忍者増田のレトロゲーム忍法帖

パックマンがちっちゃいファミコン版『パックランド』
忍者だけど丸太渡りは苦労するでござる

~『パックランド』編 弐ノ巻~

忍者増田氏と『パックランド』が収録されたPlayStation版『ナムコミュージアム Vol.4』。
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 『パックランド』の“独自の操作感”に病みつきになった増田氏。

 今回はファミコン~アーケード~X68000版の思い出とともに、改めてファミコン版をプレイします。



ファミコン、アーケード、X68000、それぞれの『パックランド』

1985年11月に発売されたファミコン版『パックランド』。同作はWii Uのバーチャルコンソールでも配信されている。

 実は、拙者が初めてプレイした『パックランド』はアーケード版ではありません。高校生のとき、ファミコン版(1985年発売)をイトコの家でプレイしたのが最初でござった。

 ファミコン版はアーケード版と比べてキャラクターが小さく、まるで別ゲームのような印象があり、『パックランド』ファンから軒並み厳しい評価を受けていました。だけど、これが最初の出会いだった拙者は違和感なく入っていけたし、わりと楽しくプレイしていた記憶があります。

ファミコン版とPlayStation版(アーケード版ベース)の比較
左がファミコン版、右がPlayStation版。このグラフィックの影響もあってファンから厳しい評価を受けていたことも。でも、ファミコン版の動きはスムーズでゲーム性はバッチリだった。

 そして、次にプレイしたのが本家アーケード版。これはハマったでござるよ。ファミコンのコントローラでは味わえない“独自の操作感”に病みつきになり、かなり長期間遊んでました。友達が、『ドラゴンバスター』や『イー・アル・カンフー』、『魔界村』など、新しいゲームに移っていっても、拙者はゲームセンターの隅っこに追いやられた『パックランド』を黙々とプレイしていたものです。端っこだとギャラリーも来ないから、覗かれてヘタなプレイを笑われたりしないのも、シャイな拙者にとっては好都合でござったよ。

アーケード版『パックランド』の操作パネルのイメージ。ファミコンのコントローラでは味わえない“独自の操作感”に病みつきに。

 最後にプレイした『パックランド』が、X68000版(1994年発売)。もうアーケード版から10年が経ち、懐ゲーとしての発売なのですが、X68000版のすごいところは、アーケード版に忠実な内容もさることながら、わざわざ“専用3ボタンパッド”付きで出したところなのです!

 そう、『パックランド』の“独自の操作感”が、アーケード版以外で唯一味わえるのがX68000版なのでござる。発売元の電波新聞社さん、わかってる感満載です。しかもこのとき、X68000の人気はすでに下降線をたどっていたように思うんだけど、そんな時期にわざわざパッド付きで出してくれた電波新聞社さんの情熱には、今でも頭が下がる思いです。

X68000版パックランドのパッケージ。
専用3ボタンパッド付きで発売された。

 ただ、当時の拙者はすでにログイン編集部で働く社会人で、あとから上京してきた妹と一緒に住んでいました。X68000版『パックランド』を、ボタンをバタバタ叩いてプレイしていると、隣りの部屋の妹が「お兄ちゃんうるさいー」となるので、妹がいない時間帯にしかプレイできなかったのでありました。ニンともカンとも。

まずはファミコン版をプレイ、丸太渡りが難しい

 今回は3本の『パックランド』をプレイさせてもらいました。ファミコン版と、拙者がプレイしていないPCエンジン版(1989年発売)と、PlayStationの『ナムコミュージアム Vol.4』収録版(1996年発売/アーケード版がベース)。当連載を読んで、「PCエンジン版に触れないでどうする!?」と思っていた御仁、お待たせしました。次回、プレイしなかった理由も含めてお話しますね。もしかしたら「PC-8001mkIISR版もやれよ!」という御仁もいるかもですが、ごめんなさい、そこまでは環境が整いませんでした。X68000版もです。

ファミコン版をプレイ。
ファミコンのコントローラ。ABボタンで走り、十字ボタンでジャンプする。

 さて、最初にプレイしたのはファミコン版。やっぱりアーケード版と比べてキャラクターが異様に小さいのが目につくでござるな。

 コントローラのABボタンで走り、十字ボタンでジャンプするという操作は、感覚を取り戻すまで時間がかかりました。おかけで、最初は3回もラウンド2でゲームオーバーになってしまう有様です。

 今プレイすると、いろんなことを忘れていて逆に新鮮ですね。3つのラウンドを通ってフェアリーランドに到達し、帰りの1ラウンドで自宅に戻る……。そんな展開を繰り返して進んでいくことすら忘れていました。そういえば帰りは魔法の靴をもらって空中ジャンプができるから楽だったんだぁとか。

