忍者増田のレトロゲーム忍法帖

オリジナル要素満載のPCエンジン版『パックランド』
忍者増田が当時遊ばなかった理由が明らかに

~『パックランド』編 参ノ巻~

忍者増田氏と『パックランド』が収録されたPlayStation版『ナムコミュージアム Vol.4』。
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 ファミコン版のプレイで、コントローラでの操作にも慣れてきた増田氏。

 今回は初体験のPCエンジン版、そしてアーケードベースのPlayStation版に挑戦します。

 そして発売された当時にPCエンジン版『パックランド』をなぜプレイしていなかったのか、その理由が明らかに!



オリジナル要素も満載でデキのいいPCエンジン版忍者増田はなぜPCエンジン版をプレイしなかったのか?

PCエンジン版の『パックランド』。
PCエンジン版のタイトル画面。アーケード版より美しいと言ってもいいかも。

 前回のファミコン版に続き、プレイしたのはPCエンジン版。

 まずキャラクターの大きさに「そーそー、このデカさだよ」と頷く。見た目やプレイ感はほぼ、まんまアーケード版ですね。

 ラウンド1で、飛行機に乗る敵の他に、車に乗る敵がいたということに気づきました。ファミコン版では飛行機に乗る敵しかいなかったけど、本来ラウンド1ではこの2種類の敵がいたことを思い出したでござる。

ファミコン版と違い、キャラクターが大きい。
飛行機に乗った敵モンスター。
車に乗った敵モンスター。
PCエンジン版でフェアリーランドに到達し、フェアリーの姫から魔法の靴をもらう演出。姫の両手を動かす様がヒゲダンスのようだと増田氏。
そして真似をしてみる。

 アーケード版から5年経っての発売とはいえ、PCエンジン版の内容が、アーケード版に全く負けていないことに驚かされました。ファミコン版にはなかった、フェアリーのお姫様から魔法の靴をもらう演出や、自宅でパックマンの家族がお迎えをする演出もあります。

 おまけに、ラウンドクリアーの合い間にコーヒーブレイク的グラフィックが見られたり、あげくの果てに、エンディングを迎えても「うら面」まで用意されていたりなど、PCエンジン版のみのオリジナル要素も満載。これって、ある意味アーケード版を超えていると言ってもいいのでは?

PCエンジン版だけで見られる、コーヒーブレイク的グラフィック。
PCエンジン版のエンディング。パックマン一家、モンスター、フェアリー、みんなで手を振ります。
エンディングを迎えると現れる「うら面」。
その他、多数のオリジナル要素が追加
PCエンジン版オリジナルの隠しフィーチャー、『ディグダグ』のプーカ登場。
PCエンジン版では、障害物を押すとパックマンが逆さになることも。
当時、HuCARDの小ささを疑っていた……。

 こんな素晴らしいPCエンジン版『パックランド』を、当時なぜ拙者はプレイしていなかったのか? というか、なぜ拙者はPCエンジンを購入していなかったのか?

 理由は簡単です。当時の拙者は、ファミコンのカートリッジに比べて、あのHuCARDの小ささがなんか信用できなかったのです。

 ただ小さいからという理由でHuCARDを疑うなんて、今思い返せばなんて短絡的でアホな思考でござろうか。まるで『舌切り雀』で大きなつづらを選んで失敗するお婆さんのようです。当時の自分を恥じ、こんな素敵なゲームをプレイしていなかったことを悔いる気持ちでいっぱいでござるよ。

PlayStationソフト『ナムコミュージアム Vol.4』収録のアーケード版は安定の出来、でも『パックランド』の醍醐味を完璧に味わうならば……

PlayStationソフト『ナムコミュージアム Vol.4』に収録されている『パックランド』のタイトル画面。
パックランドの全体図イメージ。これは『ナムコミュージアム Vol.4』版の『パックランド』起動時の読み込み画面で出てくる。この絵はアーケードにあったチラシと同じもの。

 最後にプレイしたのが、PlayStation用ソフト『ナムコミュージアム Vol.4』に収録されている『パックランド』。パックマンの鼻が短いこと以外は、ほぼアーケード版と同じ内容と言っていいでござろう(あとから鼻を伸ばせる方法もあることを知りました)。

 もうデキのいいPCエンジン版を散々触ったあとだったので、正直すごい衝撃は感じなくなってしまっていましたが、「うんうん、拙者が慣れ親しんだアーケード版はこれだよな」という安定の内容です。

 拙者にとって一番プレイしやすかったし、3機種の中で一番高いスコアを叩き出しました。オプションで難度とか残機数とかいじったんだけどな。

PlayStation版(写真左)とPCエンジン版(写真右)の「パックマン」を比較してみると、前者は鼻が短いのがわかる。
暗闇のラウンドでは、一部分を照らせるライトを頼りに進んでいく。
ちょっとした迷路のようなラウンドも。鍵を使いながら進んでいく。
隠しフィーチャー、スペシャル・パックマン出現。取るとパックマンが1人増える。
『ナムコミュージアム Vol.4』版で、フェアリーの姫から魔法の靴をもらう。姫の左手だけを動かす様がバスケで球をつくようだと増田氏。

