パワレポ連動企画
GPUを使った画像エンコードや動画配信に関するテクニック
【自作PCチューニング技術大全100(11)】
(2016/3/10 11:30)
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年4月号」の第1特集「もう一手間、一工夫でアナタのPCがグッと使いやすく快適に!! 自作PCチューニング技術大全100」を掲載する。
第11回目では、CPU内蔵のグラフィック機能を使用したエンコードやゲームプレイ動画の録画、配信環境の構築、画像を綺麗に拡大するテクニックを紹介する。
本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年4月号は全国書店、ネット通販にて2月29日(月)に発売。第1特集のほか、第2特集は最新OSの現在の姿を解説する「リリース時とはもう違う。現在形、分かってる? Windows 10知っておきたい10のこと。」、まずはデータ保存から始めよう、低コストで導入できるモデルを紹介「転ばぬ先のバックアップ! 1万円台で買えるお手頃NASキット」、マルチディスプレイやライトゲームに、内蔵GPUからのパワーアップを目指す「チョイ足しアップグレードで効果大! 格安ビデオカードセレクション」、外出先でも2画面で!「いつでもどこでも手軽に使える モバイル液晶ディスプレイ大集合」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は「小型PC向けパーツ大百科」。メインマシンもサブマシンもコンパクトにまとめる時代です!
-自作PCチューニング技術大全100-
画像エンコードや動画配信に関するテクニック~ビデオカード編 その3~
GPUの性能を限界まで引き出して遊べ!
ビデオカード編
ビデオカードは、CPUと同様かそれ以上に、キメ細かなチューニングで性能を伸ばしたり、さらに楽しい機能を追加したりすることができるデバイスだ。
ここでは、比較的試しやすいチューニングポイントを解説する。
42. CPU内蔵のエンコード機能を利用する 難易度★★★
Intel製CPUに内蔵されている動画エンコーダ、Quick Sync Video(QSV)は、H.264/AVC(第2世代Core以降)およびH.265/HEVC(第6世代Core以降のみの対応)を超高速でエンコードできる。だがビデオカード装着済みの環境では、内蔵GPU自体が無効になるため、動画エンコードアプリからQSVを利用することができなくなる。こういう場合はUEFIセットアップを開き「iGPU Multi-Monitor」などといった名称の設定を“Enabled”にしよう。この後内蔵GPUドライバを導入すれば、エンコードアプリからQSVが利用可能になる。
ただし、システムの構成や使用するエンコードアプリの組み合わせによっては、うまく動作しないこともある。確実にQSVを使いたいなら、ビデオカードを抜いて内蔵GPUのみの環境にするしかない。
【QSV対応エンコードアプリリスト】
・AviUtil+QSVEnc(フリーソフト)
・CyberLink MediaEspresso 7
・CyberLink PowerDirector 14
・ペガシス TMPGEnc Video Mastering Works 6 など
43. ゲームプレイ動画の録画・配信環境を整える 難易度★★★
ゲームのプレイ動画を録画するには「Bandicam」のような録画アプリを使うのが定番。だがGeForceならGFEの「ShadowPlay」、RadeonならAGEの録画/配信機能を使えば、追加費用ゼロで録画や配信環境が整う。
まず録画機能だが、プレイ中は常時録画扱いとなり、ホットキーを押した瞬間から指定秒数さかのぼった動画を保存する機能がメイン。スーパープレイを決めた瞬間を残したいときに活躍する。一方ライブ配信機能はいずれも現在はTwitch.tvへの直接配信のみサポート。ニコ生やYouTubeへのライブ配信にこだわる場合は、別の配信ツール(XSplitなど)を準備しよう。
使い勝手は互角。両者ともGPU内蔵の動画エンコーダ(QSV並みに高速)を使うため、フレームレートがごくわずかに低下する程度だ(せいぜい5%程度)。ただShadowPlayで録画した動画は可変フレームレート形式であるため、再編集時に固定フレームレート形式に変換する一手間が必要。一方、AGEには固定フレームレート形式で録画する設定が用意されており、AGEと連携している動画コミュニティサイトのPlays.tvには簡単なカット編集機能もある。ShadowPlayは手軽さ重視、AGEは取り回し重視のツールに仕上がっていると言えるだろう。
