パワレポ連動企画
自作PCをよくするワザ、教えます(1) ~CPU編~
(2014/10/29 12:05)
このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌12月号の特集記事「自作PCをよくするワザ、教えます」をほぼまるごと掲載する。
第一回目の今回は、CPUに関する玄人ならではのワザを紹介する。これらのワザを使って、自作PCをもっと速く、もっと便利に使いこなしてほしい。
なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 12月号は、絶賛発売中。12月号では今回の特集のほか、最新UEFIの完全ガイド、ファイル送信サービス 10選、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、特別付録として「保存版 インターフェース図鑑 2014」と題した小冊子が付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。
- DOS/V POWER REPORT 2014年12月号 Special Edition -
自作PCをよくするワザ ~CPU編~
CPUの定格仕様はかなりマージンを見込んで決められている。自動設定でもきんと動作するが、設定変更でさらなる性能や電力効率を引き出せる。ここではそうしたワザを中心にCPUの活用方法を紹介する。
【上級ワザ】Turbo Boostでピーク電力を抑えつつKモデルを高速化
Intel製CPUの上位モデルに導入されているTurbo Boostは、高負荷になったときだけ動作周波数を上げて処理を高速にする機能だ。このTurbo Boostではアクティブな(負荷がかかっている)コアごとに上限倍率が指定でき、設定でさまざまなチューニングが可能だ。とくに、Turbo Boostの倍率を本来の上限より高く指定できるKモデルでは自由度の高いチューニングを行なうことができる。
さて、下の表はTurbo Boost動作における定格仕様だ。Kモデルや通常モデルでは3、4コアアクティブ時も比較的高い周波数で動作するのに対し、省電力のSモデルやTモデルでは倍率を低く抑えてピーク電力を抑えていることが分かる。これを応用し、3、4コア時の倍率はそのままに1、2コア時の倍率を高くすれば、Kモデルでもピーク電力を上げずに性能が強化できるはずだ。3、4コア同時にアクティブになるのは主にレンダリングやエンコードなどの作業で、OSの操作や一般のアプリでは1、2コアしかアクティブにならないことが多いため、強化の効果もそれなりにあると思われる。
この設定方法は簡単で、UEFIセットアップでTurbo Boostのアクティブコア別の上限指定メニューを表示し、1、2コア時の倍率を高くしていくだけでよい。今回はCore i7-4770Kで試したが、電圧操作をしない範囲で44倍まで上げることが可能だった。ベンチマーク結果や消費電力についてはグラフで掲載しているが、ほぼ狙いどおり確実な性能強化ができている一方、アイドル時もピークも消費電力はまったく上昇していない。1、2コアアクティブ時は少しだけ上昇したが、それもPCMark 8実行時の平均消費電力(開始から終了後約1分まで)を見ると、性能強化で処理が早く終わり早期にアイドル状態へと移行するため、トータルで差はない。まさにパーフェクトな最適化と言えるだろう。
なお、参考までに、1コア時のみの上限を上げた場合もテストしたが、限界倍率の上限は変わらずだった。また、仮にアプリ自体がシングルスレッドであってもI/Oやサービスの割り込みを考えると1コアより2コアまで上げたほうが効果があると想像できるが、ベンチのスコアでもそれは実証されている。また、少々の消費電力増を承知で電圧操作含めたシングルスレッド性能のみを追求した設定(46-46-38-37@1.4V)も試してグラフに掲載している。ピーク電力とシングルスレッド性能のみを競うコンテストなどではこういう設定をしてみるのもアリだろう。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-DELUXE(Intel Z97)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、SSD:Samsung 840 PRO MZ-7PD256B/IT(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、電源:Sea Sonic Electronics Xseries SS760KM(760W、80PLUS Gold)、OS:Windows 8.1 Pro Update 64bit版、アイドル時:CINEBENCH終了10分後の値、CINEBENCH R15(CPUシングルコア):実行中の最大値、CINEBENCH R15(CPU):実行中の最大値、PCMark 8 Home(最大):コマンドラインでPCMark 8- Home Acceleratedを1回のみ実行した際の最大消費電力、PCMark 8 Home(平均):コマンドラインでPCMark 8- Home Accelerated を1回のみ実行し、開始から990秒間の平均、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
【中級ワザ】AMD A10-7850Kを省電力CPUにする
開発コードネーム「Kaveri」こと7000番台のAシリーズAPUのうちのいくつかは、cTDP(Configurable TDP)という機能を持っている。自動で動作周波数や電圧を制御し、消費電力を調整して、指定したTDPの枠内に消費電力を抑える機能だ。
たとえば、A10-7850Kは通常TDP 95Wだが、設定の変更によって、TDP 65WやTDP 45Wクラスの省電力CPUとしても使うことができるのだ。実際に設定してみた結果が下のグラフだ。
TDPを下げた効果は、高負荷時の消費電力に現われており、TDP 45Wでは2/3程度にまで下がっている。性能はCPU性能よりGPU性能を優先して維持する方向で調整しているようで、TDP 65Wでは3D描画性能(3DMarkのGraphicsスコア)はあまり落ちていない。TDPを落とした設定にするのも、もとに戻すのも簡単なので、少し部屋が暑く感じる場合や、ファンの音がうるさいと感じた場合などに、CPUを省電力設定で使ってみてはどうだろうか。
【検証環境】
