パワレポ連動企画

NAS向け8TB HDD対決 ~Seagate/Western Digital~

【PCパーツ無差別級対決(20)】

DOS/V POWER REPORT 2016年6月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年6月号」の総力特集「価格も新旧も関係なしの大激突! PCパーツ無差別級対決」を掲載する。

 第20回目で扱うのはデータ保存用として活用されるHDD。そのなかでもNAS用として販売されているが設計思想の異なる2製品について、どのような違いがあるのか検証する。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年6月号は全国書店、ネット通販にて4月28日(木)に発売。総力特集のほか、ARMプロセッサを搭載した電子基板をノートPCへ!「自分で作るRaspberry Piノート pi-top入門講座」、PCに足りない機能をガチャンと追加「空いているスロットを有効活用 春の内蔵拡張カードコレクション」」、使いやすさは健康にも影響する「PCまわりの使いにくさ、もう放置しない! 今すぐ欲しい環境改善グッズ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録小冊子は新旧のインターフェース規格を解説した「インターフェース図鑑+インターフェース拡張パーツカタログ」。懐かしいものから現在主流の規格、マザーボードには搭載されているのにデバイスが登場しないものまで一挙掲載だ。


-PCパーツ無差別級対決-
NAS向け8TB HDD対決 Seagate NAS HDD / Western Digital WD Red~ストレージ編 その3~


第4部
ストレージ編

 SSDは、NVMe対応製品やTLCチップ採用製品の増加。

 HDDは各社から8TBモデルが追加されたが、それぞれ性格が異なり、製品選びを難しくしている。

Part2 NAS向け8TB HDD対決

この対決の見どころ 同じ容量でも設計思想の違いに注目!

■従来型の技術を採用 Seagate NAS HDD

■最新エンタープライズ向け技術を採用 Western Digital WD Red

 SSDがOSやアプリケーションの起動用ストレージとして定着した現在では、HDDはデータ保存用として活用されることが多い。このため、HDDは用途別にラインナップが整理されるようになった。なかでも人気の分野が、NAS向けだ。デスクトップ向けとエンタープライズ向けの中間的な性格で、24時間365日の連続稼働を前提に信頼性を追求しつつ、デスクトップ向けの製品に近い価格を実現したいいとこ取りの製品である。

 このコンセプトがNAS以外の自作PCユーザーなどからも支持されている。昨年までのNAS向け製品は、6TBモデルが最大容量だったが、今年に入ってWestern DigitalとSeagateから8TBモデルが追加された。前者はヘリウムを充填するHelioSeal技術を採用、後者は、従来型のプラッタ密度の向上で大容量化を図っている。両者はアプローチが異なっており、使用感の違いに注目したい。

NAS向け8TB HDD対決 その1
速度で選ぶならコレ クラス最速の高性能HDD

Seagate Technology
NAS HDD ST8000VN0002

Specification
●インターフェース:Serial ATA 3.0●回転数:7,200rpm(8TB)、5,900rpm(2/3/4TB)

型番容量キャッシュ実売価格GB単価
ST8000VN00028TB64MB40,000円前後5.00円
ST4000VN0004TB64MB22,000円前後5.50円
ST3000VN0003TB64MB16,000円前後5.33円
ST3000VN0002TB64MB12,000円前後6.00円

1.33TBプラッタを採用 7,200rpmの高速モデル

  NASでの利用に最適化されたファームウェア「NASWorks」を搭載し、RAID環境での利用や8台までの同時利用に対応した製品。24時間365日の連続稼働を前提に設計されており、振動対策が考慮され、3年間の長期保証が付けられている。

 最上位モデルである8TBモデルでは、従来型プラッタの最大容量である1.33TBプラッタを6枚内蔵することで8TBの記録容量を実現。さらに8TBモデルは、7,200rpmの高速モデルとして設計され、最大速度230MB/s超を実現するなどNAS向けHDD最速の性能を誇る。一方で高速モデルであるため5,000rpm台の製品よりも発熱が大きく、消費電力や動作音が大きい点がデメリットだ。

 8TBモデルは、HDDの中ではトップクラスの使用感で、高いレスポンスのホームサーバーPCを構築したいなど、記録容量だけでなく、速度も重視したい人にピッタリだ。(北川達也)

(5/16 17:40更新)記事初出時、別製品の解説を誤って掲載していたため、正しい解説に訂正いたしました。関係者ならびに読者の皆さまにはお詫び申し上げます。

バックアップ用の専用ソフトを用意
ドライブ検査ツールも利用可能
SeagateのWebサイトで配布されているDiskWizardを利用すると、データ移行やバックアップを行なえる。このソフトは、人気ソフト「Acronis True Image」のOEM品だ
同じくSeagateのWebサイトで配布されている「SeaTools for Windows」を利用するとHDDに故障がないかどうかのチェックを行なえる
ベンチマークと消費電力

【編集部の判定】

 そのパフォーマンスから人気上昇中のNAS向けHDD。1.33TBプラッタで7,200rpmともなるとシーケンシャル速度が高速で、使用感も良好だ。すでにNASを利用している方も、大容量ドライブにリプレースしてみてはいかが?

