【 2009年12月26日号 】 | |
FPSゲーマーfumioが試すION搭載PCキット「Valore ION 330」 - Windows 7も快適な低予算かつエコな環境を構築! - |
-fumio- |
AtomにNVIDIA製GPUを追加することで性能アップを図った製品だが、価格やサイズの小ささからメインPCとして検討している読者も多いものと思われる。そこで今回、「重いゲーム以外はWindows XP+IONをメイン環境として使っている」というFPSゲーマー、fumio氏に「Windows 7+IONでゲームは快適に動くのか」をメインテーマにテストをお願いした。なお、後編ではWindows XP環境についてもレポートしている。(編集部)
ION搭載PCにWindows7をインストール | |
さっそく評価に移りたいが、今回はゲームの互換性を考慮して、32bit版のWindows 7 Ultimateを使用することとした。XPでの使用感には満足しているが、7でも十分なパフォーマンスを発揮するのだろうか? テストに使用した環境は以下の通り。 ベアボーン:Valore ION 330 なお、これはインストール時に筆者が躓いた点なのだが、インストール時にAHCIなどのストレージドライバは読み込ませない方がいいようだ。何度か試したが、途中でエラー(エラー 0x80300001)が発生、インストールが進められなくなった。 Windows 7には多くの基本的なドライバが初めから用意されているが、ディスクを認識している状態ならばOSインストール完了後に個々のドライバを入れた方がいいようだ。ちなみに、Valore ION 330でAHCIを利用する場合はBIOSのアップデートが必要なので、購入したらまずアップデートを行った方がいいだろう。 |
意外にも軽い操作感、Aeroオンでも快適、YouTubeの1080p動画再生もOK | ||
まず実際の使用感だが、Office系アプリケーション、Webブラウザともに基本的には問題なく、XPと同様の感覚で使える。 いくら7が軽いと言ってもVista後継の新OS、どこかしらXPよりも遅くなるのではないかと覚悟していたが、デスクトップで作業する分においてはXP/7間に性能面での優劣は感じられない。 僅かながら3D処理能力が要求されるWindows Aeroだが、ION内蔵のGeForce 9400Mがオンボードグラフィックチップとしては高い性能を持っているため、動作に支障はない。 個人的には7のUIにはまだ慣れず、使いづらい思いをしているのでXPの方が好ましいと感じているが、性能不足による不具合のようなものはない。MediaCenterなどのXPにはない機能やAeroによって進化したUIを使いたいのなら7を選ぶのも良さそうだ。 動画再生に関しても、GeForce 9400Mによる再生支援が働くため、高解像度動画をスムースに観賞できるケースが多い。Atom搭載PCでは、CPUの性能不足から高解像度動画の再生を苦手とする場合が多いが、IONがCPUの弱点を補うことで性能不足を感じさせなくなっている。 たとえば、再生支援が有効なH.264エンコードの動画で1,280×720pのものを再生した場合、CPU使用率は40〜50%程度で済む。また、ベータ版のAdobe Flash Player 10.1とGeForce 9400Mの最新ドライバを用意すれば、Youtubeの1080p動画を滑らかに再生することも可能だ。これらのほかにもいくつかの高解像度動画の再生をテストしてみたが、再生支援が効くものであれば大体問題なく再生できた。 なお、Valore ION 330のWindowsエクスペリエンス インデックスの基本スコアは3.2で、スコア的にもWindows 7の基本動作には問題が無いのがわかる。CPU性能はやや低いものの、動画関連などCPUパワーが必要な作業の一部にはGPUの支援機能などが働くため、性能不足を感じる面はそれほど無い。 |
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Wiondws7 + IONでゲームは快適に動くのか?
