週刊3Dプリンタニュース

まさに「3Dコピー機」?
世界初の個人向け「3D複合機」で3Dコピーしてみた

XYZのダヴィンチ1.0 AiO、3Dスキャナと3Dプリンタが一体化

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、XYZプリンティングジャパンから登場したパーソナル3Dプリンタ複合機「ダヴィンチ1.0 AiO」のニュースと速報レビューをお届けする。

 ダヴィンチ1.0 AiOのAiOは、All in Oneの略であり、その名の通り3Dスキャナと3Dプリンタを一体化したオールインワン製品だ。

3Dスキャナで3Dプリンタ利用のハードルを軽減

今回発表されたダヴィンチ1.0 AiO。世界初のパーソナル3Dプリンタ複合機である

 3Dスキャナと3Dプリンタが一体となった世界初の「パーソナル3Dプリンタ複合機」、ダヴィンチ1.0 AiOの販売が11月13日(木)から始まった。日本での発売元はXYZプリンティングジャパン株式会社だ。

 ダヴィンチ1.0 AiOは、筐体内の専用ターンテーブルに3Dスキャンしたい物体を置き、スキャンすることで、その物体の3Dデータを得られる、そして、そのまま3Dプリンタ機能で出力も可能。まさに”3D”コピー機である。価格は119,800円(税込)で、13日(木)から販売が始まっている。

 発表会では、台湾XYZprinting, Inc.会長兼XYZプリンティングジャパン株式会社代表取締役のSimon Shen氏が登壇し、プレゼンを行った。Simon Shen氏は、現在のパーソナル3Dプリンタの課題はいくつかあり、その中でも最も大きな課題が、3Dデータのモデリングのハードルが高いことだと指摘した。

 これを解決するための手段は大きく分けて二つあり、一つがインターネット上で配布されている3Dデータを利用することで、もうひとつが、今回発表されたダヴィンチ1.0 AiOに搭載されているような3Dスキャナを使うことだとした。

左がXYZプリンティングジャパン株式会社ゼネラルマネージャー吉井宏之氏、右が台湾XYZprinting, Inc.会長兼XYZプリンティングジャパン株式会社代表取締役のSimon Shen氏
ダヴィンチ1.0 AiOは、”もの”の3Dコピーができる世界初のパーソナル3Dプリンタ複合機である

ABSだけでなくPLAにも対応

筐体の基本的なデザインはダヴィンチ1.0やダヴィンチ2.0と同じだが、カバーの色が濃色のものに変更されており、遮光性が向上している

 ダヴィンチ1.0 AiOは、「ダヴィンチ1.0」、「ダヴィンチ2.0」に続く、ダヴィンチシリーズとして3つめの製品となる。

 ダヴィンチシリーズは、低価格かつ使い勝手のよいパーソナル3Dプリンタとして定評がある。今回発表されたダヴィンチ1.0 AiOは、3Dスキャナ機能を搭載した1色出力の3Dプリンタであり、筐体の基本的なデザインは、ダヴィンチ1.0やダヴィンチ2.0と同じだ。本体のサイズは468×558×510mm(幅×奥行き×高さ)で、梱包材を含む重量は27.5kgである。パーソナル3Dプリンタとしてはかなり大きい部類であり、最大造形サイズも、200×190×200mm(幅×奥行き×高さ)と大きい。

 なお、3Dスキャナを搭載していないダヴィンチ1.0の最大造形サイズは、200×200×200mm(幅×奥行き×高さ)であり、ダヴィンチ1.0 AiOのほうが奥行きが10mm小さくなっているが、これは3Dスキャン機能を搭載したためである。

 積層ピッチは0.1〜0.4mmであり、フィラメントは専用カートリッジタイプのものを利用する。ダヴィンチ1.0およびダヴィンチ2.0では、材料としてABSしか利用できなかったが、ダヴィンチ1.0 AiOでは、ABSだけでなくPLAにも対応している。PLAカートリッジも、ABSカートリッジと価格は同じ3,280円で、11月から順次発売予定である。3Dプリンタとしての機能は、PLAに対応したことを除けば、ダヴィンチ1.0とほぼ同等だといってよいだろう。

