ノートPC延命計画!

もう3年戦うPC強化法、5年前のThinkpadをリフレッシュ

SSD換装にメモリ増強、OS入替えで「別PC並み」の速さに text by 石川ひさよし

 ノートPCのHDDをSSDに換装して延命しようという企画の第3弾。今回はビジネス向けノートPCとして高い知名度を誇るThinkPadがターゲットだ。

 これまで、(当時としては)ハイエンドのVAIO、そして省エネに特化したビジネス用DynabookをSSD化する手順を、写真とともに紹介してきた。ThinkPadも同様にアップグレード手順を紹介する。

 ThinkPadと言えば、昔から「メンテナンス性」重視のノートPCとして知られている。製品サイトには「保守マニュアル」が用意されており、どのネジ、どのカバーを外せば目的の部品に辿り着けるのか、詳細に記されている。

 もちろん、こうした部分はPC上級者向けのもので、今回のようなSSDへの換装手順という点では、マニュアルが必要というほどではないが、SSD化以外にも、PCを長く使用していく上ではこうしたマニュアルが活躍する時もある。

【今回の流れ】
HDDの取り外し→HDDをSSDに換装+メモリ増設→Windows 8.1をセットアップして完成だ


今回の延命ターゲットはビジネス向けスタンダードノート「ThinkPad L512」

2010年頃にリリースされた「ThinkPadL512」。今回もドスパラ中古通販サイトにご協力いただき用意した。CPU等のグレードは下がるが、同筐体のモデルは(税別)23,000〜25,000円前後で購入できる。
搭載CPUはCore i5-560M。

 今回、SSD化を行うThinkPadは「L512」だ。Lシリーズは、スタンダードモデルといった位置づけだが、バリバリのビジネスマン向けノートという印象が強い。

 15.6型液晶ディスプレイを搭載する据置ノートで、ラインナップにはWiMAXモジュールを搭載してモバイルネットワークも利用できるモデルも存在する。今回のモデルの型番は「2597-A96」。

 発売時期はおよそ2010年頃。これまでこの企画で用いてきたノートPCのなかでは最も古い。

 ただし、CPUは比較的高スペックなCore i5-560Mを搭載。「Arrandale」世代の2コア、Hyper-Threadingによって4スレッドの同時実行が可能なCPUだ。動作クロックは2.66GHzで、Turbo Boostによって最大3.2GHzまでクロックを高めることができる。こうしてスペックを起こしていくと、案外、現在のCPUと同様の機能を搭載していたりする。

L512は、15.6型液晶を搭載した幅も広いデスクトップ代替ノート。
搭載HDDはWesternDigitalの「WD2500BEVT」。回転数は5,200rpm、容量は250GB。3Gbps SATA対応。

 搭載されていたHDDは、WesternDigital製の「WD2500BEVT」で、容量は250GB。製品発売当時としてはこのくらいの容量が標準的だったのだ。250GBクラスから500GBクラスへとメインストリーム容量が移行しつつある現在のSSDからすれば、十分にカバーできる。

搭載されていたメモリはエルピーダ純正品。
メモリの動作モードはPC3-8500。

 そのほかの仕様は、メモリがPC3-8500(DDR3-1066)SODIMMの2GB×2(計4GB)。搭載されていたのはエルピーダの純正モジュールで、表記ではPC3-10600(DDR3-1333)。DDR3メモリには、その速度によってPC3-8500/10600といった具合で規格化されているが、PC3-10600はPC3-8500の上位互換と考えてよい。


SSD換装に合わせ、メモリやOSも「今風」に

今回のSSDはCrucialのハイエンドモデル「MX200」、インターフェースにボトルネックはあれど最大のパフォーマンスと、耐久性や保証期間の長さなどの安心感も重視してみた。
2.5型7mm厚の6Gbps SATA対応SSD。同社の「BX100」の上位モデルにあたる。

 では搭載するSSDの検討を始めよう。

 ThinkPad L512は、2010年頃の製品であるため、チップセットはIntel H55Mを採用している。最大転送速度は3Gbps SATAまで。つまり、現在の6Gbps SATAのSSDに換装しても性能をフルに発揮することはできない。

 ただし、ThinkPad L512は古いとはいえ、CPUも当時としては「中の上」といったハイスペック寄りの仕様。可能な限りパフォーマンスを求める方向で検討したい。こうしたことから、SSDはCrucialの上位モデル「MX200」シリーズを選択した。

 SSDのハイエンドモデルは、メインストリームモデルと比べ、4Kリード・ライトの性能が高く、耐久性・製品保証といった点で優れている。ThinkPad L512を現役続行させようと考えているならば、パフォーマンスとともに耐久性、保証といった点がMX200を選択する大きなポイントとなる。

