【 1999年12月25日号 】

あなたが決める'99年10大ニュース投票結果発表
今年1番のニュースは「Athlon登場」

 読者に投票していただいた'99年10大ニュースの結果をここで発表しよう。

 投票受付期間:12月13日~12月22日
 総有効投票数:20,676票(4,705人)

Athlonが登場して一定の地位を獲得、動作クロックでIntelを追い抜く

AMD Athlon Athlonマザー登場
 2位に800票以上の大差をつけ、'99年トップのニュースには「Athlonが登場して一定の地位を獲得、動作クロックでIntelを追い抜く」が選ばれた。'99年も数々の規格や製品が登場し、さまざまな変化が起こった年だったが、やはり自作PCユーザーにとっては何よりAthlonの登場が一番インパクトのある出来事だったようだ。

 Athlonが動作クロックでPentium IIIを追い抜き、x86系CPU最速の座をIntelから奪い取った衝撃は大きく、スピードを求めるパワーユーザー達からずっと注目を浴びつづけた。Athlonが初めてアキバに姿を表したのは8月中旬。当初心配されていたマザーボードの供給不安もどこへやら、Athlon対応のマザーボードも同時デビューを果たし、そこから徐々に、そして着実にユーザーの数を増やしていくことに成功した。デビュー直後はマザーボードに関するトラブルやベンチマーク結果の信憑性が話題になるなど、一時はつまづきかけたようにも見えたが、ユーザー間での高い性能評価は揺ぎなく、立ち直りは早かった。

 Intel製CPUと互換のないCPUインターフェイス(Slot A)を採用したことによる普及の障壁も、Athlon対応マザーボードの低価格化と種類の増加などでうまくクリアし、自作PC市場では確実にハイエンドCPUとしての地位を獲得した。そして、おそらく誰もが評価している点は、Athlonの登場によってIntelとの競争が激化し、全体的にCPUのスピードアップと低価格化が進んだことだろう。年が明ければ、今度はPentium IIIとAthlonによるGHzレベルでの新たな戦いが見られるはずだ。

メモリは価格の乱高下と製品種類の増加で混乱

値上がり傾向 RIMM
 2位に入ったのは「メモリは価格の乱高下と製品種類の増加で混乱」。メモリはPC全体のコストに大きく影響するパーツであるだけに、激動の'99年メモリ市場は多くの人を右往左往させた。

 '99年は過去に例を見ないほどメモリに関する動きが激しかった。まず、主流のPC100 SDRAMは価格が乱高下した。年明け直後に64MBで1万円弱、128MBで2万円弱だった価格は見る見る下がり、7月初旬には64MBで5,000円割れ、128MBで8,000円台にまで下がって、誰もが「一体どこまで下がるの?」と注目した。しかし、それも7月中旬には一転、大手メモリメーカーの生産トラブル話が業界を席巻して価格は急上昇、台湾地震も重なって最終的に64MBは15,000円前後、128MBは25,000円前後にまで上昇した。価格上昇の原因は、今ではDRAMメーカーの64Mbitから128Mbit品への生産シフトによるものがベースだと言われており、先の2つの話がどこまで影響したのかは今もってわからない。まるで株式市場のように、消費者もショップも風説入り乱れる中で、メモリ価格の動きに右往左往させられる格好になった。

 また、メモリの種類は過去に例がないほど多くの種類が出回った。SIMM、SDRAM DIMM、PC 100 SDRAM DIMM、133MHz対応 SDRAM DIMM、VC SDRAM DIMM、Direct RDRAM RIMMなどがショップに並び、やや混沌とした状況を呈した。

 一体何が主流となり、価格はどうなるのか、予測のつかないメモリの状況は'99年以降も続くことになりそうだ。

HDDの大容量化と高性能化が進み、価格も大きく下がる

40.9GB HDD 17.4GB 17,800円
 3位には「HDDの大容量化と高性能化が進み、価格も大きく下がる」が選ばれた。HDDのコストパフォーマンス向上はとどまるところを知らず、1GB単価は1,000円を割り、容量ではSCSIで50.1GB、IDEでは40.9GBという大容量の製品が登場。HDDも派手な動きが続いた1年だった。

