パワレポ連動企画

ITライターが作る新コンセプト提案マシン ~その1~

【金と銀のPC自作プラン(8)】

DOS/V POWER REPORT 11月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌11月号の特集記事「対決!金と銀のPC自作プラン」をほぼまるごと掲載する。

 今特集では、DOS/V POWER REPORTが掲示した4つのテーマについて、それぞれ2名のライターが独自の解釈でPCを作成、そのポイントを解説する。

 第八回目の今回は、予算25万円で製作する「新コンセプト提案マシン その1」を紹介する。ITライター「竹内亮介」氏が新規格の性能を活かす構成で作ったこだわりの一品だ。なお、記事の末尾で読者投票を実施しているので、このPCが気に入った人はぜひ投票をして頂きたい。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 11月号は、絶賛発売中。11月号では今回の特集のほか、8月末に発売されたHaswell-Eの解説記事や、最新ビデオカードの特集、セミファンレス電源カタログ、新世代ベアボーンPC特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、PCケースを約160種集めた「PCケース パーフェクトコレクション 160」が小冊子として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2014年11月号 Special Edition -


新規格パーツの性能を活かす次世代スタンダードPC

製作者:竹内亮介

「次世代のスタンダード」というテーマを、どのように料理したものかと悩んだが「現在手の届く範囲での未来を考える」辺りが妥当なところと判断した。

自作PCの未来を先取り、次世代スタンダードPC

 Intel 9シリーズチップセットは、8シリーズからの世代交代にしては地味なアップデートに見える。しかし、PCパーツ全体で考えて見ると、今後の飛躍に備える土台の最初の世代として、評価されるのかもしれない。その一つが、M.2スロット正式対応やSATA Expressポートの搭載だ。
 SSDのインターフェースとしては、現時点ではSerial ATA 3.0が主流であるが、SSDの性能をフルに活かし切れなくなっている。しかし、9シリーズ世代のマザーボードは、PCI Express接続によるM.2スロットやSATA Expressにより、Serial ATA 3.0の上限を超える速度を実現できる。対応SSD本体の価格や入手性はともかく、9シリーズチップセット対応マザーボードを使えば、より高速な環境を手に入れられる。

PC内部の様子とベンチマーク・消費電力の結果。PCMark 8-Homeのスコアは4,486、3DMark-Fire Strikeのスコアは5,849、消費電力はアイドル時が46.4W、高負荷時が257.1W

 一方、アプリケーションは、ネットでの配信が主流になりつつあり、光学ドライブの重要性は以前よりも低下した。そのため大型のケースでも5インチベイを少なくする、あるいは非搭載とし、冷却性能の強化や省スペース化を目指したPCケースが増えている。

 またWindows 8/8.1では、OSの高速起動機能「Fast Boot」が利用できるが、そのためには各デバイスが「UEFIネイティブモード」に対応している必要がある。マザーボードなどのパーツはほとんどが対応済みだが、やや対応が遅れていたビデオカードも、現行モデルでは対応製品が一気に増えた。

 そこで、こうした最新のトレンドを踏まえた、「次世代のスタンダード」を先取りしたPCを作ってみた。現状ではコストが高く付くが、その性能や機能は折り紙付きだ。

このPCのポイント
カテゴリー製品名実売価格
CPUIntel Core i7-4790K(4GHz)36,000円前後
マザーボードASRock Z97 Extreme6(Intel Z97)20,000円前後
メモリCFD販売 CFD Elixir W3U1600HQ-4G
(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)
9,500円前後
ビデオカードASUSTeK GTX760-DC2OC-2GD5
(NVIDIA GeForce GTX 760)
29,000円前後
SSDSamsung XP941 MZHPU512HCGL
(M.2[PCI Express 2.0 x4]、MLC、512GB)
58,000円前後
HDDWestern Digital WD Green WD20EZRX
(Serial ATA 3.0、5,400rpm、2TB)
8,000円前後
PCケースSilverStone Fortress SST-FT05S-W(CEB)28,000円前後
電源ユニットCorsair Components RM550
(550W、80PLUS Gold)
12,000円前後
CPUクーラーListan be quiet! DARK ROCK PRO 314,000円前後
合計214,500円前後