 容量だが、こちらは1TBモデルを選択した。MX200シリーズでは、どの容量でも速度はリード555MB/s、ライト500MB/sで統一され差はない。ただし、データの総書き込み容量は、250GBモデルは80TB、500GBモデルは160TB、1TBモデルは320TBと、容量が大きいほど耐久性の面では優れるので、寿命を気にするならポイントになる。

※ データの総書き込み容量の記述に一部、誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

換装用メモリにはCrucial「CT2KIT51264BF160B」を用意。4GB×2枚セット。
製品としてはPC3-12800対応と高速で、駆動電圧も1.35Vと低く省エネ。
OSはWindows 8.1 Pro Update 64bit版のDSPパッケージ品を用意した。

 また、SSDだけでなく、今回はメモリの増設や、OSの入れ替えにも挑戦する。

 今となっては64bit OSがスタンダードだが、ThinkPad L512発売時は64bit OSへの移行期だったこともあり、多くのビジネスモデルがWindows XPとの互換性を考慮してWindows 7の32bit版を搭載していた。

 32bit OSにはメモリ容量が最大4GBという壁が存在し、32bit版Windows 7を搭載していた本製品も最大容量は4GBに抑えられている。SSDへの換装と同時に、メモリとOSも現在のトレンドまで引き上げれば、多少古い本製品でも、今後数年を生き抜くパフォーマンスを備えることができるのではないかというが今回の見積もりだ。

 ThinkPad L512の最大メモリ搭載量は8GBとされている。メモリスロットが2本なので、4GB×2枚を搭載可能。アップグレードに用意したメモリは、Crucialの8GB(4GB×2本) PC3-12800メモリキット「CT2KIT51264BF160B」。

 ThinkPad L512自体はPC3-8500までの対応だが、PC3-12800でもメモリのSPDにPC3-8500の設定が入っていれば本体側の対応速度に合わせ問題なく動作する。

 なお、OSは64bitのDSP版Windows 8.1 Pro Update(以下Windows 8.1 Pro)を用意した。現在のDSP版は、ひと昔前のようにハードウェアとセットというわけではなくなったので、ノートPCなどにも導入しやすい。ただし、企業ユーザーの場合、DSP版は1企業5ライセンスまで(プリインストールモデルは除く)となっているので、ライセンス数は気をつけよう。


ベイを1つあけるだけ、HDD/メモリをアップグレード

 それでは換装作業に移ろう。ThinkPad L512の場合は、底面に大きなカバーがあり、ここがメモリスロットとHDDベイ兼用のスペースとなっている。

 カバーのネジは6つで、緩ませてもネジが抜けない構造であるところはありがたい。ただし、カバーのツメはかなりキッチリと嵌めこまれていて、力加減が必要だ。ThinkPad L512もまた、カバー用のネジのうち1本が、HDDベイの固定用に用いられていた。

ThinkPad L512の底面にはいくつかのカバーが見られるが、今回の作業では右側の大きなカバーを開く。HDDベイ、メモリスロットのほか、CPUスロットや冷却機構も一気に管理できるベイとなっている。
これまでのノートPCと同様、トレイ式で固定する。
SSD換装時も、スペーサーなどはとくに必要なく、ネジ止めだけでOKだ。
取り付けは非常に簡単だ。

 カバーをあけるとHDD用のトレイが現れるわけだが、HDDの側面は4つのネジで固定されていた。これをSSDに交換すればよいだけで、とくに7→9.5mm厚の変換スペーサーは不要。

 ほか、このベイではCPUやクーラーにもアクセスできる。ちょうどいい機会であるので、クーラーの掃除をしておけば、今後の動作も安心だ。

〜Windows 7をそのまま使う場合〜

 今回はWindows 7 32bit版から8.1の64bit版へとOSを入れ替えたわけだが、Windows 7 32bit版を使い続けたいのであればクリーンインストールではなく、元のHDDの内容をSSDに全て移すクローニングでもよい。

 クローニングの具体的手法については、クローニング機能付きHDDスタンドを用いる方法をVAIO編で、Serial ATA→USB変換アダプタとソフトウェアによる方法をdynabook編で紹介しているのでそちらを参考にしてほしい。

