【 2011年8月2日 】
SF-2281を搭載したSSD、Patriot「WILDFIRE」を試す
実測リード520MB/s
              Text by 石川ひさよし

 
IntelでもAMDでも実測リード520MB/sec!

 Patriot Memoryから登場した「WILDFIRE」は、SSDコントローラにSandForceの「SF-2281」を採用した製品だ。

 SF-2281といえばSATA 6Gbpsに対応し、それを搭載した製品はシーケンシャルリードで500MB/secを超えるものが続々登場するなど注目を集めている。そしてWILDFIREシリーズも、リード555MB/sec、ライト520MB/secを公称スペックとしている。

 今回、ファストの協力によりWILDFIRE 120GBモデル「PW120GS25SSDR」を2台お借りすることができたので、いろいろと試してみた。

●AMD環境のテストPC●Intel環境のテストPC

AMD環境として用意したGIGABYTE GA-990FXA-UD5

Intel環境として用意したGIGABYTE Z68X-UD3H-B3
CPU:AMD Phenom II X6 1100T Black Edition
M/B:GIGABYTE GA-990FXA-UD5(AMD 990FX+SB950)
メモリ:CFD W3U1333Q-4G(DDR3-1333 4GB×2)
VGA:玄人志向 RH4350-LE512HD/HS(Radeon HD 4350)
OS:Windows 7 Ultimete SP1 64bit版
HDD(起動用):Western Digital WD5000AAKS(7200rpm/500GB)
CPU:Intel Core i7-2600K
M/B:GIGABYTE Z68X-UD3H-B3(Intel Z68)
メモリ:CFD W3U1333Q-4G(DDR3-1333 4GB×2)
VGA:Intel HD 3000
OS:Windows 7 Ultimete SP1 64bit版
HDD(起動用):Western Digital WD5000AAKS(7200rpm/500GB)

 まず、シングル構成での性能をCrystalDiskMarkで比較してみたのが次のスクリーンショットだ。Intel環境ではIntelのAHCIドライバを、AMD環境ではAMDおよびMicrosoftのAHCIドライバ双方を試してみた。



WILDFIRE 120GB×1
(Intel環境/ランダム)

WILDFIRE 120GB×1
(AMD環境/ランダム AMD AHCIドライバ)

WILDFIRE 120GB×1
(AMD環境/ランダム MS AHCIドライバ)

 結果は、Intel環境でシーケンシャルリード522.2MB/sec。AMD環境ではAMD AHCIドライバで515.8MB/sec、Microsoft AHCIドライバで500.4MB/secとなった。公称値にはやや届いていないが500MB/secクラスといえるのは間違いない。

 また、シーケンシャルライト時の速度はIntel環境が176.6MB/sec、AMD-AMD AHCIドライバ時で260.5MB/sec、AMD-MS AHCIドライバ時で259.9MB/secとなっている。「公称値の520MB/secには遠く及ばないじゃないか」というところだが、これがSF-2281の特性。

 ここではCrystalDiskMarkの標準設定である「ランダム」で計測しているのだが、SF-2281にはデータ圧縮機能があり、これを試すためCrystalDiskMarkの設定を「0Fill」として計測したものが次のキャプチャだ。


WILDFIRE 120GB×1
(Intel環境0Fill)

WILDFIRE 120GB×1
(AMD環境0Fill AMD AHCIドライバ)

WILDFIRE 120GB×1
(AMD環境0Fill MS AHCIドライバ)

 こちらの結果でもシーケンシャルライトも520MB/secには届かなかったが、およそ460MB/sec前後まで引き上げられる。シーケンシャルライトのほか、512Kや4K-QD32のスコアも向上する。

 もっともこれはただの指標。実際の使用時、ここまで圧縮できる単純なデータの書き込みは少ないし、かといって先のランダムほど荒れたデータを扱うことも少ないだろう。実環境におけるパフォーマンスはこの2つの結果の間のどこか、というあたりだが、これはこれでSSDの潜在パフォーマンスの指標となる。その点でSF-2281、WILDFIREのパフォーマンスは相当に高いと言える。

