週刊3Dプリンタニュース

なぜ、今3Dプリンタに注目が集まっているのか?

~親子で3Dプリンタ、夏休み教室情報 ほか~

MakerbotのReplicator 2X。パーソナル3Dプリンタとして現在もっとも知られているモデルだろう。

 昨年あたりから、3Dプリンタに関する話題をテレビや雑誌などで見聞きすることが急に増えてきた。

 秋葉原でも、BRULEオリオスペックなど、3Dプリンタを扱うショップが登場、話題を集めている。

 そこで今週から、「週刊3Dプリンタニュース」をお届けしたい。週刊3Dプリンタニュースは、基本的に毎週1回更新で、3Dプリンタ関連の話題をご紹介する。

 今週はプレオープンの第1回目。次回はお盆休みを挟んだ21日(水)にお届けする予定だ。

なぜ、今3Dプリンタに注目が集まっているのか

RepRapプロジェクトの派生品の一つ、ホットプロシードの「Blade-1」。国産第一号のパーソナル3Dプリンタであり、手厚いサポートが魅力。価格は136,500円で、最大造形サイズは100×100×100mm(同)、積層ピッチは0.2~0.4mmである
石膏粉末を固める方式の3Dプリンタ
光造形方式の3Dプリンタ

 今回は第1回なので、3Dプリンタとは何か、なぜ今3Dプリンタに注目が集まっているのか解説しよう。

 3Dプリンタとは、その名の通り、通常のプリンタが紙に画像や文字を印刷するように、3Dの物体を造形する装置である。3Dプリンタは、決して新しい機器というわけではなく、製造業においては20年近く前から、RP(ラピッドプロトタイピング)造形と呼ばれる手法が使われており、そのRP造形機でできることは、基本的に3Dプリンタと変わらない。

 それにも関わらず、最近注目が集まっている理由は、3Dプリンタの基本技術の一つである、熱溶解積層方式(FDM)の特許が2007年に切れたため、FDM方式の安価な3Dプリンタ(ここではパーソナル3Dプリンタと呼ぶ)の製造が可能になったためだ。その代表が「RepRap」と呼ばれる、オープンソースの3Dプリンタ開発プロジェクトであり、そこから数百ドル~数千ドルで購入できるさまざまなパーソナル3Dプリンタが誕生した。

 通常のプリンタにも、インクジェットやレーザー、昇華型など、種々の方式があるように、一口に3Dプリンタといってもさまざまな方式がある。

 パーソナル3Dプリンタのほとんどが、フィラメントと呼ばれる糸状の樹脂を熱で溶かして積層させるFDM方式を採用しているが、その他にも、樹脂や金属の粉末にレーザーを照射して焼結させる粉末焼結方式(SLS)、紫外線硬化樹脂にレーザーを照射して硬化させる光造形方式(SLA)、石膏粉末を結合剤で固めていく方式などがある。

 SLS方式は、現時点では特許の関係もあり、高価な業務用機でしか採用されていないが、2014年にその特許が切れるので、2015年や2016年には、SLS方式のパーソナル3Dプリンタが登場する可能性がある。3Dプリンタは、造形方式によって一長一短があるため、用途に応じて使い分けることが望ましい。もちろん、3Dプリンタがあっても、その元となる3Dデータがなくては意味がない。

 パソコンも「ソフトがなければタダの箱」と言われるが、3Dプリンタにとっての3Dデータも同じ関係にある。3Dデータを作るには、3D CADソフトや3D CGソフトを使ってモデリングを行うのが王道であるが、物体をスキャンして3Dデータを作成する3Dスキャナや、複数の写真から3Dデータを作成するソフトなどもある。こうした3Dデータ関連の話題についても取り上げていきたい。

3Dプリンタは池袋が熱い!?「ヤマダ電機」vs「ビックカメラ」の戦い

LABI1日本総本店池袋3Fの3Dプリンタ専門スペース。奥も3Dプリンタ専門スペースになっていて、場所も3Fのエスカレーター出口そばと一等地を確保
Cubeだけでなく上位機種のCubeXも展示。こちらの発売開始は9月1日予定だ
Cube用のマテリアルカートリッジも各色揃っており、造形中に材料がなくなってもすぐ買えるのは嬉しい

 3Dプリンタが話題になっているとはいえ、店頭で展示や販売を行っているところはまだ少ない。しかし、大手家電量販店のヤマダ電機が8月上旬から、米3D Sysytems社のパーソナル3Dプリンタ「Cube」と「CubeX」、法人向け3Dプリンタ「ProJetシリーズ」の取り扱い開始を発表。8月2日に、旗艦店である「LABI1日本総本店池袋」の3Fにおいて、日本の量販店としてはおそらく初めてとなる、3Dプリンタ専門スペースを開設し、CubeやCubeX、およびマテリアルカートリッジなどの展示販売を開始した。

 実際に見てきたが、3Dプリンタ専門スペースはかなり広く、実機による動作デモも行われており、ヤマダ電機の3Dプリンタへの注力具合がよくわかった。

ビックカメラ池袋本店パソコン館で行われていたCellP 3Dプリンタの実演デモ。イベント当日限定で10台限り99,800円での販売も行われていた
CellP 3Dプリンタは、筐体がMDF製で、箱型のデザインとなっている

 また、奇しくも同じ8月2日には、すぐ隣にある「ビックカメラ池袋本店パソコン館」においても、Robotma.comが販売しているRepRapベースの3Dプリンタキット「CellP 3Dプリンタ」の展示とデモが行われており、こちらも3Dプリンタが実際に動作する様子に興味を抱いた方が多かった。

 ビックカメラでも、店頭や直販サイトなどで、すでにCellP 3Dプリンタの販売を開始しており、常時デモを行うわけではないが、実機の展示は今後も続けたいとのことだ。

~3Dプリンタイベント紹介~「夏休みに3Dプリンターでつくろう!親子でパソコン工作教室!!」

 8月17日と18日に東京都千代田区で、3D-GAN・東京03共催による3Dプリンタを使った親子工作教室が開催される。

 この教室では、話題の3Dプリンタを実際に使い、3Dモデリングから出力までを体験できる。まだ受付中なので、お子さんの夏休みの自由研究にいかがだろうか。

(石井 英男)