パワレポ連動企画

CPU冷却・静音事情

【冷却まわりの新鉄則、教えます(2)】

DOS/V POWER REPORT 9月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌9月号の特集記事「冷却周まわりの新たな鉄則、教えます~冷却・静音、これが答えだ!~」をほぼまるごと掲載する。

 第二回目の今回は、昨今のCPUの冷却・静音事情を解説する。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 9月号は絶賛発売中。9月号では今回の特集のほか、USBバスパワーで動作する冷却グッズや薄型CPUクーラーの紹介、6TBクラスの大容量HDD特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、100個の自作PC問題を載せた「PC自作力 2014年度夏期試験」が小冊子として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2014年9月号 Special Edition -


静音化もOCもHaswell世代なら対応しやすい

CPUの発熱は年々減少傾向
冷却重要度:★★☆、静音重要度★★☆

CPUの発熱減少でリテールクーラーもコンパクトに。TDPの低下に伴い純正のCPUクーラーも簡素な作りに変化してきている。冷却能力は必要最低限だが、ファンの回転数が低いため静音性は悪くない

 近年のCPUは世代を経るたびに電力効率を重視した改良がなされており、性能が向上する一方、消費電力、発熱も低下してきた。とくにIntelの製品はその傾向が顕著で、IvyBridgeで高負荷時の電力が、Haswellではアイドル時の電力が大きく低下しており、以前に比べると静音化がしやすくなっている。

現行CPUのTDPの例

 消費電力の目安となるTDPを見ても、通常モデルの多くは84Wで、65W以下のモデルも多数ある。少ないながらTDP 35Wのモデルも用意されており、構成によってはファンレスに限りなく近い超静音環境の構築もそれほど難しいことではなくなっている。

【このモデルに注目】

Intel Core i7-4790S
実売価格:32,000円前後
Intel Core i5-4690T
実売価格:25,000円前後
Intel Core i3-4350
実売価格:17,000円前後
【最強のTDP 65Wモデル】
TDP 65WのCPUとしては最速の存在。TDP 84WのCore i7-4790と最大周波数が同じ4GHzで、シングルスレッド性能は非常に高い
【シングルスレッドに強み】
TDP 45Wの超省電力版クアッドコアCPU。定格周波数は2.5GHzにとどまるものの、最大周波数は3.5GHzと高い
【高コスパで省電力性も十分】
Turbo Boost非対応のCore i3の場合、省電力モデルは性能が低い分、電力が低いに過ぎない。通常モデルがお勧めだ

倍率ロックフリーのCPUが続々デビュー
冷却重要度:★★★、静音重要度★☆☆

 「Devil's Canyon」のコードネームで知られるCore i7-4790Kや「Pentium 20th Anniversary Edition」ことPentium G3258が登場し、注目を集めている。いずれも倍率の上方変更によるOCが楽しめる倍率ロックフリーモデルだ。前者は定格でも4GHz(最大4.4GHz)という高周波数で動作するフラグシップ。後者は実売8,000円以下の低価格でOCが楽しめる点が魅力だ。

 OCの際に気を付けたいのは、周波数や電圧を上げると発熱、電力ともに跳ね上がり、冷却不足になりやすいことだ。過熱保護機能が発動すれば性能は上がらないし、長くそのような状態でいれば故障の可能性も高まる。OCチューニングの際は周波数と温度を常に監視し、管理をきっちり行なおう。

【このモデルに注目】

Intel Core i7-4790K
実売価格:37,000円前後
Intel Pentium G3258
実売価格:7,500円前後
【OC向けのスペシャルCore i7】
LGA1150の最新フラグシップ。倍率の上方変更が可能なほか、TIMの改良、キャパシタの追加などOCに有利な変更がなされている
【低価格でOCが楽しめる】
Pentium発売20周年を記念してリリースされた倍率ロックフリーモデル。3.2GHzだが、4.7GHz以上での動作報告も多数見られる
Core i7-4790KとPentium G3258のCINBENCH、CPU温度、システム全体の消費電力結果

Z97/Z87マザー以外にも倍率変更OCに独自対応した製品がある

実売6,000円前後の激安で買えるASUSTeKのH81搭載チップセットマザーボード「H81M-A」。2014年6月18日公開の「2001」バージョンのUEFIで、Devil's Canyon、Pentium G3258の倍率変更OCに対応済み

 CPU倍率変更によるOC機能は、本来はZ97/Z87チップセットのみの機能だが、メーカーの独自対応により、H97/H87/B85/H81チップセットを搭載したマザーボードでもOC対応モデルが増えてきている。積極的なのはASUSTeKで、すべてのH97/H87/B85/H81チップセット搭載マザーボードでのOC対応を表明済み。ほかのメーカーも公式発表はしていないものの、多くのモデルで独自にOC対応している。対応モデルの場合、UEFIの配布ページにPentium G3258の追加サポートなどが更新内容として記載されているのでチェックしてみよう。

各メーカーの対応状況

【検証環境】

マザーボード:ASUSTeK Z97-DELUXE(NFC& WLC)(Intel Z97)、メモリ:サンマックス・テクノロジーズ SMD-16G28CVLP16KQ(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB ×4 ※2枚のみ使用)、内蔵グラフィックス機能:各CPU に内蔵、SSD:OCZ Vector 150 VTR150-25SAT3-240G(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、電源:Enermax REVOLUTION87+ ERV750AWT-G(750W、80PLUS Gold)、CPU クーラー:Thermalright SilverArrow IB-E Extreme、OS:Windows 8.1 Pro 64bit 版、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:CINEBENCH R15実行時の最大値、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO、室温:26℃、CPU温度:HWMonitor 1.25のCPU Temperature のPackageの値

[Text by 鈴木雅暢]



DOS/V POWER REPORT 9月号は7月29日(火)発売】

★巻頭特集「冷却周まわりの新たな鉄則、教えます~冷却・静音、これが答えだ!~」はもちろん、USBバスパワーで動作する冷却グッズや薄型CPUクーラーの紹介、6TBクラスの大容量HDD特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事を掲載

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は小冊子「PC自作力 2014年度夏期試験」付き

★ 電子版は割安な税別926円、一部ショップでは税別700円の期間限定セールが7月29日(火)より実施予定
★ 電子版では小冊子の電子版も完全収録

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(AKIBA PC Hotline!編集部)