44. イラスト、キャプチャ画面を美しく拡大して楽しむ 難易度★★★
「waifu2x」とは、ディープラーニング(深層学習)を活用して画像の高解像度化およびノイズ除去を行なうオープンソースのプログラム。一般的なレタッチソフトで画像の拡大処理を行なう場合は、「バイキュービック法」などの補間手法を利用する。だが輪郭強調で階調が変化するだけでなく、JPEG圧縮ノイズもそのまま拡大されてしまう。しかしwaifu2xは「この画像は縮小(圧縮)後の画像である。もとの画像はどうだったか?」という発想で処理する。
今回利用する「waifu2x-caffe」はCUDA対応のGPUを利用した高速処理(CPU処理も可)に対応させたもの。計算量がかなり多めのプログラムなので、高スペックのPC、とくにCUDAに対応したGPUの性能が活きてくる。下のグラフは、Haswell世代のCPUとGeForce系ビデオカードを使ったパフォーマンスの比較だが、Core i7-4790Kを持ってしても、GPUのパワーにはおよばなかった。ローエンドのGeForce GT 730でさえ4790Kの3倍近いパフォーマンスが得られ、CUDAコア数の多いGPUほど高速だ。waifu2x-caffeで大量の画像を拡大したい、別途プラグインなどで動画にも適用したいなどという場合は、迷わず上位GPU搭載ビデオカードを導入すべきだ。CPUよりもGPUのほうが投入するハードウェアリソース(予算)に対する高いリターン(速度)が期待できる。
【waifu2x-caffe】
1.JPEGノイズ除去レベル JPEGの圧縮ノイズをどの程度強力に除去するかを指定する。1より2のほうが強力だが、かけ過ぎると画像が荒れることも考えられるので、試行錯誤で最適解を探そう
2.変換モード 画像処理内容を指定する。ノイズ除去のみ/拡大のみ/ノイズ除去+拡大の3種類が基本。一番下の項目は入力画像がJPEG形式のときのみノイズ除去処理を行ないたいときに使う
3.拡大率 拡大処理時の倍率を指定する。倍率を2倍、4倍……にすればドット数は4倍、16倍……と指数関数的に計算量も増えるので上げ過ぎには注意
4.モデル どの学習成果(モデル)を使って処理するかを決定する。アニメ風絵なら「2次元イラスト(RGBモデル)」、実写系なら「写真・アニメ(Photoモデル)」がよい
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4790K(4GHz)
Core i5-4670K(3.4GHz)
マザーボード:ASRock Z97 Extreme6(Intel Z97)
メモリ:Corsair Vengeance Pro CMY16GX3M2A2133C11(PC3-17000 DDR3 SDRAM 8GB ×2 ※ PC3-12800で使用)
ビデオカード:MSI GTX980 GAMING 4G(NVIDIA GeForce GTX 980)
ASUSTeK STRIX-GTX960-DC2OC-2GD5(NVIDIA GeForce GTX 960)、ASUSTeK GT730-SL-2GD3-BRK(NVIDIA GeForce GT 730)
SSD:Micron Crucial M550 CT512M550SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、512GB)
OS:Windows 8.1 Pro 64bit版
[Text by 加藤勝明]
【DOS/V POWER REPORT 2016年4月号は2月29日(月)発売】
★第1特集「もう一手間、一工夫でアナタのPCがグッと使いやすく快適に!! 自作PCチューニング技術大全100」
★第2特集「リリース時とはもう違う。現在形、分かってる? Windows 10知っておきたい10のこと。」
★特別企画「転ばぬ先のバックアップ! 1万円台で買えるお手頃NASキット」「チョイ足しアップグレードで効果大! 格安ビデオカードセレクション」「いつでもどこでも手軽に使える モバイル液晶ディスプレイ大集合」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「メインマシンもサブマシンもコンパクトにまとめる時代です! 小型PC向けパーツ大百科」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
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