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光るPCのその先へ。外装を自由に「カスタム」する自作PCの新潮流とは?
ツクモ新宿西口店に、女性DIYer作成の「インテリアPC」が出現!
提供:TSUKUMO
2019/12/18
2019年12月より、LABI新宿西口館の7、8階にあるツクモ新宿西口店で「インテリアPC」の展示がスタートしている(展示場所は8階)。「インテリア」という言葉から、家庭にある白物家電や黒物家電になじむシンプルなもの……と思ってしまいそうだが、ここでいうインテリアPCは、「その人のライフスタイルに寄り添う、PCに見えない自作PC」と表現した方がいいかもしれない。
自作PCと言えば、自分の好きなPCパーツを組み合わせられるカスタマイズ性の高さが1番の魅力とされていた。ところが最近ではパーツの組み合わせだけにとどまらず、光るパーツをふんだんに活用してガラス張りのケースで派手に演出する人が増えはじめている。もっと尖ったところでいうと、筐体やパーツそのものを自作して唯一無二のものを作り上げる、いわゆる「MOD PC」を目指す人もいる。性能だけにこだわらない自由な発想の自作トレンドが生まれているわけだ。
トレンドの方向性としては似ているが、主に既製品を組み立てるだけで完成する光るPCと、自作パーツの占める割合が多いMOD PCとでは、実現のハードルの高さに大きな差があるのも事実。そこでTSUKUMOが提案しているのが、MOD PCのような自作PCの新しい楽しさをより手軽に味わえるインテリアPCなのである。いわば光るPCとMOD PCの中間に位置する、自作PCに一歩進んだDIYを施すものと言えるだろう。
必要な材料はほとんど100円ショップ。錆び加工も「誰でもできる」
そんなわけで、ツクモ新宿西口店に出現したインテリアPCも、突き抜けたMOD PCのようなデザインではないとはいえ、「これ、本当にPCなの?」と疑ってしまいそうな斬新な作品となっている。元は間違いなく新品のパーツで組み上げた自作PCだが、見た目はなんだかヨーロッパの森にたたずむ古びた家。屋根から生えた植物や、錆びた金属のような表面処理が目を引く。
このインテリアPCを製作したのは、広島を拠点にDIYer(いわゆるDIY愛好者)として活躍されているmaiさん。空き缶をリメイクした植木鉢から自宅のアトリエの改装まで、さまざまなDIYを実践しているほか、講師としてDIYのワークショップなども開いている。が、maiさんにとってPCの自作は未経験。PCの外観をDIYするのも、今回が初めてだったという。
maiさんによれば、今回のインテリアPCの製作コンセプトは「アンティークな雰囲気のお花屋さん」。自宅のアトリエ内で使うことを考えて、そのアトリエの雰囲気をPCの外観で表現し、「部屋になじむものにした」とのこと。「サビているもの、古いものが好き。新品みたいなものが苦手で、すぐ汚したくなる」と笑うmaiさんがこだわったポイントは「リアルなエイジングペイント」だ。
そのエイジングペイントは、経年劣化した雰囲気を表わしており、ざらざらした肌感の見た目まで再現した錆びや、窓枠から下に垂れたように残っている跡、窓枠のところどこに生えた苔などに見ることができる。草が生えている横に置いた石や薪、錆びたタライなど、いかにも「ありそう」な感じの自然な見た目にしているところも、力を入れた部分だという。
風雨にさらされ、その跡が残っているかのような窓枠下の赤茶けた部分のほか、草や薪、タライなど細かい部分の仕上げにも手抜きはない
左側面。フランス語で「緑」という意味の「VERT」と名づけられたお花屋さん。maiさんのDIY活動にかかわる名前としても使われている
DIYを手がけたことのない筆者にしてみれば、こうした古びたデザインを実現するまでには、アイデアの発想から実際の製作作業まで、かなりの時間がかかるように思える。ところがmaiさんによれば、「30分で作りたいもののイメージがパッと思い浮かんだ」。製作にかけた時間は、必要な材料の購入から実際の作業も含め、トータルで10時間ほど。材料も「ほとんどが、ホームセンターか100円ショップで買えるものばかり」で、DIYにかかったコストは6,000円以下に収まっているという。
錆のようにペイントを施した部分はまるで本物のように見えるが、本人いわく「オレンジ、赤茶色、焦げ茶色の3色を配しただけで『誰でもリアルにできる』」のだそう。一切ヤスリがけはせず、下地にプライマーを塗り、ステンシル用の筆で色を乗せていくだけなんだとか。また、「窓枠などは角があると新しく見えてしまうので、カッターで角を落とすことで経年劣化している雰囲気を出せる」というワザも教えてくれた。
元々のケースは両サイドが透明なガラスで、「中が見えすぎる」状態だったことから、窓のようになっている部分はスリガラスシートを貼り付けている。その内部に入れた電球を光らせて、その窓からうっすら透けて見えるようにすることで、アンティークな雰囲気をさらに高めている。