マザーボード:ASUSTeK A88X-PRO(AMD A88X)、メモリ:Corsair Components Dominator Platinum CMD32GX3M4A2400C10(PC3-19200 DDR3 SDRAM 8GB×4 ※PC3-17000に設定、2枚のみ使用)、グラフィックス機能:AMD A10-7850K内蔵(Radeon R7)、SSD:Samsung 840 PRO MZ-7PD256BW(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、電源:Sea Sonic Electronics Xseries SS-760KM(760W、80PLUS Gold)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、アイドル時:OS起動10分後の値、電力計:サンワサプライ ワットチェッカー TAP-TST5
【中級ワザ】OCを極めるならやはりZシリーズ搭載マザー
Devil's Canyonが登場したタイミングで、本来Z97/Z87のウリの機能であったCPUのOC機能が、ほかのチップセットでも事実上解禁された。これにより、多くのH97やB85チップセット搭載マザーで、倍率変更によるOCができるようになった。ただし、実際に製品を触ってみると、Z97とH97マザーではかなり勝手が違う。下の表は、UEFIセットアップの内容の違いを書き出したものだが、H97ではベースクロックに関連した設定ができないほか、OC時のみ電圧をアップできるAdaptive Modeが使えない。また、H97-PROのほうが格上にもかかわらず、VRMの機能も見劣りしている。これよりはるかに設定が少なく、倍率を変えるくらいしかできない製品も多い。OCで上を目指したい方や、細かく最適化して常用したいといったユーザーには、Z97マザーのほうがお勧めだ。
【中級ワザ】Cステート設定でアイドル時をもっと省電力に
Haswell/Haswell Refreshは、Cステートの設定を適切に行なうことでより省電力にできる。Cステートは、利用されていない回路を段階的に休ませるためアイドル状態をレベル分けしたもので、数字が大きいほど多くの回路を休ませ、消費電力を少なくできる。デスクトップ向けでは先代のIvy Bridgeで「C6」、Haswell/Haswell Refreshでは「C7」まで対応している。Cステートの設定はUEFIセットアップに用意されていて、通常は自動設定になっているが、C6以降はHaswell対応電源が必須ということもあり、メーカー問わず自動ではC6/C7までは有効にされないことがほとんどだ。Haswell対応電源を使っているなら、自動設定まかせではなく、それぞれ有効にし、C7まで使えるように指定することでアイドル時の電力を減らせるだろう。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-DELUXE(Intel Z97)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、SSD:Samsung 840 PRO MZ-7PD256B/IT(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、電源:SeaSonic Electronics Xseries SS-760KM(760W、80PLUS Gold)、OS:Windows 8.1 Pro Update 64bit 版。アイドル時:CINEBENCH 終了10分後の値、高負荷時:CINEBENCH R15(CPU)実行中の最大値、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
【初級ワザ】グリスを変更して冷却効率を改善する
CPUクーラーには、グリスが付属している。これは、CPUクーラーとCPUの間に生まれる微細な隙間を埋めて密着させ、CPUの熱をCPUクーラーに伝えやすくするためのものだ。最近では素材も多様化しているため、TIM(Thermal Interface Material)という呼び名も浸透しつつあるが、熱伝導率が5W/m・Kを超える高価なTIMが市販されている一方、低価格クーラーの付属品は熱伝導率も低い傾向(0.5W/m・K前後)にある。低価格クーラー付属のグリスと、高級グリスでどのくらい違うのか、試したのが下のグラフだ。
高負荷時には8℃と大きな差になったほか、付属グリスではできなかったOCもなんとか成功している。付属グリスの品質にもよるためこれは極端な例だろうが、長時間高負荷をかける場合やOCを行なう場合には、手軽にできる改善策として、性能の高いTIMを試してみるのもよいだろう。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z87-PRO(Intel Z87)、メモリ:Micron Technology Crucial Ballistix BLT2K8G3D1608ET3LX0(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)、SSD:Micron Technology Crucial m4 CT128M4SSD2(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)、OS:Windows 8 Pro 64bit版、室温:約27℃、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0 CPU LINPACKテスト時の最大値、OC高負荷時:動作クロック4.2GHz(TB倍率42倍)、Vcore=定格+0.1Vで高負荷状態と同じテストを実行、CPU温度:HWMonitor 1.23のCPU Temperatures のPackageの値
【初級ワザ】Fluid Motion VideoでBlu-rayをヌルヌル再生する
開発コードネーム「Kaveri」ことAMDの7000番台のAシリーズCPUに搭載された機能に「Fluid Motion Video」がある。これは、CPUの内蔵ビデオ機能で、24p(秒間24フレームのプログレッシブ映像)で収録されているBlu-rayムービーを60p再生するときに、スムーズな映像表現を行なうフレーム補完機能だ。通常、24pのコンテンツをリフレッシュレート60Hzの液晶ディスプレイや家庭用テレビに表示する場合は、奇数フレームを2/60秒、偶数フレームを3/60秒表示することで対応するため、シーンによってはぎこちなく感じることがある。Fluid Motion Videoでは、前後のフレーム情報から中間のフレームを作成して補完するため、動きが自然でなめらかに再生されるというわけだ。適したコンテンツとしてAMDはアニメーションをプッシュしているが、アクション映画などとも相性がよさそうだ。一見の価値はある機能だろう。
[Text by 鈴木雅暢]
【DOS/V POWER REPORT 12月号は10月29日(水)発売】
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