 さて、ここでAMD環境におけるAHCIドライバについても確認しておこう。WILDFIREに関してはどうもAMDドライバの方が良いという傾向が出ている。MSドライバでは4Kや4K-QD32のライト時のスコアがAMDドライバと比べ一段劣っている。一方、シーケンシャルや512Kでは部分部分で逆転するが、その差は4K・4K-QD32での差を埋めるほど大きなものではない。


 
RAID 0(×2台)もチェック
Intel環境では920MB/s達成、AMD環境では問題発生

 次にRAID 0(ストライピング)での性能を見てみた。Intel環境、AMD環境ともにRAIDコントローラはチップセットに搭載されたものを利用しており、IntelであればZ68、AMDであればSB950となる。


CrystalDiskMark
(x2台 RAID 0 Intel環境ランダム)

CrystalDiskMark
(x2台 RAID 0 Intel環境0Fill)

 Intel環境では、シーケンシャルリードが920MB/sec強、シーケンシャルライトがランダムで384MB/sec、0Fillで839.7MB/secという結果となった。

 ストレートに2倍とはいかないが、900MB/secクラスのパフォーマンスには十分に満足できるだろう。ただしよく見ていくと、4Kのリード・ライトでシングル構成よりも劣っていたりとクセがある。


Atto Disk Benchmark v2.34(x2台 RAID 0 Intel環境 1回目)

Atto Disk Benchmark v2.34(x2台 RAID 0 Intel環境 2回目)

 また、ATTO TechnologyのDisk Benchmarkでの結果を見ると、512K・1024Kを境にスコアにおかしな部分がある。

 2つのキャプチャを掲載するが、どうもリードで1GB/secを超えた前後で表示が0となり、2048K以降ではリードのスコアが64MB/secあたりのスコアと表示されてしまうようだ。ただしパターン的にはおそらくAtto Disk Benchmark(v2.34)自体の問題と思われる。むしろ、エラーになる直前の512Kのスコアが1,006,632と、1GB/sec目前を記録しているところに注目だろう。


CrystalDiskMark(x2台 RAID 0 AMD環境ランダム)

CrystalDiskMark(x2台 RAID 0 AMD環境0Fill)

Atto Disk Benchmark v2.34(x2台 RAID 0 AMD環境)

 一方、AMD環境ではシーケンシャルリードが565.3MB/secで、RAID 0構成のメリットが出し切れていない。

 確かにシーケンシャルも512Kも、シングル構成よりも高いスコアを出しており、RAID 0自体は効いている印象があるのだが、シングル構成プラス数10MB/secではRAID 0の意味が無いだろう。AMD RAIDドライバにおける相性、最適化という面でまだ進んでいないものと思われる。また、1GB/sec前後に達することもなかったためAtto Disk Benchmarkのスコアもとくにおかしな点はみられない。

 このように、AMD環境でRAID 0構築をを構想している方は、現時点では「まだそのパフォーマンスを引き出せない」と注意しておこう。

 シーケンシャルや512Kのスコアは500MB/sec強で打ち止めになるとはいえ、シングル構成よりもスコアは伸び、また4Kのスコアは現時点でもIntel環境のRAID 0時よりも条件次第で2倍になる。しかし、4K-QD32のスコアが全く伸びないということもあり、実用面で言えばIntel環境でのRAID 0の方がオススメだ。

 
リードは他のSSDをリード
ライトはデータ圧縮の効き具合次第?