 特に動きが大きかったのはIDEタイプのHDDで、1月に3万円で13GBクラスのHDDが買えるようになったと話題になっていたものが、12月には同じ価格で40GB超のHDDが買えるまでに価格が下落した。現時点で1GBあたりの単価はすでに700円台に下がっており、700円割れも間近だ。性能向上も目覚しいものがあり、7,200rpmの高速スピンドルのモデルが大幅に増え、インターフェイスはUltra ATA/66対応が当たり前となり、プラッタ1枚あたりの記憶容量は10GBにまで達した。これまではWindowsが代替わりするごとに、システム必要領域の肥大化を嘆く声があがったものだが、HDDのコストパフォーマンスが急速に向上したためか、'99年はそうしたことはほとんど話題にも上らなかった。むしろ、BIOSやOS側で大容量HDDをうまく扱えないトラブルの方が目立つほどだった。また、9.5mm厚で12GBという大容量製品が登場するなど、ノートPC用の2.5インチHDDの動きも活発だった。

 今や15GBなら15,000円で買えてしまうのだから、「HDDは高価なもので大切に使うもの」という耐久消費財のイメージは'99年で完全に崩れ去ってしまったと言っても過言ではない。なお、IDE HDDが急速に進化する一方、市場でSCSI HDDの勢力が急速に衰えていったというのも'99年の目立った動きだ。

i820チップセットのトラブルでFSB 133MHzとRIMMの離陸失敗

i820搭載マザー遂に入荷 Dualon
 4位に選ばれたのは、まだ記憶に新しい「i820チップセットのトラブルでFSB 133MHzとRIMMの離陸失敗」。i820は当初の発表予定がドタキャンとなり、Direct RDRAMの生産も止まって、業界は大慌て。結局、11月になってようやくアキバにi820搭載マザーボードとRIMMが登場したものの、あまりの価格の高さに不評。これと同時に始まるはずだったFSB 133MHzの普及も道連れとなり、すっかりIntelの描いていたプラットフォームのロードマップが崩れてしまった。対するAthlonの快進撃とは対照的な、Intelの失敗劇だった。

 このほか、5位には「“Dualon”ことDual Celeronの大ブームが巻き起こる」、6位には「Linuxを中心にBe OSなどWindows以外のOSが人気に」が選ばれた。7位から30位までの投票結果も含め、全結果を下の表にまとめたので、この1年を振り返る際の参考にして欲しい。

 順位    ニュース/解説
1位
(2,761票)
Athlonが登場して一定の地位を獲得、動作クロックでIntelを追い抜く
(Slot Aマザーボードと同時に登場し、パワーユーザー層に浸透)
2位
(1,933票)
メモリは価格の乱高下と製品種類の増加で混乱
(メモリ価格が活発に動き、種類もRIMMとVC SDRAM DIMMの登場などで増える)
3位
(1,759票)
HDDの大容量化と高性能化が進み、価格も大きく下がる
(Ultra ATA/66化と7,200rpm対応が進んで容量は40GB超に、1GB単価は800円割れ)
4位
(1,435票)
i820チップセットのトラブルでFSB 133MHzとRIMMの離陸失敗
(FSB 133MHz対応Pentium IIIは売れず、RIMMも高価で売れず)
5位
(1,142票)
“Dualon”ことDual Celeronの大ブームが巻き起こる
(2個単位でCeleronが売れ、Dual Socket 370マザーボードまで登場)
6位
(1,024票)
Linuxを中心にBe OSなどWindows以外のOSが人気に
(日本語版のLinux製品が売れ、OSの選択肢増える)
7位
(992票)
SSE対応のPentium IIIが登場し、さらにCoppermineコアへと進化
(1月下旬に初登場し、11月には0.18μm版のCoppermineも発売)
8位
(959票)
iMac人気でスケルトン化した製品が続々登場
(CPUリテンションキット、CD-ROMドライブ、ファンまでスケルトンに)
9位
(824票)
CD-Rドライブの低価格化で人気商品に、ATAPI化と高性能化も進む
(CD-Rドライブの売れ行きが加速、12倍速書き込みの製品も登場)
9位
(824票)
CPUの高性能化進み、最高動作クロックが450MHzから750MHzへと300MHzアップ
(1月のPentium III 450MHzから12月のAthlon 750MHzへ)

