パワレポ連動企画

ITライターが作る低価格PC ~その2~

【金と銀のPC自作プラン(7)】

DOS/V POWER REPORT 11月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌11月号の特集記事「対決!金と銀のPC自作プラン」をほぼまるごと掲載する。

 今特集では、DOS/V POWER REPORTが掲示した4つのテーマについて、それぞれ2名のライターが独自の解釈でPCを作成、そのポイントを解説する。

 第七回目の今回は、予算6万円で製作する「低価格マシン その1」を紹介する。ITライター「瀬文茶」氏がコストを重視しつつも快適性を損なわないパーツで構成したこだわりの一品だ。なお、記事の末尾で読者投票を実施しているので、このPCが気に入った人はぜひ投票をして頂きたい。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 11月号は、絶賛発売中。11月号では今回の特集のほか、8月末に発売されたHaswell-Eの解説記事や、最新ビデオカードの特集、セミファンレス電源カタログ、新世代ベアボーンPC特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、PCケースを約160種集めた「PCケース パーフェクトコレクション 160」が小冊子として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2014年11月号 Special Edition -


省電力チューンも楽しめる5万円台の快速APUマシン

製作者:瀬文茶

PCを自作するときはまずCPUクーラーを選んで、そこからほかのパーツ構成を考えるほどのCPUクーラー愛好家。しかし、今回はコストパフォーマンス優先で涙を飲んだ。

コスト重視でも快適さを損なわないパーツ構成

 「日常的に快適に使えるPCをなるべく安く自作したい」という願いを、5万円台でかなえようというのが、今回のマシンのコンセプトだ。価格と性能のバランスに優れたAMD製APU「A8-7600」をベースに、“外付け可能なパーツはあえて内蔵しない”という方針で、必要なパーツだけを厳選して組み上げた。

PC内部の様子とベンチマーク・消費電力の結果。PCMark 8-Homeのスコアは3,232、3DMark-Fire Strikeのスコアは1,313、消費電力はアイドル時が24.3W、高負荷時が83.7W

 限られたコストでできる限り快適なPCを実現すべく、いずれもそうとうのこだわりを持って選んだパーツ揃いだが、日常的な快適さを実現する上でとくにこだわったのが、システム用のSSDだ。今回は、Transcend Information「SSD370」を採用。容量はアプリケーションのインストール領域も十分確保できる256GBをチョイスした。SSD市場では最安クラスに属するSSD370だが、256GBモデルの価格は今回の構成パーツ最高値の1万3,000円前後。全体の価格に占めるSSDのコストは大きい。

 本音を言えば、7,500円前後の128GBモデルを選んで、Thermaltake TechnologyのCPUクーラー「MeOrb Ⅱ」(3,500円前後)を搭載したかったのだが、コストと快適さを優先した結果、SSDを妥協せず、CPUクーラーを諦めることを選択した。

このPCのポイント
カテゴリー製品名実売価格
CPUAMD A8-7600(3.1GHz)12,000円前後
マザーボードGIGA-BYTE GA-F2A88XN-WIFI(rev. 3.0)(AMD A88X)10,000円前後
メモリCorasair Components Vengeance Pro CMY8GX3M2B2133C9
(PC3-17000 DDR3 SDRAM 4GB×2)
12,000円前後
SSDTranscend SSD370 TS256GSSD370
(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
13,000円前後
PCケースThermaltake Core V1(Mini-ITX)5,000円前後
電源ユニット玄人志向 KRPW-SS350W/90+(350W、80PLUS Gold)6,000円前後


合計58,000円前後

ポイント1 メモリが速くなればなるほどAPUの性能は伸びる!

高クロックメモリの採用でGPU性能が向上

内蔵GPU性能が光るお買い得APU「AMD A8-7600」を採用

 今回の構成では、CPU兼GPUにAMD A8-7600を採用した。四つのCPUコアに、384基のストリーミングプロセッサ(SP)を備えるGPUコア「Radeon R7」を統合したAPUだ。ローエンドビデオカードに匹敵するGPUコアを備えたこのAPUを快適に使う上で、とくに重要なのがメインメモリの動作クロック。なぜなら、動作クロックの高いメモリを搭載することで、A8-7600のGPU性能が大きく向上するからだ。

 メインメモリの動作クロックが高いとAPUのGPU性能が向上する理由は、メインメモリの一部をビデオメモリとして利用するAPUの仕様が関係している。ビデオカードの場合、GPUの性能を引き出すために、GDDR5 SDRAMなどの専用の高速なビデオメモリを実装している。たとえば、A8-7600のGPUコアと同じ384基のSPを備えるGPU「Radeon R7 250」では、4.6GHz動作のGDDR5メモリを採用することで73.6GB/sのメモリ帯域幅を確保している。これに対し、APUが使えるメインメモリのDDR3 SDRAMは、デュアルチャンネル動作のPC3-12800(DDR3-1600)で25.6GB/s(12.8GB/s×2)。A8-7600が備えるGPUコアの規模に対して、メモリ帯域幅は大きく不足している状態にあると言える。メインメモリの動作クロックが上
がるとGPUのパフォーマンスが向上するのは、常に不足気味のビデオメモリの帯域幅が改善されるからなのである。

