負荷についても、「GeForce 9700 GT利用時で10%以下」と、Radeon利用時(Radeon HD 3850利用時で35%以下)よりも低い値が提示された。なお、操作用のGUIは共通で、アップスケーリング処理の内容やアルゴリズムに違いはないという。

 ソフトの発売予定は「今年のクリスマスシーズン」。メディアプレイヤーソフト「TotalMedia Theatre」日本語版に含まれるかたちで発売されるという。


□関連記事
【2008年10月18日】AMDがイベント実施、入手可能なGPGPU対応ソフトなどをデモ
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20081018/etc_amdev0.html




●公開間近のCUDA活用版TMPGEnc 4.0 XPress
 ビデオカードへの同梱も予定

TMPGEnc
【TMPGEnc 4.0 XPress】
TMPGEnc
【配布見通し】
TMPGEnc
【CUDAのメリット】
TMPGEnc
【CUDAの実装】
 もう一方の「TMPGEnc 4.0 XPress」は、「CUDAベースのエフェクトを搭載した」として早くから注目を集めたもの。

 詳細に関しては僚誌PC Watchがお伝えしているが、第一段階のGPGPU化としてエフェクト部分をCUDAで実装、環境に応じてCPUと分担して処理を行うなど、PCに応じて最適な処理を行うのが特徴とされる。エンコードのGPGPU化は今後のフェーズで実現予定。

 なお、汎用のGPGPUとしてではなく、CUDAを利用して開発したのは「現時点でもっとも使いやすいGPGPU環境だったため」(同社)という。

 CUDA対応版のTMPGEnc 4.0 XPressは10月末に一般公開される予定で、従来ユーザーには無償公開される。また、11月末に発売されるELSAのGeForce 9800 GTX+ビデオカードなどには体験版が添付されるという。


□関連記事
【2008年8月27日】TMPGEnc 4.0 XPressとPowerDirectorのCUDA対応版がデモ(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0827/nvision03.htm
【2008年9月10日】ペガシス、TMPGEncへのCUDA実装をデモ(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0910/pegasys.htm




●カノープス「EDIUS Pro 5」は発売中
 GPGPUでリアルタイムエフェクト

EDIUS Pro 5
【EDIUS Pro 5】
EDIUS Pro 5
【GPU Fx】
EDIUS Pro 5
【GPU Fx】
EDIUS Pro 5
【GPU Fx】
EDIUS Pro 5
【GPU Fx】
EDIUS Pro 5
【GPU Fx】
 唯一「汎用のGPGPUソフト」として解説されたのが、トムソン・カノープスの動画編集ソフト「EDIUS Pro 5」。これは既に発売中だ。

 GPGPUに関わる特徴としては、GPGPUを活用した3Dエフェクト「GPU Fx」を新たに搭載。GeForce 9シリーズなどの高性能ビデオカードを搭載することで、複雑なエフェクトでもリアルタイムに適用/確認することが可能になっている。

 GPU Fxによるエフェクトは1,000種類以上プリセットされており、さらにカスタマイズすることもできるという。


□関連記事
【2008年9月12日】カノープス、MPEG高速編集/BD作成対応「EDIUS Pro 5」(AV Watch)
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080912/canopus.htm




●発売中のトランスコードソフトやWeb動画向け画質向上ソフトも

CUDA利用ソフト
【Badaboom Media Converter】
CUDA利用ソフト
【Badaboom Media Converter】
CUDA利用ソフト
【Carmel】
CUDA利用ソフト
【Carmel(右が処理後)】
 このほか、NVIDIAのセッションでは米国で発売されたばかりのCUDA利用型トランスコードソフト「Badaboom Media Converter」(Elemental Technologies製/29.99ドル)や、低解像度動画をリアルタイムに画質向上できるWeb動画向けソフト「Carmel」(Motion DSP製)などを紹介。

 GPUで処理すると処理時間が数分の1に短縮されることをデモした上で、「CUDAによる新しい世界」をアピールした。

 なお、これらのデモでは比較用として行われたCPU処理があまりに遅いため、GPU側の処理終了後、「CPU側はまだやっていますが、次の解説に……」という展開が多発。さらに、その「次の解説」が終わった後もCPU側が処理し続ける、といった光景まで見られた。


□関連記事
【2008年10月24日】Elemental Technologies、NVIDIA GPU対応動画変換ソフト(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1024/elemental.htm
【2008年8月28日】Emerging Companies Summit編その1(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0828/nvision04.htm


次ページ→:GeForce 9400を展示/デモ G45/790GXとの比較も

□NVIDIA GeForce Graphics +(NVIDIA)
http://www.nv-info.com/

□関連記事
【2008年10月18日】AMDがイベント実施、入手可能なGPGPU対応ソフトなどをデモ
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20081018/etc_amdev0.html

 (ビデオカード)

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