11位
(791票)
3D対応ビデオカードの高性能化と低価格化が続き、T&Lサポートも
(Voodoo3、RIVA TNT2、Savage4、Permdeia3、G400、GeForce 256など)
12位
(629票)
DVD-ROMドライブの低価格化で普及が本格化
(CD-ROMドライブからの移行進み、ソフトウェアDVDプレイヤーも普及)
13位
(574票)
オールアルミ製やスケルトンなどユニークなPCケースがブーム
(オールアルミ製の高級ケースやスケルトンに人気、キャラクター似の製品も)
14位
(470票)
新CPUインターフェイスSocket 370が登場して普及
(PPGA版CeleronやFC-PGA版Pentium IIIが登場、SlotからSocketへ回帰)
15位
(460票)
USBインターフェイスが本格的に普及し、接続機器が多数製品化された
(マウスやキーボードのほか、DVD-RAMやCD-RもUSB対応に)
16位
(457票)
SCSI対応機器が続々とUSBやIDE(ATAPI)へ移行、“SCSI離れ”進む
(スキャナやCD-Rなどが続々と移行、SCSI HDDはショップでも在庫が急減)
17位
(414票)
マザーボードはオーバークロック用の設定や機能が目玉に
(FSBの設定数が飛躍的に増え、CPUの供給電圧調整機能まで搭載)
18位
(398票)
IDE HDDでのRAIDがブームになり、対応カードが定番化した
(FASTTRAK66の登場でIDE RAIDが大ブームに、IDE RAID対応マザーも出る)
19位
(384票)
生産終了説を覆してCeleron 300A MHzのロングラン販売、人気も変わらず
('98年8月登場以来、不動の人気CPUとして販売継続中)
20位
(365票)
Socket 7対応CPUの勢力衰え、IDTは撤退しCyrixとRiseのCPUは減少
(低価格なCeleronに押されるかたちで衰退、マザーボードも激減)
21位
(326票)
PCパーツ系ショップの勢力がますます拡大
(不況といわれながらもパーツ系ショップは増加の一途)
22位
(315票)
アニメ・ゲーム系ショップの勢力さらに拡大、中央通りにも進出
(ショップ数が増えて中央通りにも進出、LAOXも新規に出店)
23位
(303票)
MPEG2対応の動画再生や動画キャプチャ製品に人気
(ATI ALL-IN-WONDER 128やVoodoo3 3500TV、ソフトウェアDVDプレイヤーなど)
24位
(254票)
秋葉原の中心地にパチンコ店とマクドナルドが進出
(パチンコ店のP-Festaとマクドナルドが開店して定着)
25位
(214票)
ビデオカードはAGP対応が中心となり、PCIバス対応版がほぼ姿を消す
(今ではPCI対応のビデオカードを探すのが困難な状況に)
26位
(193票)
IEEE-1394インターフェイスの普及始まる、カードは急速に低価格化
(IEEE-1394オンボードのマザーも登場、カードは1万円前後に)
27位
(192票)
「おでん缶」の人気沸騰し、季節商品から定番商品化へ
(TV番組での紹介でブームに、年末には「みそ汁缶」も登場)
28位
(161票)
マニア向けのCPU冷却システムが低価格化して一般に普及
(低価格の銅製ヒートシンクや、台湾製の水冷クーラーなど)
29位
(105票)
CPUのラインナップがさらに拡充、販売されるCPUのモデル数が大幅増
(IntelとAMDはラインナップをさらに拡充、Riseの新規参入もあって過去最多)
30位
(18票)
付加機能でマザーボードの差別化を図る傾向に
(POSTコード表示機能付きやIDE RAIDコントローラー内蔵、色付きなど)


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