週刊3Dプリンタニュース

水溶性サポート材に対応、カメラも内蔵するパーソナル3Dプリンタ「Zim」

~3Dデータの活用を推進する「3Dデータを活用する会」に行ってみた~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、デュアルヘッド搭載で水溶性サポート材も使えるパーソナル3Dプリンタ「Zim」と、一般社団法人「3Dデータを活用する会」(3D-GAN)について紹介したい。

水溶性サポート材が使えるパーソナル3Dプリンタ「Zim」カメラも内蔵、作成状況をスマホで確認

Zeeproが開発したパーソナル3Dプリンタ「Zim」。コンパクトでスタイリッシュな外観である
Zimのヘッド部分。デュアルヘッド構成になっている

 SOLID GOLDは11月22日、Zeeproが開発したデュアルヘッド搭載パーソナル3Dプリンタ「Zim」の予約販売を開始した。

 Zimは、コンパクトなFDM方式のパーソナル3Dプリンタだが、樹脂を射出するヘッドを2つ搭載していることが特徴だ。デュアルヘッド仕様なので、2色の樹脂を同時に利用した2色カラー出力が可能なほか、水溶性のPVA樹脂にも対応しており、サポート材として利用できるので、サポートが必要な形状でも、出力後容易にサポート部の除去が可能なことがウリだ。

 サポート材の除去に手間がかかることが、ヘッドを1つしか持たないパーソナル3Dプリンタの弱点なので、この価格帯でデュアルヘッド構成を実現したZimは魅力的だ。ちなみに、MakerBotのReplicator 2Xもデュアルヘッド仕様でサポート材を利用できるが、価格は30万円台である。

 zimの本体サイズは、279×330×406mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約9.1kgである。対応している素材は、PLA、ABS、PVAの3種類で、PVAは水溶性なのでサポート材として利用できる。ノズル径は0.35mmで、積層ピッチは0.08mm、最大出力サイズは149×149×149mm(幅×奥行き×高さ)である。プラットフォームはガラス製で、ヒートベッドはオプションとなっている。また、カメラを内蔵しており、スマートフォンなどから出力状況を映像で確認できるのも便利だ。インターフェースは、USB/Ethernet/WiFiの3種類に対応しておりで、、使い勝手も優れている。なお、フィラメントはカートリッジ式で、フィラメントのローディングやアンローディングも自動的に行なわれる。汎用フィラメント用カートリッジとPLA専用カートリッジ、ABS専用カートリッジが用意されており、汎用フィラメント用カートリッジに自分でフィラメントを補充することも可能だ。

 SOLID GOLDでのzimの販売価格は159,800円であるが、2013年12月31日までに予約を行なうと、特別価格129,800円で購入できるというキャンペーンが実施中だ。ただし、出荷は2014年4月下旬からと先になる。

秋葉原の高架下は3Dスポット?「3Dデータを活用する会」に行ってみた

3Dデータの活用をテーマに活動を行なう「3Dデータを活用する会」

2k540内にある3D-GAN事務所の様子。各種3Dプリンタが並んでいる。左から、Stratasysの「uPrint」、3D Systemsの「V-Flash」、ホットプロシードの「Blade-1」、MakerBotの「Replicator 2」
3Dスキャナや切削RPマシンもある。左がローランドディー. ジー.の3Dスキャナ「PICZA LPX-60」、右がローランドディー. ジー.の切削RPマシン「MODELA MDX-40A」
3D-GAN理事長の相馬達也氏。さまざまな分野で3Dデータの活用を推進してきた経験をお持ちの方で、歯に衣着せず、的確なアドバイスをしてくれる
3D-GANが開設している講座の数々。趣味の分野の講座も多い。

 3Dプリンタのショールームもある秋葉原だが、秋葉原にはもうひとつ「3D」で外せない場所がある。それが「一般社団法人 3Dデータを活用する会(3D-GAN)」。「3Dデータを活用すること」をテーマに、活動している業界団体である。

 3D-GANの前身となった非営利の任意団体「3次元形状を活用する会」は、今のように3Dプリンタという言葉が注目されるより前の2007年11月に結成され、セミナーの開催やワンダーフェスティバルなどへの出展など、さまざまな活動を行なってきた。その後、会員数も増え、2011年1月には一般社団法人 3Dデータを活用する会として設立登記が行なわれた。3D-GANは現在、秋葉原駅と御徒町駅の間の高架下にある2k540内に事務所を構えている。

 相馬氏によると、3D-GANの目的は2つあるという。「一つは3Dデータをプロユース以外のものに広げていくこと。啓蒙的な活動ですね。もう一つが、プロユースはプロユース同士で、異業種との交流を深めていく。3D業者同士の交流がないと、新しいものが生まれないでしょう」。

 3D-GAN事務所には、各社の3Dプリンタや3Dスキャナなどが置かれており、会員向けの出力サービスやアドバイスなどが受けられる。3D-GAN理事長の相馬氏は、3D-GANが事務所を構えた意義について、「3Dデータに関心を持った人が、ビジネスベースでも個人ベースでも何でもいいんですが、3Dデータについて調べようとしても、情報とか技術がニッチすぎて、調べる手立ても聞くところもないので、ここで何でも聞いて下さい」と語った。実際、ふらっと3D-GAN事務所を訪れて、3Dデータや3Dプリンタ活用についてのアドバイスを受けていく人も多いという。

 相馬氏は、昨今の3Dプリンタに関する報道について、3Dモデリングの重要性が無視されがちなことが気になるという。「3Dモデリングの重要性をもっとアピールすべきだと思います。やはり3Dプリンタを活用するには、3Dモデリングが一番重要ですので」

 3D-GANでは、さまざまなセミナーやコンテストなどを企画・運営しているほか、過去には、パーソナル3Dプリンタでの3Dプリントサービスを無償で行なっていたこともある。3Dプリンタや3Dデータの活用に興味がある人は一度訪れてみてはいかがだろうか。

(石井 英男)