NAS向け8TB HDD対決 その2
ヘリウム充填のNAS向けHDD大本命

Western Digital
WD Red WD80EFZX

Specification
●インターフェース:Serial ATA 3.0●回転数:5,400rpmクラス(8TB)、5,400rpm(1/2/3/4/5/6TB)

型番容量キャッシュ実売価格GB単価
WD80EFZX8TB128MB42,000円前後5.25円
WD60EFRX6TB64MB30,000円前後5.00円
WD50EFRX5TB64MB28,000円前後5.60円
WD40EFRX4TB64MB18,000円前後4.50円
WD30EFRX3TB64MB13,000円前後4.33円
WD20EFRX2TB64MB11,000円前後5.50円
WD10EFRX1TB64MB9,000円前後9.00円

エンタープライズ向けの技術を初採用で性能向上

 24時間365日の連続稼働やRAID環境での利用など、現在のNAS向け製品の特徴は、このWD Redシリーズによって開拓されたと言える。新しく追加された8TBモデルでは、エンタープライズ向けでのみ採用されているHGSTのヘリウム充填技術をNAS向け製品で他社に先駆けて採用。静音性や省電力性を強化している。

 空気より密度が低いヘリウムガスを密封することで内部の空気抵抗を減らした本製品は、アイドル時の静音性と省電力性が向上している。アイドル時の回転音は聞き取れないほどだ。アクセス時の音は、大きめのカリカリ音が響くものの、気にするほどではない。消費電力もアイドル時は6TBモデルよりも低く、発熱も小さい。エンタープライズ向けをNAS向けにカスタムしたような8TBモデルは、信頼性重視で大容量モデルを購入したいユーザーにオススメだ。(北川達也)

専用ソフトでエラーをチェック
ドライブ検査ツールも利用可能
Data LifeGuard Diagnostics for Windowsをインストールすると、同社製HDDにエラーがないかどうかをチェックできる。ソフトは、Western Digitalのサイトからダウンロードできる
WD製HDD専用のデータ移行/バックアップソフト「Acronis True Image WD Edition」も無償提供されている。このソフトを利用すると簡単にデータ移行を行なえる
ベンチマークと消費電力

【編集部の判定】

 噂のヘリウム充填モデルで、アイドル時の静音性の高さは、常時稼働するNASにとって大きなメリット。消費電力も低く、NAS向けをうたうだけの説得力のある仕様が魅力だ。各種ユーティリティが付属するのもよい。

【検証環境】

CPU:Intel Core i5-6600K(3.5GHz)
マザーボード:MSI Z170A GAMING M5(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
SSD:CFD 販売 CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
電源:玄人志向 KRPW-P630W/85+(630W、80PLUS Bronze)
OS:Windows 10 Enterprise 64bit版
消費電力:TxBenchでランダム4KB QD32のリード/ライトを2分間、シーケンシャル128KB QD32のリード/ライトを2分間実行時の最大値と計測終了後5分間でもっとも低い値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

【問い合わせ先】

Seagate Technology:0120-993-280 /http://www.seagate.com/jp/ja/
Western Digital:0120-994-120 /http://www.wdc.com/jp/


[Text by 北川達也]


DOS/V POWER REPORT 2016年6月号は4月28日(木)発売】

★総力特集「価格も新旧も関係なしの大激突! PCパーツ無差別級対決」
★特別企画「自分で作るRaspberry Piノート pi-top入門講座」「空いているスロットを有効活用 春の内蔵拡張カードコレクション」「PCまわりの使いにくさ、もう放置しない! 今すぐ欲しい環境改善グッズ」
★連載「最新自作計画 ~最新AMD CPUで作るお手頃メインPC~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「インターフェース図鑑+インターフェース拡張パーツカタログ」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2016-04-22-0000.php

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(AKIBA PC Hotline!編集部)