GPU性能を引き出すための高クロックメモリ

 今回の構成に採用したCorsair Components「Vengeance Pro CMY8GX3M2B2133C9」は、PC3-17000(DDR3-2133)のモジュールだ。PC3-12800のメモリより多少割高だが、このメモリをDDR3-2133動作とDDR3-1600動作で比較してみたところ、3DMarkで約10%、FF14ベンチでは約20%もスコア差が付いている。コストをかける価値のあるパーツであると言えるだろう。

ベンチマーク結果

ポイント2 cTDP 45Wでも性能ダウンは少ない

効果的に消費電力を削れるcTDP

A88X採用Mini-ITXのド定番「GIGA-BYTE GA-F2A88XN-WIFI(rev. 3.0)」を採用

 通常はTDP 65Wで動作するA8-7600だが、Configurable TDP(cTDP)という機能を利用することで、TDPを45W相当に落として動作させることができる。cTDP機能の利用にはマザーボード側の対応が必須だが、今回の構成で採用したGIGA-BYTE「GA-F2A88XN-WIFI(rev. 3.0)」はcTDP機能をサポートしており、UEFIセットアップでTDPを選択できる。

cTDPの変更はUEFIセットアップから(要再起動)

 cTDPは、CPUやGPUの動作クロックを負荷状況に応じて変更することで、TDPの制御を実現している。当然、低いTDPを設定すれば動作クロックが低くなるため、性能が低下することになるのだが、グラフが示すようにTDPを引き下げても極端な性能低下は見られない。

 純粋なCPUテストであるCINEBENCH R15のCPUスコアは12%ほど低下しているが、そのほかのテストでは3%未満の差にとどまる。それでいて、ピーク時の電力はしっかりカットされているのだから、A8-7600をTDP 45W設定で動作させる意義は大きい。

ベンチマーク結果とシステム全体の消費電力

ポイント3 内部に余裕のあるケースで冷却は万全

エアフローの優れたケースなら純正クーラーでも可

ThermaltakeのMini-ITXケース「Core V1」の特徴

 今回のマシンでは、Thermaltake TechnologyのMini-ITXケース「Core V1」を採用した。実売5,000円前後という安価ながら、比較的質感のよいスチール製のキューブタイプケースであるCore V1は、ATX電源が搭載可能であり、ケース内部のスペースも広く取られている。今回は搭載していないが、285mmまでのビデオカードを装着することも可能だ。それゆえコンパクトさにはやや欠けるものの、将来的なアップグレードを楽しむ余地が大きく残されている。

 Core V1は、ケース内部全体の冷却手段として、前面に20cm径の大口径ファンを標準搭載している。この大口径ファンの採用により、Core V1は標準状態のままでも優れたエアフローを実現しており、A8-7600程度の発熱であれば純正クーラーでも必要十分な冷却を果たすことができる。

 筆者としては、予算が許すのならCPUクーラーにもコストをかけたいのだが、今回のようにエアフローに優れたPCケースを使うことで、CPUクーラー用の予算をSSDやメモリなど、PCの性能に直結するパーツに回すこともできる。予算が限られているなら、ケースの性能で冷却予算をカバ ーするのも一つの手だ。

APUは普段使いでも効果アリ

IE11でも高クロックメモリが有効
IE Test Drive―Bubbles!!!の結果

近年、「OpenCL」や「HSA」など、GPUの計算能力を3D描画以外の用途で活用しようという機運が盛り上がっており、GPUの性能がPCのパフォーマンスアップに寄与する場面は着実に増えつつある。ゲームをしなくてもAPUのGPU性能が引き出せる構成にする意義はあるだろう。


 このPCの構成が良いと思ったら、以下のボタンを押して投票してください(一人1回まで)。

 投票は本ページと、DOS/V POWER REPORT 2014年11月号の読者アンケート(同誌購入者のみ投票可能)で行なっています。
 DOS/V POWER REPORTの読者アンケートから投票された方には、抽選で3名様に「Intel Pentium G3258」をプレゼントいたします。

 投票結果はDOS/V POWER REPORT 2015年1月号(11月29日発売)にて発表する予定です。

DOS/V POWER REPORT 2014年11月号 読者アンケート


受付は2014年10月25日(土) 23:59までとなります



DOS/V POWER REPORT 11月号は9月29日(月)発売】

★第1特集「対決!金と銀のPC自作プラン」はもちろん、8月末に発売された「Haswell-E」の解説や、最新ビデオカードの特集、セミファンレス電源カタログ、新世代ベアボーンPC特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事を掲載

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は小冊子「PCケース パーフェクトコレクション 160」付き

★ 電子版は割安な税別926円
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(AKIBA PC Hotline!編集部)