 最後に他の6Gbps SSDとの比較を行い、その性格を把握したい。

 こちらは全てIntel環境で比較した。

 用意したSSDはCrucial RealSSD C400のOEMであるCFD販売のSSD S6M4Qシリーズ「CSSD-S6M128NM4Q」と、IntelのSSD 510シリーズ「SSDSC2MH120A2K5」。いずれも市場での評価が高い人気モデルだ。

 容量はそれぞれ128GB/120GBだ。コントローラはともにMarvell製だが、RealSSD C400が「88SS9174-BLD2」、Intel SSD 510が「88SS9174-BKK2」とされている。


WILDFIRE 120GB×1(Intel環境ランダム)

Intel SSD 510 120GB×1(Intel環境ランダム)

RealSSD C400 128GB×1(Intel環境ランダム)

 まずはCrystalDiskMarkのランダム。シーケンシャルリードや512KリードはWILDFIREの圧勝で、RealSSD C400と比べれば100MB/sec以上の差。Intel SSD 510と比べても512Kリードで100MB/sec以上の差をつけている。

 4Kリードも他の2製品と比べ速いが、4K-QD32に関してはRealSSD C400に及ばない。ライトに関しては、0Fillの結果も合わせて見ていこう。


WILDFIRE 120GB×1(Intel環境0Fill)

Intel SSD 510 120GB×1(Intel環境0Fill)

RealSSD C400 128GB×1(Intel環境0Fill)

 まずランダムライトから見ていくと、シーケンシャル・512KでWILDFIREは175MB/sec強。RealSSD C400の200MB/secや、Intel SSD 510の207MB/secには及ばない。

 ただし4Kや4K-QD32ではほぼRealSSD C400と同等のスコアを出しており、60MB/sec前後のIntel SSD 510よりも高いスコアである。

 次に0Fillの結果を見て行こう。まずMarvellコントローラはどちらもランダムと0Fillで、0Fillの方が若干良いスコアになるとはいえほとんど差が無い。一方でSF-2281のWILDFIREは一気にスコアが跳ね上がる。この点は先に説明したので、SandForce SF-2281と他のコントローラの実測での違いとして捉えてほしい。

 実際のスコアを比較してみると、WILDFIREはシーケンシャルライトおよび512Kで465MB/sec前後となり、他の2製品の2倍以上の性能となる。

 さすがに0Fillのような理想的なデータ書き込みはまず無いとしても、普段使用するファイルであれば先のランダムライトから上積みされて、トップの転送速度を発揮するのではないだろうか。一方、4K-QD32もスコアが大きく上がり、4Kはほとんど変化なしとはいえRealSSD C400と同等のレベルである。4Kでの性能は実際の使用感に近いというから、こうした点は注目に値するだろう。

 
シングル構成ならAMD環境はAMDドライバ、
RAID 0ではIntel環境を推奨

 こうして見ると、Intel SSD 510はクセの無いオールマイティ、RealSSD C400は4Kや4K-QD32に強い実環境重視、そしてWILDFIREはリードで爆速であることに加え、取り扱うデータによっては現在最速が狙えるかもしれない、というあたりがそれぞれの特徴と感じる。

 少なくとも、WILDFIREの2.5インチSSDとしてのポテンシャル、コントローラのポテンシャルとしては0Fillの結果が示すとおり最速だろう。

 ただ、WILDFIREでRAID 0での速度を狙う場合は、AMD環境(SB950サウスブリッジ)での最適化度合いに注意しよう。今後CatalystドライバのバージョンアップやWILDFIRE自身のファームウェアアップデートで変わっていくと思われるが、本稿の執筆時点においては、少なくともスコアを狙うにはIntel環境(6シリーズチップセット)の方が良い。

□Wildfire(Patriot Memory)
http://patriotmemory.com/products/groupdetailp.jsp?prodgroupid=211&prodline=8&group=Wildfire%20Solid%20State%20Drives&catid=85
http://patriotmemory.com/products/detailp.jsp?prodline=8&catid=85&prodgroupid=211&id=1077&type=17
http://www.fastcorp.co.jp/product/patriot_ssd.html

Patirot製品

[機材協力:ファスト]

※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。