ファミコン版のタイトル画面。
行きの3ラウンドは画面の右方向に進んでいく。
帰りの1ラウンドは、画面の左側方向に進んでいく。

 『パックランド』の世界は『通りゃんせ』の歌詞と逆で、「行きはこわい、帰りはよいよい」なのでありました。

 回転して落ちていく丸太の上でジャンプするのがアーケード版と違ってヤケに難しく、よくミスしていたことも懐かしく思い出したでござるよ。

障害物を押すと空から落ちてくる花は、取ると得点が入る。ファミコン版のみの要素。
ファミコン版は、回転して落ちる丸太の上でジャンプするタイミングがとても難しい。

 ABボタンで走るファミコン版の『パックランド』の操作や丸太のギミックに四苦八苦するも、少年時代を思い出しながら笑顔でプレイの増田氏。コントローラでの操作にも慣れてきたところで、次回は初体験のPCエンジン版、そしてアーケードベースのPlayStation版に挑戦。その腕前はいかに。

 ※次回掲載は2017年1月10日(火)を予定しています。

 ※本日21:00から忍者増田氏出演の生放送「忍者増田のレトロゲーム忍法帳:生動画絵巻」を放送予定。ゲストとして元ログイン編集長の高橋ピョン太氏が出演します!生放送は終了しました。

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『パックランド』は今このプラットフォームで遊べる

『パックランド』を今遊ぶには(参考価格/価格は税込表記)
ファミコンカセット(中古品/付属品無し)450円前後~
PCエンジン HuCARD(中古品)2,800円前後
PlayStation版ナムコミュージアム Vol.4(中古品)1,400円前後~
PlayStation Store ゲームアーカイブス版 ナムコミュージアム VOL.4823円
アーケード基板(中古品)4万円前後
Wii U バーチャルコンソール(ファミコン版)514円
※2016年12月調べ
※Wii U 本体:32,400円

注釈

  1. ドラゴンバスター
    バンダイナムコエンターテインメントのアーケードゲーム。1985年作。人質になった女王セリアを助けるため、ドラゴン退治に出るストーリー。サイドビュータイプで、冒険を進め主人公が成長していくRPG要素もあった名作アクションゲーム。ファミコン版はピカピカの金色カセットでした。
  2. イー・アル・カンフー
    1985年にコナミが発表したアーケードゲーム。分類としては固定画面アクションゲームになるが、カンフーを題材にした格闘ゲームのパイオニアといってもいい存在。同名のファミコン版も大人気でした。空を飛べ、空を飛べ!(Byヒャダイン)
  3. 魔界村
    1985年アーケードに登場し、人気を博したカプコンの高難易度なスクロールタイプのアクションゲーム。のちにファミコン、パソコン、PlayStation、セガサターンなどにも移植された。ボスの一角獣よりもレッドアリーマーが最初の壁でしたよね。
  4. ゲームセンターの隅っこ
    ゲームセンターの隅っこには、根強い人気があるちょっと古めの名作ゲームが置かれることが多い。目立つ場所に置かれる最新ゲームとは違い、ギャラリーもほとんどいないので恥ずかしがり屋も安心してプレイできる。
  5. ログイン
    月刊アスキーの季刊別冊として「別冊ログイン」として誕生。その後に月刊化した「月刊ログイン」を経て1988年に月2回刊「ログイン」に。立ち位置としてはパソコンゲーム雑誌だが、それ以外にもバラエティに富んだ記事が掲載されていた。
  6. PCエンジン(PC Engine)
    1987年10月に日本電気ホームエレクトロニクス(NECホームエレクトロニクス)から発売された家庭用ゲーム機。当時のメーカー希望小売価格は24,800円。多人数プレイが可能になったマルチタップやゲーム機でのCD-ROM採用など革新的な1台。『ボンバーマン』や『桃鉄』などでワイワイ楽しんだ人も多いはず。
  7. PC-8001mkIISR版
    『パックランド』の移植第一弾はファミコン版ではなく、PC-8001mkIISR版だったりします。動きは滑らかとは言い難いが、グラフィックはアーケードのそれに近く、FM音源でのBGMも再現度はかなりのものでした。
  8. 魔法の靴
    迷子の妖精をフェアリーの国に送り届けると女王から授けられる帰路限定のアイテム。この靴を履くと空中でもジャンプすることが可能に。タイムアウトに注意。

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

増田厚(ペンネーム:忍者増田)

 茨城県生まれ。漫画『ゲームセンターあらし』や『マイコン電児ラン』の影響を受け、中学2年生のときにパソコンをいじり始める。東京の大学入学と同時に、パソコンゲーム誌『ログイン』にバイトとして採用され、6年間在籍。忍者装束を着て誌面に出る編集者として認知度が高まる。その後、家庭用ゲーム雑誌『週刊ファミ通』に3年在籍したあと、フリーライターとなる。現在はおもに、雑誌やWeb、攻略本などでゲームのレビュー記事や攻略記事を執筆しつつ、ゲーム以外のライティングも。得意なゲームは、『ポケモン』、『ウィザードリィ』、『サカつく』など。