 PCエンジン版と、『ナムコミュージアム Vol.4』収録版を遊んで思ったのが、『パックランド』は今でも古さを感じさせないゲームだということ。ただ、みんなそれぞれの機種のコントローラでのプレイとなるので、あの本来の“独自の操作感”を100パーセント味わうには、結局アーケードの筐体で遊ぶしかないんだなということも同時に感じました。

 X68000版『パックランド』を“専用3ボタンパッド”付きでプレイできれば、それがアーケード版に一番近いということになります。X68000版を所持していて、動かせる環境にある御仁は、ぜひとも大事にしてくだされ。


 『パックランド』のプレイを終えて、今でも古さを感じさせないゲーム性を確認した増田氏。PlayStation版では、はまっていた当時の感覚を取り戻したのか、あっさりと高得点をゲットしてみせてくれました。さて、次回から2週に渡ってゲスト(元ログイン編集長の高橋ピョン太氏)を招き、『パックランド』対談をお送りします。お楽しみに!!

 ※次回掲載は1月17日(火)を予定しています。


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『パックランド』は今このプラットフォームで遊べる

『パックランド』を今遊ぶには(参考価格/価格は税込表記)
ファミコンカセット(中古品/付属品無し)450円前後~
PCエンジン HuCARD(中古品)2,800円前後
PlayStation版ナムコミュージアム Vol.4(中古品)1,400円前後~
PlayStation Store ゲームアーカイブス版 ナムコミュージアム VOL.4823円
アーケード基板(中古品)4万円前後
Wii U バーチャルコンソール(ファミコン版)514円
※2016年12月調べ
※Wii U 本体:32,400円

注釈

  1. コーヒーブレイク的
    『パックマン』である特定の面クリア時に挿入されていた15秒程度のデモアニメーションを「コーヒーブレイク」と呼んでいた。『パックランド』のPCエンジン版では8ラウンド(2トリップ)クリアごとに挿入されるグラフィックが『パックマン』のそれっぽい感じになっている。
  2. トリップ(trip)
    ラウンド1~4をワンセットとして1トリップ。つまり、妖精をフェアリーの国に届けて、家路につくまでが1回の旅ということ。「家に帰るまでが遠足」ですもんね。
  3. HuCARD(ヒューカード)
    三菱樹脂とハドソンが共同開発したICカード型のPCエンジン用ROMカートリッジである(引用:Wikipedia)。確かにファミコンのカートリッジより薄いし小さいですよね。
  4. ディグダグ
    戦略的穴掘りゲーム。様々なテクニックを駆使して敵をすべて倒すか、敵が撤退(残り1匹になると逃げ出す)すると面クリアとなる。4色の地層が印象的なゲーム画面でした。本連載の『ディグダグ』編はこちら
  5. オプション
    PlayStation版の『パックランド』はアーケード版がベースなので、オプションという名のディップスイッチ設定(難易度や自機1UPの点数設定、スタート時の残機数など)にプラスして、ラウンドセレクトやテストモード(サウンドテストなど)が盛り込まれている。
  6. アーケードの筐体
    アーケードゲーム用の筐体。『パックランド』の筐体はレバーがなく、ボタンが3つ。シンプルなんですが、当時でも今でも横スクロールタイプのゲームでレバーがないのは珍しい。それが“独自の操作感”につながっているわけですね。
  7. 動かせる環境
    レトロゲームやレトロPCを、当時の実機で稼働できる状態のこと。ゲーム基板なども含め、その存在自体が少なくなっている昨今、動かせる環境を用意するのが大変だったりします。いや、本当に大変なんです(汗)。
  8. 鼻が短い
    「パックマン」の鼻の長さが修正されたのは、なんとなく卑わいに見えたからという噂も。PlayStation版のオプションでディップスイッチをいじると、鼻の長いバージョンで遊べます。

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

増田厚(ペンネーム:忍者増田)

 茨城県生まれ。漫画『ゲームセンターあらし』や『マイコン電児ラン』の影響を受け、中学2年生のときにパソコンをいじり始める。東京の大学入学と同時に、パソコンゲーム誌『ログイン』にバイトとして採用され、6年間在籍。忍者装束を着て誌面に出る編集者として認知度が高まる。その後、家庭用ゲーム雑誌『週刊ファミ通』に3年在籍したあと、フリーライターとなる。現在はおもに、雑誌やWeb、攻略本などでゲームのレビュー記事や攻略記事を執筆しつつ、ゲーム以外のライティングも。得意なゲームは、『ポケモン』、『ウィザードリィ』、『サカつく』など。