maiさんが製作したこのインテリアPCを前にすると、なんとなく見入ってしまって忘れそうになるが、これはあくまでも実際に稼働するPC。動作させたとき、デコレーションしたことで不具合が発生しないようにする必要がある。「今までパソコンのDIYにチャレンジしたことがなかったのですが、塞いではいけない部分など注意点を教えていただき、そのなかで(アンティークなアトリエというコンセプトを)いかに表現するかが大変でした」と話すmaiさん。
そうした、PCならではの制約にもしっかり配慮し、前方と後方の排気・吸気口部分は塞がないようにした。元々のケースは天面も排気口になっているが、ここに貼り付けられている芝生は簡単に取り外せるようになっているため、取り外しさえすれば熱がこもることはない。植物を模した飾り付けが内部に入ったりしないよう接着剤でしっかり固め、塗装には防炎塗料を使うなど、万一のことも考えた細部にわたる気遣いはさすがの一言。
今回のインテリアPCの企画を通じて、「自分でパソコンを作ることができることも、それをDIYできることも初めて知りました」というmaiさん。「本来は無機質な感じのパソコンを、私の好きなナチュラルなテイストにできることに気付けて、すごく楽しかった」と語った。
maiさんが製作したインテリアPCは一定期間ツクモ新宿西口店の8階で展示される予定。自身で製作したPCを使うのならどういったことに使用したいのかと尋ねたところ「このインテリアPCを使えば、新しいデザインのアイデアを思いつけそう」とのことだった。自分で作成したPCで作業したら気分のノリも違ってくるかもしれない。
いずれまた別のインテリアPCを作るとするなら、「全面錆び加工、錆びの固まりみたいなパソコンを作ってみたいですね」とのこと。「パソコンのカスタムは、今は光らせたり内部見せたりするのがメインだと思いますが、きれいなものを汚してみるとか(笑)、そういう新しい視点もアリじゃないでしょうか?」と話した。
【maiさんによるインテリアPC 制作課程】
中に小型モニタを入れたり、フィギュアを飾ったりするのも面白い
インテリアPCを企画したTSUKUMOは、12月9日からDIY加工にも適したPC自作用セット「インテリアPCチャレンジキット」の販売を49,500円(税込)で開始した。このインテリアPCチャレンジキットは、PCの自作に必要なケース、電源、CPU、メモリ、SSD、OS(Windows 10 Home 64bit)などがワンパッケージになったもので、今回のmaiさんが使用したミドルスペックのモデルと、エントリースペックのモデル(2020年1月発売予定)の2種類が用意されている。
TSUKUMOが12月9日に発売したミドルスペックのインテリアPCチャレンジキット
構成区分 | 品名 | メーカー名 |
---|---|---|
CPU | Core i3-9100 BOX | インテル |
OS | Windows 10 Home 64bit DSP版 DVD-ROM | Microsoft |
マザーボード | Intel B365搭載 マイクロATXマザーボード PRIME B365M-A | ASUS |
ケース | SST-RL08BW-RGB (ブラック&ホワイト+RGB ファン+強化ガラス) | SilverStone |
電源 | 80PLUS Bronze認証 ATX電源 SST-ST40F-ESB | SilverStone |
ファン用 二股電源ケーブル | CA-084 | アイネックス |
両モデルとも、TSUKUMOが吟味したパーツを使用しているため、相性などの問題に頭を悩ますことなく、初めての人でも簡単にPCの自作にチャレンジできるという。maiさん作のインテリアPCを展示しているツクモ新宿西口店8階のフロア長を務める亀岡悦司氏は、このインテリアPCを通じて「一般の方に家具の1つとしてなじむようなパソコンをご提案したい」と話す。
自分自身も魅せるためのPCを作ったことがあるという亀岡氏だが、maiさん作のPCを見て、「『パソコンってこんなにも変わるんだな』と思った。空気の流れを塞がずに、きちんと処理されているので、パソコンとしての機能を損なわないうえ、見た目もかわいらしい」と絶賛。
インテリアPCチャレンジキットはPC自作の初心者向けながら、仕事用途からプライベート用途まで、幅広く対応できるパフォーマンスをもっていると語る(ツクモ新宿西口店 フロア長 亀岡悦司氏)
秋葉原まで足を伸ばさなくても、秋葉原なみに多数の自作PCパーツを取りそろえ、それらを秋葉原価格で提供しているという同店舗。来店客にPCの自作に関するアドバイスをしているが、今後は外観のDIYという新しい試みにも挑戦していくことになる。
「ガラス張りのケースや、LED、水冷キットを使うのもいいが、外側をデコレーションするのも1つの楽しみ方。中に小型モニタを入れたり、フィギュアを飾ったりするのも面白い。好きなパソコンを、好きな形にアレンジしていただければ」と語る同氏。今回の「インテリアPCチャレンジキット」のフォームファクターはATXのみだが、「将来的にはMini-ITXやベアボーンキットなど、小さなケースでもご提案できれば」と意気込んだ。
photo:若林直樹