ここからは筆者がもっとも気になっていたゲームプレイ時のパフォーマンスを紹介する。結論から先に言うと、ゲームとVGAドライバ双方の画質設定を最低限まで落とした上で、古いタイトルであればそれなりに快適に遊べる。高性能とは言えないが、許容範囲内だ。 ゲームプレイ時の解像度は800×600程度までなら軽快に動作可能。画質設定も軒並み最低レベルまで落とす必要はあるが、古め≒軽いタイトルならゲームプレイに支障はない程度のフレームレートがでる。 実際にゲームプレイに支障がないフレームレートが出るのを確認できたのは、Quake Live、Counter-Strike 1.6、Audio Surf、Warcraft3: the Frozen Throneなど。具体的な数値をあげると、Counter-Strike 1.6でde_aztecのような負荷が高めのマップを読み込んでも重い場面で40fps、それ以外の場所なら平均60fps程度はでる。一般的な液晶ディスプレイのリフレッシュレート以上のフレームレートで遊べるケースが多いので、十分な性能と言えるだろう。 ただし、Left 4 Deadくらいの新しい=重いタイトルになると、開始地点などでは20fps程度でるものの、敵のラッシュがやってきたときなど、フレームレートが常時ほぼ一桁となりかなりつらい。ただ、同じ新しめのタイトルでもAlliance of Valiant Arms(UnrealEngine3使用)では、AIとの殲滅戦を遊ぶ分には30FPS程度は出るため、どうにか遊べるといえそうなところだ。 |
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右の画像は筆者が用いたnVidiaコントロールパネルの設定。Atom+IONの少ないリソースで可能な限り3D描画速度を上げるため、アンチエイリアシングや異方性フィルタリングのような画質のためにパフォーマンスを犠牲にする設定はなるべくカットしてゲーム上での快適さを重視している。垂直同期を強制オフにしてフレームレートがモニタのリフレッシュレートに左右されないようにするのもポイントだ。 | nVidiaコントロールパネルの設定 |
ION+Windows 7でゲームするときは、ここに注意
XPとの互換性が高いとされるWindows7だが、「100%互換ではない」認識を持っておいた方がいい。動作しないゲームもやはりある。筆者が確認した限りでは、IE8版のQuake Liveはインストール中にエラーが出てしまい、何度試しても正常にインストールが完了できなかった。筆者の知り合いはWindows 7+IE8でもインストールできていたので環境の問題だと思われるが、こうしたケースも0では無いので注意して欲しい。なお、FireFox 3.5.5では正常にインストールできた。
また、ゲーム関連ではWindows Vista/7環境のデフォルト設定で古めのゲーム(XP以前の世代のもの)を動作させると画面の描画に数フレームの遅延が発生するという情報がネット上に見受けられる。この問題は「Windows Aeroを無効にし、さらにNVIDIAコントロールパネルの「レンダリング前最大フレーム数」の設定を0にすることで解決できる」ということだったので、筆者の環境でも試してみた。 感想は……正直、違いがよくわからない。 FPSゲーマーも遅延関係にはうるさいほうではあるが、格闘ゲーマーあたりの要求する1フレーム単位のシビアさにはかなわない部分もあるし、そもそも単に筆者が鈍いだけかもしれない。まあ、もしWindows 7でゲームをした際操作に違和感を覚えるようなら、試してみてもいいかもしれない。 |
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ION+7の互換性絡みでは、「XPモード」の問題もある。 XPモードとは仮想マシン上でXPを動かすことでアプリケーションの互換性を保つ機能だが、Valore ION 330と組み合わされているCPUのAtom 330はVTを搭載していないため、「XPモード」を使用することができない。 VT搭載のAtom ZシリーズとIONを組み合わせた製品があればXPモードを有効にすることはできるだろうが、今のところAtom ZシリーズとIONが組み合わせられている例は見たことがない。IONマシンにWindows7を入れる場合、「XPモード」の使用は不可能と考えて良いだろう。 |
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Windows 7とIONの組み合わせはまずまず、コスト重視のユーザーにはお勧め
ここでまとめということになるが、IONでWindows 7を使う場合、一般的な用途とゲームのどちらにおいても「難点」というべきものは見あたらない。
XPモードこそ使用できないが、それ以外の7の新機能はIONのスペックでも十分活用できる。それなりに動画を見たり簡単なゲームくらいはしたい、という人にとって非常に価値ある存在になるのではないだろうか。
Flash Playerが動画再生支援に対応し、それに合わせるかのようにYoutubeがHD動画再生に対応したりと、日常用途でのIONの利便性は更に増している。ハイスペックなマシンはどうしても最新のゲームがしたいなど必要なときだけ使い、普段は低消費電力なION PCで済ませる、というエコな使い方はお勧めできる。
なお、冒頭、筆者はXPでこのION搭載PCを使っていると書いた。後編では筆者が常用するION + Windows XPの環境についてのレポートをお伝えしたい。
ユニティ Valore ION 330 |