ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

あらゆる場面でユーザーを悩ませた『ラグランジュL-2 PART II D-SIDE』

前作に続いて、今作でもパッケージを横位置にした状態でイラストが描かれています。裏面には登場人物の紹介だけでなく、ヒントが書かれているシーンも載っていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、高難易度アドベンチャーゲーム『ラグランジュL-2』の続編となるタイトル『D-SIDE』となります。

雑誌『月刊I/O』には、発売直前から掲載が始まり、発売後も長く広告ページが存在していました。キャプションにヒントが書かれていたりしたので、見ておけば悩んでいる場面をクリアできたかも? 雑誌の後ろにあるページでは、前作『ラグランジュL-2』の解答に近いヒントも掲載されていました。

 ヴィークル・ソフトが制作し、コムパックより1985年に発売された前作『ラグランジュL-2』は、リアルさを追求した謎解きを仕込んでいたことから、単語探しとは別ベクトルの難易度の高いアドベンチャーゲームとして話題となりました。

 1985年といえばRPGがメインストリームに移行していく時期で、『ドラゴンスレイヤー』『ハイドライド』『夢幻の心臓』『ザ・ブラックオニキス』といったタイトルが注目を集めていた時代です。アドベンチャーゲームが、少々古いジャンルになってしまったタイミングに登場したのですが、その評判は上々でした。

オープニングでは前作からの流れを数カットのCGで解説してくれるため、ストーリーを忘れていたりクリアしていなくても問題ありません。

 そして、その1年後となる1986年に『ラグランジュL-2』の続編としてリリースされたのが、今回取り上げた『D-SIDE』です。広告から調べると、売り場に並んだのは86年の6月下旬から7月上旬にかけてかと思われ、最初に登場したのがFM版でした。そんな『D-SIDE』のストーリーは、前作からの続きということで以下のような感じで始まります。

 コロニーL-2での難関を無事に切り抜けたライルとメイの2人は、シャトルに乗り込み狂ったコンピュータZERAのもとからの脱出に成功する。自動操縦で月軌道上にあるスペース・オペレーション・センター(SOC-3)へと向かっていたのだが、そこも既にZERAの管理下になっていたとの連絡が入る。そこで、急遽行き先を変更して小型宇宙ステーションルナ・ラブへと避難。たどり着いた先で、ZERAの機能を停止させる方法と、それに使用するアイテムの隠し場所を入手することができた。この作戦を成功させればZERAを止めることができるのだが、失敗すれば地球は核ミサイルの攻撃を受けて全人類が死滅してしまう。ライルとメイは、再びZERAとの対決を決意するのだった。

タイトル画面では、スタート・ナンバーを入力します。今回はカセットテープ版を使用したので、特定シーンまで進めばスタート・ナンバーが表示されつつ次のシーンのロードが始まるのですが、次回以降のプレイでは手前のシーンのロードを飛ばして先から始めることができました。

 プレイヤーは主人公のライル・フィッシャーとして行動し、一緒にコロニーから脱出したメイ・ラセルと共にZERAの機能を停止させるのが目的となります。

 システムですが、今作もカーソル“_”が表示されているときに実行したいコマンドを打ち込むという、コマンド入力式が採用されています。コマンドはカナ入力で行うのですが、カナキーを押して直接カタカナを打ち込むだけでなく、ローマ字かな変換での入力も可能となっていました。このおかげで、現代にプレイするとしても入力時に打ち込みたいカナ文字を探すということにはならないため、快適にプレイ出来ます。

 コマンドは名詞+動詞の順番で入力するのですが、持ち物を確認したいときの“モチモノ”は“モ”や“I”で、調べる時の“シラベル”は“シ”や“ミル”という省略形コマンドで代用することができました。また、同行者に質問したい場合は“5文字以内”という決まりもあるので、言葉探しで悩まされることはほとんどありません。このあたりはマニュアルに書かれているので、最初にじっくり読んでおくことをお勧めします。

ゲーム中には、画面の一部がアニメーションする演出も盛り込まれています。笑顔だったメイが不安な表情に変わって振り向いてくれるところなどが代表的なシーンです。

 プレイヤーの移動は、NSEWやFBRLといったコマンドを打ち込むのではなくカーソルキーで行うため、サクサクと動けて非常に快適でした。ただし、一部の場面では時間制限が設けられているため、何もしていなくても時間が経過していき、気づけばゲームオーバーになっていることもあるので注意!

 画面の描画方法はライン&ペイント方式を採用しているのですが、1秒かからずに画面が描かれるため、待たされる感はほぼ0でした。この時代は、入力方式ならコマンド選択式、画面は瞬間表示というのが多かったのですが、本作ではそのどちらも採用せず、ある意味では我が道を行っていたといえるかもしれません。

 また、画面の一部がリアルに動くアニメーション処理が導入されているシーンもあって、プレイしていていると思わず盛り上がってしまうことも。このアニメーション処理は、1985年にスクウェア(当時)から発売された『WILL』や、1986年リリースの『アルファ』などでも使われてたため、それほど目新しいものではありません。それでも、ふとした弾みでメイが主人公に顔を向けてくれたりするので、ついついプレイしていて表情がほころんでしまいました。

システムはコマンド入力方式となっていますが、それほどひねくれた単語を要求されることはなく、どちらかというと発想のひらめきなどが大事になるので、単語探しで悩むことはないでしょう。

 本作には、セーブコマンドは用意されていません。前作同様に特定のシーンに進むとスタート・ナンバーが表示され、次にゲームをロードしたときに最初に表示される画面でその番号を入れると、決められた場所から再開できるというシステムを引き続き採用しています。実際にプレイしてみると場面が細かく分かれているため、セーブコマンドが無くても困ることはありませんでした。

今作では、隠れキャラやちょっとしたオフザケも仕組まれています。例えば、遭遇するとゲームオーバーになってしまうロボットにとあるシーンで挨拶をすると変な表情を返すなどです。これらは、広告でも「カクシキャラがあった!!」という形で取り上げられていました。

 『D-SIDE』は、難易度としてはやはり高い部類に入ると思いましたが、それでも前作と比べると少々易しくなっているように感じられ、いきなり最初の場面で進めなくなるようなこともないはずです(それでも、丸一日ほど悩みましたが)。前作で挫折した人は、先に本作をプレイするのも手かもしれません。見かけることはそう多くはないと思いますが、良作なのでぜひ機会を見つけて遊んでみてください。

ヒントがさりげなく書かれていたりする場面や、見えるものにこだわってしまうと先に進めなくなる場面もあります。通路のシーンでは、“ある作業”をしておかないと、エレベータを使って下の階から現れるロボットに捕まりゲームオーバーになってしまいます。

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