週刊3Dプリンタニュース
「顔専用3Dスキャナ」で自分の顔をアクセサリ化、
1,500円でも作れる「3D顔人形店」がアキバにオープン
~ローランドDGから光造形方式の3Dプリンタが登場~
(2014/9/19 12:05)
今回の週刊3Dプリンタニュースは、秋葉原にオープンした3Dフィギュアショップの話題と、ローランドDGから光造形方式の3Dプリンタが登場したというニュースをお届けしよう。
「顔専用3Dスキャナ」が常設シンプルな「マスク」なら最安1,200円程度で作成可能
8月15日、秋葉原に自分の3Dフィギュアやマスクを気軽に作れるショップ「Create Me」がオープンした。
場所は、中央通り沿いのサイゼリヤの脇の通りを進んで、最初の交差点を越えたところの右側の2Fだ。1Fは防犯グッズショップ「マックスガレージ」なので、それを目印にするとよいだろう。
Create Meでは、3Dフィギュア作成システム「The Bobble Shop」を利用した3Dフィギュア作成サービスを行っている。The Bobble Shopは、もともとフランスのDigiteyezerが開発したシステムで、日本では株式会社ムトーフィギュアワールドが代理店となり、展開を行っている。これまで、期間限定イベントとしてThe Bobble Shopを利用できるところはあったが、常設のショップは、Create Meが最初とのことだ。
The Bobble Shopは、顔専用3DスキャナとPCから構成されており、利用者はまず、顔を3Dスキャナの中に入れて、顔の3Dスキャンを行う。スキャンは5秒ほどで終了し、ディスプレイに顔が3Dデータとして表示される。あとは、画面を見ながらヘアスタイルとコスチュームを選んで着せ替えを行い、気に入ったら、注文ボタンを押すだけだ。
料金は、フィギュアの場合は3000円程度からと、かなり手頃である。コスチュームやヘアスタイルによって料金が変わるが(フィギュアの体積によって価格が決まる)、リアルタイムで料金が表示されるのも親切だ。
このサービスでは、石膏粉末タイプの3Dプリンタを使って、フィギュアを作成しているため、色は比較的綺麗に出るが、硬くて脆いので落としたりすると壊れてしまう可能性が高い。フィギュア以外に、顔の部分だけのマスクを作ることも可能だ。マスクは厚さ2,3mm程度で、裏側はくり抜かれているので、非常に軽い。マスクはフィギュアに比べて体積も小さいため、1500円程度から作成できる。
ヘアスタイルやコスチュームは数十種類用意されており、サッカー選手やウェディングドレス、マジシャンなどもあるので、コスプレ感覚で着せ替えを楽しめる。ただし、元々フランス製ということもあり、西洋テイストのコスチュームが多い。
Create Meを運営するスプリングフィールド株式会社代表取締役の春原氏に聞いたところ、今後は日本人好みのコスチュームやヘアスタイルを増やしていきたいとのことだ。また、秋葉原ならではの展開として、秋葉原で話題のアイドルやメイドの限定フィギュアを作る計画も進めているという。
注文後、フィギュアが完成するまでは数週間程度かかるようだが、この種のサービスとしてはかなり低価格なので、気軽に利用できることが魅力だ。例えば、孫のフィギュアを作って、田舎の祖父母にプレゼントするといった使い方も考えられる。興味を持った方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。
- Create Me
- http://www.create-me.club/
- 株式会社ムトーフィギュアワールド
- http://www.mutoh-figureworld.co.jp/
- The Bobble Shop
- http://www.thebobbleshop.com/
ローランドDGが光造形式3Dプリンタ「ARM-10」を発売
9月3日、ローランドDG株式会社が、光造形式3Dプリンタ「ARM-10」と3次元切削加工機「SRM-20」を発表した。これらは、デスクトップ上での新たなデジタルものづくりのあり方を提案するための新シリーズ「monoFab」の最初のラインナップとなる。ARM-10とSRM-20は試作機が展示会などで公開され、2014年秋発売とされていたが、予定通り発表された形だ。
ARM-10は、液状の光硬化樹脂に光を当てて硬化させ、積層させていく光造形式方式の3Dプリンタだが、この種の光造形式3Dプリンタの中では、コンパクトで低価格なことが魅力だ。本体サイズは430×365×450mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は17kgである。本体がコンパクトなため、最大造形サイズは130×70×70mm(幅×奥行き×高さ)とそれほど大きくはない。最小積層ピッチは0.05mmで、積層ピッチ0.15mm時の積層速度は1時間あたり10mmとなる。
光源には、紫外線発光ダイオード(UV-LED)を利用しており、XY解像度は0.2mm、Z軸分解能は0.01mmである。造形材料は、専用の紫外線硬化樹脂「imageCure」を利用する。造形物に残った不要な樹脂をアルコール洗浄するためのワークトレイや容器、ピンセットをはじめ、樹脂槽やプラットフォームの清掃に使用するヘラなども標準で付属する。
ソフトウェアとしては、独自の「monoFab Player AM」と「Roland OnSupport」が付属する。monoFab Player AMは、3Dプリンタ用CAMソフトで、ポリゴンメッシュの修正機能やメッシュの簡素化機能、自動サポート生成などの機能を備えている。Roland OnSupportは、製品の快適な運用を支援するソフトで、最新のソフトウェアやドライバーをダウンロードできる機能、携帯電話やPCにメールで作業状況を自動通知する機能、最新サポート情報の閲覧機能などを備えている。こうしたソフトウェアの完成度が高く、使いやすいことも魅力だ。
ARM-10の標準価格は73万4400円で、光造形式3Dプリンタとしてはかなり低価格である。紫外線硬化樹脂「imageCure」の価格は1本あたり1万5120円で、容量は350gだ。
光造形式3Dプリンタとしては低価格といっても、まだ個人が気軽に購入できる価格ではないが、FDM方式の3Dプリンタでの出力に比べると、精度や表面の滑らかさは遙かに上だ。アクセサリーのデザイン試作など、精度や滑らかさが重要な用途に適した製品であろう。
- ローランド ディー.ジー.
- http://www.rolanddg.co.jp/
- ARM-10とSRM-20のニュースリリース
- http://www.rolanddg.co.jp/news/2014nr0903_monoFab.html
- ARM-10
- http://www.rolanddg.co.jp/product/3d/3d/arm-10/index.html