クローニング機能付きHDDスタンドを使えば簡単にコピー可能。
クローニングソフトの「EaseUS Todo Backup Free」。

 SSDの次はメモリの交換だが、モジュールの両脇を挟むレバー部分を開けばモジュールが外れる。

 装着する際はレバーを開いてから挿し込み、しっかりと挟んで固定する。レバーが浮いていなければ大丈夫だ。

SODIMMは、左右のツメがバネとなって左右から挟んで固定する。
SODIMMの場合、まずはスロットに対し斜めに奥までしっかり挿し込み……
左右のツメでしっかりとロックされるまで倒しこむ。バネがモジュール側面と平行になればOK。これが浮いているようであれば倒しこみが足りないか、あるいは奥までしっかり挿さっていないことになる。


現役続投を望むなら「クリーンインストール」もひとつの手法

ブートデバイスの指定が必要な場合、電源投入時にF1キーを押しBIOSセットアップに入り、ブートメニューから優先順位で光学ドライブをHDD/SSDよりも上位に移動させる。
Windows 8.1インストール直後のデバイスマネージャ。WiMAXのほかいくつか認識されていないデバイスもあるが、インターネット接続は可能な状態。

 前2編では、ハードウェア、ソフトウェアによってHDDのデータをクローンして換装してきたが、今回はWindows 8.1 ProにOS環境も移行する。

 OSは使い続けると動作がもっさりしがちだ。最近は「レジストリの肥大」という言葉を聞く機会が減ってきたが、不要なアプリケーションが居座り続けるようなこともある。個人的な見解だが、1〜2年に1度はクリーンインストールし直すのが、パフォーマンスを維持する意味でもよいと思う。

 OSインストール時に、BIOSからブートデバイスを選択しなければならない場合もあるが、クリーンインストールの場合は特に設定する必要が無いケースが多いはずだ。

 OSインストールの際に注意しておくべき点は、「1.ドライバの用意」、「2.ファイルの引っ越し手法」の2つ。

 1つ目に関してとくに重要となるのがチップセットおよびLANドライバだ。ほかにも数々のドライバが必要になるものの、ネットワークさえ確保できれば、インターネットを通じて収集できる。

 実際のところ、このくらい古いノートPCに対し、最新のOSをインストールする場合、OSインストールディスクの収録ドライバでおよそ問題なく充当される。今回も、ごく一部のデバイスを除けば、OSインストール直後の段階でLANを含めて問題なく認識されていた。

 2つ目の「ファイルの引っ越し」だが、日頃バックアップをしていれば、そのバックアップ手法に応じてレストア作業を行えばよい。

 バックアップをしていないとなると、引っ越しソフトを使ったり、あるいは手動でコピーすることになる。ただし、32bitから64bitへの移行や、OSが数世代離れている場合など、引越しソフトでは完全に対処できないものもある。そうした場合は必要なデータを手でコピーしていくことになる。

〜PCデータの引っ越しを見越したデータの保存方法〜

 今回はPCデータの引っ越しを見越したデータの保存方法も紹介しておこう。

 一つ目は、ファイルを保存する場所をひとつに決めてしまう方法だ。作成したファイルをすべてマイドキュメントやマイピクチャといった特定のフォルダに保存する習慣を身に着けていれば、元のHDDをSATA→USB変換アダプタなどで接続し、そのフォルダをまるごとコピーするだけでデータの引っ越しが行える。

 もう一つはクラウドの活用だ。さすがに無料のオンラインクラウドでは保存できる容量が限られるものの、ローカルフォルダをオンライン経由で同期するよう設定しておけば、あとはクラウドのツールをインストールして同期を待つだけとなる。

 また、例えばアプリケーションのなかには、設定ファイルの格納場所を指定できるものもあるので、設定ファイルを同期フォルダ下に設定してしまうのも有効だ。

 ほか、メールなどもクラウド型にしてしまえば、メールボックスのエクスポート、インポートといった手間が省ける。昨今ではNASボックス製品で、家庭内クラウドを構築できる製品もあるので、そうして機能を活用するのもよいだろう。

光学ドライブにインストールメディアをセットし、インストール作業を進める。
製品サポートサイトからユーティリティのWindows 8.1対応版や最新ドライバを取得することで移行作業は完了だ。

 では元に戻ってインストール作業を開始しよう。

 通常であれば、光学ドライブにインストールメディアをセットし、電源を投入すればインストールステップがスタートする。あとは必要に応じてPC名の入力やネットワーク設定を行っていけば問題ない。

 なお、Windows 7の頃から、標準機能としてUSBメモリをインストールメディアとして使用可能となった。そこで、旧OSの段階であらかじめインストール用のUSBメモリを作成しておいてもよいだろう。