3Dスキャンは5分弱で可能

底面にある黒い円盤がターンテーブルである。左右にスキャンエンジンが搭載されている
スキャンエンジンは、200万画素カメラとレーザーダイオードモジュールから構成されている

 3Dスキャナの仕様は、スキャンサイズが直径15cm、高さ15cm以内、スキャン精度は0.2mmとなっている。200万画素カメラ+レーザーダイオードモジュールから構成される「スキャンエンジン」を筐体左右に1個ずつ搭載したデュアルスキャンエンジンを採用しており、スキャン速度は約288秒と、比較的高速。

 また、ターンテーブルの最大許容重量は3kgとなっている。なお、3Dスキャンを行なう場合、外光が入ると精度が落ちるため、カバーの色が濃色のものに変更されており、遮光性が向上している。

3Dスキャナの較正用のオブジェクトが付属する
較正用オブジェクトの反対側は市松模様になっている
較正はメニューから選んで、較正用オブジェクトをターンテーブルに置くだけで完了する
3Dスキャンは専用ソフト「XYZscan」を利用して行なう。3Dスキャン中にはこのような画面が表示される
3Dスキャンが完了したところ

 3Dスキャンは専用ソフト「XYZscan」を利用して行なう。

 XYZscanの使い方は簡単で、スキャンを選択し、3Dスキャンを行ないたい物体をターンテーブルに置くだけで、3Dスキャンが行なえる。スキャン後、3Dデータが画面に表示され、STL形式または独自のdas形式で保存することが可能だ。また、なめらか機能を利用すれば、3Dモデルの表面をなめらかにすることができる。3Dコピーを行なう場合は、スキャン後、印刷をクリックすれば、自動的にダヴィンチ専用制御ソフト「XYZware」が起動し、今スキャンしたSTLデータが読み込まれ、出力準備が完了する。

なめらか機能で、パラメーターを2に設定したところ。表面がなめらかになるが、数値を大きくしすぎると、ディテールが失われる
印刷を選ぶと、自動的にXYZwfareが起動してSTLデータが読み込まれ、出力準備が完了する

実際に「3Dコピー」してみた

ベートーベンの石膏製胸像を3Dスキャンしているところ

 実際にベートーベンの石膏製胸像をダヴィンチ1.0 AiOを利用して、3Dコピーを行なってみた。

 結果は下の写真に示したとおりで、髪の毛のてっぺん部分が平らになってしまったが、それ以外の部分はほぼ問題なく3Dコピーできている。なめらか機能を利用したため、細かなディテールは多少失われているが、数万から十数万円程度のパーソナル3Dスキャナとしては悪くない結果だ。

【「3Dコピー機」で胸像を3Dスキャン中】
ベートーベンの石膏製胸像を3Dスキャンしている動画。ターンテーブルがゆっくりと回転しながら、3Dスキャンを行なう
左が元の石膏像。右がダヴィンチ1.0 AiOで3Dスキャン後、ダヴィンチ1.0 AiOで出力したもの
同じく、左が元の石膏像で、右がダヴィンチ1.0 AiOで3Dスキャン後、ダヴィンチ1.0 AiOで出力したもの
発表会で展示されていたダヴィンチ1.0 AiOによる3Dコピーのサンプル。左が元の物体で、右が3Dコピーしたもの

 3Dスキャナは決して万能ではなく、外から見えない内部の構造の再現はできないし、物体の色や材質によってもうまくスキャンできないこともあるので、過度の期待は禁物である。

 しかし、すでにある物体の複製をしたい場合は、3Dスキャナを使うことで、3Dデータ作りの手間を大きく削減できる。パーソナル3Dプリンタとパーソナル3Dスキャナを別々に購入することを考えれば、コストパフォーマンス的にもダヴィンチ1.0 AiOが有利だ。また、ダヴィンチシリーズで初めてPLAに対応したことも魅力であり、ABSでの出力時の臭いが気になるという人にもお勧めだ。

(石井 英男)