週刊3Dプリンタニュース

「Shade 3D」が3Dプリンタ向けの重要機能を新搭載、作成効率が大幅向上

~新概念?「3Dプリンタ年賀状」が無償公開~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、3D CGソフト「Shade 3D」がバージョンアップし、3Dプリンタ向けの機能が大きく強化されたことと、「3Dプリンタ年賀状」用の3Dデータが無償公開された話題についてお届けする。

実は重要な「3Dプリンタ向けのエラーチェックと自動修正」CGと物理出力の違いを一瞬で修正

イーフロンティア代表取締役の安藤健一氏
イーフロンティアShade開発グループの坂口秀之氏
Shade Ver.14.1に搭載される「3Dプリントアシスタント」は、3Dプリンタで出力する際にエラーとなる箇所のチェックと修正を自動的に行なってくれる機能だ

 株式会社イーフロンティアは、12月11日、同社の3D CGソフト「Shade 3D」の新機能に関する発表会を開催した。Shade 3Dは長い歴史を持つ3D CGソフトであり、ユーザーも多い。現在販売されているバージョンはVer.14であるが、この発表会では、18日に公開されたVer.14.1で搭載される新機能の中でも目玉となる「3Dプリントアシスタント」について解説が行なわれた。

 発表会ではまず、イーフロンティア代表取締役の安藤健一氏が、「Shade 3D Ver.14.1は、3Dプリンタでの出力を、より便利により簡単にする機能が搭載されている」とその位置づけを語った。次に、Shade開発グループの坂口秀之氏が、Shade 3D Ver.14.1に搭載された3Dプリントアシスタントについて解説とデモを行なった。

 3Dプリンタ向けの出力では、3D CGソフトで作った3Dデータをそのまま出力しようとしても、データにエラーがあって正しく出力できないことも多い。これは、3D CGソフトで作れるモデルが「厚みが0」「物体同士が重なりあっている」「面が裏返し」など、現実にありえない形でも成立するためだ。例えば、ポリゴンの一部がかけている場合など、3Dプリンタでそのまま出力しようとしてもうまくいかない。しかも、エラーの種類によってはモデルのどこが問題なのかわかりにくかったり、エラー箇所が山のようにあったりして、確認や修正に時間がかかる。「その修正だけで丸々数日かかる例もある」(同社)という。

 もちろん、そうしたデータのチェックや修正を行なってくれるソフトは存在するが、業務用では100万円を超えるものが多い。フリーソフトも存在するが、別ソフトを使うことになるため、ソフト間の連携などで利便性が落ちるのは否めない。

 今回、Shade 3D Ver.14.1で新たに搭載された「3Dプリントアシスタント」は、3Dプリンタで出力する際に問題となる3Dデータのエラーを自動的に検出し、修正してくれる機能である。3Dプリントアシスタントによって、手作業で行なっていたデータ修正が不要になり、3D CGソフトで作成した3Dデータを3Dプリンタで出力する際の手間が大幅に軽減される。こうしたコンシューマ向け3D CGソフトで、3Dプリンタ向けの3Dデータ修正機能が搭載されるのは、画期的といえるだろう。Shade内で完結した機能のため、使い勝手も良さそうだ。

 Shade 3Dには、Basic、Standard、Professionalの3つのグレードが用意されているが、3Dプリントアシスタントは、すべてのグレードで利用できる。Ver 14からVer.14.1へのアップデートは無償で、すでに公開中。Basicは1万円前後で販売されており、書籍なども充実しているので、3D CGソフト入門者にもお勧めだ。

3Dプリンタで出力できないモデルの例。厚み0の物体や物体同士が重なりあう部分があっても問題はないが、3Dプリンタではそうしたデータはエラーになってしまう
3Dプリンタではエラーとなるデータの一覧。穴あきや厚みなし、重複面など、さまざまなエラーがあるが、これらの多くを3Dプリントアシスタントで解決できる
エラーのあるデータをあえてそのまま3Dプリンタで出力した例。左の例では、ビルが崩壊したり、亀裂が入ったりしている
3Dプリントアシスタント機能を実際に使っているところ
虫眼鏡アイコンをクリックすることで、自動的にエラーチェックが行なわれる
金槌アイコンをクリックすることで、自動的にエラーの修正が行なわれる

新概念?「3Dプリンタ年賀状」登場干支のオブジェなどの3Dデータが無償公開

3Dプリンタ年賀状コーナーでは、3Dプリンタで出力する年賀状データや福笑いなど、全部で18種類のSTLデータが公開されている

 ティービー株式会社は、12月11日、年賀状サイト「年賀状プリント決定版」において、「3Dプリンタ年賀状」コーナーを立ち上げた。

 3Dプリンタ年賀状コーナーには、3Dプリンタで作る年賀状や2014年の干支である馬のオブジェや福笑い、迷路などの3Dデータが無償で公開されており、自由にダウンロードすることが可能だ。

 そのまま年賀状として送ることができるようになっているものから、オブジェとして楽しむものまでさまざまな3Dデータが公開されている。サイトでは、Cubeを使って実際に3Dプリントする際の手順や、出力物に色を塗る作業についても解説されているので、3Dプリンタで年賀状やオブジェなどを作ってみたいと考えているのなら、参考になるだろう。

(石井 英男)