ポイント1 PCI Express x4接続のM.2 SSDの性能をフルに活かす

M.2 SSDの性能を発揮できるマザーボードを選ぶ

独自の高速M.2スロット「Ultra M.2」を搭載した「ASRock Z97 Extreme6」を選択

 マザーボードは、今回のテーマではもっとも重要なパーツだ。次世代をになう最新パーツを利用するためには、対応インターフェースを搭載していることが必要。そこで今回選択したのが「ASRock Z97 Extreme6」だ。数あるM.2スロット搭載製品の中からこれを選んだ理由は、「Ultra M.2」という、独自のM.2スロットを搭載しているからである。Ultra M.2は、CPUとバスを直結することで、PCI Express 3.0 x4接続が可能な高速スロット。通常のM.2スロットの最大転送速度は10Gbpsだが、Ultra M.2は32Gbpsであり、これによりさらなるパフォーマンスを発揮できるというわけだ。

 そして搭載するSSDは、PCI Express 2.0 x4接続に対応した容量512GBのM.2 SSD「Samsung XP941 MZHPU512HCGL」だ。公称転送速度はシーケンシャルリードが1.4GB/sに達する超高速SSDであり、Ultra M.2のポテンシャルを引き出すのにもってこいである。ただし、このXP941はマザーボード側が対応していないと起動ドライブとして利用できないという点は注意が必要。

 実際にWindows 8.1をインストールし、CrystalDiskMarkで性能を計測した結果が下の画面。Ultra M.2スロットでは、シーケンシャルリードが1GB/sの大台に乗っている。公称転送速度である1.4GB/sには届かなかったが、それでもSerial ATA 3.0接続のSSDの2倍にも達している。

Windows 8.1をインストールし、CrystalDiskMarkで性能を計測した結果

ポイント2 Core i7-4790Kをしっかり冷やす

静音性と冷却性能を高い次元で両立した「be quiet! DARK ROCK PRO 3」を採用

 今回使用しているCPUはLGA1150対応では最新・最速のCore i7-4790K。しかし、高性能な分だけ発熱が大きく、長期間安定して動作させるには冷却性能の高いCPUクーラーの利用が望ましい。とはいえ、単に性能だけを追求すると静音性が犠牲になりがちだ。

 そこで今回は、高性能なCPUクーラーである「Listan be quiet! DARK ROCK PRO 3」を選択。これまでにも静音性と冷却性能が両立している製品はあったが、DARK ROCKPRO 3は、13.5cm角ファンと12cm角ファンを各1基搭載し、さらに7本ものヒートパイプを組み合わせるなどして、より高い次元で静音性と冷却性能を両立させている。それだけに本体の大きさはかなりのもので、今回使用するマザーボードのCPUスロット周辺やメモリスロット、ケースのサイドパネルへの干渉が懸念されたが、実際にケースに組み付けてみたところ問題は出なかった。

ギリギリ収まる
CPUクーラーの上部がPCケースのサイドパネルギリギリの位置まで達するが、物理的な干渉はない。ファンの振動が側板に伝わることもなかった
メモリへの干渉もない
CPUクーラーはかなり大型だが、今回使用したメモリだとヒートシンクやヒートパイプが干渉することはなかった

ポイント3 新世代らしい構造のPCケース

倒立配置構造を採用、冷却性能重視のPCケース「SilverStone Technology Fortress SST-FT05S-W」を選択

 発熱の大きなCore i7-4790Kを使うと決めた時点で、PCケースは冷却性能重視と決めた。静音性重視のケースでは、CPUクーラーの強化だけではCPU温度を低く保ち難いからだ。そこで、風量がある上、広範囲に風を届けられる18cm角ファンを底面に2基搭載し、外部からたっぷりと空気を取り込み直線的なエアフローによる高い冷却性能を持つ「SliverStone Fortress SST-FT05」を選択。