 インストールが完了した後は、環境設定や先述のとおり引っ越し作業が必要となる。環境設定では、ThinkPadの場合、専用のツールがいくつか用意されている。

 Lenovoのサポートページで「ThinkPad L512」をキーワードで検索すれば、レノボの該当ページに行き着くことができるので、ユーティリティや最新ドライバなどはそこからダウンロードし、インストールすればよい。

 これもLANドライバが認識されているからできる手法だが、もしもLANが認識されない場合はどうしたらよいだろうか。その際は、元のHDDに戻し、そこでドライバを収集し、SSDに換装後にこれをSATA→USB変換アダプタなどで接続し、コピー&インストールすればよい。

 OSのクリーンインストールの際は、このように別のストレージにインストールすれば、いつでも元の環境に戻せるため便利だ。同時に、大事なデータを失うリスクも抑えられる。

SSD、メモリ、OS換装の効果をチェック、同じPCとは思えないほど快適に

 では、HDDをSSDに換装、メモリも倍増し、OSも最新にアップデートした今回のThinkPad L512を、新旧環境で比較してみよう。

 まずはCrystalDiskMarkでの計測から。ちょうどこのレビュー中にCrystalDiskMark 4.0.3がリリースされたので、こちらも計測してみた。

CrystalDiskMark 3.0.3
左がHDD(換装前)、右がSSD(換装後)。とくに512Kや4K=QD32のパフォーマンスが大幅に向上。

 CrystalDiskMark 3.0.3では、シーケンシャルリード・ライトが70MB/s台だったが、SSDに換装することで250MB/s台へと大幅に向上した。また、普段の作業で比重の高い512Kや4Kに関しても大幅に伸びていることに加え、4K=QD32に関しては150倍前後の超高速化ができた。

 これならあと1年と言わず、2〜3年は現役でがんばってくれそうな勢いだ。実際に操作した際の体感的な面でも快適度はかなり高い。

 CrystalDiskMark 4.0.3は、テスト手法が変更されたとのことで、v3.0.3とは直接比較できないが、こちらも先と同様の大幅な伸びが確認できた。

CrystalDiskMark 4.0.3
左がHDD(換装前)、右がSSD(換装後)。テスト方法が変わったv4.0.3でも同様に速度向上が確認できた。

 次はメモリ増強効果を比較するために、Windowsエクスペリエンスインデックス値を見てみよう。OSがWindows 7とWindows 8.1となるために、直接の比較はできないため、Windows 8.1環境でメモリ4GBの際とメモリ8GBの際を比較してみた。

Windowsエクスペリエンスインデックス
左が増設前、右がメモリ増設後。メモリ容量を増強しただけだが、スコアは5.9から7.1へと向上した。

 結果は、4GB時のメモリスコアが5.9、これを8GBに増設した際は7.1へと上昇した。

 メモリを増設して効果が得られるのは、複数のアプリケーションを開く、複数のウェブページを開く、あるいはRAW現像や写真の補正を行うといった用途がメインになるが、ページングファイル(スワップファイル)の発生を抑えることで無用な書き込みを抑え、結果的にSSDの寿命低下を抑えられるという効果もある。

 最後はOS起動時間を測定してみた。前回から、スタートアップにウェブサイトへのショートカットを置き、電源投入からブラウザの起動、そしてウェブページの表示までを計測している。計測結果では、HDDの際が63秒程度かかっていたのに対し、SSD換装後は27秒と、半分以下まで時短が実現した。

起動時間は1/2以下、それも30秒以内で起動するのでHDD時の「待たされる」感がスッキリ解消された。

 今回は、512Kなど細かいファイルのアクセスでも高速なハイエンドSSDであるMX200を採用したこと、ThinkPad L512がNCQに対応しており、4K=QD32のアクセラレーションが効いたという点もあるし、Windows 8.1でも起動の高速化が見直されたといった複合的な結果と考えられる。

 なお、実際に起動時間が半分以下まで短縮されると、同じPCとは思えないほど快適に感じられる。HDDの時のようなモタツキはかなり軽減された。

5年前のPCがあと2〜3年戦えるパフォーマンスに

SSD化+メモリ増強+最新OS化によって生まれ変わったThinkPad L512。

 今回は、ちょうどいいスペックのノートPCだったことや、OSなども含めた環境改善を行ったことから、これまで試してきた(当時の)高性能ノートPCや、ロースペックのノートPCと比べ、SSDへの換装による変化が大きかった。

 加えてメモリも増強、OSも最新に引き上げたことで、既に5年が経過したノートPCであっても、あと2〜3年現役で戦えるだろうと実感できるパフォーマンスに仕上がった。

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[制作協力:Crucial]

(石川 ひさよし)