 SST-FT05は5インチベイを搭載しない、という思い切った設計で、冷却性能重視のPCケースとしては比較的コンパクトなのが特徴。また、マザーボードを倒立して配置する構造で内部のスペースが広く、作業性にも優れる。この倒立配置により、マザーボードのバックパネルが上を向くことも特徴の一つだ。これは、底面ファンからの風を効率よくパーツの周囲に届けるための工夫である。

5インチベイを排したデザイン
フロントパネルは肉厚のアルミ製の梨地仕上げで、高級感もある
18cm角×2で強力に冷却
底面には18cm角の大型ファンを2基も搭載。天板方向に直線的に風が流れる煙突構造で強力に冷却
倒立配置でエアフローを最適化
バックパネルが天板方向に向くように装着する倒立配置を採用。各種パーツがエアフローを妨げない

ポイント4 UEFI対応パーツでOSの起動も速い!

Ultra Fastモードならわずか4秒で起動

OSはUEFIネイティブでインストール
Fast Bootの設定も重要

 M.2 SSDからOSを起動し、ベンチマークやいくつかの作業を行なったところ、一つ一つの作業がキビキビとしていて非常に快適だった。とくにOSの起動が普段使っているメインPCよりもかなり速く感じられたので、実際に計測してみた。Fast Boot設定の中でも、もっとも高速に起動できる[Ultra Fast]モードに設定したところ、何とたったの4秒で起動していた。Serial ATA 3.0対応SSDとの比較では3秒も起動が速く、Fast Boot機能OFF時の、実に1/3の時間で起動している。

システム起動時間
ファンコンで風量を調整
ファン回転数を3段階で調整できるファンコントローラを搭載。風量を調整できる

 SST-FT05の2基の18cm角ファンは、天板に装備されたファンコントローラにより3段階で回転数を調整できる。当初は冷却性能を重視するために最大回転数モード(High)で動作させていたが、これだと動作音がかなり大きかった。最小回転数モード(Low)にすれば、動作音は普段使うのに気にならない程度に抑えられるが、十分な冷却性能が確保できているか不安だ。そこで実際に検証してみたのが下のグラフである。

各部の温度

 結果、CPU温度は最小回転数に設定したときでも68℃。十分低い数値であり、テスト中もTurbo Boost時の動作クロックが下がった形跡はない。GPU温度は1℃、マザーボード周辺の温度も2℃の差しか出なかったので、最小回転数モードで使うほうがよい

より高性能なパーツと組み合わせる

最新パーツで固めるなら、さらに最近安くなってきた4Kディスプレイを追加するのもよいだろう。ビデオカードは4K解像度と60Hz出力に対応しており、精細な映像を楽しめる。またケースやクーラーの冷却性能の高さを考えると、LGA2011-v3マザーボードをベースに、ウルトラハイエンド環境を構築するのもおもしろいだろう。

ASUSTeKの4K対応28型液晶ディスプレイ「PB287Q」。実売価格が7万円前後と低価格だ
LGA2011-v3対応マザー「GIGA-BYTE GA-X99-UD4(rev. 1.0)」。M.2スロットやSATA Expressのほか、最新のDDR4 SDRAMにも対応

 このPCの構成が良いと思ったら、以下のボタンを押して投票してください(一人1回まで)。

 投票は本ページと、DOS/V POWER REPORT 2014年11月号の読者アンケート(同誌購入者のみ投票可能)で行なっています。
 DOS/V POWER REPORTの読者アンケートから投票された方には、抽選で3名様に「Intel Pentium G3258」をプレゼントいたします。

 投票結果はDOS/V POWER REPORT 2015年1月号(11月29日発売)にて発表する予定です。

DOS/V POWER REPORT 2014年11月号 読者アンケート


受付は2014年10月25日(土) 23:59までとなります



DOS/V POWER REPORT 11月号は9月29日(月)発売】

★第1特集「対決!金と銀のPC自作プラン」はもちろん、8月末に発売された「Haswell-E」の解説や、最新ビデオカードの特集、セミファンレス電源カタログ、新世代ベアボーンPC特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事を掲載

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は小冊子「PCケース パーフェクトコレクション 160」付き

★ 電子版は割安な税別926円
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(AKIBA PC Hotline!編集部)